Side:志緒


つ~訳で、成り行きな感じがしなくもねぇが、時空管理局とやらと協力体制を敷く事になったから、此れまで以上に気合い入れろよお前等?
やる事は此れまでと変わらねぇが、魔導世界の最高機関と協力体制を敷いた以上は半端な事は出来ねぇからな?……いっその事、俺達の力を、連中に見せつけ
てやろうじゃねぇか!!



「おぉ~~~、良いねぇ志緒先輩!
 スマートな方法じゃないかもだけど、アタシはそう言うのって嫌いじゃないよ?……寧ろウェルカムって感じだしね。」

「ま、良いんじゃないの?
 時空管理局がどんな組織なのかって言うのは、オイオイ調べるとしても、戦力の増強が成されるってのは、有り難いアドバンテージじゃん?
 しかも、志緒先輩となのはとユーノは、管理局の指揮系統には組み込まれないって事だから、場合によっては管理局の命令を無視して動いても、お咎めなしって
 言う状態な訳なんだから、僕達の戦力が増したのは間違いないよ。」



まぁ、其処は柊が掛け合ってくれた結果だけどな。
とは言え、時空管理局との協力体制は悪いもんじゃねぇだろう――それこそ、色んな広い意味でな。


何れにしても、此れは俺達にとってはアドバンテージ以外の何物でもねぇから、もっともっと精進しねぇとな――そうじゃなきゃ、ジュエルシードを集めきる事なんざ
出来ねぇだろうからよ。

些か面倒な部分が有るのは否定しねぇが、コイツは如何にも面白い事になって来やがったみたいだぜ!!



「良いんじゃないの?より上のレベルに挑戦てのは、ゲームではよくある事だからさ。」

「新たな壁を超えるのが、武道の醍醐味とも言えますからね!」



ふ……言うじゃねぇか?――だったら、尚の事立ち止まる事は出来ねぇぜ……俺達X.R.Cの底力を、時空管理局とやらに嫌という程見せつけてやろうじゃねぇか!
精々、俺達の力を見て驚きな!!











リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE24
『説明と言う名の小休止です』












Side:なのは


リンディさん達と協力する事が決定して、それでもって暫くはアースラに『嘱託』って言う形で駐屯する事になって、其れの説明の為にリンディさんは翠屋に来て居
るの――仕事とはいえお疲れ様です。

リンディさんは、魔法の事は伏せた上で、虚実を折りまぜて説明する心算だったみたいなんだけど、私の家族は魔法の事を知ってるって言う事を伝えたら、ストレ
ートに全てを明かす事にしたみたいだね。



「以上の事から、時空管理局――と言うよりも、リンディ・ハラオウン個人として、ジュエルシードの件を解決するには、なのはさんと、志緒さん達の力が必要不可欠
 だと判断しています。
 安全とは言えない任務ですが、此方としても最大限の安全確保はしますので、如何かなのはさん達を事件解決まで、管理局の嘱託魔導師とさせて頂けないでし
 ょうか?」

「……リンディさんの言う事は良く分かったけど、貴女は如何したいのなのは?」



お母さん……うん、そう来るよね当然。
正直な事を言うなら、ジュエルシードの事は、此処で止めたくはないんだ――止めるのは簡単だけど、此処で止めちゃったら絶対に後悔するし、フェイトちゃんともう
一度お話しする機会が永遠に失われちゃうからね。

だから、私はこんな所で止めるなんて言う事はしたくないの!
係わった以上は、最後の最後まで見届けるのが、義務であり礼儀だと思うから!!



「そう……なら、私か言う事は何もないわ。――士郎さんも、其れで良いかしら?」

「父親として、心配が無いと言えば嘘になるけれど、自分の気持ちを固めたなのはは、梃子でも動かないからね……僕からも言う事は何もない。
 言うなれば、自分で決めた事は最後までやり通せって言う位だよ。」



お母さん、お父さん……うん、最後までやり通して見せるよ!!
何よりも私は一人じゃない……志緒さんが居て、璃音さんが居て、そしてX.R.Cの皆さんとお母さん達が居る!!此れだけの味方が居て、負けるなんて有り得ない
事だから、絶対に大丈夫なの!!



「そっか……知らない間に、なのはは大きくなっていたのね。
 ――リンディさん、不肖の娘ですが、如何か宜しくお願いします。」

「任されました、桃子さん。」

「志緒君達も、なのはの事を宜しく頼むよ。君達と一緒なら、より安心できるからね。」

「あぁ、任せといてくれ士郎さん――尤も、なのはも俺達も、無理はしねぇが多少の無茶はしちまうかもしれねぇけどな。」

「まぁ、志緒先輩となのはちゃんが組めば、ぶっちゃけアタシ達って要らないんじゃないかって位の強さだからねぇ?
 前衛志緒先輩、後衛なのはちゃんて、典型的な前衛後衛コンビだけど、物理最強の前衛と魔法最強の後衛って、特化型同士が組み合わさったらヤバいって!」

「志緒先輩は物理攻撃と物理防御、なのはは魔法攻撃と魔法防御が255って所だからね?正直僕は絶対に、この2人を敵にしたくないね。」

「四宮、ソイツは褒め言葉と取っておくぜ……」



にゃはは……志緒さんは兎も角、私ってそこまで凄いのかなぁ?フェイトちゃんには現状で1敗1分けだし。
負けっぱなしって言うのは悔しいから、ちゃんとキッチリ一度は勝っておかないと満足出来そうにないの!!……まぁ、戦う機会は絶対にあるだろうから、その時に
は勝たせて貰うよ、フェイトちゃん!!

「それじゃあ、お父さん、お母さん、お兄ちゃん、お姉ちゃん………行ってきます!!」

「あぁ、自分の納得いくまでやっておいで、なのは。」

「貴女の目的、其れをちゃんと果たしてきなさい?なのはなら絶対できるって、お母さんは信じてるから。」

「本音を言うなら手伝いたい所だが、魔法が使えない俺では何も出来ないから、せめて皆が無事でいる事を祈っているさ……頑張って来い、なのは、志緒!!」

「行ってらっしゃい――頑張ってね。お姉ちゃん、応援してるから。」



はい!――高町なのは、全力全壊で頑張ってきます!!








――――――








Side:クロノ


彼等がアースラに乗り込んでから、既に3日か……一応魔力ランクと魔導師ランクを暫定的に設定しなくてはならないから、アースラのトレーニングルームで、軽い
模擬戦をして貰い、その記録映像とその戦闘から得たデータに目を通してるんだが……此れは一体何の冗談なんだ?



「クロノ君、此れってこの間の?」

「あぁ、模擬戦の映像と、その時に測定されたデータだが、マッタク持って信じられないような物だ。
 高町なのはと玖我山璃音の2名に関しては、暫定で魔力ランクがAAA+で、魔導師ランクはAA+と言ったところだし、柊明日香と北斗美月と四宮祐騎は魔力ラン
 クが暫定AA+で魔導師ランクもAA+、時坂洸と郁島空は、魔力ランクはB+と言う所だけど、魔力を使わない物理攻撃の強さを加味して魔導師ランクはAA+だ。
 そして何よりも異質なのが、彼だ。」

「えっと……高幡志緒君だっけか?」



あぁ、そうだ。
彼は魔力ランクだけならばCクラス程度なんだが、物理攻撃の強さと、身体の頑丈さが異常すぎるんだ――其れこそ、其れを加味して総合的に判断したら、魔導師
ランクがSになってしまう位だからな。

低い魔力を補て有り余る腕力って言うのは、恐ろしい事この上ない……彼が本気を出したら、素手の拳で鉄製の鎧を砕くんじゃないかって思ってしまう位だよ。
無論、此れだけの戦力が此方に付いてくれると言うのは有り難いんだが――逆に言うなら、敵対関係になっていた時の事を考えると、正直背筋が寒くなる思いだ
よエイミィ……艦長の判断は英断だったよ。



「確かに此れはスッゴいね~~?
 なのはちゃんのレイジングハートの記録映像の、青髪の子も凄かったけど、潜在能力はなのはちゃんの方が断然上だし、この志緒って言う人の攻撃力って言う
 のは、普通にトンでもないと思うよ。
 って言うか、模擬戦の映像を見ると、明らかに何発か攻撃が当たっているのに、全然ダメージ受けてないみたいなんですけど!?」

「其れだけ頑丈って言う事らしい、本人によるとな。」

「最大レベルに設定された訓練用デコイの攻撃を受けて無傷とか、頑丈で済むレベルじゃないと思うんだけど、その辺クロノ君は如何考えてるの!?」



僕としても、目を疑うレベルの事だが、目の前で起きた事だけに否定は出来ないさ。

戦闘技術を見る限りは力任せの粗っぽさが目立つが、彼のパワーは其れを補って有り余るほどのモノが有るし、何よりも彼からは『仲間の為に、率先して矢面に
立つ』気概が見えるからな……其れが、能力を底上げしているのかもしれない。



「本当に凄いわよねぇなのはさん達って……本気で、管理局にスカウトしたい位だわ。」

「艦長……」

確かに、なのは達の様な優良物件は、管理局としては何としても押さえておきたい所ですが、其れは多分無理でしょう。
なのは達は、管理局と言う器で縛れる存在じゃない……寧ろ、自由な戦力として存在しているからこそ、その力が最大に発揮されるのでしょうからね――無論、彼
女達の方から、管理局に入局したいと言って来た場合には、喜んで入局を勧めるけれど。

とは言え、此れだけの戦力が集ったんだから、ジュエルシードの回収は、僕の予想以上に進みそうだ――尤も、あの青髪の子の持つジュエルシードも回収しない
とならないけれどね。

しかし、あの青髪の子は、何でジュエルシードを集めているんだ?
なのは達は、フェレット擬きに協力して、海鳴にばら撒かれたジュエルシードを封印して回収していた訳だから、集める理由が納得できるんだが、青髪の方はジュ
エルシードを集める理由が分からない……何か、目的があるんだろうが――



「其れについてはオイオイ調べて行きましょう。
 地道な作業ではあるけれど、得られた情報から可能な限り調べて行けば、何れは正解に大当たり!――でしょう?」

「……確かに、その通りですね艦長。」

ジュエルシードの探索と同時進行で、彼女の事を調べてみます――若しかしたら、大当たり以上の結果を出す事が出来るかも知れませんからね……何よりも、今
回の一件に関しては、分からない事が多過ぎるから、調べてみて損は無いでしょうから。



「其れもそうね……なら、其方は任せるわクロノ。」

「了解しました。」

さて、僕は僕の成すべき事をしなくてはな。――自分で選んだ道とは言え、中々に執務官て言うのは忙しいモノだと、初めて実感する事が出来たよ。








――――――








Side:リンディ


クロノもクロノで頑張ってくれてるみたいね?身内贔屓をする心算じゃないんだけど、本当に良く出来た息子だわ――クライドさんに似たのかしらね?あの人も、若
くして提督に上り詰めたくらいの人だから、その血がクロノにも受け継がれているのかもしれないわ。

其れは兎も角として、クロノには悪いけれど、件の青髪の子の名前はなのはさんから教えて貰った――そして、その名を知った瞬間に、全身が雷に打たれたわ。


青髪の子の名は『フェイト・テスタロッサ』――私の友人であったテスタロッサの名を冠していたんですもの。


まさかとは思うけど、アリシアちゃんに酷似したフェイトちゃんにジュエルシードを集めさせているのは貴女なの?――だとしたら幾ら何でも見過ごす事は出来ない!



――ガァァァァァァァァァァァァァァン!!!……メリィ!!



貴女がこんな事をするとは思えないけど、貴女が黒幕である可能性も全く排除する事は出来ないから、正直判断に迷うけれど……私の知ってる貴女だったら、こ
んな事は絶対に有り得ないわ。

如何やら今回の一件は、管理局でも一部の人しか知らない、最悪レベルの『16年前の事故』が無関係ではなさそうだわ。――もしそうだとしたら、彼女が無関係
でいる筈がないですものね。



そうでしょう?










――プレシア・テスタロッサ








――――――








Side:???


どうやら、あの子達と管理局が協力体制を結んだみたいね?……まぁ、此処までは、予定通りだわ。リンディなら、あの子達を自軍の戦力として取り込むであろう
事は予想していたわ――寧ろ、其れをしなかったらリンディじゃないと言っても過言ではないモノ。

でも、これで準備は着実に進んでいるわ……其れこそ、恐ろしい位に順調にね。
――なのはさんと志緒さん達の存在が、其れを後押ししてくれたのは否定しないけれどね。と言うか、否定できないですもの――本気で凄いわ、あの2人は。



「なのはさんは未だ粗削りな魔導師と言う感じですが、志緒さんの力任せの斬撃は怖い以外の何物でもありませんよ?……アレと正面切って剣戟を演じろとか言
 われた日には全力で拒否します!!死ねって言ってるんですか其れは!!」

「本気で戦いたくないのね貴女……」

「ぶっちゃけ、アレと戦う位なら、私は自ら死を選びます!!其れ位に凄いんですよアレは!!!」



○○○に此処まで言わせるとは、志緒君となのはさんの戦闘力は半端なモノじゃないと言う事が良く分かるわ……だからこそ、期待してしまうわね。





私の手では終わらせる事の出来なかった、16年前の悪夢を、彼等ならば吹き飛ばしてくるんじゃないのかってね――私の人生最大の汚点を、今度こそ終わりに
するわ……あらゆる力を駆使してね。


そしてその暁には全てをお終いにするわ――精々覚悟しておきなさい?……貴女の野望もそろそろ終わりの時よ――もう一人の私(プレシア・テスタロッサ)!!
16年前の清算を、ソロソロ済ませるべきでしょうからね……!!













 To Be Continued…