Side:志緒


さてと、取り敢えず件の青ガキことフェイトを連れて来た訳なんだが――何だってそんな顔をして居やがる執務官?
異界発生って言うハプニングはあったが、こうして全員が無事に帰還してんだから文句は無い筈だぜ?――だってのに、如何して難しい顔をしてるんだ。



「主に君のせいだよ志緒!
 あの次元跳躍魔法はどんなに少なく見積もっても、SS級の破壊力が有った!其れを斬撃射撃一撃で相殺するって、一体何者なんだ君は!?」

「何者だと言われても、人間だとしか言えねぇんだが……」

「説得力ねぇよなぁ?
 適格者として覚醒する以前に、催眠魔法も効かない上に、エルダーグリードと素手で渡り合ってたあたりマジで本気で。ヤバすぎるからな色々と。」

「だけど志緒先輩なら、誰が来ても勝てそうな気がするぜ。」

「その認識は、間違ってないわ時坂君。」

「志緒先輩は、最強だからね!!」



色々と突っ込みてぇことはあるんだが、其れはまた、別の機会にしておくとするか。
さて、此処からどんな展開が待ってるか分からねぇが、黒幕との戦いが近いってのは、間違いねぇだろうな?鬼が出るか蛇が出るか、何れにしても只で
済む戦いにはならねぇだろうな。

さて、状況はどうなってんだ、執務官?











リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE33
『最終決戦の幕開け!!』












「取り合えず、先刻の攻撃で敵の本拠地は割り出せた。
 場所は、次元の海を旅している独立機動世界『時の庭園』。恐らくは、其処にプレシアの姿をしたグリードが存在してる筈だ。」



ほう?コイツは面白くなりそうだぜ。
敵の本拠地に乗り込むってのは、ある意味で王道の展開だからな?――さっさと庭園とやらの場所を教えてくれや。カチコミ掛けてやろうじゃねぇか!!



「お~~!良いね殴り込み!さっすがは志緒先輩!
 あのヤクザのオジサンと、丸坊主の人が居たら、もっと良かったかもだけどね♪」

「いや、流石に鷹羽組と、新生BLAZEまで一緒に行ったら、ガチすぎると思うぜ璃音。てか、神木の木刀は兎も角、ガトリングは絶対ヤバイだろ其れ。」

「流石にガチムチすぎるんじゃない?」

「まぁ、戦力になるから良いんじゃないかな?」

「戦いは手段を選んではいけないと言うモノね。」

「いっそ面倒な事になる前に、アースラの主砲で庭園ごと吹き飛ばしてしまっては如何でしょう?グリードを逮捕は出来ないと思いますし♪」

「何気に、一番物騒な思考かましてんじゃねぇよ北都。味方である内は頼もしいが、絶対に敵に回したくねぇ相手だなお前は。
 まぁ、其れは良いとして、見ての通りこっちは既に準備出来てんぜ執務官?青ガキと一緒に医務室行ったなのはだって、多分乗り込むだろうからな。」

「乗り込む事を前提に話を進めないでくれ。協力関係にあるとは言え、志緒となのはとユーノ以外は民間協力者でアースラの指揮下という形なんだから。
 無論現場に突入はするが、其れは君達じゃなく、局の武装隊の魔導師達だ。
 相手が、ドレだけの力を持っているかは分からないが、武装隊でも屈指の実力者で編成した特殊部隊だから、早々やられる事は無い筈さ。
 これから、ブリッジで現場の状況を見る……一緒に来てくれ。」



「……局の武装隊員で如何にか出来る相手ではないと思うけれどね。」



執務官は先に行っちまったが、アンタもそう思うかプレシアさん?
悪いが、俺もアンタと同じ考えだぜ……あの青ガキ自体を、3A級のエルダーグリードに変異させるような代物を作っちまうなんてのは、間違いなくS級以
上のグリムグリードと見て間違いねぇ。
幾ら熟練の魔導師でっつっても、常識が通じないグリードが相手じゃ、果たして打ち倒せるかどうか怪しいってモンだ。



「恐らくは、そうでしょうね。」

「やっぱりか――で、何でまたフードで顔を隠してやがんだ?」

「ブリッジには、あの子も――フェイトもやってくるでしょうからね。
 彼女の『母親』と同じ顔をしている私が、其処に居たらフェイトもアルフも正気ではいられないでしょうから……アルフの鼻対策として、香水もね。」



成程な。
そんじゃ、俺等もブリッジに行くとすっか!!








――――――








Side:なのは


アースラのブリッジの光学モニターには、時の庭園に乗り込んだ管理局の魔導師さん達が、プレシアさん――の姿をしたグリードを取り囲んでる所が映し
出されていた。

「えっと、フェイトちゃん大丈夫?」

「無理しないでおくれよフェイト、アレだけの事が有ったんだから……」

「ううん、僕なら大丈夫。
 それに、みとどけなきゃいけない気がするんだ、お母さんのむすめとして、僕は其れをみとどけるぎむがあるって思ってるから。」

「ハン、中々見上げた根性してるじゃねぇかお前も!」



で、フェイトちゃんも一緒にね。

本当にそう思いますよ志緒さん。
アレだけの事が有ったんだから、普通はショックで落ち込んだままになっちゃうって言うのに、フェイトちゃんは自分から此処に来るって言った訳だしね。
だったら見届けよう、どんな結末になろうとも一緒に!



「うん!」

「その気合いだぜフェイトちゃん!
 にしても、アイツあれだけの魔導師に囲まれてるってのに、全く動じてねぇ……まぁ、当然かもしれねぇけど、こうしてみると不気味だよなやっぱり。」



圧倒的な力を持ったグリードって言う事だから、適格者じゃない魔導師は恐れる相手じゃないって言う事なんだろうけど、この光景は流石にね。
クロノ君も『まさか、勝てると思ってるのか!?』って驚いてるしね。



『プレシア・テスタロッサ!もう逃げられんぞ、大人しく縛に付け!!』

『ふぅ……礼を知らない無作法者の相手は面倒ね……それ以前に、彼方達如きが私を捕らえるとは、面白い冗談ね?
 良い機会だから知ると良いわ。そこそこの性能のモノがドレだけ集まろうとも、圧倒的な力を持った一には絶対に適わないと言う事を、その身で!!』




!!!く、クロノ君!武装隊の人達をすぐに撤退させて!!
アレは、あの魔力の集中は拙い!!幾らバリアジャケットを纏っているとは言っても、アレの直撃を喰らったら一撃戦闘不能は間違いないし、下手をした
ら命に関わる事態になりかねないの!!!



「確かにアレは拙い――!現場の魔導師は、速やかにアースラに帰還……」

『消えなさい!』



クロノ君の帰還命令よりも速く、攻撃が炸裂して、モニターが一瞬真っ白に!!
そして、光が収まったら、其処には一撃で戦闘不能になった武装隊の魔導師さん達が!!……此れは、本気でトンでもない力を持ってるみたいだね。


でも、それ以上に、アレは何?
さっきまでは見えなかったけど、黒幕の背後にあるのは大きな培養ポッド……その中に、フェイトちゃんにそっくりな金髪の女の子が!!まさか、あの子
が、プレシアさんの言ってたアリシアちゃんなの!?



『マッタク、雑魚が群れてぞろぞろと……アリシアには触れさせないわ。
 本音を言うなら全てのジュエルシードを使った方が楽だったのだけれど、9個あれば少し時間はかかるけれど、私の望みをかなえるには充分だわ。
 ……だから見ていなさい、アースラの諸君、アリシアが完全生物である『グリムグリード』として復活するその時を!!』




見られてる事には気が付いてたんだ……だけど、16年前に死んじゃったアリシアちゃんをグリムグリードとして復活させるなんて、絶対に間違ってる!!
その為に、フェイトちゃんにジュエルシードを集めさせてたんだとしたら絶対に許せないの!!



『何とでも言うが良いわ。私は、私ノ目的ヲ果たす事が出来れバ、其れデいい――貴女の言う事等気ニしテ居られないワ。
 でも、此れダケは、言っておいタ方がいいかモ知れナいわ……フェイト、貴女は所詮私の人形に過ぎない……私は貴女の事が大嫌いだったのよ!』

「え……お母さん?……そんな。」

「!!!」

フェイトちゃん!?
ちょ、確りして!!――余りのショックに気絶しちゃったか。

だけど、何だってそんな酷い事を!!
確かにフェイトちゃんは失敗しちゃったかもしれないけど、貴女の為にずっと頑張って来たんだよ?其れなのに、どうしてそんな酷い事が言えるの!?
オカシイよ、絶対にオカシイ!!



『あの子はアリシアにはなれなかった……見た目も性格も何もかもが違いすぎた――此れでは私の目的果たせないのよ。
 だからあれには人形になって貰ったわ――まぁ、ソコソコの働きをしたと褒めてあげても良いけど、所詮は紛い物……さっさと死ねばよかったのにね。』


「テメェ……良くそんな事が言えたな糞婆が!
 上等だ――テメェのその腐った根性、俺達が叩き潰してやらぁ!!今からそこに乗り込んでやるから、首洗って待ってな腐れ外道が!!」

「アンタは絶対に許さねぇ……絶対にぶっ倒して、フェイトちゃんの前で100万回土下座して謝らせてやるから覚悟しやがれってんだ!!」

「親との折り合いが悪い僕が言う事じゃないかもしれないけど、アンタ親失格だよ。」

「本気の怒りを覚えたのは、何年ぶりかしらね……」



志緒さん達の言う通りなの!
ボロボロになるまで頑張って、最後の最後まで戦ったフェイトちゃんを、そんな風に言うなんて、この私が絶対に許さない!!全力全壊で叩きのめすの!



『やれるモノならばやってみなさい?――尤も、此の異界迷宮を攻略出来たらという事が最低条件だけれどね!!』



――轟!!



此れは、また凄い力なの。
しかも其れだけじゃなく、時の庭園その物が姿を変えた?――此れは一体如何言う事なんですか明日香さん!?



「おい明日香、コイツは!!」

「異界のフェイズ3!!……現実世界を侵食した異界化――放っておけば大変な事になるのは間違いないでしょうね。
 こうなった以上は、異界の最深部の主を倒して異界を強制浄化する以外に手は無いわ――此処からは、私達のターン!アレを攻略して元凶を討つ!」

「行きます!」

「攻略開始だね。」

「レッツゴー!」

「さぁ、行くぜ?」

「行きましょう。」

「よっしゃ、始めるか!!手加減なしでやってやるぜ!!」



勿論その心算です!!
だから覚悟しておくと良いの!!――フェイトちゃんに放った一言を、絶対に後悔させてあげるから!私と志緒さんのBLAZE魂で焼き尽くしてやるの!
精々覚悟しておきやがれなの、プレシアさんの名を騙る腐れ外道のグリード!!








――――――








Side;アルフ


あの鬼婆は、本気で外道だったって事だろうね。
アレだけ頑張っていたフェイトを、簡単にトカゲの尻尾切り宜しく斬り捨てた――本気で許せるもんじゃないって。

尤も、そう思ってたのはアタシだけじゃなくてアイツ等もだったみたいだけどさ。
だから、アタシもアイツ等と一緒に行くよ――何とも妙なモノになっちまったけど、あそこが時の庭園である以上は、連中よりもアタシの方が良く知ってるだ
ろうからね。

だから、アタシは其処に行くよ。


フェイトも、目が覚めたら、来ておくれ?
きっとそこには、あの鬼婆が敷いたレールよりも楽しい事が待ってるだろうからね!!――必ず攻略して、あの鬼婆を叩きのめしてやる!!



必ず来てくれるって信じてるけど、ちょっとの間はバイバイだね。



でもって覚悟しな鬼婆!!――アンタがフェイトにして来た事の彼是を、100万倍にして返してやろうじゃないか!!
何がドンだけ出て来るか知らないが、何が出て来ても一騎残らず叩きのめしてやる!!


今更謝っても、もう許さないからねぇ?
アタシは、心底ブチ切れてんだプレシア!!アンタだけは、アンタだけは絶対に地獄に叩き落す!!その首洗って、待ってろ!














 To Be Continued…