Side:アルフ
今の次元跳躍魔法……こんな事が出来るのは、世界広しと言えどもアイツしか居ない!!
あんの野郎、フェイトが劣勢と見るや否や斬り捨てやがったな……此の糞婆!!――今の今までは、フェイトの願いもあって我慢して来たけど、もう我慢も限界
だ!てか、限界突破だ!!
フェイトは気絶しちゃったけど、白ガキ共が行き成り消えたと思ったら、4個のジュエルシードが其処に有ったから、此れは貰っておくとして……アンタの事は絶対
にブッ飛ばすよ、プレシア・テスタロッサ!!!
アンタが何の為にジュエルシードを集めてるのかとかは、アタシにとっては如何でも良い事だ。
其れ以前に、フェイトが居なかったら、アンタに従う気なんて毛頭なかったよ――アンタの事は、一目見たその時から気に入らなかったからねぇ!!
何よりも、フェイトをまるで道具の様に扱ってる事が、ムカつくんだ!!
フェイトはアンタの為にこんなに頑張ってるって言うのに、其れを褒めずに叱責ばかりしやがって……挙げ句に、次元跳躍魔法でフェイトを攻撃って、ふざけるのも
大概にしろよ!!
あの白ガキを撃つなら兎も角、何でフェイトが撃たれなきゃならないのさ!!納得できないよ!!
「フェイト……アンタには悪いけど、アタシはあの鬼婆をブチ倒すよ。
勝てるかどうかは分からないけど、フェイトがこれ以上アイツに尽くす義理なんて無いと思うから……だから、アタシの手でフェイトとアイツの繋がりを断つ!!」
若しかしたら、フェイトは其れを怒るかも知れないけど、アタシは後悔しないよ。
アタシの望むモノは、何時だってフェイトの幸せなんだ……その為だったら、アタシはどんな事でもする。悪魔にだって魂を売り渡してやるさ。
「兎に角、今はアイツを打っ飛ばす一択だ。」
不幸中の幸いって言うか、時空管理局の艦も、鬼婆の一撃で何らかのトラブルが起きたみたいだから、追跡される前に離脱させて貰うさね。
取り敢えずまぁ、覚悟しときなプレシア?アンタが此れまでにフェイトにして来た事を、倍にして、更に熨斗付けて返してやるからさ!!
リリカルなのは×東亰ザナドゥ 不屈の心と魂の焔 BLAZE26
『複雑に絡み合う思惑と目的』
――異界迷宮:雷鳴の回廊
Side:志緒
全く持って予想外だったが、あそこで異界化が起きるとはな…しかも、現れたゲートは赤色だったから、最深部には強力なエルダーグリードが居るに違いねぇ。
アースラに待機中の時坂達は、恐らくリンディ提督の判断で出撃はさせてもらえねぇだろうから、此の異界は俺達の力だけで攻略しねぇとならない訳だ。
となると、俺以外で戦力になるのは、なのはと――
『私も力を貸すわ。』
謎の黒衣の魔導師か。
まぁ、助太刀は有り難ぇんだが、アンタはソウルデバイスかそれに準ずるモンを持ってんのか?迷宮をうろついてるグリード共に、物理攻撃は通用しないぜ?
『其れに付いては心配無用よ……来なさい『アルテミスロッド』!』
コイツは……身の丈並の魔法の杖って所か?
北都のミスティックノードに似てるが、秘めた力はこっちの方が遥かに上って所だな……本気で、何者なんだろうな、この黒衣の魔導師ってやつは――まぁ、今
の状況に於いて、強い奴が味方に居るってのは頼もしい限りだけどよ。
寧ろ、戦力的には充分だぜ。
ソウルデバイスが無いから、ユーノは戦闘には参加できないが、それでもお前さんの防御魔法はスゲェからな?いざという時は頼りにしてんぜユーノ?
「お願いね、ユーノ君♪」
「は、はい!頑張ります!!」
良い返事だ。
なら始めるとしようぜ、異界迷宮の攻略を、全力全壊ってやつでな!!
――――――
Side:璃音
なのはちゃん達が消えた……うぅん、異界のゲートに巻き込まれた!!!まさか、イクリプスが発生するなんて思ってなかったわよ流石に!!
しかも、あのゲートの色は赤だから、中には強力なエルダーグリードが居る筈。って言うか間違いなく居る。アタシの中にある『天使』が其れを教えてくれてる。
洸君!!
「オウよ!行くぜ璃音!明日香と祐騎と空も行こうぜ!!」
「はい、勿論です洸先輩!!」
「ん~~~……志緒先輩となのはだったら、別に僕達が助太刀に行く必要もないと思うけどね~~~?
てか、あの2人を相手にしたら、エルダーグリードも逃げ出すんじゃないの?グリードに、危機的状況を察知して戦略的撤退を選ぶ事が出来るなら、だけどね。」
「生物的な本能は備わっているでしょうけど、果たして其れは如何かしらね。
でも、一度落ち着いて皆――志緒先輩となのはちゃんとは違って、私達は自由に動く事は出来ないって言うのを忘れないで。
あの2人と違って、私達はアースラの指揮下に入っているから、リンディ提督の許可及び指示がなければ出撃する事は出来ないわ。」
其れはそうだけど……リンディさん!!
「……現状での出撃は許可できません。
先程の次元跳躍魔法の影響で、アースラの幾つかの機能がダウンしてしまった事、現場の魔力が不安定で何が起きるか分からない事……これらの事を総合
的に判断すると、彼方達を出撃させる事は出来ないわ。
――ですが、異界化の影響が拡大する可能性も否定できないので、万が一の場合に備えて、何時でも出撃できるように準備をしておいて下さい。」
「リンディさん………~~~~~~了解ッス。」
洸君……やっぱり、こんな状況なのに何も出来ないって言うのは歯痒いよね。
って、ちょっと待って?今リンディさんは『異界化』って言った?……何でその言葉を知ってるの?明日香、異界に付いてリンディさんに、何か話したりした訳?
「していないわよ?なのに異界化の事を知っていると言う事は……リンディ提督、貴女は――」
「適格者ではないわ。ただ、16年前に起きた『ある事故』の際に、そう言う事が有るのだと言う事を知ってしまっただけよ。――友人が巻き込まれた事故でね。
その時は、私も異界化に巻き込まれて、九死に一生を得たから、アレの恐ろしさと危険性は良く分かっているわ。」
「だったら!!」
「だからこそ、彼方達には此処で待機して居て貰いたいの。
最悪の結果でしかないけど、此方からのバックアップが行えない状態で、彼方達を出撃させて、万が一にも全滅なんて言う事になったら、其れこそ詰みだわ。
彼方達の気持ちは分からなくないけれど……でも、志緒さんとなのはちゃんとユーノ君は、きっと大丈夫よ。」
色々考えてたんだねリンディさんも。
でも、何だって志緒先輩となのはちゃんとユーノ君が大丈夫だって言えるの?確かに志緒先輩もなのはちゃんもとっても強いし、ユーノ君の結界はメッチャ堅い
から、あの3人だったら戦力バランスとしても申し分ないけど。
「一緒に異界に捕らわれた黒衣の魔導師……アレが、私の予想通りの人物だとしたら、其れは間違いなく最強の存在だからかしらね?
もしも黒衣の魔導師が彼女なら、どんな相手であっても敵にはなり得ないわ……なんせ、彼女は『次元世界最強の魔女』と謳われた魔導師なんですから。」
何それ凄い。
でも、それでもやっぱり……
「……そう言う事なら、仕方ねぇか。変にゴネても、リンディさんを困らせるだけだしな。
それに、祐騎も言ってたが、志緒先輩となのはちゃんのコンビなら、S級のグリムグリードでも出て来ない限りは負ける事なんて無いだろうし、あの黒尽くめが
リンディさんの予想通りの人だとしたら、更に負ける可能性は低いだろうからな。」
「洸君!」
「だから、今は信じて待とうぜ?其れも仲間の大事な役目だからな。」
ななな、何でそう言うセリフをアッサリ吐く事が出来るかな洸君は~~!?って言うか『だろ?』って感じのその笑顔はマジでヤバイ!!本気でカッコ良すぎる!
この局面で、こんな事をサラッとやる洸君は、ヤッパリ侮れないわね。ユウ君が何時ぞや『洸先輩は、無自覚の女誑しで人誑し』って言ってたのが納得だわ。
はぁ………此れじゃあ、益々好きになっちゃうよ。
と、取り敢えず其れは其れとしておいて……無事で居て、志緒先輩、なのはちゃん、ユーノ君!!
「……艦長、異界化とは何でしょうか?僕も初めて聞いたのですが……」
「ん~~~……説明は難しいわね。明日香さんの方が詳しいんじゃないかしら?
だけどクロノ、異界化については、管理局でも知る人間は、私とレティを含めても10人にも満たない極秘事項だから、聞くのならば相応の覚悟をしなさいよ?」
「……了解しました。」
で、どうやら管理局内でも、異界に関する事は最重要シークレットな情報みたいね?
この世界での異界が如何認識されてるのかは気になるけど、其れは志緒先輩達が戻って来てから、じっくりと聞かせて貰う事にしまっしょい!!
――――――
Side:なのは
自分で言うのも如何かと思うけど、最強の布陣て言うのはきっとこう言うのを言うんだろうね。
「どぉぉぉぉぉりゃぁ!!邪魔だぁ!!!散ぃれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
『邪魔よ……サンダーレイジ!!』
「ディバインバスター!!!!」
志緒さんの斬撃がグリードを斬り裂き、黒衣の魔導師さんの攻撃がグリードを無差別に攻撃し、私の砲撃が射線上のグリードを一掃するって言う、此の布陣は。
攻撃面でも最強レベルだけど、防御面ではユーノ君が的確に防御魔法を張ったり、結界でグリードの動きを制限してくれてるから大助かりなの。
まぁ、その状況下でも、グリードの撃破数は志緒さんがダントツなんだけどね……本気で志緒さんは人間なのか怪しくなって来たの。
「邪魔だっつてんだろうが……大人しく吹き飛べや!!」
――ガシィ!!ドガァ!!バガァァァァァァァァッァァァァァァァァァァァアァァァァァアッァアァァァァァアァァァァン!!!
うっわ~~……中型の人型グリードの頭を掴んだかと思ったら、其のまま地面に叩き付けて、更には炎を浴びせて爆発させちゃったよ……これじゃあグリードだ
って一溜まりもないの。
って言うか、何時の間に覚えたんですか『琴月・陰』!!
「何となくだ。この攻撃方法は有効だと思ったからよ……だが、如何やら今ので最後らしいぜ?」
『如何やらそうみたいね……此処が此の異界の最深部であるのは間違いないみたいだわ。』
へえぇ!?………と言う事は、待ち受けるのはボス戦!!確り気を引き締めなきゃ!!
「……来るぜ!!!」
――ギュル……ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!
『キシャァァァァァァァァァァァァアァァッァァァァァアッァァァァァァ!!!』
――エルダーグリード:アストラルウィドウ
此れは……物凄くでっかい蜘蛛ぉ!?まるで怪獣映画を見てるみたいなの!!
「コイツは……確か周囲の柱から力を得て強くなるグリードだったか?
だが、逆に言うなら、柱からの力が得られなければ、只の雑魚って事でもあるからな……なのはと黒尽くめは、柱を破壊してくれ。コイツは俺が引き受ける!」
志緒さん……分かりました、お願いします!!
「任せときな!!
かかって来やがれ蜘蛛野郎……テメェ如きが、俺の魂を、永遠に消える事のねぇBLAZE魂を喰らう事が出来ると思ってんならな!!」
『ギシャァァァァァァァァッァアッァ!!!』
そうして始まった戦闘だけど、此れは完全に志緒さんが圧倒していたね。
私と黒衣の魔導師さんが、巨大蜘蛛に力を与える事になる柱を徹底的に破壊して、強化をさせなかったのも有るけど、あの巨体と互角に渡り合うって凄すぎ!!
って言うか、その巨体にケンカキックを炸裂させるのは良いとして、其処から高速ブレーンバスターで投げ飛ばすとか、ドンだけの力なんですか志緒さん!!
「ちぃ……失敗したな?垂直落下の方がダメージデカかったか。」
「気にする所は其処じゃない!?」
「だがまぁ、これでお終いだろ?
お前は確かに強いんだろうが、幾ら何でも相手が悪すぎたな?今度生まれ変わったら、喧嘩を売る相手は見極められるように成っときな。長生きの秘訣だ。
ともあれ、テメェは此処で終わりだ!どぉぉぉぉりゃぁぁぁぁ!!!クリムゾンレイドォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!」
――ドッガァァァァァァッァァァァァッァァァァァッァァァン!!!
で、放たれたのは志緒さんの最強超必殺技『クリムゾンレイド』……蜘蛛のエルダーグリードが、炎属性最強攻撃を喰らったら、即死確定だねうん。
『ギヤァァァァッァァアァァァァッァァアァッァァァァアァァァァァアァァァァァァ!!!』
そして勿論、予想通りに蜘蛛のエルダーグリードは消滅。
其れと同時に、異界も崩れ始めた………これで戻れるんだね、元の世界に――取り敢えず、リンディさんに、色々と報告しなくちゃだね。
――――――
Side:アルフ
フェイトはまだ目を覚まさない……其れだけ、あの攻撃が凄かったって事だ。
アタシに出来るだけの治癒を施したから、死んじゃうことは無いだろうけど………此処まで頑張ってきたフェイトを撃ちやがった、あの糞婆は絶対に許さねぇ!!
つーか、許しちゃいけねぇ!!
今まではフェイトのお願いもあって我慢して来たけど、その我慢ももう限界だ!!
若しかしたらフェイトに嫌われるかも知れないし、最悪の場合は使い魔契約を解除されるかもしれないけど…アタシは、あの糞鬼婆をぶっ殺す!フェイトの為に!
アイツが居る限り、フェイトが本当の意味で自由になる事なんで出来ないんだからね!!
無論実力差を考えれば、アタシが勝つ可能性は限りなく低いけど……其れが如何した!!
アタシは狼だ!!
狼は、何よりも仲間を大切にする!其れこそ、仲間を、群れを生き残らせるためなら、自己犠牲も厭わない誇り高い野生の狩人だ!
「フェイト……」
だから行ってくるよフェイト、アンタの望むモノとは違うかもしれないけどさ。
覚悟しとけよ糞鬼婆――プレシア・テスタロッサ!!
フェイトの為にも、アタシはアンタを打っ倒す!!倒せないまでも、無視できない傷を刻み込んでやるから……精々楽しみにしてな!!
フェイトの幸せの為なら、アタシはどんな事だってする!!――此れこそが、私のフェイトに対する誓いであり忠誠の証なんだ!だからこそ絶対に負けられない!
――ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!
だからアタシは、アンタを殺すよプレシア――精々覚悟しておきやがれぇぇぇぇぇぇ!!!
To Be Continued… 
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