Side:志緒


ゆりかごの奥まで辿り着いて、ヴィヴィオを見つけ出したのは良いが、まさかヴィヴィオが大人になるとは思ってなかったぜ――しかも、大人
になるだけじゃなくて、クソッタレ共の手駒になっちまったみてぇだからな。

まぁ、だからと言って其れが如何した!
ヴィヴィオが手駒にされちまったってんなら、打ん殴ってでも正気に戻した上で取り戻すだけのこった!
そして、ヴィヴィオを正気に戻した後は、テメェ等が相手だから精々覚悟を決めておきやがれ最高評議会……テメェ等は滅殺なんてレベルじ
ゃ済まさねぇ……魂諸共この世から消し去らなきゃならねぇからな!!



「ですね……最高評議会は、滅殺!抹殺!!瞬獄殺ですよ!!!」

「見事な『殺』の三段活用だな。」

何にしても、先ずはヴィヴィオを何とかしねぇとだな。
簡単に倒せる相手じゃねぇだろうが、だからと言って退く気は毛頭ねぇ……俺となのはのBLAZE魂で、先ずはお前を助け出すぜ!!



「うぐ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!敵、排除する……!!」



操られて苦しんでるってか……少し待ってろや、直ぐにその苦しみから解放してやるからよ!












リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE141
『対決、ゆりかごの聖王~Vivio~』











つー訳でヴィヴィオとの戦闘が始まった訳だが……コイツは思った以上に手強いな?
基本は格闘だが、砲撃や魔力弾も普通に使ってくる上に、時には魔力で剣――俺のヴォーパルウェポンそっくりの大剣まで作って攻撃して
来やがるから、戦いの幅の広さがハンパじゃねぇ。



「ですね。
 唯一の救いは、操られて半暴走状態のせいで、夫々の技の完成度が低いって所です……あの戦い方で、技の完成度まで高かったら正
 直言って手が付けられませんから。」

「あぁ、基本的に大振りだから見切るのは難しくねぇからな――尤も、完成度の低さとは逆に単純な破壊力は相当なもんだから、真面に喰ら
 ったらヤバいかも知れねぇが……」

「……フェイトちゃんの全力突撃受けても意識を保ってられた志緒さんなら大丈夫な気がしますけどね。」

「……そりゃあ、否定できねぇがよ。」

まぁ、大振りの攻撃なお陰で真面に喰らった攻撃は一つもねぇんだが、戦い方以上に厄介なのがヴィヴィオの頑丈さだ。
こっちの攻撃は何発かヒットしてるってのに、ダメージを受けた様子がまるでねぇ……其れこそ、俺のイグニスブレイクが全弾真面に入って
も構わず攻撃して来やがったからな。
攻撃に耐えるのは、スーパーアーマーって事にしても、スーパーアーマーてのは攻撃を受けても怯まないだけで、ダメージを受けねぇ訳じゃ
ねぇ……だってのにノーダメージってのは、どんなカラクリが有るってんだ?



『クハハハハハ!苦戦しているようだね、高町なのは、高幡志緒!
 まぁ、其れも当然だろう。聖王様には無敵の『聖王の鎧』があるのだから、君達の攻撃など通じんよ。
 『聖王の鎧』は、ゆりかごの聖王が外的と戦う際に纏う物であり、その攻撃はあらゆる攻撃を通さない最強の盾――そして、この現代にそ
 れを打ち砕く事が出来るモノは存在しない。
 つまり、お前達ではゆりかごを止める事は出来ない――動力炉もグリードと化している以上、動力炉の破壊に向かった者達もお終いだ。
 大人しく朽ち果てろ、目障りなゴミ共が!!』




脳味噌……言ってくれるじゃねぇか。
だが、聖王の鎧ってのがあの異常な防御力の正体か……確かにスーパーアーマー+ダメージ無効ってのは無敵で最強の盾かも知れねぇ
が、其れは単純に聖王の鎧とやらをぶち抜く事が出来る攻撃が無いからだろ?
攻撃が通らねぇってんなら、通るようにすればいいだけの事だろうが!



――ガッ!!

――グビッグビッグビッ!!!




「志緒さん!?……あの、腰の徳利の中身を一気に飲み干して……中身は一体……」

「心配しなくても酒じゃねぇ……グロリアスEXだ。」

「えぇ!?あんな強力な強壮剤をそんなに飲んで大丈夫なんですか!?」



大丈夫じゃなかったらやらねぇよ。
其れに、お陰で漲って来やがったからなぁ……俺と戦うってんなら、此処からは覚悟を決めやがれ!今の俺は、ラスボスよりも強いぜ!!



――轟!!



「!!」

「志緒さんが、炎のオーラを纏った……?」



制限時間付きの強化状態って奴だ。
持続時間はクロスドライブよりも短いが、その分強化率はこっちの方がたけぇからな……一気に行くぜ!ドォォォォラァァァァァァァ!!!



「!!」

「驚いてる暇があんのかオラァ!!」

踏み込みからヴォーパルウェポンを叩きつけ、其れを避けたヴィヴィオを強引に掴んで頭突きをブチかまし、更にラリアットをブチかます!
ドンだけ聖王の鎧とやらが強力でも、鍛えようのない喉笛への攻撃は効く筈だからな。



「ガッ……!?」

「攻撃が効いてる?」

『馬鹿な、聖王の鎧を抜くだと!?』



如何やら、許容量を上回るダメージを叩き込めば聖王の鎧だって耐えられねぇみたいだな?――なら此のまま攻め続けて、聖王の鎧をぶっ
壊すだけだぜ!!
行くぞオラァ!!


――ドッ!ガッ!!ガアァン!ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!ドッカーン!!!


肘打ちから裏拳、アッパーカットのコンボを叩き込んでからの、右手オンリーの連続パンチ!それも、只のパンチじゃなくて炎を纏わせてヒッ
トと同時に爆発するバルカンパンチだ。



「がぁ……!!」

「防護服が破損した……許容量を超えたダメージが発生したみてぇだな?――今だ、ぶち抜けなのは!!」

「はい!貫け、ハイペリオンスマッシャー!!

『Hipparion Smasher.』



――ドッガァァァァァァァァァァァン!!!



おし、良い一発だぜなのは!
此れだけの一撃を喰らったら、許容ダメージを越えた聖王の鎧は砕ける筈だからな――だが、もうちっと手加減しろや、下手したら俺も巻き
添えになってたぜ?



「其れは分かってましたけど、志緒さんだったら直撃しても大丈夫だと思って撃ちました。
 そもそもにして、お父さんやお兄ちゃんと互角に渡り合える志緒さんが、この程度でくたばるとは到底思えませんし。」

「俺だけじゃなく、そもそも士郎さんと恭也さんが人外認定かお前の中では。」

確かに士郎さんと恭也さんは、相当に強いからな。
だがまぁ、今の一撃は威力を減らす事なくヴィヴィオに直撃したから、聖王の鎧は何とかなるかもな――尤も、何とかならなかったそん時の
事はその時考えるけどよ。

取り敢えず、先ずは土煙が収まるのを待つのが吉だぜ。








――――――








Side:ギンガ



まさか、ゆりかごのメインエンジンがグリード化してるとは思わなかったけど、だからと言って苦戦するかと問われればそれは絶対にノーと言
う事が出来るわ。
確かに、グリード化した動力炉は難敵かも知れないけど、だからと言ってヴィータさんや三月、そして私が居れば倒せない相手じゃない。

相手が強い程燃えるとは言いますけど、正にその通りですねヴィータさん?



「マッタクだぜギンガ。
 だが、コイツは絶対にぶっ倒す!!テメェは、この世に存在しちゃならねぇ存在だからな……此処でぶっ壊して、二度と再生できない様に
 してやろうじゃねぇか!!」

「この、トーレ・ザ・インパルス様を舐めんなよ?
 俺の前では、テメェ等なんぞハナクソだぜ――纏めて冥府に送ってやるぜ!!!」



そして、現場の闘気が高くなるだけ私達も強くなる――だから、私達に負けは有り得ません!!
志緒さんとなのはさんがヴィヴィオの奪還に向かってる間に、グリードと化した動力炉を完全に破壊します!――動力炉破壊は、此処から
がメインイベントです!!








――――――








Side:志緒


俺が聖王の鎧とやらを無理やりぶっ壊して、其処になのはがハイペリオンを打ち込んでヴィヴィオを吹き飛ばしたが、如何にも其れで終わる
とは思えねぇ……
普通なら、俺達の勝ちだが――



「あ……ぐぅぅぅ……」



目の前には椅子に縛られているヴィヴィオが!!
俺達の連携を耐えぬいたのには驚きだが、どうやって玉座に戻った?――しかも、其処で苦しみ方が変わりやがった……まさか、最高評議
会の連中が何かしやがったな!!



『大正解だよ高幡志緒!
 君の言うように、我々が関わっているのは間違い無い……ゆりかごの聖王の真の力を、今此処で解放したと言う訳だよ!』




「なに?」

「如何言う事?」



『こう言う事だ!聖王様、この力をお受け取り下さい!』

「?ぐ……あぁぁ…あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁ!!」



――轟!!!



『…………!』



――10S級オメガグリード・ゆりかごの聖王



「「!!!」」


コイツは、ヴィヴィオがグリード化しただと!?……テメェ、何処までもふざけた事をしてくれるじゃねぇか最高評議会さんよぉ?……事が済ん
だらテメェ等は滅殺だ、クソッタレが!!



『……パ………マ……』

「この声は、ヴィヴィオ?」



っと、此処でヴィヴィオの声だと?
グリードと化した事で、自我は消えちまったと思ってたが、お前はギリギリでも意識を保ってたのかヴィヴィオ――ったく大したモンだぜ。



『……がい……助けて……パパ……ママ……!』



そしてここで助けてくれか。ヴィヴィオ。
よく言ったぜヴィヴィオ。だがな、テメェ……何を当たり前の事をぬかしていやがる馬鹿野郎!!

俺となのはがお前を助けねぇ筈がねぇだろうが!!――絶対に助け出してやる……だからもうちょっとだけ待ってろや!!



「私と志緒さんが力を合わせれば敵は無い……だから、待っていてねヴィヴィオ!!」

「多少荒っぽくなっても、テメェの仲間を助け出すのがBLAZEだからな……!!」

まさかヴィヴィオがグリード化するとは思ってなかったが、逆に言うならこのヴィヴィオを制圧すりゃ脳味噌共には残された戦力なんざ数の内
じゃねぇからな。

まさかの第2ラウンドになっちまったが、これがファイナルラウンドだ――派手に燃やしてやんぜ!!!











 To Be Continued…