Side:なのは
ジュエルシードを巡る事件から数日が経って、私達も何時もの生活を取り戻していた。
流石に久しぶりに登校した時には、クラスメイトの人達から雨霰の質問が襲い掛かって来たけど、其れもアリサちゃんとすずかちゃんが捌いてくれたお
蔭で、如何にか乗り越える事が出来たからね。
だから、ジュエルシード事件の際のブランクがあったとは言え、クラスに馴染めたのかもしれないけれど。
何にしても、事件は無事に解決できたんだから、残るは、フェイトちゃんとアルフさんに対して、どんな罰が課せられるのかって言う事よね……クロノ君
が、一緒に居る以上は、多分大丈夫だとは思うけれどね。
「しばらくぶりに戻って来たと思ったら、良い顔するじゃ無いのよ、なのは?」
「今の横顔……凄くカッコよかったよ、なのはちゃん♪」
にゃはは……其れはありがとうなの。
尤も、此れ位は序の口だから、此処からもっともっと、技術を磨いて行けば私だって最強の道に乗る事が出来るんじゃないかって思っているからね!
未来への階……期せずして繋がっていたみたいだね♪
リリカルなのは×東亰ザナドゥ 不屈の心と魂の焔 BLAZE38
『予想外のエンカウント』
Side:璃音
翠屋に住み込みで働いてるって事もあるんだけど、何時の間にか自然と開店前の準備が出来るようになってるってのも、不思議なモノよね~?
最初は、アイドル業とは違うから、ちゃんと務まるのか不安な部分もあったんだけど、いざやってみると、意外や意外、此れが割と性に合ってたわ!
まぁ、翠屋のスタッフである以上は、お仕事はちゃんとする心算だったし、手を抜く心算は毛頭なかったけど。
「四宮、モップはちゃんとスミまで掛けろって、何度言えば分かるんだオメェは!!四角い部屋を丸くモップ掛ける奴が有るか、このバカ野郎!!」
「此れが初めてじゃないんだから、いい加減改めろよ祐騎?」
「え~~~?ちょっと見には分からないんだから良いじゃん!」
だけど、志緒先輩の徹底ぶりは凄いわ~~。
流石は、蕎麦屋に住み込みで働いてるだけあって、仕事に関しては一切の妥協も何もあったもんじゃないわね。
尤も、其れは色んなバイトを掛け持ちしてる、洸君もだけどさ。
まぁ、ユー君の、社会を舐め切った態度については、洸君と志緒先輩に何とかして貰うとして、アタシ達は自分の仕事をバッチリ熟しちゃおうじゃない!
って、明日香、何その服?明らかに、翠屋のユニフォームじゃないよね?
「……桃子さんに着させられたのよ、半ば強制的ね。
誰が如何見ても、まごう事なきメイド服……理性では全力で拒否したかったのだけれど、桃子さんの笑顔に抗う事は出来なかったのよ………!!」
「え~と、良く似合ってると思いますよ、明日香さん?」
いや、其れフォローじゃなくて、ある意味トドメ刺してるから美月先輩。
てか、明日香がこうなった以上は、アタシ達も此れを着る事になるだろうから、今の内に覚悟を決めといた方がいいかも知れないよ、美月先輩。それ
から、空ちゃんもね?
「えぇ、私もですか!?璃音先輩や、美月先輩みたいな美人さんなら兎も角、私なんかには似合いませんよ~~!?」
「甘いよ空ちゃん!空ちゃんは、滅茶苦茶可愛いじゃない!何よりも、今時の女子高生にしては、物凄く純真だし礼儀正しいし、何より可愛いし!!
はい、可愛いってのは大切な事なので2回言ったわよ?そんな空ちゃんを、桃子さんが放っておくと思うの?」
「うふふ、放っておかないわよ♪」
「「「!!?」」」
って、噂をしたら桃子さん!?ぜ、全然気配感じなかったんですけど!?
アタシや美月先輩は兎も角、空ちゃんは相当気配に敏感な筈なのに、その空ちゃんに気取られずに背後に立って見せるとは……桃子さん恐るべし。
序に、この人と士郎さんの娘なんだから、なのはちゃんが目茶目茶強いのにも、ちょっと納得。
え~~と、其れで桃子さん『放っておかない』って言う事は、聞くまでもないと思うんだけど……手に持ってるそれらを着て、今日はウェイトレス業に励
めって事だよね?
「正解♪
前に、なのはにメイド服着せて、店を手伝って貰った事が有ったんだけど、物凄く好評だったのよ『可愛い』って。
で、皆も美人で可愛いから、何時もの翠屋のエプロンじゃなくて、色んな衣装着てお仕事して貰ったら好評なんじゃないかと思ったの♪それで、さっ
きネットで注文しておいた服が届いたから、先ずは明日香ちゃんにメイド服を着て貰ったと言う訳♪」
「いや、可愛く言われてもアレなんだけど……良くも此れだけ集めたよね~~?
メイド服に、矢絣袴、チャイナドレス、黒セーラー服、国防…こっちだと自衛隊の士官服、って管理局の制服とか何処で手に入れたの!?」
「リンディさんに頼んで、ちょっとね♪」
何してんのよリンディさん!?って言うか、局員の制服って簡単に1着手に入るモノな訳!?
あ、でもリンディさんて物凄いお偉いさんだった筈だから、都合すればできるのかな?…それでも、頼まれたからって普通に寄越すとかドンだけ!?
或は、其れを可能にしちゃう桃子さんが凄いのか、悩むところではあるわね。
でも、そう言っておいてなんだけど、この中から選ぶとしたら管理局の制服かな~~?
正直な事言うと、エイミィが着てるの見て、ちょっと着てみたいと思ってたしね。――空ちゃんは、チャイナドレスとか如何?空ちゃんは、すらっとしたス
レンダーな体系だから、チャイナは絶対似合うと思うよ?
「そ、そうでしょうか?」
「そうだって。……それに、空ちゃんのチャイナを見たら、ユー君が惚れ直しちゃうかもだよ?」
「じゃあ、着ます!!」
決断早!!
まぁ、空ちゃんとユー君は付き合ってる訳だから、ここいらでもう一押ししておいても悪くはないからね?……洸君は、私の管理局制服姿を見て如何
思うかなぁ?少しでも意識してくれたらうれしいけどね……
――お着換え中だから、ちょっと待ってね~~~?
と言う訳で、X.R.C女性陣、本日コスプレ完了です!!美月先輩が、矢絣袴って言う尤も当たり障りのないのを選んだのがちょっと納得できないけど、
滅茶苦茶様になってるから何も言えないわ此れ。
さて、如何よ洸君!!
「おぉ、管理局の制服か其れ?良く似合ってるじゃねぇか璃音!
こう言っちゃなんだが、同じデザインで、色変えたのをあと4つ作ればSPiKAのライブ衣装に使う事も出来そうだよな?ちょっと、イメージ変わるし。」
あ~~……予想してた反応だわ此れ。
良くも悪くも、洸君はこうなんだよね~~~……ある意味で裏表がないと言うか、正直なんだけど、もうちょっと反応してほしかったわ本音の所は。
で、空ちゃんは?
「えっと、如何かな祐騎君?」
「空それは……グハァ!!!!」
って、鼻血噴出して吹っ飛んだぁ!?
もしかして、予想以上に破壊力が凄かった!?いや、確かにチャイナのスリットから除く空ちゃんのすらっとした足は、破壊力抜群なのは否定しないけ
ど、まさか此処までとは予想外だって!!
おーい、生きてるかいユー君?
「我が人生に、一片の悔いなし……洸先輩、僕は空に会えて幸せだったよ……」
「祐騎?馬鹿野郎死ぬんじゃねぇ!!空を残したまま逝く気かお前は!!」
「最後の最後で良いモノが見れた……僕は其れで満足だよ、洸先輩……」
「祐騎ーーーーーー!!!!」
「……寸劇は、その辺にしとけや時坂、四宮。あんましふざけてると、脳天に一発かますぞ、手加減なしで。」
「「どうもすみませんでしたーーーー!!!!」」
まぁ、生きてるよね。てか、志緒先輩の手加減なしの一撃を脳天に喰らったら、洸君とユー君死んじゃうって。
こう言っちゃなんだけど、志緒先輩の手加減なしの一撃を脳天に喰らったら、一般人だったら頭蓋骨陥没で即死だからね~~~?マジ怖いわ~~。
「いっそ志緒君には、黒ワイシャツと白スーツで勤務して貰おうかしら?」
「桃子さん、其れは絶対駄目だよ。
志緒先輩の其れは、誰が如何見てもヤクザ屋さんにしか見えないから、客足が増えるどころか逆に減るから!幾らなんでも怖すぎるわよ!!」
「あら、残念♪」
残念じゃないっての……志緒先輩だとシャレにならないからね。――ともあれ、今日もお仕事は頑張らないとだね!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
で、激動の午前中が終わって、現在午後のお仕事開始までのフリータイム!なので、明日香を誘って海鳴の街を探索中ってね。
「私で良かったの璃音さん?」
「明日香が良かったの。
同い年だけど、明日香はネメシスのエージェントだから普通の女子高生の生活をした事は無いだろうし、アタシもアイドルだから普通の女子高生とは
縁遠いじゃない?
だから、ちょっとでも普通の女子高生気分て言うのを味わおうと思ってさ。――適当に、ウィンドショッピングするだけでも楽しいって言うし。」
「其れは……そうかも知れないわね。――なら、普通の女子高生を満喫しましょうか?
幸い、この世界ならばネメシスの任務もないし、ジュエルシードの彼是も解決したばかりだから、気を張り詰めている意味も無くなったモノね。」
でしょ?それじゃあ、出発進行ーーー!!
で、其れからは海鳴の商店街やら何やらを周りながら、海鳴の街を堪能させて貰ったわ。
商店街のお肉屋さんのおばちゃんがくれたコロッケは、滅茶苦茶美味しかったしね~~~……海鳴は、改めて良い街なんだって思ったわ。
んで、辿り着いたのは『海鳴図書館』。
偶には本を読むのも悪くないし、面白い本が有ったら借りようと思ってたんだけど――
「えい……もうちょっと!!」
車椅子の女の子が、上段にある本を取ろうと悪戦苦闘。てか、なんで誰も助けてあげない訳?……それとも、或は気付いてないのかな?
何れにしても、無視は出来ないから……はい、此れかな?
「あ……おおきに。」
「気にしな~い、困ってる時はお互いさまでしょ?」
「言われてみればそうやな?お姉さんの言う通りや♪」
!?……この子、なんか物凄い魔力を持ってない?
多分自覚は無いんだろうけど、アタシやなのはちゃんをも上回る魔力を、熾天使の力で感じ取ったわ……まさか、こんな魔力を持った子が居るとは、も
しかしたら、この出会いは偶然じゃなかったのかもね。
「主はやて、ソロソロ……其方の方は?」
「あ、本を取るのを手伝ってくれたんよ?ホンマに助かったわ~~。」
「左様ですか。ならば、私からも礼を言おう。
我等の不在中に、主はやてを助けてくれた事に礼を言おう、優しき者達よ。」
お礼なんていいって。困ってる人を助けるのは当たり前の事だし、こんな小さな子が困ってるのを放っておける程、アタシも明日香も薄情じゃないし。
当たり前の事しただけだからね。
「そうか……だが、主はやてが世話になった事に変わりはないのでな――感謝の意は受け取って貰えると有り難い。」
「ならばそうするわ。その思いを無碍にするのは、良くないでしょうしね。」
「そうしてくれ……我等の主が世話になったな?何れまた会う時があるかも知れんが、その時には今日の礼をさせてくれ。」
期待しないで待ってるよ~~……行っちゃったか。
にしても、あの子の魔力も凄かったけど、後から現れた従者的な人達は一体何者な訳!?ピンクポニテは、アタシ並の魔力を有してたし、金髪だって
決して低くない魔力を持ってたからね?
此れは、案外平和な時間は長く続かないかもね?
アタシの勘ではあるけど、あの人達とは、何れまた相見える時があるような気がするからね。――ま、何が来ても、払って砕くだけだけどね!!!
――――――
Side:???
さっき図書館で出会った少女は、何方も高い魔力を有していたが、少なくとも管理局の局員では無かったか。――私を追っては来なかったからな。
だが、管理局の魔導師でないにもかかわらず、アレだけの魔力を内包しているとは、正直なところ驚きでしかないな。
或は、アレだけの魔力を吸収する事が出来れば或は……いや止めておこう。
主はやてからも、闇の書の完成の為に他者から魔力を吸い取ると言う事は禁止されているからな……その禁を破る事は出来ないと言うモノだ。
しかし、如何にも彼女達とは長い付き合いになりそうだから、覚えておいた方が、良いかも知れないな――!!
To Be Continued… 
|