Side:ユーノ


なのはと志緒さん達は、如何やら異界に行ったみたいだね……まさか、あの水色の子が、異界化を引き起こすとは思って居なかったけど、同時に此れは
プレシアが飛んでも無い事をしていた事の証明にもなるからね……僕に出来る事は可能な限りやってやるさ。



『なんだフェレット擬き、お前は行かなかったのか?』

「行きたいのはやまやまだけど、僕まで異界に出向いちゃったら、誰が現場とアースラの通信を繋ぐのさ?
 本音を言うなら僕も行きたかったけど、現場の状況を考えて、敢えてここに残ったんだよ!そうじゃないと、通信だってままならないからね。」

『其れは……そうか。』



仮にも最年少執務官なんだから、其れくれいは気付いてよ!
兎に角、志緒さんとなのは達が、異界に出向いた以上は、異界を鎮圧するまで取り立てて特別な事は起こらないと思うって言うのが正直なところかな?

あの異質な世界は、迷宮の支配者とも言うべき存在を倒さないと戻って来る事は出来ない訳だからね。
だけど、彼等ならきっとやってくれる――だから、其れを信じて今は待つ……其れが僕達に出来る唯一の事だよ。


でも、何だろう?
ドレだけの相手が待っていたとして、なのはと志緒さんが居れば、大抵如何にかなってしまう気がするのは?……あの2人は、本気で規格外なんだね。

だからこそ頼もしいって言えるんだよ。

なのはは当然として、志緒さんも、相当に高い戦闘の力を有している訳だからね――きっと異界からは、殆ど無傷で戻ってくるのは間違いない筈さ!!











リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE32
『Believe It~異界の主を倒せ~』












Side:志緒


さてと、魔女になり果てちまった、青ガキと交戦中なんだが……コイツは、並のエルダーグリードのレベルじゃねぇ!如何考えても一筋縄じゃ行かねぇな。
巨大化した上に、魔力も、耐久力も、そして素早さも強化されてるだろうからな。

上等だぜ――そう言う事なら、トコトンやってやらぁ!!

「どぉぉぉりゃぁぁぁ!!イグニスブレイク!!

「喰らいやがれ!ラウンドエッジ!!



動きは見えなくとも、前の動作から予測してカウンターってのは王道だからな……さっきのなのはとの戦闘を見てたお蔭で、ある程度の予測も付くしな。
オラ、其処だぁ!!



――シュン!!



「えぇぇ!?消えたぁ!?」

「そんな、動きが素早い上に、瞬間移動まで使えるなんて、チートバグも大概の性能でしょ其れ!?どうやって攻撃しろって言うのさ!!」

『アハハハハハハハハハハハハハハ!!!!』



――ドゴォォォン!!



おまけに、攻撃力も相当高いと来たもんだ。
なのはの防護服の防御力は相当高いし、俺と郁島はそもそも頑丈に出来てるから大丈夫だろうが、四宮や玖我山は喰らったらヤバいかも知れねぇな?



「くっそ、攻撃力と素早さが高くて、瞬間移動まで出来るとか、インチキ効果の重ね掛けも大概にしろってんだ!やる事がキタねぇぜ!!」

「時坂君?」

「気持ちは分かりますが、如何したんです?」

「あ……いや、なんとなく言っとかなきゃいけないような気がして。」



……良く分からねぇが、何れにしても此のまま続けたら、こっちがジリ貧になっちまうのは否めねぇから、なんとかしなきゃならねぇが、如何したモンだ?
っと、来やがったか!!オォォラァァァアア!!



――シュン



また消えやがったか!ちぃ、ウゼェな。



「どぉぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

『!?』



って、犬っころ!?
アイツ………瞬間移動先に先回りして、攻撃をブチ当てやがった!!移動先を予測しやがったってのか!?――だとしたらトンでもねぇが………



「バケモンになってもフェイトはフェイトだ、その匂いは変わらない。
 アタシは狼だから、アンタ達よりも鼻はずっと利くんだ!例え瞬間移動しようとも、匂いを追えば何処に出るかは分かるさ!――流石に、瞬間移動中の
 匂いを追うのは難しかったけどね。
 それに、いくら瞬間移動でも、移動パターンそのものは、何時ものフェイトの光速ヒット&アウェイと変わらない。相手から離れるか、背後を取るかの二
 択……ずっと一緒に練習して来たから、パターンは大体覚えてるんだ!
 ――尤も、其れがこんな形で役に立つとは思わなかったけどね。」

「成程、そう言う事か。」

だが、コイツは嬉しい効果だな?
犬っころの……アルフなら瞬間移動先が分かるってこったから、コイツに移動先を読んでもらって、移動先に特大の攻撃ブチかませば何とかなんだろ!
攻撃ナビ、任せんぜアルフ!



「あぁ、任せな!!って、名前……」

「ハッ!お前はもう、俺等の仲間だろうが!
 その仲間を、何時までも『犬っころ』呼ばわりってのは、流石によくねぇからな。」

「仲間……?」

「私達はフェイトちゃんを助けて、そして異界を鎮圧したい、アルフさんはフェイトちゃんを助けたい……目的は一緒なんです!だったら仲間なんです!
 例え、一時敵対してたとしても、目的が同じなら仲間になれるんです!」

「そうだぜ?俺達X.R.Cだって、同じ目的を持った仲間な訳だからな。」



そう言うこった!
其れに、コイツをぶっ倒して、青ガキを救うには、お前の力が絶対必要になるからな!!頼りにしてるぜ!!



「なら任せときな!フェイトを救う為にも、フェイトの匂いは逃がさない!全神経集中して、瞬間移動先を嗅ぎ分けてやろうじゃないさ!!」



おう、頼むぜ!
そして、もう少しだけ待ってな青ガキ……必ず助け出してやるからよ!!








――――――








No Side


其処からは、一気に状況が逆転した。
今までは、光速移動からの攻撃に合わせてカウンターを放つしかなく、そのカウンターすらも瞬間移動で避けられていたのだが、アルフが匂いを追えるよ
うになってからは、逆に瞬間移動の移動先への攻撃を放つ事で、雷神の襲撃者にダメージを与える事が出来るようになったのだ。


「今度の移動先は、洸の背後だよ!」

「OK!それ、ブリリアントレイ!!


更に、カウンターを近接型の志緒、洸、空が行い、瞬間移動先への攻撃を、射撃型のなのは、明日香、璃音、美月、祐騎が担当する事で、無駄のない攻
撃が行えていた。


「今度は志緒の背後!」

「後ろから攻撃か……甘いんだよ!イグニスブレイク!!

ディバインバスター!!


更に志緒は、自分の背後に現れた場合に限り、カウンターで放った攻撃にキャンセルを掛けたかのごとき超反応で、雷神の襲撃者を攻撃!!
おまけに、なのはの破壊力抜群の直射砲が叩き込まれるのだから、如何に強力なエルダーグリードである雷神の襲撃者であっても堪らないだろう。



『カァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!』



しかし、其れでも相手は3A級と言う難敵であり、そう簡単には倒せはしない。
それどころか、吹き飛ばされながらも無数の雷球を作り出し、なのは達目掛けて一斉掃射!此の物量を全て避けるのは、恐らく不可能だろう。

が――


「どぉぉぉりゃぁあ!!フレアスラッシュ!!!


――バガァァアァァァァァァァァァァァァァン!!


有ろう事か、志緒が射撃スキル『フレアスラッシュ』で、その雷球を全て相殺!X.R.C最強の攻撃力を誇る『杜宮最強の不良』は、3A級エルダーグリードを
も凌駕するパワーを有しているらしい。

そして、雷神の襲撃者も、此れには流石に虚を突かれ、一瞬無防備になってしまう。――其れが命取りだった。


レストリクトロック!

『Restrict Lock.』

チェーンバインド!


その一瞬の隙を逃さず、なのはとアルフが夫々バインドを展開して、雷神の襲撃者の動きを完全に封じ込めたのだ。
如何に3A級のエルダーグリードと言えども、オーバーAの魔導師2人によるバインドを外すのは容易ではない。このバインドは、特別強固なのだから。

そして、動きの止まった今は最大の好機だ。


「志緒さん!!」

「思いっきりブチかませぇ!!!」

「オウよ!!時坂ぁぁぁ!!!」

「あぁ!行くぜ!!」

「「クロスドライブ!!」」


志緒と洸がクロスドライブを発動し、能力を底上げした状態で一気に畳み掛ける!X.R.Cの部長と、最強先輩のコンビネーションは、最強無双なのだ!!


「一気に行くぞ!どぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


――ズバ!ズバ!ズバァァァァァ!!


「頼んだぜ?」

「助太刀するぜ!おぉぉぉりゃぁぁあぁぁっぁぁぁぁあぁ!!」


先ずは志緒が斬り付ければ、其れに続くように、洸が連結刃での見事な剣舞を披露して、雷神の襲撃者を斬りつけて行く。


クリムゾン……レイドォォォォォォォォォォォォォ!!

エクステンド・ギア!!!



そのコンビネーションの締めは、志緒と洸の超必殺技による合体攻撃!
落下速度に、志緒の体重とソウルデヴァイスの重量が加わった重撃に、巨大化させたレイジングギアの一撃をブチかまされては、雷神の襲撃者でもタダ
では済まない。

その証拠に、膝を着いて動かなくなってしまったのだから。








――――――








Side:なのは


此れは……終わったかな?
少なくとも、今の志緒さんと洸さんのコンビネーションは途轍もないダメージを与えた筈だけど……此れで動けるなら、エルダーグリードは本当に化け物だ
としか言いようがないの。



『ウアァァァァアッァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!』



!!倒しきれてない!!フェイトちゃんにも戻ってないし!!
アレでも倒せないなんて、一体如何すれば……!!


「……此処は、アタシに任せて。」

「璃音さん?」

「おい、璃音!お前、まさか……」

「大丈夫、きっと上手く行くから。」



璃音さん、ソウルデヴァイスを解除してフェイトちゃんの前に……何をする心算なんですか!?



「君は良く頑張ったよ――其れこそ頑張り過ぎたくらいに。
 だけどもう、頑張らなくて良いんだよ……頑張らなくて良いよ――だって君は、こんな風になっちゃうまで頑張ったんだから、もう頑張る必要はないよ。
 大丈夫、後は私達で何とかするから、だから今はゆっくりお休み。
 La La~lalalalalalala La La~lalalalalalala lala lalalalalala lalalalala lalala lalalalalala~~~~……」



此れは……子守歌?
どこか懐かしくて、そして安心できる歌――心が、落ち着いてくる感じすら受けるの。


『………』


――フィィィィィィィィィィン……パシュン!!



「あ………」

「フェイトちゃん!!」

「フェイトォ!!!」




そして、その歌声を聞いたフェイトちゃんは大人しくなり、そしてフェイトちゃんに戻ったの!!――天使を宿してるって言う事だったけど、璃音さんの歌声
は、本当に天使の歌声なんですね。



「私の中の天使は、消えてない――私の中に居た熾天使の残滓は、まだ私の中に有るからね……この力も、もっと使いこなせるようにならないとだね♪
 でも、熾天使すら沈黙させたからと思ってやってみたけど、バッチリ巧く行って良かったよ。」



其れはまた………でも、フェイトちゃんが元に戻った事で――



「異界化が収束、現実世界に戻るわ。」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・



で、異界が収束して現実世界に帰還!ただいまユーノ君!



「おかえり。如何やら上手く行ったみたいだね?」

「うん!フェイトちゃんも助け出す事が出来たから♪」

取り敢えず、アースラに戻ってリンディさんに色々報告しなきゃだよね?――話すべき事は、滅茶苦茶多いような気がするから、早い方が良いだろうし。



――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……



!?
って、何この魔力の高まりは!!私のブレイカーすら凌駕するほどの魔力を感じるよ!?



「此れはまさか、次元跳躍魔法!?」

「あの鬼婆!
 フェイトをバケモンにするだけじゃなく、其れでも負けた場合には、フェイト諸共次元跳躍魔法で消し去る心算だったってのかよ!!ふざけんじゃねぇ!」



そんな!!
そんなのって酷過ぎるよ!フェイトちゃんは、こんなにボロボロになって、グリードになってまで頑張ったのに、そのフェイトちゃんを斬り捨てるなんて!!

そんな事、絶対に――



「認められる訳ねぇだろうが!!オォォォォォォォォォォォォォォォラァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!



ほえ、志緒さん!?
って、フレアスラッシュで、次元跳躍魔法を相殺したぁ!?――ドンだけのパワーなんですか、志緒さんは!!



「あの鬼婆の魔法と撃ち合って相殺って……コイツ、本当に人間なのか?」

「多分、人間の筈よ……色々とトンでもないかも知れないけど、高幡先輩は間違いなく人間よ……人間である筈だから。多分、きっと、Maybe。」

「微妙に自信なさげだな、明日香……」

「まぁ、志緒先輩だからね。」



……本気で凄すぎますよ志緒さん。
だけど、相手の黒幕は絶対に許さない!!フェイトちゃんを……一つの命を、消耗品みたいに使った事は、絶対に許す事の出来ない悪事だからね!!

必ず叩きのめしてあげるから覚悟してると良いよ?――仲間に手を出した輩には手加減するなって言うのが、BLAZEの決まり事だから!!

この落とし前は、キッチリと付けさせて貰うの!!








――――――








Side:プレシア?


ふん……所詮は人形、アレが限界みたいね。
仕留める事は叶わなかったけれど、決定的な一言を放ってやれば、アレは生きる希望を失うでしょうね……だって、そうなるように接して来たんだから。

だからもう要らない――私には貴女だけが居ればいのだからね、アリシア。

貴女を目覚めさせることが出来れば、私の望みは叶う……だから、必ず蘇らせて見せるわ貴女を!!

















――最強クラスのグリムグリードとしてね!!













 To Be Continued…