Side:リンディ
プレシア……まさか、こんな結末になってしまうとは思ってもいなかったわよ。
でも、貴女はあの日からずっと苦しんで来たのだから、全ての因縁に決着がついた今、アリシアちゃんと一緒に眠りについても良いのかも知れないわ。
遺言じゃないけど、フェイトさんの事は私に任せなさい?
法律ギリギリではあるけど、フェイトさんもアルフさんも、裁判で『保護観察』で済ませて見せるわ――流石に無罪放免と言う訳には行かないからね。
その為には、先ずは優秀な弁護士が必要なんだけれど――プレシアの助手だと言っていたリニス……彼女は確か一級弁護士の資格を持って居なか
ったかしらエイミィ?
「ちょっと待ってください……え~~っと――はい、ありました!
『リニス・ランスター』は、管理局認定の一級弁護士の資格を有しています。」
「それじゃあ、フェイトさん達の弁護士は彼女で決定ね♪」
恐らくプレシアの事だから、全てに決着がついたその時に、彼女に如何すべきは指示しておいたでしょうし。
でも、そうなると保護観察を勝ち取るのはほぼ確定しているから、私がフェイトさん達の保護観察官となる為の申請もしておかなければならないわね。
加えて、異界絡みの事件だっただけに、報告書も彼是手を加えないとならないだろうし……3徹位は覚悟しておかないといけないわ。
でも、此れでジュエルシードを巡る、一連の事件には決着がついた訳だから、先ずは関わった全員に『お疲れ様』よね♪
リリカルなのは×東亰ザナドゥ 不屈の心と魂の焔 BLAZE37
『名前を呼んで~Nanoha&Fate~』
Side:志緒
敵さんの本拠地で決着がついて、事件は一応の解決を見る事になったか――プレシアさんと共に、虚数空間に落ちたジュエルシードもあるから、散ら
ばったジュエルシードを全て回収するって事は出来なかったけどよ。
んで、一度アースラに戻った際に、重要参考人て事でフェイトとアルフは連れてかれちまったが、クロノが『最低限の取り調べをするだけだ』って言って
たから手荒な真似はされてねぇだろう。――そんな事を、リンディさんが許可するとも思えねぇしな。
んで、その取り調べも一段落して、今度は裁判が有るからフェイトもアルフも管理局のあるミッドチルダって場所に行かなきゃならねぇらしい。
加えて裁判が始まれば半年は会う事が出来ねぇから、その前にって事で、所謂『別れの挨拶』をするために、俺達は海鳴臨海公園に集まった訳だ。
「スマナイ、待たせてしまったかな?」
「いや、約束の5分前だ。俺達が早く来過ぎちまったみたいだ。」
「そうなのか?……まぁ、其れならば逆によかったけれどね。」
で、来たかクロノ執務官。フェイトとアルフを引き連れてな。――フェイトの奴に、なのはの思いが伝わったかどうか、其れが焦点になりそうだぜ!!
まぁ、最高の結果になるだろうことは、言われるまでもねぇけどな!!
――――――
Side:なのは
フェイトちゃん………此れから裁判なんだよね?――半年は、会う事が出来ないんだよね?
「うん……それも、しかたないって思ってるけどね。――僕とあるふがした事は、管理局のほーりつ的には絶対にやっちゃダメな事だった訳だしね~?
まぁ、君達と知り合えた事を考えれば、悪かった事だけじゃないけどさ♪」
「いっそ、羨ましい位のポジティブシンキングだねフェイトちゃん?」
「あったりまえじゃん?
ウジウジ悩むよりも、撃って斬って、楽しくスラッシュする方が全然マッタク面白カッコいいし!!」
にゃはは……其れは確かにさもありなん。ある意味で、真理であって究極の理論と言えるかもしれないの。――一歩間違えば、脳筋の暴論だけどね。
でも、その元気が有れば裁判中でも元気でやっていけそうだね、フェイトちゃん。
「勿論、元気が一番!!
えっとね?それでね~~~……君に言いたい事が有ったんだ!」
「ん?なぁに?」
「前に君は、僕に『お友達になりたい』って言ってくれたよね?
その事を、僕なりに考えてみたんだ~~。で、僕も君とお友達になりたいと思ったんだ。君と一緒なら、なんか面白いこといっぱいありそうだしさ!!」
其れは大歓迎だよ、フェイトちゃん。
「うんうん、君ならそー言うと思ってくれた!
だけどさ、友達ってどうやってなればいいのかな?僕は其れが分からないんだ………」
「……何を難しい事を考えて居やがる。どうやってなるも何も、オメェとなのははとっくにダチだろうが。
戦場でなのはの下に駆けつけて、互いに背中預けて強敵をぶっ倒したんだ。それ程の事を一緒にやってのけた奴が、ダチじゃなくて何だってんだ。」
「先輩、其れどっちかって言うと不良の理論じゃない?」
「全力を賭して戦った相手との間には、友情だって生まれるんだよ?
千秋先輩や部長にも、大会や練習試合で戦って仲良くなった人って言うのが居るみたいだから。」
「空の其れはスポ根過ぎ!?」
「いや、志緒先輩の言ってる事も、空の言ってる事も間違いじゃねぇだろ?てか、なのはちゃんとフェイトちゃんは既に友達って事で、万事OKだぜ。」
「時坂先輩適当過ぎ!?」
「いや~~、今日も祐君の突込みが炸裂するね~~。」
「四宮君は、適当に受け流す事が出来ない性質なのね……」
「あらあら、苦労しそうですね其れは♪」
「そう思うなら、少しくらいはフォローしてよ先輩達も!!」
にゃはは……ホント祐騎さんは、其の内突っ込み死するかもしれないって位に、何かあると取り敢えず突っ込まずにはいられない性格ですよね。
さてと、志緒さんや空さんが言った事は、ある意味で間違ってないけど、其れでもフェイトちゃんは納得してないって言うか、ハッキリわかる形で友達に
なりたいんだよね?
「うん。ぶっちゃけていうと。」
「なら簡単だよ。
誰かと友達になる時には、友達になりたい相手の名前を呼べばいいの。『君』とかじゃなくて、名前で呼べばいいんだよ。簡単でしょ?」
「名前で?」
「そう。……呼んでみて、私の名前。」
「……なのは。」
はい、フェイトちゃん♪
「なのは……うん、君って呼ぶよりもこっちの方がぜんぜんいい!此れからはなのはって呼ぶね!
って言う事は、僕となのはは、此れでお友達になれたって事だから……えっと、金髪の大きい人は……」
「そりゃ俺の事か?……まぁ良い、間違っちゃいねぇしな。志緒だ。高幡志緒。」
「シオ!」
「時坂洸だ、宜しくなフェイトちゃん!」
「君がコウ!」
「四宮祐騎。一応名乗っておくよ。」
「ユウキ!」
「郁島空だよ。宜しくね♪」
「ソラ!」
「柊明日香よ。」
「玖我山璃音。宜しく~~~♪」
「北都美月です。宜しくお願いしますね、フェイトちゃん。」
「アスカ、リオン、ミツキ……凄いぞあるふ~~!僕一気に8人も友達ができちゃったぞ~~~~!!ほら、あるふも皆と友達になるんだ~~~!!」
にゃははは……何て言うか、元々勢いが有る子だとは思ってたけど、全てが終わったらそれに拍車がかかってる様な……此れが素のフェイトちゃんな
のかもしれないけれどね。
まぁ、本来のフェイトちゃんに戻ったって言うのなら、其れは全然いい事だけど。
「……盛り上がってるところスマないんだが、そろそろ時間だ。」
「あ、もうそんな時間なんだ……それじゃあ、少しの間お別れだね、フェイトちゃん。」
「うん。――そうだ、なのは、これあげる。僕が使ってる髪止めのりぼんだけど、なのはにもっててほしいんだ。……貰ってくれる?」
うん、勿論だよフェイトちゃん。
でも、私だけ貰うのは悪いから、フェイトちゃんも私の髪止めのリボンを貰ってくれるかな?これは、一番のお気に入りなんだけど、フェイトちゃんに持っ
ていて欲しいんだ。
「いいの?ありがとー!!!これはとってもいいものだーーーー!!!大切にするね、なのは!!」
「うん、私も大切にするねフェイトちゃん!――それじゃあ、少しの間だけ、バイバイだねフェイトちゃん。」
「ばいばい!またあおーね!」
「裁判が全部終わって一段落したら、一度翠屋に遊びに来いや。そん時は、丼物で良ければ飯奢ってやるからよ。
なのはのダチって事なら、桃子さん達も歓迎してくれる筈だろうからな……取り敢えず、達者でなフェイト、アルフ。また会う時を、楽しみにしてるぜ。」
「おーーー!僕も楽しみにしてるぞーーーー!!」
「そいじゃあ、ちょいと行ってくるよ。――またな、究極のお人好し共!!」
――シュゥゥゥゥゥゥン………
行っちゃった。
半年後に会えるとは言え、ヤッパリ寂しいかなこう言うのは……
――バン!
「のわ!?……し、志緒さん!?あの、背中叩かれると結構衝撃が来るんですけど……」
「そうか。ソイツは悪かったな……手加減はしたんだが。
だが、何をシケたツラしてやがるなのは。確かに半年は会えねぇが、逆に言えば高々半年会えねぇだけのことだろ?そんなに寂しがることはねぇ。」
志緒さん………そうですね。
高が半年です。志緒さんと再会するまでの年月と比べたら、全然余裕で短いですし、私が沈んでたら、フェイトちゃんだって安心できないですから!!
フェイトちゃんには、定期的にビデオレターを送る心算だから、いつも笑顔で居ないとですよね?
「分かってるじゃねぇか?なら、ソイツを実践しな。
お前の笑顔には、人を元気にする力が有るから、其れを見りゃフェイトだって、きつい裁判を乗り越える事が出来るだろうからな。」
ですよね♪
それじゃあ、帰りましょう。私も今日から、学校復活ですからね。
「……………」
「璃音さん?どうかしましたか?」
「え?あぁ、何でもないよなのはちゃん。ただ、行っちゃったなーって思ってさ。ちょっと、感慨に耽ってただけだよ~~。」
そうですか……まぁ、私も思う所は多いですからね。
ともあれ、此れでジュエルシードを巡る全ての事が終わった訳で、私も久しぶりに日常に戻る事が出来るよ――尤も、休んでた間の授業のノートを写し
て覚えたりとか、大変な事はあるんだけどね。
だけど、其れも私が選んだ道の結果だから文句は無いの。――だから帰ろう、何時もの日常に!!
――――――
Side:璃音
なのはちゃんにはあぁ言ったけど、実を言うと、アタシは微弱だけどとっても強い魔力の波動を感じ取っていた。
プロである明日香や美月先輩が感じ取ってなかった事を考えると、アタシの中に宿る『天使』の力が、其れをキャッチしたんだろうね、多分だけどさ。
でもって、感じ取った魔力は、アタシやなのはちゃんをも上回る程に大きい感じがした上に、もう1つ、熾天使を上回る力まで感じたから、其れだけの存
在が、海鳴には居るって事だね。
取り敢えずは、不確定要素が大きいから放置するとしても、何かあったらアタシ達が出張れば何とかなると思うし。
でもまぁ今は、一つの事件が片付いた事を喜ばないと嘘だよね?
そんな訳で、事件解決の打ち上げには、志緒先輩のカツ丼を所望しまーす!!
「あ、私は特上天丼でお願いしますね高幡君?」
「特天て、喧嘩売ってんのか北都?
あれは揚げる具材が多い上に、トンカツと違って個別に揚げなきゃならねぇから面倒な事この上ねぇんだぞ!?しかも、カツと天婦羅は揚げ油の温
度も違うから、鍋も2つ用意しねぇとイケねぇし……厨房の混雑回避の為に、オメェもカツ丼にしとけや北都!」
「あら、残念です♪」
顔が全然そう言ってないよ美月先輩。てか、分かってやったよねアレは――本気で良い性格です事。
取り敢えず、アタシが感じた魔力に関しては、今は保留しといた方が良いかもね――何れ、アタシ達の前に姿を現すのかもしれないけど、今は未だね。
ん~~~~……じゃあ帰りますか!
今日からまた、翠屋のウェイトレスとして、頑張って行かないといけないからね!!
To Be Continued… 
|