Side:フェイト


譲って貰ったって言う形だけど、じゅえるしーどを手に入れる事は出来たから、此れで5個目だね。あの子達がドレだけ持ってるかは分からないけど、最高でも残り
は15個だから、このちょーしで頑張って集めて行こうねあるふ!!



「まぁ、そうなるだろうね。――だけど、其れよりも前にフェイトの手は大丈夫なのかい?
 フェイトが人並み外れて頑丈な事は知ってるけど、ジュエルシードを素手で封印しようとしたら、トンでもないダメージを受けるのは間違いないだろうから心配だよ。
 あの白い奴が手伝ってくれたとは言え、半端じゃなかっただろうからさ。」



ん?僕の手なら大丈夫だぞ?
ぞの白い子が、封印を手伝いながら、僕に魔力を分けてくれてたから、そのお蔭で僕が負った傷は精々数カ所の裂傷程度で済んでるんだ。

だからこそ、その白い子の傷が気になるんだよね~~~?
恐らく、被っただめーじだけなら、僕よりもあの子の方が大きいと思うんだ……だって、防御に回すべき魔力を、僕にくれた訳なんだからね……考えられないよ……



「はぁ!?アイツそんな事をしてたのかい!?って言うかバカじゃないのか!?
 アタシ達が、ジュエルシードを巡る敵同士なのは分かり切った事なのに、その敵に対して態々魔力を譲渡するとか、ドンだけのお人好しで馬鹿野郎なんだ!?」

「どれだけだろーね?僕には分からない。
 だけど、あの子は絶対に悪い子じゃないから、全てが巧く行って終わったら、友達になれるかも知れないよ。」

でもそれは、何時かの未来の話。
今は、目の前の事を一つずつ解決して行かないと、いずれは行き詰ってげーむおーばーだからな!!僕は今すべき事を、全力でやるだけの事だからね~~~!

残りのじゅえるしーども、僕が全部手に入れてやるもんね!












リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE21
『The purpose is various』












Side:なのは


「ったく、幾ら何でも、ジュエルシードを素手で封印するなんざ無茶も良い所だぜ?
 そのお蔭で封印出来た訳だから結果オーライって言う所なのかも知れないが、あんまり無茶をしてくれんなよ?見てるこっちの心臓にも悪いからな。」

「って言うか、なのはにしてもあの青いのにしても、素手で封印とか何考えてんの?馬鹿なの?死ぬの?」



死にませんよ祐騎さん♪



何とかジュエルシードの暴走体を鎮圧して、そして封印して、其のジュエルシードはフェイトちゃんに渡して、私は只今絶賛両腕の治療中で、レイジングハートも破損
場所を自己修復してる真最中!!



「癒しよ……」

「此れは……傷が治って行くの!!」

その中で、美月さんのヒーリングを受けたんだけど、その効果は覿面なんて言うモノじゃないの!!
表面の傷痕は、完全には消えてないけど、其れも良く見ないと分からないレベルで、傷そのものは完全に塞がってるんだから、ドレだけの効果の治癒魔法なんだ
ろう?……凄いですね美月さん。



「ゾディアックの白の巫女として、此れ位は普通に出来るモノですよ。其れに、戦場に於いて治癒の能力者は絶対に必要になるものですからね♪」

「其れだけの治癒力を持って居る適格者は、ネメシスにも存在して居なかったのだから……美月さんは、回復に関しては世界最強かも知れないわ…割と本気で。」

「確かに、美月先輩は色々と凄すぎるからな。」

「杜宮学園で最も敵に回したくない女子は北都先輩で、敵に回したくない男子は高幡先輩だからね。」

「あらあら、其れは凄い事ですね♪」

「……北都、今のは多分褒められたんじゃねぇと思うぜ?
 てかな四宮、北都は後ろ盾があるから兎も角、俺の事を化け物扱いするんじゃねぇ。腕っ節には自信があるが、それ以外は割と何処にでも居る不良生徒だろ。」

「いや、今時先輩みたいな、義理人情ある不良生徒なんて絶滅危惧種レベルに貴重なんじゃない?」

「俺は、コウノトリやベンガルトラと同じ扱いか!」



にゃはは……まぁ、何時もの流れだよね。
さてと、私の方はもう大丈夫だけど、レイジングハートはドレくらいしたら治るのかな?それに、結構派手に壊れちゃったけど大丈夫だった?



『No problem Master.Restoration will end by tomorrow morning.(問題ありませんマスター。明朝までには修復が終わります。)』

「そっか……良かった。
 ゴメンね、無茶な事しちゃって……でも、ジュエルシードが未だあって、あの子と――フェイトちゃんと戦う事だってるかもしれないから、今日みたいな事が、また有
 るかも知れないの。其れでも、一緒に来てくれるかな?」

『It's of course Master.(勿論です、マスター。)』



うん、ありがとう。



「良い相棒じゃねぇかなのは、背中を任せる……じゃないが、その信頼関係ってのは大事だな。
 まぁ、レイジングハートも明日の朝には治るってんだから大丈夫だろうが、今回の一件で発動する前にジュエルシードを確保したほうが良い事が明白になった訳
 なんだが――ユーノ、発動してないジュエルシードを発見する術ってのは本当にねぇモンなのか?」

「有ればとっくにその方法を使って、僕一人で回収してますよ……。
 例えば、半径10メートル四方に散らばったって言うなら、見つけるのは難しくないかもしれないけど、散らばった場所が広すぎるんですって。
 サーチャーを飛ばして探すにしても、この広い街から残り最大で14個のジュエルシードを全て発動前に発見するなんて言う事は不可能に近いですよ。」



確かに、海鳴全体から14個のジュエルシードを発動する間に見つけるのは困難――正に『九牛の一毛』って言うやつなの。
結局のところ、今まで通りに、発動したら即封印て言うのが、一番確実なんじゃないかと思うんですけど……如何思いますか璃音さん?



「まぁ、其れがベターなんだろうけど、他にも方法は有ると思うんだよね~?って言うか、杜宮学園一の天才少年の存在を忘れちゃいけないって!
 祐騎君だったら、発動してないジュエルシードを発見するアプリは作れなくても、発動しそうなジュエルシードを感知するアプリ位は作れるよねぇ?」

「はぁ!?ちょ、何言ってんの玖我山先輩!?」

「あぁ、そう言う事か!!
 ジュエルシードが発動した時の魔力パターンを入力して、その魔力パターンが発動しそうな所を察知するアプリが有れば、発動しきる前にジュエルシードに向かう
 事が出来るぜ!!冴えてるじぇねぇか璃音!」



おぉ!その手がありましたね璃音さん!!
ジュエルシードの魔力パターンは、レイジングハートが記録していた筈ですから、作る事は出来ますよね祐騎さん!!っていうか、作って下さい!お願いします!!



「何この超展開!?確かに作る事は出来るけど、そんな簡単なモノじゃないんだから、かる~く言わないでよ!作る方の身にもなってって!!」

「……祐騎君、お願い。ダメかなぁ?」

「んなぁ!?」



――ドスドスドス!!



そして此処で、空さんの上目遣いからの『お願い』――見事なまでにクリティカルヒットですね此れは。
祐騎さんのハートが、弓を引くマーメイドと、ボーガニアンと、ジャンク・アーチャーのダイレクトアタックで撃ち抜かれる様をバッチリと幻視しちゃいましたからね♪



「分かったから……頑張って作るからそんな顔しないでよ空……」

「うん!ありがとう、祐騎君!!」



予想通り効果抜群ですね♪
でも此れで、フェイトちゃんよりも早い段階でジュエルシードのある場所に向かう事が出来るように成る訳だから、此れはとっても大きな利点だよね――だから、何
れ訪れるであろう、互いのジュエルシードを掛けてのフェイトちゃんとの勝負には絶対に負けられないんだけど!!



「その意気や良しだぜなのは。
 ――だが、お前はジュエルシードの事だけじゃなくて、あの青髪の奴が気になってるんじゃねぇのか?そうでなきゃ、態々名前を知りたいとは思わねぇだろう?」

「流石に志緒さんにはお見通しでしたか……」

確かに、私はジュエルシードの事だけじゃなくて、フェイトちゃんの事が気になってるの。
きっと理由は色々あるんだろうけど、一番を上げるとしたら――私は、フェイトちゃんとお友達になりたいんです。ジュエルシードの彼是が決着すれば、きっとお友達
になれると思うから、だからフェイトちゃんには負けたくないの!!



「そう言う事か……なら、尚の事頑張らねぇとな?」

「はい!頑張ります!!」

「良い気合いだぜ。
 俺達のBLAZE魂を限界まで燃やして、全てのジュエルシードを集めて、その上で青髪のガキとの縁もバッチリ確りと繋いでやろうじゃねぇか――全力全開でな!」

「はい!全力全壊です!!!」





「……なのはちゃんの全力全壊に、何故か一抹の恐怖を覚えた俺が居る件について。」

「多分気のせいよ時坂君……えぇ『全力全開』が『全力全壊』だったなんて言うのは、きっと私達の聞き間違いであり、空耳であり、勝手な脳内変換の筈だから。」

「同音異義語ってやつ?
 だけどさぁ、なのはちゃんと志緒先輩が本気だしたら、マジで全力全『壊』じゃない?超攻撃力タッグに隙は無い!砲撃も斬撃も固定ダメージ99999で如何?」

「玖我山先輩、其れバグキャラ過ぎ!?」





え~っと、洸さん達が何か言ってるけど、多分悪い事じゃないよね?
兎に角私は、此れからも全力でジュエルシードを集めるだけ!!!――そして、絶対にフェイトちゃんとお友達になって見せるの!!!








――――――








Side:アルフ


取り敢えず中間報告として、あの糞婆が居る時の庭園に来た訳なんだけど……あの糞婆、予想通りにフェイトを叱責しやがった!!
アレだけ広い場所からジュエルシードを5個見つけ出すのがドレだけ大変かなんて言う事は一切考慮しないで、21個全て持って来なかったって事でフェイトを!!



「うぅ……頑丈な僕でも、流石に鞭打ち30発は身体に堪える……」

「フェイト!!」

実の娘に、鞭打ち30発って、母親のする事かよ!!
何の目的があるかは知らないが、ジュエルシードの収集を命じている以上、中間報告で1/4の数を集めてきたフェイトを褒めてやったっていいじゃないか!!

其れなのに、褒めるどころか叱責と、拷問とも言える体罰だなんて余りにもフェイトの頑張りに対して割が合わない!!!――あの糞婆、本気でぶっ殺してやる!



「それは……ダメだよあるふ。僕は大丈夫だから、お母さんを殺したら駄目だ。
 今はあんなだけど、全部のじゅえるしーどを集めれば、昔の『優しかったころのお母さん』に戻ってくれる筈だから、僕は頑張ってじゅえるしーどを集めなきゃ!」

「フェイトォ……」

其れは幻想だ!って言う事が出来たら、ドレだけ楽なんだろうね?
此れまでの事を見る限り、あの糞婆は、如何贔屓目に見ても、フェイトの事を娘とは見てない――其れこそ、体の良い手駒程度にしか見てないのは明白だろう!

だとしたら、全てのジュエルシードを集めた所で、フェイトが報われる事は絶対にない……そんなのあんまりじゃないか!!

あの糞婆の目的が何なのか、そんな事に興味は無いけど、もしもその目的がフェイトを犠牲にするような物だったら、例え勝てなくても、あの糞婆の喉笛位は喰い
千切ってやろうじゃないさ!!

もっと言うなら、事と次第によっては、あの白いに力を借りる事も念頭に置いといた方が良いかもしれないね。


でも、其れでも今は――



――ギュ……



「ほえ?どったのあるふ?」

「何でもない……だけど、少しの間だけこうさせておくれよフェイト。」

「別に良いけど……あるふも意外と甘えん坊屋さんだな~~♪」



そう思うなら其れでも良い……だからせめて、フェイトを抱きしめる事で、フェイトの痛みを私におくれ……フェイトの痛みは、私も一緒に感じるからさ――








――――――








Side:???


数時間前に観測した、途轍もない魔力反応……間違いないのかエイミィ?



「間違いない所か、信頼率120%だよクロノ君!!
 魔力反応の大本は分からなかったけど、この魔力反応のあった地点で、ジュエルシードが発動したのは間違いないよ――もう封印されているけどね。」

「矢張りジュエルシードか……」

発掘隊から要請を受けて出撃したが、発掘責任者であるユーノ・スクライアから何の連絡も入って居なかったのが疑問だったんだが、ジュエルシードが飛び散った
と言うのは間違いなさそうだな。

エイミィ、魔力反応の観測地点は?



「ちょ~~っと待ってね、今座標計算してるから!
 X座標○○○、でY座標が×××……其れを入力して、そんでもって計算して――OKクロノ君、観測地点が割りだせたよ!!
 ジュエルシードがばら撒かれたのは、第97管理外世界……俗称『地球』の、『海鳴』って言う場所みたいなんだけど、如何する?最年少執務官様は?」



まさかの管理外世界か……下手な事は出来ないが、一級のロストロギアが落ちた地である以上は、行かない事は出来ない!――艦長だってそう言う筈さ。

だから僕達は進むだけだ!!!

「第97管理外世界に向かって驀進!!ジュエルシードを確保し、発掘責任者を保護する!!異論はないな?」

「「「「「了解!!!」」」」」



大きく出遅れてしまったが、その分頑張らないといけないだろうな――ジュエルシードと言うモノは、決して無視できない、最上級のレベルのロストロギアだからな。
時空管理局執務官クロノ・ハラオウン、その名に誓って、ジュエルシードを封印しなくてはな。








――――――









Side:志緒


数日後、四宮が開発したアプリを頼りに、なのはと柊と一緒に現場に来た訳なんだが――まさか、青髪のガキが来てるとは思わなかったぜ。
恐らくは偶然なんだろうが、こうして出会っちまった以上は、ジュエルシードを巡っての激突は避けられねぇだろうな……封印できるのがなのはとコイツだけって言う
事を考えれば尚更にな。



「また君達か……如何して、僕の邪魔をするのかな?其れは僕に必要なんだけど?」

「其れは私もおなじだよ?私達だって、ジュエルシードの封印と回収の為に頑張ってるの!だから、渡す事は出来ないんだよ!!」

「だったら、力尽くで奪い取るだけだけど……君の目的は其れだけじゃないと見た!!さぁ、嘘偽りなくその目的を言ってみろーー!」



B級のバラエティみたいなセリフだが、其れでもなのはは応えるだろうよ――つーか、応えないって言う選択肢がそもそも存在してねぇからな。



「私は……私はね、貴女とお友達になりたいのフェイトちゃん!!だから、色々お話し聞かせて欲しいの!!」

「えぇ!?お友達って……だけど、其れはダメだ!
 僕と君は、じゅえるしーどを集めてる敵同士なんだ……お友達になんてなれない!成れる筈がない!!
 今この場で、僕は君を倒してこのじゅえるしーどを手に入れる!!僕達は、敵同士だ!!絶対にお友達になんて慣れる筈がない!!なっちゃいけないんだ!」



だが、相手は随分と頑固そうだから、一筋縄じゃあ行かねぇだろうな。



ま、事と次第によっちゃ乱入するが、そうでなけりゃ今は静観の方向でだな――無理は禁物だが、負けるんじゃねぇぞなのは!!

お前の心と魂に宿った、紅蓮の焔を、精々ソイツにブチかましてやれ――全力全壊でブチかましてやれや、なのは!!



「はい!!勿論です!!」



さぁてと、なのはとあの青髪の一騎打ちってのは、見るだけでも価値がありそうだぜ。――とりあえず勝って来いなのは!BLAZE魂を燃やし尽くしてやっちまえ!!
BLAZE魂の継承者の力、見せて貰おうじゃねぇかなのは!!



――状況的には楽観できないんだが、どうにも面白い事になって来やがったみたいだぜ!!!!











 To Be Continued…