Side:なのは


季節は夏。
私も夏休みに入って、絶賛夏休みを満喫中なの♪

宿題は……今年は、夏休み初日に、アリサちゃんとすずかちゃんと集まって、志緒さん達に手伝って貰いながらとは言え、テキストは終わらせたから
残るは自由工作と自由研究のみ。
だから、割とマッタリ過ごせるんだよね今年の夏休みは。



「アレは、流石に突貫作業だったけど、夏休みを憂いなく過ごす事が出来ると思えば、まぁ、悪くなかったかしらね?」

「私的には、志緒さんがどんな科目にも精通してる事に驚いたけど……」



にゃはは…志緒さんは、腕っ節が強いだけじゃなくて、学業の方面でも全科目80点て言う高水準をマークしているみたいだからね。(美月さん情報)
だから、小学生の宿題位なら朝飯前なんだよきっと。



「どんなチートキャラよ其れ!?」

「凄いよね?」

「まぁ、志緒さんですので♪」

「……その一言で納得しちゃた自分がちょっと怖いわ。」



其れが志緒さんなんだよアリサちゃん。
何て言うか、どんな理不尽な事でも、其れを成し遂げてしまったのが志緒さんだって言われると、妙に納得しちゃう部分があるからねぇ……本気で志
緒さん半端ないの――!!











リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE39
『此れが天下の夏休み!!』










でもまぁ、其れは兎も角として、今年の夏は例年にない位に暑いの~~!!
何もしなくても汗が噴き出してくるくらいだから、団扇が手放せないって言うのは正にこの事なの!加えて、縁側には、足を浸けるための水を張った
タライは必須だよ~~~!!



「本気で暑いわ此れ。
 てか、縁側に風鈴と、冷水入りのタライと、蚊取りブタは日本の夏の風物詩って言えるけど、其れ以前にクーラー入れなさいよ!あるんでしょ!?」

「確かにあるけど、この時期って翠屋がクーラーかけっぱなしになるから、こっちでもクーラー使っちゃうと電気代がハンパ無いんだよアリサちゃん!
 だから、こっちでは極力クーラーを使わないで、暑さを何とか凌ごうとしているの!!」

「つっても、この暑さは、耐えられないって!
 すずかを見なさい!暑さに耐えきれずに、半分リラックマみたいになってるから!!」

「ぐで~~~~……」



此れは、リラックマと言うよりも、やる気がなくなったスライムじゃないかな?
って言うか、自分で『ぐで~~~~……』って言ってる時点で、まだまだ余裕があるような気がするんだけど、其れは突っ込んじゃいけない事だね。


でも、確かに今年の暑さは異常かもしれないの。――或はこの異常気象も、ジュエルシード事件の余波が引き起こしたのかなぁ?分からないけど。

兎に角この暑さを何とかしないと……



「ったく、何をだらけてやがる?この程度の暑さで情けねぇぞ?」



と思った所で志緒さん?
でも、この程度って言いますけど実際に可也暑いんですよ!?其れこそ一歩間違ったら、熱中症でお陀仏になったっておかしくない位の暑さなの!



「まぁ、この暑さはトンでもねぇが、だからってだらけて良いって訳でもねぇだろ?
 桃子さんに頼まれて考えた夏の新メニューの試作品を持って来たから、此れでも喰って元気出せや?中々に夏にピッタリのモンだと思うからな。」

「志緒さんの作った新メニュー!?」

其れってどんな物なんですか!?
お母さんから頼まれたって言う事なら、スウィーツの可能性が凄く高いんですけれど、此れは若しかして……冷たい白玉ぜんざいクリーム付き?



「只の白玉ぜんざいじゃねぇ。
 餡は、徹底的に小豆を裏ごしして滑らかに仕上げて、更に白玉に絡みやすいようにやや緩めに伸ばしてある。
 そしてクリームは、只のクリームじゃなくて卵黄を加えてカスタード風に仕上げた生クリームだ。加えて白玉――は、喰って貰った方が早いな。」

「手が込んでるわねぇ此れ?じゃあ早速!」

「「「いただきま~す!!」」」



うん、冷たくて美味しいです!
餡子も滑らかで喉ごしが良い上に、甘さ控えめのアッサリタイプなんだけど、カスタード生クリームがコクのある味だからバランスが丁度良いの♪
そして、此の白玉も……



――コリッ



「ふぇ?なに今の不思議な歯ごたえ!?」

「白玉の中に何か入ってるわよ此れ!!」

「白玉のプルンとした触感の中の此の歯ごたえ、でもこれ自体は全くクセが無い味わいで…何処かで食べた記憶があるんだけど、何だったかな?」

「分からねぇか?正解はナタデココだ。1cm角位に切ったナタデココを、白玉の中に仕込んでみたって訳だ。
 シロップ漬けとかで売られてる事の多い食材だが、シロップ漬けじゃないモンならクセのない味を生かして色んな料理に使う事が出来んだろ?
 桃子さんから、夏向けの新メニューを考えてくれって言われて、真っ先に思いついたのがクリーム白玉ぜんざいだったんだが、普通のじゃ面白みも
 何もねぇから、俺流のアレンジをしてみたって訳だ。」



ナタデココ!!此れは予想外だったの!
だけど、凄く美味しかったです志緒さん!!此れはアリです!
アッサリ感とコクを両立させて、更に餡子の滑らかな喉ごしと相性抜群の白玉に、其処にアクセントになるナタデココ!こんなクリーム白玉ぜんざい
は、誰も食べた事が無いから、絶対に新メニューに採用間違いなしだと思います!!



「そいつは良かったぜ。なのはの太鼓判を貰ったんなら大丈夫だろうからな。
 結果は後で桃子さんに報告するとして、其れ喰い終わったら出掛ける準備しな。」

「ほえ?」

「出掛ける準備?」

「え~と、何でですか?」

「此れも桃子さんに頼まれた事なんだが、午後はお前達を何処かに連れて行ってやって欲しいって言われてな…そんな訳で、午後は勤務無しだ。
 アリサとすずかは準備してねぇだろうからプールは無理だが、それ以外だったらどこでも好きな所に連れて行ってやる。」



で、食べ終わったら志緒さんと一緒にお出掛け?其れは最高だね♪
最もアリサちゃんとすずかちゃんは用意が無いから、プール以外でって言う事だけど、そうなると……あ!そうだ、水族館なんてどうかな?
海鳴市営水族館は2年前から建て直し工事が始まってて、確か今年の7月に『マリンワールド海鳴』としてリニューアルオープンした筈だよね?



「そう言えば、そうね?」

「新しくなってから行った事なかったから、この機会に行ってみようか?」

「じゃあ決まり!志緒さん、そう言う訳で目的地は水族館で♪」

「了解したぜ。俺としても、水族館なんてもんは、滅多に行った事が無かったから楽しみでもあるしな。
 そんじゃ、其れ喰い終わったら準備して出発だ。子供3人だったら、全員乗る事も出来るから、俺のバイクで出発だ。」

「「「お~~~~~~~~~♪」」」


期せずして訪れた午後のお出かけ。此れは、楽しまないとなの♪








――――――








Side:志緒


と言う訳で水族館『マリンワールド海鳴』に到着だ。
こう言っちゃなんだが、シートに俺、タンデムになのはとアリサ、オイルタンク(防熱シート装備)にすずかって言う、道路交通法をバリバリ無視した4ケ
ツやってて、良く警察に取り締まられなかったもんだぜ。

或は、海鳴の警察ってのは、スピード違反とか飲酒運転みたいなモン以外には意外と寛容なのかもしれねぇな?
なのはとアリサとすずかにはヘルメット着用させてたし、万が一のことを考えて、3人ともバンドで身体をバイクに固定する位の事はしといたからな。



さて、金は桃子さんから預かってるから、入り口で入場券を買って、そんでもって入った訳だが――此れは行き成り度肝を抜いてくれるじゃねぇか?
天井からぶら下がるナガスクジラと、マッコウクジラの全身骨格と、ウバザメの標本は、迫力満点だ。デカいのは分かってたが、クジラってのは此処
までデカいモンだったんだな。

その迫力で出迎えてくれた後は、今度は海鳴近海の生物と、海鳴港に上がる海洋生物のコーナーか。
港に上がるって事で、食卓でもお馴染みの魚もいるんだが、逆に其れが生きてる姿を拝む機会ってのは中々ねぇから、コイツはある意味で新鮮だ。
……それでも、鯵や鰯を見ると、コイツ等を天婦羅にする場合には、とか考えちまう辺り、俺も大分蕎麦屋の彼是に染まっちまってるんだろうな。


気を取り直して、其処を抜けると次は、弩デカい水槽の大型展示か。
鰯の大軍に、ウミガメ、気儘に泳ぐエイに、人工の岩場から顔を覗かせるウツボ、優雅に泳ぐサメに、其れにちゃっかりくっついてるコバンザメ……バ
ラエティ豊かな魚達が拝めるな?……って、ちょっと待て、小型のサメ1匹に2匹も張り付くのは幾ら何でもやり過ぎじゃねえかオイ?



「すごー~~~い!リニューアル前とは全然違うの!
 あ、亀!ウミガメこっちに来たよ!!」

「あはは、なにコイツ?ヒレの動かし方が、まるで手を振ってるみたいじゃない?」

「可愛いね♪」



ま、なのは達も楽しんでくれたみたいだから何よりだがな。――ん?



『『………………』』(じ~~~~~~~~~~)



なんだ、此のウツボとサメは?
海のギャングと、海のハンターの揃い踏みだが、コイツは如何見ても俺の事を見てやがるよな?……俺に、何か用でもあんのかお前等は?



『『…………………』』(じ~~~~~~~~~~~)

「黙して語らずか……まぁ、お前等が喋ったら、其れは其れで大問題だがな。
 だけどまぁ、お前等の言いたい事は大体分かった。お前等としては、俺は放っておけない存在だったって事だろ?だから、こうして来たって訳だ。」

だがなぁ、お前等で俺に勝てると思ってんなら大間違いだぜ?……やんのかオラ!!


――ギン!!


『『―――――!!』』


――ビクゥ!!バシュゥゥゥン!!




「凄い、志緒さんの睨み一発で、海のならず者とハンターが逃げて行ったの!!」

「狩る側の相手を撃退するなんて、凄いです志緒さん!!」

「てか、其れ以前に飼育環境下であるとは言え、人間よりもずっと狩猟本能とか闘争本能の高い捕食生物をメンチ切り一発で退散させるって如何な
 のよ!?普通に考えて有り得ないでしょ!!」

「甘いよアリサちゃん、志緒さんに睨まれたら、きっとアフリカのライオンでも、インドのトラでも無条件降伏するのは間違いないの!
 こう言ったらアレだけど、志緒さんは間違いなく生態系の頂点に立つ事の出来る、唯一無二の人間なんだよ!!」

「色々無茶苦茶だけど、なんだか妙に納得したわアタシは!!」



……トコトン人間扱いされてねぇように思うが、其処まで凄かったか今のは?
動物なんざ、気迫如何で如何とでも出来んだろ?杜宮でも、おやっさんの店のゴミあさりに来た野良犬を、眼光一発で撃退した事は1度や2度じゃね
ぇからな。



「「「普通は出来ません!!」」」

「そう言うもんかねぇ?」

まぁ良い、其れは其れとして、水族館を堪能しようぜ?
マダマダ見る所はたくさんあるみてぇだし、夏休み限定企画として、普段はスタッフ以外立ち入る事の出来ない、バックヤードの見学もさせて貰える
みてぇだし、イルカショーなんかも色々趣向を凝らしてるみてぇだから、思い切り楽しもうじゃねぇか!



「「「異論無し♪」」」

「なら、次は深海のコーナーに行くぜ!」



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で、およそ3時間かけて、此れで全部回ったな。
イルカショーを見た時には、思い切り水被ってびしょ濡れになっちまったが、まぁコイツも水族館の醍醐味ってモンなんだろ。水被っても、笑ってたな
のは達を見てたら、そう思えて来たからな。

まぁ、野外展示コーナーの一角に、何でカピバラが居たのかはマッタク持って謎なんだが……人気があるみてぇだったから、突っ込むのは無粋か。


で、今何をしてるかと言うと――

「西暦は2005年の8月2日……Nanoha Takamachiと。」

記念メダルの製作中だ。
この手の施設にはよくあるが、まぁ、記念として買っておくのは悪くねぇし、なのは達3人分でも、メダルとネックレスチェーン合せて1590円てんだか
ら安いモンだぜ。

おし、出来たぜ。



「ありがとうございます。――其れじゃあ今度は、私達からですね。」

「3人で割り勘すれば、530円も安いもんよ!」

「ちょっと待ってくださいね、志緒さん♪」



なんだ?3人で出しあって、メダルとネックレスチェーンを買ったみたいだが……俺に作ってくれるってのか?



「「「出来ました~~!!」」」

「っと、早いな?……有り難くいただくぜ。」

……コイツは、中々に粋な事をしてくれるじゃねぇか?
西暦と俺の名前だけじゃなく、『From Nanoha&Suzuka&Alisa』の刻印までか……ありがとよ、大切にさせて貰うぜ。



「そうして貰えると有り難いです♪」

「大切にしなさいよ?粗末にしたら、只じゃ済まさないんだから!」

「大切にしてくれるのは嬉しいですけど、ちゃんと使って下さいね?」



言われなくてもその心算だ。
世界にたった一つだけしか存在しない、俺だけのメダルキーホルダーを使わない手は無いからな。明日の勤務から早速使わせて貰おうじゃねぇか。

如何やら今日の外出は、なのは達だけじゃなくて、俺にとっても良いモンだったみてぇだな。
或は、桃子さんは其れすらも見越してたのかもしれねぇってのが、微妙に否定できねぇ事なんだが――まぁ、良い結果に終わったから問題なしだ。
終わりよければ全て良しって言うからな。












 To Be Continued…