Side:ティアナ


そんな……兄さんはあの日に死んだ筈だ……其れなのに、なぜ貴方が此処に居るティーダ・ランスター!



「何でって、若しかして、俺の事は何も聞かされてない?
 ……全くもって、あの人のやり方は徹底してるな……まぁ、ナカジマ6姉妹もお前の事は知らされてなかったみたいだし、敵を騙すには先ず
 味方からって事なんだろうな。」

「如何、言う事?」

「俺は確かに公式記録では、あの日殉職した事になってるけど、実際には死なずに生きて居たって訳さ……まぁ、死に掛けたのは間違い無
 いけどね。
 そもそも俺が消されそうになったのは、最高評議会にとって不都合な情報を知ってしまったからであり、その情報はレティ提督が最高評議
 会を潰す為に欲しがっていた物でもあった――だから、彼女は俺を助け、世間的には死んだ事にした上で自分の密偵としていたんだ。
 そして、お前には俺を殺した犯人が最高評議会である事を教えた上で、最高評議会の誘いに乗って連中の仲間になったふりをしながら内
 情を調べさせていたんだ――表向きにはナカジマ姉妹達との対立をさせながらね。
 まぁ、お前が異界とか言うモノを操る力を身に付けていた事には驚いたけどな……」



……レティ提督は全て知って居たって言う事なのね……用意周到と言うか何と言うか……でも、確かに兄さんが生きてるって事を知ったら、
アタシは最高評議会への恨みは此処まで深くならなかったかもしれない。
そして連中に対する負の感情が大きい程、逆に冷静に立ち回る事も出来る……アタシも、兄さんも、そしてスバル達も、完全にレティ提督の
掌で動かされてたって訳か。



「まぁ、そう言う事になるかな?
 取り敢えず、兄妹の再会は此処までだ。お互いにこんな所を見られたら拙いからね――全てが終わったら、その時にゆっくり話そうティア。
 お前の力の事も、その時に話してくれればいいさ。……じゃあな。」



あ、待って兄さん!……一瞬で消えるなんて、転移魔法をも習得してるって事ね。
でもまさか、兄さんが生きてたなんて……貴女は一体何処まで先を見通して、ドレだけの手を打っているんですか、レティ・ロウラン提督――













リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE136
『~レブエマノツメハ~戦激』











Side:志緒


ったく次から次へとぞろぞろと現れやがって、ガジェットとか言うポンコツ野郎が!!
AMFとか言う不可視のバリアのせいで、局側の魔導師は苦戦を強いられちまってるしな……まぁ、そんなモンは俺等に限っちゃ関係ねぇ!
オォォォラァァァァァァ!!!



――バキ!ドガン!!グシャア!!!



「……俺達はドクターが開発した『AMFキャンセラー』がデバイスに搭載されてるから良いとして、アイツのデバイスは其れ付けてねぇよな?」

「まぁ、志緒先輩に小細工は通用しないって事だよ三月ちゃん。」

「あ~っはっは~~!シオのまえにばりあなんていみがない!なのはのほーげきにもバリアなんていみがない!!」

「………」(思い切り頷く)



まぁ、これ位のバリアなら、力任せにヴォーパルウェポン叩きつけりゃぶっ壊れるからな。
AMFは物理攻撃には意味がねぇし、ヴォーパルウェポンほどの質量のある武器なら、多少はバリアで軽減された所で、その重量でもって対
象を叩き潰す事が出来るからな。



「すごいぞシオ~~!あ、でも其れだと、てきがさらにきょーりょくなばりあをカイハツしてきたらヤバいかなぁ?」

「大丈夫だよフェイトちゃん、志緒さんならきっと気合で何とかなるから。」

「きあいで?……


 (『う!ざっ!!ってぇ!!!』――バリーン!!)


 うん、シオ超強い。」



フェイト、テメェ一体どんな想像をしやがった?



「うむ、何となく分かる気がするぞ蒼雷の勇者よ。」

「リインも何となく分かったです!」

「志緒先輩だからなぁ……」

「志緒先輩だからねぇ……」

「お前、一度ドクターに身体解析して貰った方が良いんじゃねぇか?若しかしたら宇宙人かも知れないぜ。」

「(‐‐)bグッ!」



そして納得すんな!!
少なくとも俺となのはは普通……じゃないかも知れねぇが、あの白い龍の力を受け継いだだけの人間であって、断じて宇宙人とか改造人間
とか人造人間じゃねぇからな!!



「私の場合、改造人間ってのがちょっと否定できないかも……生体CPUとは言え、身体に色々埋め込んでるし。」

「……オメェの場合は仕方ねぇだろ?生きる為だったんだから。
 其れに、オメェの場合は、改造人間じゃなくて……アレだ、強化人間?……其れも違うか?……兎に角、改造とかしてる訳じゃねぇから違
 うだろ?――ペースメーカー入れてんのと同じだ!アレを埋め込んだ奴を改造人間とかサイボーグとは言わねぇからな。」

「あ、成程そう言う事ですね。」



そう言うこった。
が……隙を晒してやったにも関わらず、後からしか襲えねぇチキン野郎に、俺の首が取れると思ってんのか最高評議会の魔導師さんよ?



「貴様、気付いていたのか……!!」

「わりぃな、これ位の事を気付く事が出来ねぇと、不良グループのヘッドを務めるこたぁ出来ねぇんでな?……尤も、一馬だったらもっと前に
 感付いてただろうけどな。」

でもまぁ、そっちから誘ってくれたダンスなんだ、先に踊り疲れるなんてのはなしだ、ぜ!!



――ドゴォォォォォ!!!



「ゲピィ!?」


「志緒先輩のボディブロー……バリアジャケットが無かったら、絶対に内臓破裂で即死だな。」

「逆に即死しないから、死ぬほどの痛みを感じる訳だけどね~~~……志緒先輩、即死コンボをお願いします!!」



玖我山……即死コンボってーと、更にボディブローかましてネックハンキングで釣り上げた所に頭突き2発かまして、そんでもってトドメはジャ
ンピングパイルドライバーって所か?
取り敢えず、死ねやオラァ!!!



――ズドォォォォォォォォォン



パイルドライバーは日本語で『脳天杭打ち』って言われる技だからな、その名の通り脳天を地面に突き刺してやったぜ!……まぁ、これまで
の戦闘でコンクリに罅が入ってたから出来た芸当だけどよ。
まぁ、其れでもコイツの頭蓋骨には罅くらいは入ってるかもしれねぇけどな。



「ガジェットに紛れて……ホントに真正面から挑む事が出来ないんだね?その程度の度胸で私達に勝とうなんて甘すぎるよ。」

「あ~っはっは~~!おまえたちなんて、僕達のまえではごみくずだーー!いや、ごみいかのよわむしだー!!まとめてふっとんじゃえー!」



……んで、俺の即死コンボが霞む位に、最高評議会の魔導師共を砲撃と雷撃で滅殺してる(非殺傷設定だから死んじゃいねぇが。)なのは
とフェイトも相当ハンパねぇ訳だな。

まぁ、リインフォース姉妹は言うまでもなく問題ねぇ……ツヴァイがアインスにユニゾンしたら、俺でも勝てねぇだろうしな。
三月と七緒は抜群のコンビネーションだし、時坂と玖我山も阿吽の呼吸で敵をぶっ倒してる――ナカジマ6姉妹も夫々がテメェのポジションを
確りと理解して、姉妹ならではの連携で戦ってるしな。

こっちの方は問題ねぇだろうが、気になるのはアルフの方だ。
アイツの実力なら、守護騎士レベルの相手が出て来ない以上は負ける事はねぇだろうが……何だか妙な胸騒ぎがする――頼むぞアルフ、
どんな形でもいいから、必ずヴィヴィオをアジトに連れて帰ってくれよ……!!








――――――








Side:アルフ


予想はしてたけど、やっぱりガジェット共が追跡して来たか……ぶっ壊せない相手じゃないけど、ヴィヴィオを護りながら戦うのは難しいね?
なら、此処は戦略的撤退って奴だ。


――バシュン!!



「わ!アルフが狼になった!!」

「さっさと背中に乗りな!こっちの方が人間の時よりもスピードが出るから、これでアイツ等を振り切る!絶対に落とされるんじゃないよ!!」

「うん、分かった!!」



よ~しよし、良い子だ。
そんじゃあな、悪趣味な機械人形共!!狼形態でのアタシのスピードは、マックスで時速300kmを越えるんだ、本気を出したフェイト以外に
は追い付けないよ!!
そして、魔力シールドでヴィヴィオを風圧やGからガードする事も忘れないってね!



「すごーい!アルフはやーい!!」

「そうかい?でもね、フェイトの本気はもっと速いよ?」

「そうなの!?すごいね~~!!」



その代わり、フェイトは頭が大分残念なんだけどね……其れでも、死に掛けてたアタシを助けてくれた、大切なご主人様なんだけどさ。
さてと、ガジェット共は大分引き離したし、これなら追い付かれる事も無いから、此のままアジトに――



――ドォォォォォォォォォン!!!



とは、行かないか流石に……まさか、ゴール直前でこんな奴が出てくるとはね。



『ギシャァァァァァァァァァァァァァァァァ!!』


――A級エルダーグリード:カオスレイヴン




A級のエルダーグリードと来たか……!
実力的にはアタシの方が上だけど、こっちの攻撃が効かない相手じゃ倒しようがない……クソ、こんな事ならコウかリオンのどっちかに一緒
に来て貰うんだったね。

けど、こうなっちゃったものは仕方ない……コイツを何とかやり過ごしてヴィヴィオをアジトに連れ帰る。其れがアタシの役目だからな!!

その役目を果たす為に、精々足掻かせて貰うさ――行くぞデカブツ!!
茜色の犬狼の意地、見せてやろうじゃないさ!!――ヴィヴィオはアタシが守る、志緒と約束した以上、其れは絶対だからね!!











 To Be Continued…