Side:志緒


最高評議会の魔導師どもはぶっ飛ばしたし、ガジェット共もぶっ壊してやったが……ヴィヴィオを奪われたって事を考えると、俺達は試合に勝
って勝負に負けたって所だろうな。
だが、負けたなら次に勝てば良いだけのこった!
ヴィヴィオに関しても、攫われたってんなら、取り戻せば其れで済む事だからな!!



「そーだー!シオのいうとーり!
 なによりも僕達はまけてない!負けてないからもんだいない!!あいつらをぶっとばして、びびおをたすけだす!それだけだーーー!!」

「いや、幾ら何でも脳筋過ぎでしょ其れ……」



はっ、今更何を言って居やがる四宮?
俺達X.R.Cは、何時だって『考えるよりも先に動く』のが基本だったじゃねぇか?――なら、今回も其れに習うだけのこったぜ!!ヴィヴィオを
攫ったクソッタレには、相応の一撃をブチかましてやらねぇと気が済まねぇからな?
そうだろ、なのは!



「勿論ですよ志緒さん……ヴィヴィオを攫った奴には、全力全壊で因果を応報させてやる心算ですから。」

「ふ、そう来なくちゃな!!」

其れでこそなのはだぜ!
最高評議会の連中が何を考えてるかは知らねぇが、テメェ等は自ら破滅のスイッチを押しちまったぜ?――なぜなら、テメェ等は俺となのは
の事を本気で怒らせてくれたんだからな!!

精々覚悟してな、俺となのはの――否、俺達全員の魂の焔を、テメェ等にブチかましてやるからよ!!












リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE138
『最終決戦の序章~ゆりかご起動~』











さぁてと、最終決戦は目前だから、確りと力を付けとかねぇとな?
と言う訳で、俺の得意料理である丼飯の大盤振る舞いだ!!カツ丼にスタミナ丼、天丼に牛カルビ丼、幾らでも取り揃えてるから好きなだけ
注文しろや!!



「うん!巧い!これならいくらでもいけるよ僕は!!」



――バクバクバクバクバク!!



……フェイトの奴はもう少し落ち着いて食えって言いてぇが、まぁある意味では一番食事を楽しんでるから問題はねぇか?――フェイト、食事
を楽しんでるか?



「も?」

「頬袋……ハムスターかテメェは……あ~~……旨いか?」

「……!」(こくこく)



なら良いが、詰め込み過ぎて喉に詰まらせるんじゃねぇぞ?喉に詰まらせると、色々面倒だからな。
――にしても、ヴィヴィオを攫った連中から、何のアプローチもないってのは不気味だな?ヴィヴィオが重要なファクターだとするなら、其れを
手に入れたら何か言ってきそうなもんだが……



――ザザ……ザザザ



ん?
ニュースが流れてた光学モニターの映像が乱れてるだと?光学モニターの映像ってのは余程の事がねぇと乱れる事はねぇって話だったが、
其れが乱れるって事は、まさか電波ジャックか!



『此れは此れは御機嫌麗しゅう、ミッドチルダの諸君、私の名は……そうだな、安直ではあるが『ミスターX』とでも名乗っておこう。
 行き成り何事かと思うだろうが、これは我が組織から時空管理局への宣戦布告――否、其れは語弊があるか?既に此れまでにガジェット
 を使ってのテロ行為を何度も起こして来たからねぇ?
 まぁ、良い。これはつまり最終決戦の通達と言う事だ――諸君、上空を見給え。』




白々しい事しやがって、どうせコイツも最高評議会のメンバーだろうが!
其れに空を見ろだと?……一体何がある――

「ってオイ、何だありゃあ?」

「馬鹿デカい船……戦艦か?だけどあの大きさ、どう見ても……」

「うん、普通にアースラよりも大きいよ洸君。」

「あんなの持ち出してくるとか、流石に有り得ないでしょ?ってか、なんで今まで誰も気付かなかった訳?」

「光学迷彩ステルスが施されていたか、或いは今この場に魔法で転移させたと言う所でしょうね此れは。」



コイツが行き成り現れたカラクリに関しちゃ、柊の言う事が正しいだろうな。
だが、態々正体隠してこんなモンを持ち出して来たって事は、俺達やスバル達をコイツで叩きのめして邪魔者を一掃した上で、コイツを最高
評議会の魔導師にぶっ壊させ、市民からの支持を得ようって魂胆だろうな……舐めやがって。
そんな見掛け倒しの玩具で、俺等を倒せると思ってんじゃねぇ!!



「いや、アレは見せかけではないぞ高幡。」

「見せかけじゃねぇ?如何言うこったシグナム?」

「アレは、戦乱期のベルカで造られた最強最悪の決戦兵器『ゆりかご』――起動したが最後、玉座に座した聖王の命が尽きるまで攻撃を続
 けると言う、悪魔のような決戦兵器だ。」

「マジかオイ……!」

ある意味で、俺達の世界の核兵器よりも最悪の兵器じゃねぇか其れは!搭乗者の命が尽きるまでってのも、真面な発想じゃないぜ。
って、ちょっと待て『玉座に座した聖王』って言ったか。



「言ったがそれが何か……」

「おいアルフ、敵さんはヴィヴィオの事を何て呼んでたって言った?」

「え?え~~っとね、『聖王の器』って言ってたような……」

「「!!!」」


なのはも気付いたか!
ヴィヴィオが『聖王の器』だって言うなら、ヴィヴィオを聖王と化して、ゆりかごとやらの起動スイッチにするのは間違いねぇ!――そんな事に
なったらヴィヴィオが死んじまうだろうが!!



『此れは戦乱期のベルカが生んだ最悪の決戦兵器『ゆりかご』――此れが起動すれば、ミッドチルダはモノの数時間で焦土と化すだろう。
 だが、我々とて鬼畜ではないので諸君に選択肢を与えてやろう。
 此れより24時間以内に、時空管理局の提督であるレティ・ロウランを此方に差し出せば、我々は大人しく引き下がろう――が、此方の出し
 た条件を飲まなかった場合、諸君等に待っているのは破滅と言う事を覚えておきたまえ。
 時空管理局の諸君が、理性ある選択をする事を切に願って居るよ――アハハハハハハハハハハハハハハ!!!』




野郎……ふざけた事をぬかしやがって!
とは言え、此のままだとレティさんがあぶねぇ……最高評議会の連中が、その首を取りに行く可能性は可成り高いし、多勢に無勢なんて事に
なったら、幾ら実力者揃いのナカジマ六姉妹だって可成りきついだろうからな?
何とかして、助け出さねぇと!!



「その心配には及ばないわよ高幡君。」



この声は……レティさんか!
アンタ、如何して此処に……



「私とジェイル・スカリエッティは内通していて、共通の目的の為に裏で協力してたのは知ってるでしょう?
 だから、もしもの時の事を考えて、私とN2Rが此方に一時的に合流する手筈は整っていたのよ――今頃、私を狙って来た連中は、二乃さん
 のピアッシングネイルの餌食になってるんじゃないかしら?」

「さらりと恐ろしい事言わないで下さいレティさん。」



マッタクだぜ……ったく、アンタは本気で色々とトンデモねぇな?
まるで、この事態が起こる事を予想してたみてぇな対応だが……完全に予測してたって事は無くとも、ある程度は『最終的にはこうなる』って
のを予測してたんだよなアンタは?
そうでなけりゃ、これだけの迅速な対応は出来る筈がねぇからな。



「ふふ、貴方は相変わらず勘が鋭いわね高幡君。
 確かに貴方の言う通り、私はある程度の事を予測していたわ――尤もこれには、聖王協会の騎士である『カリム・グラシア』の力が大きい
 のだけれどね。
 彼女には未来を予測する力がある――其れを使って、少し先の未来を何度も見通して貰ったの。
 未来は無数に存在する物だから、見るたびに違う結果が出る――それらを纏めて、そしてその中の最大公約数の可能性を辿っていけば、
 限りなく未来を絞り込む事が出来る。
 そうして、予測を立ててきた結果よ。」

「ねぇ、それってすごいのいちか?」

「普通に凄いでしょうね……仮に100通りの予測が出たとしたら、その100通りを重ねて、重なる部分を全て抜き出して、其処から最大公約
 数となる予測を導き出すのですからね?
 並の人間だったら間違いなく精神力が尽きますよ。」

「だよねぇ?
 アタシも暇だったから畳の目を数えた事有るけど、139万6354個まで行ったあたりで精神力が尽きたからね。」

「いや、お前は何をしてんだよ璃音……」



……まぁ、レティ提督がスゲェってのは良く分かったが、其れで此れから如何すんだ?
連中がアンだけのモンを出して来やがったんだ、黙って指咥えて見てるなんて事はねぇだろ?――もしそうなら、態々こっちに来るなんて言
う事はねぇからな?



「24時間の猶予があるなら、その間にアレを落とす――ですよね、レティさん?」

「えぇ、その通りよなのはさん。
 準備は出来ているでしょう、Mr.スカリエッティ?」

「あぁ、勿論出来ているよロウラン女史。
 其れと、朗報だが君の身代わりとして局内に残った二乃だが、刺客を全て返り討ちにして管理局を脱出して此方に向かっているそうだ。
 ゆりかごを持ち出した事で、最高評議会は勝利を確信してるのかも知れないけど、流れは寧ろ私達の方にあると言える。
 な・ら・ば、この勢いに乗って、ゆりかごを落として、連中にトドメを刺すのが、一番だ!!」

「……一々オーバーアクションするんじゃねぇ此のマッド。殴んぞ?」



――メキャ!



「だから、殴ってから言わんでくれるかねヴィータ君!!」

「あ?テメェこの程度じゃ死なねぇから大丈夫だろ。」



ったく、最終決戦間近だってのに緩い空気だぜ……だが、其れが逆に良いぜ――変に緊張する事無く、自然体で物事に当たる事が出来る
からな。
オヤッさんも、『蕎麦打ちに力は必要ねぇ、必要なのは自然に入る力だ』って言ってからな。

何にしても、此処からは俺達とアンタ等が正式に共同戦線を張るって事で良いんだろレティさん?



「えぇ、その通りよ高幡君。
 時空管理局提督レティ・ロウランの私設部隊であるN2Rと、Mr.スカリエッティの私設武装組織BLAZE、そして異世界から訪れし最強の部隊
 X.R.Cは、これより共同戦線を張り、ゆりかごの撃墜に向かいます。
 敵は最強最悪の決戦兵器だけど、必ず勝つわよ!!」

「「「「「「「「おーーーーー!!!!」」」」」」」」(鍵カッコ省略)


言われるまでもねぇ……アレをぶっ壊して、ヴィヴィオを取り戻すのが俺達の目的だからな!!



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つー訳で、最終決戦のチーム分けが決まった訳だが……


・ゆりかご突入組(ヴィヴィオ奪還チーム):高幡志緒、高町なのは
・ゆりかご突入組(動力炉破壊チーム):三月スカリエッティ、ヴィータ、ギンガ・ナカジマ
・ガジェット討伐及び市街地防衛チーム:上記以外の全員



幾ら何でも大雑把過ぎねぇか?……まぁ、分かり易いっちゃ分かり易いし、面倒な事はしなくて済みそうだけどよ――尤も、どんなチームであ
っても、最高評議会をぶっ倒すのには変わりねぇがな!!



「そうですね……全力全壊で行きましょう!!」

「俺達の前に立ちふさがる奴等は、塵も残さずに粉砕してやんぜ!!!」

そんじゃまぁ、始めるとすっか――最終決戦って奴をな!!








――――――








Side:レティ


漸く此処まで来たけれど、此処から先は私でも朧げにしか予測できなかった未来だわ……其れでも、その未来へと突き進む価値はあった。
この戦いに勝てば、最高評議会は如何足掻いた所で消滅する……尤も、其れを成す為に随分な事をしてしまったから、全てが終わったその
時には、私が裁かれる立場になってるのかも知れないけれどね。

でも、其れでも良い――其れで管理局が真面な組織に戻るのならばね。


さぁ、これが最終決戦よ最高評議会?……世界が選ぶのは貴方達か、其れとも今を生きる者達か、其れを決めましょう!










 To Be Continued…