Side:志緒


ったく、ジュエルシードの発動を感知したから来てみれば、まさかこんだけの巨大樹が現れてるとは、マッタク持って予想外だったぜ。半端なデカさじゃねぇからな。
下手したらコイツは、アキが異界に憑りつかれちまった時に現れた植物型のエルダーグリード以上のデカさかもしれねぇ……ったく、図体だけは立派なもんだぜ。

だが、幾ら図体だけ立派でも、中身が伴わなきゃ只の木偶の棒だから、コイツ相手に俺達が苦戦する事だけは絶対に無いって言いきれるぜ。



「でも、何て言うか……何か予感がするんです!!」



其れでもなのはは何かを感じ取ってるみてぇだから、最低限の注意をしておくに越した事はねぇって言う所だ。死んじまったら元も子もねぇからな。
だが、それでもこの巨大樹を何とかしねぇえと、ジュエルシードは回収できないだろうから、初っ端から全力で行こうじゃねぇか!!



「うん!全力全壊なの!!」

「行きましょう。ゾディアックの白の巫女の名に懸けて、この巨大樹を制圧して見せます。」

「細かい事は如何でも良いが、コイツを野放しにしちまったら、絶対に良くない事が起こるだろうから、悪いが、今この場でぶっ壊させて貰うぜ!!」



その意気だぜお前等!!
精々この巨大樹に刻み込んでやろうじゃねぇか、燃え尽きる事のないBLAZEの魂と、絶対に屈しないX.R.Cの魂の焔ってやつをな!!

兎に角、テメェは伐採してやるぜ巨大樹野郎!!立派な大木なんだが、テメェみたいな巨体が街中に生えてるって言うのは、ちょいと目障りだから撃滅上等だぜ。
俺達の焔が、テメェを跡形もなく燃やし尽くして、消し炭に変えてやんぜ!!












リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE20
『取り敢えず巨大樹を撃滅なの!』












Side:なのは


全勢力が出張った訳じゃないんだけど、属性を焔で統一した志緒さん、洸さん、美月さんの攻撃は、この巨大樹には効果抜群なんて言うモノじゃない位だよ。
植物に対して、焔は効果抜群とは言え、まさか此処までの効果を発揮するとは思って居なかったの!!

だけど、ジュエルシードの封印は私にしか出来ないから、此処は思念体が倒されるまで様子を見ないとね。――尤も、志緒さん達が負ける事は有り得ないけどさ。



「オォラァ!!邪魔だぁ!!消え去れ!!――イグニス……ブレイク!!



事実、志緒さんが絶賛無双して、巨大樹の枝やら何やらを、イグニスブレイクの一撃で纏めて吹き飛ばしちゃって、改めて志緒さんの力はハンパじゃ無い感じなの
……そう思った私はきっと悪くないの!!



「せいや……貰ったぁ!!」

「刃よ……!」



更に洸さんと美月さんも、己の得意分野(洸さんは物理、美月さんは魔法)で巨大樹の触手的枝を的確に、豪快に、時に繊細に切り落としてくれてるから、巨大樹
からの攻撃は、事実上完全にシャットダウン状態だからね。

「さて、私達も大きいの一発を一発行こうか、レイジングハート!!」

『All right Master.Cannonmode Drive ignition.』

「此れがマスターコアのデータを得た事によって使えるようになったバスターのバリエーション!ディバイィィィィィィィン……ブレイザーァァァ!!



――ゴォォォォォォォオォォオォォォォォォォォォォォォ!!



「コイツは……炎の直射砲撃ってか?
 元々スゲェ魔力砲撃だとは思ってたが、属性の事を知った直後に此れだけの技を編み出すとは、コイツは単純な才能ってだけの話じゃなさそうだな?」

「才能と言うよりも、なのはちゃんのセンスと感覚じゃないでしょうか?
 彼是難しく理論立てて考えるよりも、直感で『此れだ』って思った事を形に出来るんですよなのはちゃんは。正に『考えるんじゃない、感じるんだ』ですね♪」

「成程、なのはちゃんは空と近いタイプって事か……なら、戦いの場でこれ程頼りになる存在は居ないぜ!!」



にゃはは、ありがとうございます♪
でも、此れだけの攻撃を受けても、まだジュエルシードを露出するに至らないなんて、巨大な見た目に違わない頑丈さがあるみたいですねこの暴走体は。
って言うか、『何』の『どんな願い』を歪んだ形で再現したらこうなっちゃうんだろう?

まさか、となりのト○ロのメ○ちゃんとサ○キちゃん宜しく、どんぐりの成長を願った誰かの願いに呼応したなんて言う事でもないだろうし……暴走の理由は分かる
かなユーノ君?



「仮説の域を出ないけど、この海鳴って言う土地柄のせいかもしれない。
 僕なりに、海鳴の事を調べて見たんだけれど、この街は昔から九尾の伝説や土地神の伝説が多く残る、いわば『魔力素』がとても濃い街みたいなんだ。
 更に、なのはの様な『とても強い力を持った魔導師』が現れた事で海鳴の魔力素が活性化し、其れを糧にジュエルシードが発動してるのかも知れない。
 まぁ、逆に言うなら、発動してくれるお蔭で直ぐに封印する事が出来るから、結果オーライって言う所かも知れないけど。」

「思った以上にポジティブシンキングだねユーノ君。」

まぁ、確かに発動したら、その都度封印して行けば、何れは全てを封印できるだろうからね――何個かは、あの水色の子が封印するかも知れないけれど。
……そうだ、そう言えばあの水色の子は来ないのかな?此れだけ派手にやってるんだから、来ても良さそうなモノだけど――





「うおりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!爆光破!!!



――ドッゴォォォォォォン!!!



と思ったら、やっぱり来たね水色の子!!



「あ、やっぱり居たな白魔導師!じゅえるしーどは渡さないぞ~~!!」

「やっぱり来たね水色の子――私だって、ジュエルシードを渡す気はないよ?此れを全部集めないと、ユーノ君が困る訳だしね。」

「僕だって、其れが必要だから絶対に渡さないからな!」



上等なの!!
だけど、とにかく今はあの巨大樹を何とかしてブチ倒して、ジュエルシードを露出しないとだから、其処までは共闘するって言うのは如何かな?悪くないと思うけど。



「確かに、そのてーあんは悪くない。そもそも僕の雷属性は植物には効き目が薄いし、此処までの巨体相手だとあるふのサポートだけだとちょっと不安だったし。」

「フェイト~~、そりゃないよ~~!!」

「いやぁ、あの巨大猫位なら兎も角、こんな『リアルビオランテ』みたいな奴に、攻撃が効き辛い状態でいどむって言うのは、流石に得策じゃないし、幾らあるふが強
 いって言っても、アルフも僕と同じ雷属性だから、効果が薄いしね?」

「其れを言われたら何も言えないじゃないか~~~!!!」



属性の相性は覆し違いですからねぇ……志緒さんみたいな『属性相性なんざ知った事か』とばかりに、誰が相手でも叩きのめす事が出来る場合は話が別だけど。
って言うか、貴女のデバイスって戦斧みたいな形してるから、変に魔法攻撃をするよりも、そのデバイスで枝を叩き切った方が効果が望めるんじゃないかな?



「言われてみればそうかも……出来る、ばるでぃっしゅ?」

『Yes sir.』



本当に出来たんだ……ならやるべき事は決まったね!!
邪魔な触手的な枝は私と美月さんで払うから、貴女は志緒さんと共に本体に決定的な一撃をブチかましてなの!!手加減抜きの全力全壊で――お願いできる?



「おっけー!まずはじゅえるしーどを露出させなきゃ話にならないから、その提案には同意しよーー!!
 そう言う訳だから、あるふもサポートの方をよろしくーーー!!僕はしおさんとやらと、あの馬鹿でかい大木をぶった切ってくるから!!!それじゃーねー!!」



――バビュン!!



あぁ…行っちゃったの。名前を聞きたかったんだけどなぁ。
あの子って若しかしなくても、物凄い脳筋さんなのかな?――もしそうだとしても、物凄い大物なのかもしれないけど……そう思った事は無いですかアルフさん?



「いや、気のせいだと思うよ?
 あの子はアタシの御主人様で、凄く良い子だけど、パワーとスピードは間違いなく最強クラスだけど、頭の方は弱めの、言っちゃ悪いけど『アホの子』だからね?」

「でも、ちょっとだけ思いましたよね?」

「……まぁ、ちょっとだけね。」



実際に大物だと思うなあの子は。クロスレンジでの戦闘能力に限れば志緒さんとタメ張れるかもって言うレベルだしね。
魔導師としての能力も、砲撃では私が上でクロスレンジではあの子が上、防御力は私の方が上でスピードはあの子の方が上って言う所だから、全能力を駆使し
て戦えば、総じて五分五分って言う所だと思うの。

尤も、直接対決って言う事になったら、一度は負けてるから今度は勝つけどね。



「ハッ、チビガキのクセにやるじゃねぇか?まさか、此処までやるとは思わなかったぜ?」

「強くて凄くてカッコいい!其れが僕だからね!!そうさ、やっぱり僕は最強だ!!」

「子供だから笑って見過ごせるけど、これが中学以上の奴だったら、間違いなく厨二病判定間違いないっすね。」



洸さん………確かに否定は出来ないの。
でも、水色の子が参戦してくれたおかげで、巨大樹の枝葉はその殆どが剪定されたみたいだから、此処で決定的な一撃を喰らわせればジュエルシードが露出する
筈なの!!

「志緒さん!!」

「応!!行くぜなのは!!」




――轟!!



「「クロスドライブ!!」」



――ギュオォォォォォオォォォォォォォォォォォォォ!!



デバイスを同調させる事で発動できる一時的なブースト技『クロスドライブ』――此れを発動した以上、もう絶対に負けないの!!!



「畳み掛けんぜ!!どぉぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


――ズバァ!!バシュゥゥゥゥゥゥゥ!!!!


先ずは、志緒さんが豪快な斬撃で、ジュエルシードの暴走体である巨大樹に対して、袈裟斬り→払い斬り→逆払い斬りの重斬撃3連コンボ!!此れは効いたよ!



「頼んだぜ、なのは!!」

「はい!!」

そして今度は私のターンなの!!

志緒さんの攻撃で、この巨大樹は可成りのダメージを受けてるから、更なる追加ダメージを叩き込んでやるの!!喰らえ、ディバインブレイザーァァァ!!



――ドッガァァァァァァァァァアァァッァァァアァッァアッァァン!!!



「良い一撃だぜなのは……此れで決めんぞ!クリムゾン……レイド!!



更に其処に、志緒さんのトドメの一撃とも言うべき最強攻撃が炸裂!!
巨大ビルに匹敵する巨大樹が、盾一文字に切り裂かれる光景は圧巻の一言に尽きると思うの……幾ら有利な属性とは言え、此処までとは――志緒さんの力が
ドレだけ凄いのかって、改めて認識させられちゃうの。

でもこれで、巨大樹は沈黙し、その内部にあるジュエルシードが露出した――其れは絶対に渡さないから!!



「此れは、僕の物だーーーー!!!!」

「絶対に渡さないの!!」

そして予想通りに、私と水色の子による争奪戦になったんだけど………



――ガキィィィィィィィィィィィィィィィン!!



デバイスが同時にジュエルシードに!!
レイジングハートは元より、この子のデバイスだってシーリングモードになっていただろうから封印は可能なんだろうけど、逆に其れだけのエネルギーが集中して、
エネルギーが、魔力が飽和状態になってる!?――此のままじゃあ……!!



――ピシ……ピキ……!!



「レイジングハート!!」

「ばるでぃっしゅ!!」




――パキィィィィン!!!



レイジングハート達が耐えきれなかったね……完全に砕けはしなかったけど、全身に罅が入って、暫くは使う事は出来ないかもね――水色の子のデバイスもね。
でも、此のままじゃ封印をする事なんて出来ないんだけど、如何すれば……って!



「鎮まれ、鎮まれ……鎮まれーーーー!!!」



何してるの!?
デバイスも使わずに素手でジュエルシードを封印しようとするなんて、そんなの自殺行為だよ!?下手したら、二度と両手が使えなくなっちゃうかもしれないのに!

こんなのを黙って見ている事なんて出来ないの!!



――ガシィ!!



「え?……如何して?」

「ジュエルシードを封印できるのは私と貴女だけ。……だけど、貴女の負担を減らしちゃ悪いって言う法律は何処にもないから、私も素手での封印を手伝うよ!
 それに、2人でやれば、負担は半分になるから、腕が使い物にならなくなるって言う事だけは無くなるだろうからね。」

「そっか……確かにその通りだよね!!」



正直な事を言うなら気絶しそうな位に痛いんだけど、そんな弱音は言ってられないの!!
暫く腕が使えなくなっても構わないから、大人しく封印されやがれなのジュエルシード!!――私は、絶対に退かない!!BLAZEの魂にと誇りに誓ってね!!


「「ジュエルシード……封印!!!!」」



――バキィィィィィィン!!



ふぅ………何とか封印出来たね。
問題は封印したジュエルシードなんだけど……このジュエルシードは貴女に譲るよ――このジュエルシードは、危険を顧みずに素手での封印を試みた貴女が持っ
ているべき物だと思うから。



「ちょ、なのは!?」

「おぉっと、あんまし堅い事言うなやユーノ。なのはの考えは義に適ってるからな。
 大体にして俺達もアイツ等も21個全てのジュエルシードを必要としてんだ――いずれ互いの手持ちのジュエルシードを掛けて戦う時が来るだろうから、そこでな
 のはが勝てば万事問題ねぇだろ?」

「確かにその通りっすね。」



まぁ、そう言う事だから、其のジュエルシードは貴女に譲るの。
でも、その代わりって言う訳じゃないんだけど……貴女のお名前を教えてくれないかな?初めて会った時からずっと、貴女の名前を知りたいって思っていたの!



「フェイト、コイツ等に名乗る必要なんてないよ!!さっさと帰ろう!!」



でも、アルフさんは名乗る必要はないって……其れはダメな考えだよ?己の名を名乗るのは、取っても大事な事だからね。
だったらここは、最終奥義を使って名前を教えて貰うだけなの!!


――パンッ!!


「ドーモ、タカマチナノハ、です!!」

「そ、其れは!!その挨拶は……なら応えるしかないじゃないか!!」


――パン!!


「ドーモ、ハジメマシテ、フェイト・テスタロッサです!」



おぉ、知ってたみたいだね?其れじゃあご一緒に………


「「ニンジャ殺すべし!!」」



「……何やってんだ、なのは?」

「何やってんだいフェイト……?其れにハジメマシテじゃないだろうに……」

「「挨拶は大事だ、ニンジャの礼儀だ、古事記にだってそう記されている!!」」

「何それ?」

「何だそりゃ?」



ザッツ『ニンジャスレイヤー』なのです!此れを知ってる人は、この挨拶をされたら応えない訳にはいかないのです!!


まぁ、悪ふざけは此処までだけどね。
フェイト・テスタロッサ――其れが貴女の名前なんだね?OK、その名を魂に刻み込んでおくよフェイトちゃん!!!



「僕も君の名前は覚えておく。
 今回は譲って貰ったけど、次に似たような事になったら、今度は実力でじゅえるしーどを奪い取る!!それに、君との戦いは、面白くなりそうだからね!!」

「それは、私も同じ事を思っていたよ、フェイトちゃん。」

「ふ~ん?……案外、僕達は気が合うのかも。――だけど、君は僕の敵だって言う事を忘れるなよ?今度会ったその時は、手加減なしでボッコボコにしてやる!」



そうは行かないよ?私だって日々強くなってるんだからね!!
全てのジュエルシードを最終的に集めるのは私達なの!!今回は譲ったけど、次はそうは行かないから、行かせないから、覚悟しておいてねフェイトちゃん!!

私は……私達は絶対に負けないからね!!











 To Be Continued…