Side:フェイト


……僕は……此れから如何するべきなんだろう?
あの攻撃はきっと、お母さんから僕へのお仕置きだったんだと思う……じゅえるしーどを回収する事が出来なかった訳なんだから――でもそうなると、残るじゅえ
るしーどはあの子が回収しちゃってるだろうから、僕には何もない。

此れじゃあ僕は、何の為に戦って来たのか分からないじゃないか……!!
僕は如何すればいいの?……ねぇ、僕は如何すればいいのかな?……教えて、教えてよあるふ!!



「残念ながら、アルフはもう居ないのよフェイト。」

「へ?……お母さん?」

如何して此処に?って言うか、あるふが居ないって如何言う事?



「あの子は、あの場で貴女を護れなかった事、そしてジュエルシードを回収できなかった事を悔やんで居たわ。
 そして、何も出来なかった自分ではフェイトの使い魔である資格はないって言って、貴女の許を去ったのよ……ある意味では主人思いとも言えるわね。」



あるふ?……そんな、嘘でしょ!!



「嘘じゃないわ……だけど悲しむ事は無いわよフェイト。
 貴女が、あの白い魔導師を打ち倒し、そして全てのジュエルシードを彼女から奪取すれば、アルフは再び貴女の許に戻って来る……なら、やるべき事は分かっ
 ているでしょう?」

「うん……僕はアイツを打っ倒して、全てのじゅえるしーどを手に入れる!!!そして、あるふを取り戻す!!」

あるふを取り戻す為なら、僕はしゅらにだってなって見せる!!
君に恨みはないけど、あるふを取り戻すためにも、君に勝って全てのじゅえるしーどを手に入れてやるから、覚悟しとけよ、白魔導師ーーーー!!!











リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE28
『急展開、決戦へのトリガー!』












Side:なのは


取り敢えず、ジュエルシードの回収が一段落したって言う事で、リンディさんから『特別休暇』を貰って、久々に海鳴に戻って来たの。
何て言うか、久々の地上の重力は凄く懐かしい感じがするね?……1Gって言うのは、意外に重い物だったんだって、絶賛実感中って言う所なの。



「久々に戻って来たと思ったら、言う事が其れかい!!もっと他に言うべき事が有るでしょうに!!」

「取り敢えずフェイトちゃんが持って居るのを除いて、全てのジュエルシードを回収しました!!
 後は、如何にかしてフェイトちゃんの持ってるジュエルシードを回収するだけ!!だけど、此処まで来たら全力全壊で最後までブッ飛ばしてやる心算だよ!!」

「んな事は聞いてないわよぉぉぉ!!!」

「えと、落ち着いてねアリサちゃん。」

「そうそう、落ち着いてねアリサちゃん♪」

誰のせいで、こうなったと思ってんのよアンタはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!



にゃはは……何て言うか、此のやり取りも、随分と久しぶりな気がするの。実際には、一カ月も経ってないって言うのにね。
え~と、其れじゃあ改めまして、久しぶりだね、アリサちゃん、すずかちゃん。元気にしてた?



「でもってサラッとアンタって子は……えぇ、まぁ元気にしてたわよ?って言うか、アンタが戻って来た時に風邪でも引いてたら、アンタが心配しちゃって、お仕事
 が出来なくなるんじゃないかと思って、体調管理には気をつけてたけどね。」

「私も元気だよ、なのはちゃん♪なのはちゃんは……言うまでもなさそうだね?」

「うん、私も元気一杯だよ!」

とは言っても、フェイトちゃんの集めたジュエルシードの回収とか、フェイトちゃんを攻撃した、謎の存在を如何にかするとか、やる事は一杯あるんだけれどね。
まぁ、その辺も考慮して、リンディさんはお休みをくれたのかもしれないけどね。



「ふ~~~ん?
 何て言うか、思ってた以上に複雑なのね、アンタのお仕事って。そのフェイトって言う子も、色々と事情が有りそうな感じだし……ま、アンタなら大丈夫でしょ。
 って、そうだ!そう言えばこの前、怪我してる不思議な大型犬を保護したのよ!」

「へ?大型犬?」

「そう!車にはねられたのかって位にボロボロで瀕死の状態で、直ぐに病院に運び込んだから何とか一命は取り留めて、今は家で保護してるのよ。
 でも、何て言うか色々と不思議なのよその犬って。
 先ずは毛色が見た事も無いオレンジ色で、犬歯は口を閉じてても見える位に長くて、更に額に宝石みたいなモノが埋まってるのよ。あんな犬見た事ないわ。」



それって……アルフさんじゃないの!?
ねぇ、アリサちゃん、今からその犬に会わせて貰って良いかな?若しかしたらその犬は……アルフさんかも知れないから!!



「はぁ……まさかとは思ったけど、アンタ関係だった訳か……道理で不思議な見てくれな訳だわ。良いわよ、どうせなのはにも見せる心算だったし。
 でも、アンタだけじゃなく、志緒さん達も呼んだ方が良いんじゃない?お仕事関係なら、出来る限り人がいた方が良いと思うしね。
 にしても、アルフってあの犬の名前よね?知り合い?」

「ほえ?アリサちゃんとすずかちゃんも1回会ってると思うんだけど?」

「「え?」」

「海鳴温泉で、行き成り声かけて来たオレンジ色の髪の女の人。アレがアルフさん。
 もっと言うなら、フェイトちゃんの使い魔で、狼をベースにしてて、人の姿と狼の姿を自由自在に使い分けられるみたいなの。
 付け加えとくと、ユーノ君は実は人間で、私達と同い年の男の子でした、マル。」

「「え~~~~~~~~~!?」」



にゃはは……まぁ、驚くよね当然?
でも、如何してアルフさんがそんな状態で?……まさか、フェイトちゃんを攻撃した相手に対して戦いを挑んで、負けた?――だとしたら、あの次元跳躍攻撃をし
てきた相手って言うのは、トンでもなく強いって言う事になるよ。
アルフさんだって、明日香さんと互角に戦えるだけの力を持ってる訳だからね。

取り敢えず、何があったのか、アルフさんに聞かないとだね。



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「オイ、無事か犬っころ!!」

「酷い怪我……」



と言う訳で、取り敢えず手の空いてた志緒さんと空さんを呼んで、アリサちゃん宅に行ったら、大型犬用のケージの中にアルフさんが!!大丈夫ですか!?



あぁ……アンタ達は……



念話?……あ、アリサちゃんが居るからか。
普通に話してくれて大丈夫ですよアルフさん。アリサちゃんは『知って』るから。だから、念話で話さなくても大丈夫です。



「此の子、アンタの友達だったのかい……奇妙な偶然もあるもんだ。」

「マッタクだな……だが、本気で何があった犬っころ?
 テメェは、腕力なら郁島と、魔力なら柊とタメ張れるレベルだ……だってのに、こうもボロボロになっちまうとは、一体どれだけの奴と戦ったって言うんだオイ?」

「其れは……」



教えて下さいアルフさん!
其れに、アルフさんがこんな状態であるって言う事は、フェイトちゃんは今1人なんですよ?それじゃあ、フェイトちゃんに何があるか分からない!!其れこそ、あ
の時攻撃してきた誰かに、如何にかされちゃうかもしれない!!
だから、教えて下さいアルフさん!!



「……だね。――分かった、全部話すよ。どうせ、管理局の連中とも回線が繋がってるんだろ?」

「えと……其れは、はい。」

「良いよ。寧ろ好都合さ。
 私の知ってる全ての事をアンタ等に話すよ……その代わりって言う訳じゃないけど、フェイトを助けておくれ!此のままじゃ、フェイトは本当に壊れちゃうから!」



アルフさん……うん、勿論です!!
必ずフェイトちゃんの事を助け出して見せます!!何よりも、私はフェイトちゃんとお友達になりたいから!!



「アンタ!!……ったく、底無しのお人好しだねアンタって。アンタになら、フェイトの事をお願いできるよ。」



任せて下さい!!
きっと、多分、恐らくフェイトちゃんとは直接対決する事になると思うけど、その戦いを制して全てのジュエルシードを回収し、その上でフェイトちゃんを助けるから!








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Side:志緒


クソッ垂れが……胸糞悪いなんてもんじゃねぇぜコイツは。
あの後、あの犬っころから事情を聞かせて貰ったが、あの青髪のガキを攻撃したのが、実の母親だったとは、冗談もほどほどにしろってモンだ……如何考えたっ
て有り得ねぇだろ!?実の親が、テメェの娘にガチの攻撃するなんざ!!

それこそ、テメェの子供の首を絞めて殺しちまうような、ぶっ壊れた精神してる様な奴じゃなきゃ、あんな事が出来る筈がねぇ。

「そんで、青髪のガキの後ろに居る黒幕の事は分かったか執務官?」

「あぁ……まさか、こんな大物が出て来るとは思わなかったけれどな。」



んでもって、犬っころの話を聞いた俺達は、アースラに緊急集合してた。ま、当然のこったな。
そんで執務官、黒幕ってのは何処のドイツだ?テメェの娘を攻撃するような、稀代の外道は?ソイツの事は、俺が直々に叩きのめしてやんぜ!手加減抜きで!



「その気持ちは分かるが、落ち着いてくれ。
 彼女――アルフの証言を元に、管理局のデータベースを調べた結果、今回のジュエルシードを巡る一件に於いて、フェイト・テスタロッサの背後に居るのは、嘗
 てミッドチルダで『大魔導師』と呼ばれた『プレシア・テスタロッサ』である事は略間違いないだろう。」

「プレシア・テスタロッサ……それが、腐れ外道の名前か。」

「あぁ、彼女は元は管理局の研究員であり、同時に管理局屈指の魔導師でもあったんだが、16年前に起きた、最悪の魔導事故である『ヒュードラの暴走』事件
 以降は、その行方を眩ませていたんだ。
 それが、今こうしてジュエルシードを集めているとは……言い様のない不気味さを感じてしまうな。」



16年前に行方不明になった奴が、今更動き出したってのは、確かに不気味だな?もっと言うなら、何の為にジュエルシードを集めてるのか分からねぇのも、不
気味なもんだぜ……そんだけの力を持ってる奴が、ジュエルシードにどんな願いを託すのかなんぞ、想像がつかねぇからな。





「彼女には、ジュエルシードに託す願いは無い。必要なのは、ジュエルシードが内包している魔力よ。」





なに?……つーか誰だ?リンディ提督の声じゃねぇが……

「テメェは!!」

「プレシア・テスタロッサ!!」



黒幕が何だってこんな所に居やがる!!――まさかとは思うが、管理局を全滅させる心算で乗り込んで来やがったのか?
だとしたら、笑えねぇ……此処は、やるしかねぇだろ執務官?



「あぁ、そうだな。
 どうして彼女が艦内に居るのかは分からないが、危険分子をミスミス放置する理由もない――全力で、アレを制圧するだけだ!!」

「そう来なくちゃな……全力で――」



「はい、ちょっと待って!!!」



行こうと思ったら、リンディ提督――何の用だオイ?コイツをブッ飛ばす予定だったんだんだが……



「ダメ。彼女を攻撃しないで!
 彼女はプレシア・テスタロッサだけど、今回の黒幕のプレシア・テスタロッサとは違うから。双子かと思う位に似てるけど、全然違うから!!」



はぁ?如何言うこったそりゃ?――どうにも、更に面倒な事が起きちまったかもしれねぇなコイツはよ。



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んで、話を聞いてみると、コイツはプレシア・テスタロッサ本人であり、リンディ提督の親友って事も明らかになったんだが……だとしたら、あの青髪のガキの黒幕
であるプレシア・テスタロッサは、一体何者だってんだ?



「其れを説明するには、16年前に起きたヒュードラの暴走事故を語らないとならないわ。」

「ヒュードラの暴走事故……其れって何だったんですか?」

「16年前、私は管理局の局員として、次世代のエネルギーシステムを研究していて、長い研究の末に、半永久機関とも言えるエネルギーシステムを見つけた。
 核融合と核分裂を同じ場所で同時に行う事で、尽きる事のないエネルギーを生み出す永久機関、其れがヒュードラだったのよ。
 だけど、実験は失敗してヒュードラは暴走し、その魔力暴走に巻き込まれて私は瀕死の重傷を負った……其れこそ、死んでもオカシクない程のね。
 或は、死んでしまった方が良かったのかもしれないわ……そうすれば、今回のような事は起きなかったかも知れないのだから。」



死んじまったほうが良かっただと?……ソイツは流石に聞き捨てならねぇな?
命は、何にだって一つだろうが!!其れを軽々しく捨てちまうようなセリフは、流石に看破できねぇぜプレシアさんよ?一体何があったんだ、16年前に。



「ヒュードラの暴走に巻き込まれた私は瀕死の重傷を負ったけど一命をとりとめる事が出来た……だけど、私の娘であるアリシアは死んでしまった。
 其れを知った私は、半狂乱になったわ。如何して、アリシアが死ななければならない!こんなのは嘘だってね。
 ――でも其れが、ヒュードラの暴走で発生した異界の主にとっては絶好の物だったのよ。――私の中の負の感情は、其れと融合して身体と人格を得たのよ。」

「何だと!?」

って事は、まさか、青髪のガキの黒幕は――!!



「えぇ、プレシア・テスタロッサと言う人間の負の感情を被った、途轍もなく強い力を有した『エルダーグリード』よ。」



やっぱりそう来やがったか……本気で冗談じゃねぇなコイツは。
最悪の場合は、エルダーグリードどころか、更に強い力を持った『グリムグリード』で有る可能性も考えておかないとだぜ……ったく、総じて、ラスボスってのは一
筋縄じゃ行かねぇみたいだ。


上等だぜクソッ垂れが。
テメェ如きの器で、俺達を止める事が出来るなら止めてみな!!俺達は、其れを超えて行くからな!








――――――








Side:フェイト


如何やら僕は、あの白魔導師と戦う運命にあるみたいだね、如何してそうなったのか、聞き正したい所だけどね。
だけど、運命なんて幾らでも変えられるんだ!!だから僕は、例え無様だと言われても空を飛ぶ!!全てはお母さんの為に!!!そして、僕の為にもね!!


だから、もう少しだけ待ってお母さん?



「そうね……少しぐらいは待ってあげるわ、貴方の仕事が、終わるその時まではね。」



残るジュエルシードは、白い子と金髪の大男が持ってるに違いない!――だったらやる事は簡単だ、ジュエルシード全賭けの勝負を吹っかけてやれば良い!!
そうすれば、全部集める事は可能だからね。
まぁ、そうなると、あの白い子とのファイナルラウンド――何としても勝たなきゃならない……いや、勝たなきゃじゃない、勝つんだ!!

僕はもう絶対に退く事はできないんだから!!


残すは君だけだ……最終決戦の地で、ぶつけ合おう、僕達の全力全開を!!


負けないぞ白魔導師!!最後に勝つのは、この僕、フェイト・テスタロッサだ!!それでも僕に勝つ心算で居るなら、掛かってこーい!纏めて相手にしてやる!



ならまずは、かんりきょくに果たしじょーを叩きつけてやるだけだ!!その上で、あの白魔導師を叩きのめして全部のジュエルシードを回収する!!


やる事は簡単だ!僕は僕のやる事をすれば良いんだ、此れまでも、そして此れからも――その先に、どんな結末が待っているとしても、僕は進むだけだ!!
この直接対決は、此れだけは絶対に勝たないと!

でも其れとは別に、あの子が僕と友達になりたいって言っていた事は気になるな……まぁ、そっちは終わってから考えれば良いか!!



――さぁ、いっくぞ~~!!












 To Be Continued…