Side:志緒


「それじゃあ、先ずは五大属性の相克関係から説明していくわね?
 五大属性は、霊は焔に強く、焔は風に強く、風は鋼に強く、鋼は霊に強いって言う力関係になっていて、影だけはあらゆる属性に対して攻撃性能が上昇するんだ
 けど、防御性能に関しては属性攻撃を軽減する力は有していないわ。
 私達のソウルデバイスは、1つの属性しか装備する事が出来ないから、特定の属性に対して有利になる反面、特定の属性に対しては不利になってしまうのよ。
 だけどなのはちゃんは、攻撃と防御で異なる属性を設定する事が出来るみたいだから、相手に対して攻防に於いて有利な属性を使う事が出来ると思うわ。」

「それは……凄そうですね。」



なのはが、レイジングハートに俺達のソウルデバイスのマスターコアのデータをインストールしてから、柊による属性に関する講座が行われてるな、主になのは限
定でだけどよ。……なのはは熱心に聞いてるから問題はねぇだろうがな。
尤も、改めて聞くと、攻防において異なる属性を有してるのが、ドンだけトンでもねぇものなのかが分かったがな。

柊の言う通り、攻防に於いて相手に有利な属性を使う事が出来るようになれば、どんな属性を持った相手であっても戦いを有利に進めることが出来るからな?

コイツは、なのはの発想次第では、無限の力を生み出すのかもしれねぇぜ。



「そう、使いこなす事が出来るようになれば、五大属性の力は、貴女に必ず力を貸してくれると思うわよ、なのはちゃん。」

「はい、頑張ります!!――其れじゃあ先ずは、一槍お願いできますか、明日香さん?」

「其れが望みなら、幾らでも相手になるわ――今の貴女の力、見せて貰うわよなのはちゃん?」



でもって、此処で模擬戦形式の訓練か。まぁ、訓練なら大丈夫だとは思うが、あまりやり過ぎないようにな?













リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE19
『属性と強化と、新たな宝石種』












そんなこんなで始まった模擬戦なんだが――



「はふぅ、参りました~~~。」

「ふぅ……エルダーグリードとの戦闘以上に疲れたわね……五大属性をその場で的確に切り替えられるようになったら、なのはちゃんは正に無敵と言う所だわ。」



善戦したモノの、経験の差で最後は明日香に負けちまったか……まぁ、なのはの動きは決して悪くなかったからな?其れに付いては如何思う時坂?



「其処で俺に振るんすか?……まぁ、なのはちゃんは結構いけてるんじゃないっすかね?
 今の模擬戦は負けちまったけど、其れでもなのはちゃんは明日香の攻撃の殆どを見切って回避する事が出来てたから、なのはちゃんは間違いなく大物ッス。」

「流石に、見る点が違うな時坂?
 今のなのはと柊が戦えば、10回やって10回とも柊が勝つだろうが、其れでも戦うたびになのはは強くなってるから、何れは柊の事をこえるだろうが、大事なの
 は、今の時点で負けはしたモノの、次に戦う時には絶対に勝つと言う意思の強さだ。そいつがなければ、リベンジなんぞは出来ねぇだろうからな。」

「そうです!大切なのは、心の持ちようなんです!
 例え一度負けても、その負け戦を糧に出来れば、次は前よりも強くなる事が出来ますからね――だから、負ける事は恐れる物じゃないんですよ。」



負ける事は罪じゃねぇか……至言だなソイツは。
確かに、敗北から学ぶ事は、勝利から学ぶ事の数倍は有るからな――負けを恐れて尻込みしてちゃ、幾ら優秀な人材でも成長は期待できねぇだろうからなぁ?

何れにしても、次にジュエルシードが発動した如何したその時に、あの水色と再戦する可能性は高いだろうからな……どうにも一筋縄じゃ行かねぇ気分だぜ……



「……確かに、あの水色の子との再戦は避けられないと思います。初めての時は負けちゃって、この間は不戦勝だったから、今度こそちゃんとお話ししたいです。
 何でジュエルシードを集めてるのか、何が目的なのか、誰かの命令で集めてるのか、聞きたい事は一杯ありますから!」

「なら、尚の事頑張らねぇとな。――で、ソイツは一体なんだ北都?」

「今の模擬戦から割り出した、現段階でのなのはちゃんの能力値を、大雑把ですがS~Dの5段階で評価してみたんですよ。
 目に見える表にすれば、長所短所も分かり易くなりますから、何処を鍛えて行けばいいのかも考えやすくなりますから。」

「そんなモンを作ってやがったのか……」

「今の私がドレくらいなのか、ちょっと気になるの。」



だろうな。んで、北都の作ったなのはの能力値はと言うとだ――


体力 物理攻撃力 物理防御力 魔法攻撃力 魔法防御力 回避 命中 素早さ
C B A S S B A C(S)



こうなる訳か。
体力Cってのは、小学生って事を考慮しての事で、他の能力値に関しては大体間違っちゃ居ねぇんだが、素早さの能力値に関しては、此れは如何言う事だ?



「今の模擬戦を見て、なのはちゃんは断続的に素早く動く事は出来ないんですけど、一瞬の加速に関しては凄い物があるんです。明日香さんの攻撃を、ギリギリで
 回避したりもしてましたからね。
 恐らく、一瞬の最高速度に関しては、高速戦闘特化型のスタイルの人よりも高いと思いますよ。」

「そいつはまた何とも……って事はだ、その一瞬のスピードと高い防御力を考えると、なのはの事を撃墜するのは、並大抵の事じゃねぇって事だな?」

「えぇ、そうなんですか!?」

「そうなるわね。
 なのはちゃんみたいな遠距離タイプは、本来前衛となる近接戦闘型が一緒に居てこそ力を発揮できるんだけれど、防護服の堅さと、瞬間的な速度を持ってすれ
 ば、前衛が居なくても、可也戦う事が出来るんじゃないかしら?
 其れこそ、世界に例を見ない『単騎で戦う事の出来る、遠距離攻撃型』って言う、なのはちゃんだけの戦闘スタイルを確立する事も出来ると思うわ。」



確かに、遠距離型ってのは狙い撃ちされたらお終いだが、分厚い装甲と、瞬間的な速度を持ってりゃ、狙われても戦う事が出来るからな?加えて、なのはの砲撃
は、文字通りの『一撃必殺』の破壊力だから、ドレだけ追い込まれても、砲撃がヒットすりゃ其処で勝ちが確定するっつっても過言じゃねぇからな。

正直なところ、なのはのディバインバスターが直撃したら、俺だって無事じゃあ済まねぇと思っちまう位だぜ。



「確かになのはちゃんの砲撃は、かめはめ波か滅びの爆裂疾風弾かって感じだからな。」

「加えて、単発とは言え魔力弾の誘導制御も出来るみたいだから、相手にしたら結構厄介だと思うよなのはは。僕だったら、絶対に戦いたくない相手だね。」

「え~~と、其れは褒められているんでしょうか?」



まぁ、褒め言葉じゃねぇのか?
時坂は、なのはの砲撃の威力の凄さを言ってて、四宮が言う『絶対に敵にしたくない』ってのは、味方に対しての最大級の賛辞と言えるからな?味方ならばこの上
なく頼もしいが、敵に回したら最悪レベルで厄介ってのは、ある意味で最高の評価だろ?



「其れは、そうかも知れませんね?」

「因みに、僕は志緒先輩も絶対に敵には回したくない。」

「あぁ、其れに付いては俺もだぜ祐騎。」

「確かに志緒先輩は敵にしたくないです……」

「もしもなのはちゃんと志緒先輩が敵だったら……うわ、勝つビジョンが全く見えない。如何考えても、全滅敗北エンドしか見えないわ此れ。」

「バリバリ遠距離型のなのはちゃんと、バリバリ近接物理型の高幡先輩のタッグ……下手したら、このタッグだけで神話級のグリムグリードも制圧できそうだわ。」

「魔法最強と物理最強が組んだら、其処に敵は無いですからね♪」

「あ~~~……私も、志緒さんだけは敵にしたくないです。
 美月さんが表にしてくれた私の能力値を持ってしても、志緒さんには絶対勝てない気がしますから。」



……だとしても、テメェ等は一体どれだけ俺を化け物扱いしてやがんだオイ?
其れ以前に、時坂達は兎も角として、なのはにまでそう思われてたとは意外だったぜ……いや、恭也さんと引き分けたって事で、ある意味当然なのかのもな。まぁ
そんだけ、俺が凄いって事で納得しとくぜ?もっと言うなら、此れ位じゃなきゃ、天国の一馬に顔向け出来ねぇからな。








――――――








Side:???


現在のジュエルシードの収集状況は、なのはちゃんの陣営が5個で、あの子――フェイトの陣営が4個で、略同数のジュエルシードを有していると言う訳ね。
此れで残るジュエルシードは12個――このままのペースで行けば、1ヶ月以内に21個のジュエルシードは封印されるでしょうね……そうなった時に、夫々の陣営
が、ドレだけのジュエルシードを有しているのかに関しては、流石に分からないけれども。



「単純な戦力から言うと、半数以上をなのはさんが手に入れるのではないでしょうか?
 現段階では魔導師手の能力はフェイトの方が上ですけど、なのはさんの潜在能力はフェイトを遥かに上回っていますから、戦えば戦うだけフェイトの方が不利に
 なって行くのではないのですか?
 と言うか、貴女も其れ位は予想しているでしょう○○○○?――それで、今後は如何動く心算なのですか?」



そうね……可能な限りは介入はしない方向で行こうと思ってるわ×××。
私が介入してしまったら、なのはちゃん達の勝ちが確定してしまうし、それではあの子の成長を妨げる事にしかならないから、少し大人しくしているわ――其れに、
ソロソロ、リンディが此処に来る頃でしょうからね。



「ジュエルシードの輸送船が襲撃されて、そろそろ1ヶ月ですからね。
 『彼女』がドレだけの情報操作を行ったとしても、アースラの提督であるリンディ・ハラオウンには、そろそろ正確な情報が届いている頃でしょうから……ですが彼
 女が出てきたら、私達だって動かざるを得ないのですけれど、其処は如何する心算ですか○○○○。」

「そうね……そうなったら、素顔を隠して介入するわ。リンディなら気付くでしょうから、其れなりの一手を打ってくれるでしょうからね。」

リンディ・ハラオウン……16年前に別れてしまった、私の親友。
16年前に生まれた『アイツ』の裏工作で、通信が巧く機能してなかったのかもしれないけど、貴女ならソロソロ『異常』に気が付くでしょうから、間違いなく此処に来
るでしょう?……貴女が地球に来たその時が、事が大きく動く時なのは間違いないからね。

でも、其れとは別に、16年ぶりに親友と再会すると言うのも、悪くないかもしれないわ。








――――――








Side:なのは


さて、突然だけどジュエルシードが発動しやがりましたなの。其れも、平日の真昼間に!!

その日は普通に学校が有って、これまた普通に授業を受けてたんだけど、その最中に行き成り物凄い揺れを感じて、同時にジュエルシードが発動した時特有の魔
力を感じ取ったからね。

此れが休日や、或は平日の夜だったら即刻封印しに行くところなんだけど、平日の昼間じゃ其れは難しい。
何とか、抜け出さなきゃって思ってたんだけど、その機会を作ってくれたのはアリサちゃんとすずかちゃんだった。



「揺れが強いわね……いったん揺れが収まったら校庭に避難するわよ!!此れだけの大きさの地震だと、同じくらいの強さの余震が来ても不思議じゃないから、
 第2波が来る前に校庭に出た方が良いわ!!」

「落ち着いて、慌てないで校庭に向かって。」



事情を知ってるから、此の揺れを即座に『地震』と判断して、生徒の避難誘導に務めてくれたからね?――ホント、本職顔負けの避難誘導だったと思うの。

でも、そのお蔭で私はジュエルシードの下に行く事が出来る……恐らくは避難してそのまま流れ解散になるだろうから点呼は確認しないと思うからね
ともあれ、此れだけの物理的干渉をしてくるって言う事は、今回発動したジュエルシードは、此れまで戦って来た暴走体と同じには考えない方が良さそうなの。

「ユーノ君、封鎖結界は?」

「大丈夫、既に展開を完了してるよなのは。」



だったら安心だね。結界内なら、多少荒っぽくやっても、結界の外の現実世界には全く影響がないからね。
其れじゃあ行くよ、レイジングハート!!



『All right Master.Standby ready……Setup.(了解しましたマスター。準備完了……セットアップします。)』


――カッ!!!




「魔法少女リリカルなのは、リリカルマジカル頑張ります!!」

「なのは、何それ?」



ん?何となく言っておかなきゃいけない気がしただけだよユーノ君。あまり深く考えない方が良いと思うよ?深く考えた所で、答えは得られないと思うからね。
兎に角、今回のジュエルシードも、全力全壊で封印してやるだけだから、全力全壊で頑張るの!!――さぁ、行くよ!!



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と言う訳で現場に到着した訳なんだけど、敢えて言わせて貰って良いかな?『今度は巨大樹かよ!!』なの。
前に異界化した時に現れたエルダーグリードも相当な大きさだったけど、今回はそれ以上だから簡単に倒す事は出来ないかも知れないけど、志緒さん達も現場に
駆けつけてくれたから、其れほど大変じゃないかもしれないの。



「とは言え、長引かせて良いってもんでもねぇから、速攻で終わらせるぜ。
 北都はマスターコアを、焔属性の『オートクレール』に入れ替えとけや、植物に対して炎の攻撃ってのは、効果が抜群すぎるからな?なのはも同じようにしとけ。」

「確かに、樹には焔が良く効きますね。」

「邪魔するなら、焼き尽くすって言う事ですね……全力全壊でやってやるの!!」

絶対に封印するし、恐らくは水色の子も来るだろうから、色々とお話しをしたいと思ってるからね――願うなら、あの子の名前を知りたい感じだね?名前が分からな
いって言うのは、あまり良い事じゃないからね。

何れにしても、先ずはこの巨大樹を打ち倒して、ジュエルシードを封印しないとだね――行きましょう、志緒さん、洸さん、美月さん!!



「応よ!さぁ、行くぜ!!」

「祐騎の言葉を借りるなら、攻略開始って所だな。」

「さぁ、参りましょう。」



全力全壊!!力の限りやってやるの!!――此処に、水色の子が来る可能性が高いなら、尚の事負ける事は出来ないらね!!








――――――








Side:フェイト


じゅえるしーどの発動を感じ取ったから、あるふと一緒に来てみたら、其処には『ジャックと豆の樹』かって言う位の大木が存在してた。正に圧巻だった。
既に封鎖結界が展開されてたみたいだから、現実世界に影響がないとは言え、こんなデカブツが現実世界で暴れまくったとか、そんなのは想像したくもな~い!

そう言う訳で、此のデカブツは僕達で片付ける。そしてじゅえるしーども手に入れる。
まぁ、あの白い魔導師の子と、正体不明の黒装束と鉢合わせる可能性はゼロじゃないけど、じゅえるしーどを確保したら、其処からトンズラかませば無問題だしね。

兎に角、あそこにあるじゅえるしーどは、絶対に手に入れる……力を貸してねあるふ?



「言われるまでもないさ、思い切りやってやろうじゃないか。――って言うか、考えるよりも行動した方が、アタシ達の性に合ってるからね?…だろ、フェイト?」

「そのとーり!!悩む暇があるなら行動しろだからね。」

だから僕は飛ぶ。其のじゅえるしーどは、必ず僕が貰い受けるから、戦場で鉢合わせた時は覚悟しておいてよ白い魔導師!!君にだって負けないからな、絶対!











 To Be Continued…