Side:璃音


さぁてと、狙った様なタイミングでジュエルシードが発動してくれた訳なんだけど、ぶっちゃけ志緒先輩となのはちゃんが一緒なら、全然マッタク問題ない気がするわ。
志緒先輩は誰もが認める杜宮学園最強の任侠人情不良だし、なのはちゃんは魔法と出会ったばかりだって言うのが嘘なんじゃないかって思う位の魔導師な訳で、
何て言うか、負ける気がしないのよね、誰が相手であっても。



「いまさら何を言ってやがる玖我山。俺達X.R.Cには敗北の二文字は有り得ねぇだろ?
 どんな事態に直面しても、真正面からぶつかって、そんでもって勝利をもぎ取る――其れが俺達の流儀の筈だろ?違うか?」

「違わないわよ志緒先輩。って言うか、其れはちゃんと分かってるから大丈夫だって。」

それを貫き通した事で、杜宮を救う事が出来たし、杜宮を救う代償として消えてしまった栞の事を取り戻す事が出来た訳だからね――其れは絶対に忘れないわ!
大体にして、ジュエルシードの確保は絶対の事なんだから、相手が何であろうと退くって言う選択肢は、最初っから存在してないからね!!



「言うじゃねぇか……だが、だからこそ頼りになる――一気にブチかましてやろうじゃねぇか!!」

「全力全壊で行きましょう!!」

「うん、その心算だよ!!」

そして見せてあげるわ、アイドルの思いがドレだけ強いかって言う事をね!!
ソロソロ目的地に到着するから、戦いの準備をしておいた方が良さそう―――



――ズガァァァァァァァァァッァァァァァァァァァァッァァン!!!



「「「!!?」」」


って、なに今のは!?
目的地の辺りで発生した紫の雷は!?………まさか、あんまり考えたくないけど、既にジュエルシードを回収しに来た誰かが居るって事なのかしら?……だとしたら
この上なく面倒な事になってるのかも知れないわね此れは。

だけど、だからって行かないって言う選択肢はないわ。
一体何があったのか、そしてジュエルシードがどうなったのか、確かめておかないといけないだろうからね。












リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE17
『New influential appearance』












Side:なのは


ジュエルシードの反応があった場所まで移動してる間に発生した紫の雷は、一体何だったんだろう?凄く強い魔力を感じた……其れこそ、私や璃音さんを遥かに上
回る程の魔力を!!(ユーノ君曰く、私と璃音さんの魔力は極めて大きいらしいの。)

更にその魔力を感じた直後に、ジュエルシードの反応が極端に弱くなったから、恐らくは紫の雷を放った誰かがジュエルシードを封印したんだろうね。

だけど問題は、其のジュエルシードを如何するかって言う事だよ……悪事に利用すると言うなら、其れは絶対に見過ごせない事だから、その場合は力尽くでも奪わ
ないといけないかもしれないからね。



「そん時はそん時で、腹括るしかねぇだろ?」

「弩派手なドンパチの覚悟はしとかないとね。」



ですよね。――そろそろ目的地到着です!!







あら、思ったよりも早かったわね?



で、到着した場所に居たのは、全身黒の装束で固めた謎の存在?
……背は割と高めで口調は女の人っぽいけど、ボイスチェンジャーを使ってるみたいで、口調からだけじゃ男性か女性かは判断出来ない感じだよ……って、如何し
たんですか志緒さん璃音さん?



「オイ、何モンだテメェ?
 色こそ黒いが、その装束は小日向が纏ってた『オルデンの刻印騎士』の装束其の物じゃねぇか……まさかとは思うが、テメェはこの世界の『刻印騎士』なのか?」

「返答次第では、容赦しないよ?」



へ?あ、あのこの人って志緒さんと璃音さんの知り合い――の人と同じ格好だったんですか?志緒さんの言葉から、色は違うみたいですけど…流石に気になるの。



「オルデンの刻印騎士――聖教協会に所属する、対異界の実行部隊って所だ。
 その実力は柊をして『頼りになる』って位だから相当なもんなんだが……コイツがこっちの世界の刻印騎士だとしたら、ちと面倒だぜ。」

そういきり立たないで。刻印騎士が何かは知らないけど、少なくとも私は彼方達の敵ではないわ。
 ジュエルシードの封印も、あくまで此れを放っておけないだけの事に過ぎないもの。………でも、そう言っただけでは信用は出来ないでしょう?
 …なので、此れを持って行きなさい。封印はしたけれど、私には無用の長物に過ぎないのでね。

「へ?」

って、此れはジュエルシード!?しかも、完全に封印されている状態の……えっと、良いんですか?



……アイツにジュエルシードが渡らなければ其れで良いわ。
 其れに、彼方達ならば、ジュエルシードを悪しき目的の為に使う事も無いだろうと思うのよ……目的は、本当に此れの回収の様だしね。
 それと、この格好は、顔を隠すのに丁度良いと思っただけで他意はないわ……刻印騎士とやらに似ているのは、言うなれば偶然の一致と言う所よ。

「……違う次元で、色だけが違う同じ装束が出来上がる可能性ってのはドレくらいか分かるか玖我山?」

「わっかんないけど、物凄くミラクルな確率なんじゃないかって事はハッキリしてるんじゃない、志緒先輩?」



確かに、平行世界とも言うべきモノが、配色違いだけで存在してるってのは可成り低い確率なんじゃないですか?其れこそエクゾディアが初手に揃う位に。
其れよりも、アイツって言うのは誰なんですか?アナタの言い方だと、ジュエルシードを良くない目的の為に使おうとしてる人が居るように聞こえるんですけど………



其れは………ん?――下がりなさい!

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!光翼斬!!!

「どぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」



――バチィィィィィィィ!!



「貴女は!!」

やはり現れたわね……アイツの手駒が……



この間の水色の子と、昼間に会ったオレンジ髪のお姉さん!?如何して此処に――って、当然か。
ジュエルシードの発動は感知した筈だから、此処に来ていたって何もおかしい事は無いもんね。――だけど、それ以上に驚きなのは、この黒衣の人だよ!!
水色の子の実力は、実際に戦ったから分かるし、オレンジ髪のお姉さんだって決してその実力は低くない(多分お姉ちゃんと互角以上)のに、黒衣の人はその2人
の攻撃を、右手に展開した障壁で完全に防いで見せたの!!

レイジングハート、私のプロテクションで、あの2人の攻撃って防ぎきれる?



『Possible. But, when everything of the magic was used for defense.(可能です。但し、魔力の全てを防御に回せばの話ですが。』

「つまり、簡単に防ぐ事は出来ないって事だね。」

其れを簡単にやるって言う事は、あの人は相当な力を持った魔導師って事になるよね?今の私じゃ、きっと逆立ちしたって敵わない……敵じゃなくて良かったの。
だけど、今の口ぶりからすると、あの子達の事も知ってるみたいだけど……若しかして見知った関係だったりするのかな?



「そのじゅえるしーどを渡せぇ!!!」

あらあら……やんちゃなのは良いけれど、後から来てその要求は如何かと思うわよ?
 『人の物を盗ってはいけません』って言う事も教えてくれなかったのかしら、貴女のママは?だとしたら親としての感覚を疑うわ。

「――!!お母さんを馬鹿にするな!!いいから、じゅえるしーどを僕によこせ!!」

其れは出来ない相談だわ……だから、少し大人しくして居なさい――サンダーレイジ!!!



――ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッァァァァァァン!!!



「「どわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」



って、此れは超強力な雷の魔法!?
直撃したよ!!防御も回避も出来ないまま直撃したよ!クリーンヒットだよ!寧ろクリティカルヒットだよ!魔法攻撃のクリティカルヒットなんてアルテマで充分なの!


「落雷だと!?」

「直撃したけど、其の子達大丈夫!?」

「まさか死んでないですよね!?」


威力は30%程に抑えたから問題ないわ。
 まぁ、気絶する程度の威力は持たせたけれど致命傷にはならないわ――元より『非殺傷』設定で、放っているから大丈夫よ。



……あれで30%って、この人が本気の本気を出したら一体如何なっちゃうのかな?下手をしたら僅か数分で海鳴の街を焦土と化す事が出来るかも知れないの…
あんまり考えない方が良さそうだね。

えっと、其れで此れは如何したモノかな?



彼方達は自分達の宿に戻りなさい。
 この子もあまり時間を必要としないで目を覚ますでしょうから、この子が眠っている間に彼方達は此処から居なくなった方が良いわ。
 目を覚ました時に彼方達が居たら、面倒な事になってしまうでしょうからね。

「そいつは、確かに否定できねぇな。コイツが今目を覚ましたら、何をしてくるか分かったもんじゃねえからな。
 ……逆に言うなら、そうなっちまうほどジュエルシードが必要なんだろうが、何でジュエルシードを集めているかは分からねぇからな……此処は戻るが上策だぜ。」

「そうね。ジュエルシードは回収できた訳だから、無用な争いを態々する必要もないから――戻ろうか、なのはちゃん?」



……此処は其れが上策ですね。
水色の子の名前を聞きたいと思ってったんだけど、其れも無理みたいだからね……えっと、それじゃあ失礼しますね?



まぁ、何れまた会う事も有るでしょう……ジュエルシードが存在して居る限りはね
 次に会う機会があったなら、もう少し長くお話がしたい物ね……彼方達は彼方達のすべき事をしなさい。其れがベストな結果を齎すでしょうから。

「言われるまでもねぇぜ……ジュエルシードは俺達が全部回収する。他の誰にも渡す心算なんざないぜ。」

「志緒先輩の言う取り!!ジュエルシードは、最強魔導師なのはちゃんがリーダーである、アタシ達が全部封印して回収してあげるからね♪」



璃音さん、其れは流石に言いすぎですけど……だけと全てのジュエルシードを回収するって言う事に関しては同意するの!
あの水色の子の目的が何かは知らないけど、だけどジュエルシードを渡す事は出来ないからね?……全部封印して回収して、其れで万事無事に終わらてやるの!



その気概が有れば大丈夫ね……頑張りなさい。
 事と次第によっては、私も力を貸してあげるから、思うようにやってみると良いわ。

「はい!頑張ります!!」

あの子ともう一度お話しする事は出来なかったけど、だけど今回の一件は決して無駄な事じゃなかったの!!
正体不明な仲間(?)が増えたりと、あの水色の子の背後関係がおぼろげながらも見えた訳だから、この邂逅は絶対に無駄ではない筈だよ!!



「無駄じゃねぇさ……そいつを、俺達で証明してやろうじゃねぇか!」

「私達の思いがドレだけ強いか、教えてあげようなのはちゃん!!」

「志緒さん、璃音さん……はい、勿論です!!」

不撓不屈の全力全壊が私ですからね。
何があっても絶対にあきらめないで、目的を果たすだけの事なの!!――だから、もう二度とあの子に負ける事は出来ないの!!次に会った時は絶対勝つよ!!

でも、勝ちたい以上に、あの子の名前が知りたいな……一体、何て言う名前なんだろうね。








――――――








Side:???


あの子達、まさかあれだけの力を秘めていたとは驚きだわ。
白い防護服の子の魔力ランクは最低でもSで、魔導師ランクAAA+は間違いないでしょうね……マッタク持って空恐ろしいわ。



「ですが、其れは同時に、仲間である以上は誰よりも頼もしい――そうでしょう○○○○?」

「えぇ、その通りよ×××。」

偵察が目的だったのだけれども、まさかあの子がアレだけの力を秘めてると言う事には驚いたわ……鍛えればSSSランクの魔導師になる事だって夢じゃないわ。
加えてあの金髪の子……魔力ランクは大した事なさそうだけれど、あの巨体と剛腕から繰り出される一撃は強烈無比でしょうね……純粋な力なら最強クラスね。

何れにしても、ジュエルシードを巡る戦いが、混迷を極めるのは間違いない筈だわ。
時空管理局も、そろそろ動き出す頃だろうし……そう言う意味では、今回あの子達に出会ったと言うのは幸運だったわね……本当に、奇跡としか思えないわよ。

兎に角、アイツにジュエルシードを渡してはダメだから、私達も頑張るわよ…あんな狂気の実験を行わせる訳にはいかないのだからね……分かるでしょう×××?



「はい、言葉にされずとも分かって居ますよ○○○○。」

「ならばいいわ。」

16年前のあの日に生まれた、望みと絶望と歪んだ願いの末に生み出された化物……其れを打ち倒す事が私の使命だからね……必ず撃ち落としてあげるわ!!
今回は見逃したけれど次は無い――精々覚悟を決めておくと良いわ!!








――――――








Side:フェイト


うん……んん~~~~……あ~~~、目が覚めた~~~!!って、此処何処?
確か僕は、じゅえるしーどを追ってここにきて、それで大きな反応をきゃっちして、現場に向かったら大惨事の跡だったんだけど、どうしてこんな事に成っちゃったんだ
ろうね?

僕は只じゅえるしーどを集めるだけだけどね。

そういえば、あの子の名前を聞く事が出来なかったな……うん、次の機会に期待しよう。



にしても、あのこくいのまどーしは一体誰なんだよ!!
僕とあるふの攻撃をいとも簡単に防いで、更には追撃のサンダーレイジって……絶対にありえない!何でアイツが、お母さんの魔法を使えるんだ!絶対オカシイ!

何処の誰かは知らないけど、僕の前に立ち塞がるなら斬り捨てる。邪魔をするならブッ飛ばす!!


絶対に全部のじゅえるしーどを集めるんだ!!そうすれば、お母さんだって昔のお母さんに戻ってくれる筈だからね!!



「フェイト……」

「どったのあるふ?」

「ううん……フェイトがそう言うなら、アタシは其れに従うよ。」



うん!ありがとうあるふ!
絶対に全部のじゅえるしーどを手に入れてやるぞ……あの白い魔導師の持って居る分を奪い取ってでもね!!








――――――








Side:志緒


ふ~~~……まぁ、妙な奴が居たが、ジュエルシードを確保出来たって言う事を考えれば、まぁ結果オーライだろうな?こっちは全然被害がなかった訳だしよ。
尤も、だからって何かが解決した訳じゃねぇんだが、それでもやる気だけは人一倍あるのがX.R.Cのメンバーだからな……誰一人として退く筈がねぇさ。

ま、だからと言って俺達のやる事には変わらねぇがな。

しかしまぁ、疲れた温泉てのは言い得て妙だぜ……疲労がぐんぐん吸い取られて行く感じだったからな。――露天に来たのは正解だったぜ……って、うん?



「ふわぁぁぁ~~~!ヤッパリ露天は広いね!!」



!!!何で居やがるなのは!?
いや、露天は混浴って事だから、こう言う事は予想はしていたが……まさか、なのはが来るとは思っても居なかったぜ――ちと、油断しちまったかも知れねぇな。

「……よう。」

「……はい?……って、志緒さん!?何でここに!?」



あ~~~……一風呂浴びようと思って来たんだが、お前が露天を使って来る事は完全に頭の中から吹き飛んでたぜ……だけどまぁ、此処で鉢合わせたのも何か
の縁て言う事だろうから……まぁ、なんだ……精々ゆっくりして行けや?



「えと……そうさせて貰います……」



ったく、まさか最後にこんな事が起きるとは、思っても居なかったぜ。――だがまぁ、こう言うのも悪くはねぇから、ゆったり温泉を楽しむとすっか!!



因みに、この事で恭也さんにぶっ殺されるかも知れねぇと思ってたんだが、如何やらそうならないように桃子さんが何とかしてくれたみてぇだな……感謝だぜ。














 To Be Continued…