Side:志緒
エリオとキャロが保護したガキンチョ、もといヴィヴィオを保護して数日が経つんだが……如何やら、俺となのははすっかりヴィヴィオに懐かれ
ちまったみてぇだな?
まさか、意見公聴会に行くってだけで『行っちゃヤダ』って大泣きされるとは思ってなかったぜ。
「完全に懐かれちゃいましたね此れは……まさか、此処までべったりになるとは予想外でしたよ。」
「コイツは俺も予想外だったぜ。」
まさか、此処までとは思わなかったからな……仕方ねぇ、此のままじゃ埒が明かねぇから連れてくか。
アジトの警備に何人か残るとは言え、会場には俺となのはの他に時坂と玖我山、フェイトとアルフにリインフォース姉妹、其れから三月と七緒
が行くから充分ヴィヴィオの護衛は出来るからな。
ったく、相変わらず俺は子供には甘いみてぇだな。
まぁ、締める所は締めるし、人としてやっちゃならねぇ事をした場合には、説教だけじゃなくて俺の鉄拳が炸裂すっけどよ。――流石に本気じ
ゃなくて、可成り手加減してるがな。
つーか、俺が本気で打ん殴ったら、相手はモザイク確定だからよ。
「なはは……流石の志緒さんですね。本気で最強の人類かも知れませんよ。
でも、物理最強の志緒さんと魔法最強の私が一緒なら、誰が相手でも負ける気はしません――ヴィヴィオは私達が守る、そうですよね?」
「はっ、言われるまでもねぇこった!!」
アイツを守って救ってやれって、俺の中のBLAZE魂が、そう叫んでるからな。
行くぜなのは、最高評議会の連中がどんな謀略を巡らせてるかは知らねぇが、俺とお前なら、其れを越える事は難しくねぇからな……最強と
謳われたコンビに喧嘩を売った代償、払って貰うから精々覚悟してな!!
リリカルなのは×東亰ザナドゥ 不屈の心と魂の焔 BLAZE135
『崩壊の序曲~意見公聴会~』
そんなこんなで、意見公聴会とやらにやって来た訳だが、会場の警備に当たってたのがナカジマ六姉妹だったお陰で、特に問題もなく会場
内に入る事が出来たぜ。
ヴィヴィオの事はバレないように、髪を三つ編みにして帽子被せて伊達眼鏡かけさせてっけどな。
「なのはちゃんやヴィヴィオちゃんの眼鏡は良いとして、その服(シオS・ウェア)でアーバングラス装備した志緒先輩って、普通にヤクザ……
鷹羽組の次期若頭とか言っても通じるかも。」
「確かに。体格もあの若頭の人といい勝負だしな。」
「ヤクザじゃなくて、俺は蕎麦屋だ。」
ったく、強面なのは認めるが、俺は堅気だからな。
しかしまぁ、意見公聴会ってのがどんなモンかと思ったが、コイツは意見公聴会の名を借りた管理局の派閥戦争の議論会だな?どいつもこい
つもテメェの利になる事しか言いやしねぇ。
しかも、欲望丸出しの事を口にしながらも、『市民の為に』って言う事を織り込んで話してるから性質が悪い事この上ねぇ……ったく、こんな連
中が政治の中枢に居るんじゃミッドチルダは腐っちまうぞ?
腐敗の原因は最高評議会とやらなんだろうけどな……コイツは、レティさんが最高評議会をぶっ潰そうとする訳だぜ。
なぁ、なのは?
「ですね……幾ら何でも酷過ぎます。
旧アースラのクルーや、レティさんのような人達だけで管理局は運営するべきです――そもそもにして政治、軍部、医療の三権分立が出来
てない時点で管理局は駄目ですよ。」
「なのはちゃんの言う通り!
今の管理局は、主要な権力を全部一人で持ってる状態だからね……権力ってのは目的別に分けないとダメっしょ?学校でも、そう習ったし
ね~~。フェイトちゃんだって、分かるでしょ?」
「さんけんぶんりつってなに?」
「其れ位分かっておくれよ、フェイトォ……」
……フェイトに聞く事が間違ってんぞ玖我山。
「レティ・ロウラン提督に伺いたい!
今現在、貴女が所持している……否、貴女の私設部隊と言っても過言ではない『N2R』は、部隊人数に対しての保有ランクが規定をオーバ
ーしている上に、訓練校のトップクラスを根こそぎ持って行くとはいかなるお心算か!」
「如何言う心算か、ねえ?
そうね、彼女達の様な若くて才能に溢れる将来有望な子達を、貴方の様な自分の利の事しか考えてない人達がいる所に放り込みたくなか
ったから、私が纏めて貰い受けたのよ。
其れに、保有ランクがどうのこうの言っていたけど……確か最高評議会の部隊には、法律で禁止されている質量兵器が配備されていたわ
よね?……果たして問題なのは一体どちらかしら?」
「黙れ女狐が……貴様の部隊は、明らかに規定違反だ!厳罰は免れんぞ!!」
「その言葉、そのままお返ししますわレジアス中将。――其れと発言には気をつけた方がよろしいですよ?
貴方は将官とは言え、提督である私の方が階級は遥かに上なのですから、不用意な発言は不敬罪に当たる事も有りますからね。」
んで、会場ではレティさんが攻撃対象になったが、其れも何のそのだなレティさんは。
カウンターって訳じゃないが、最高評議会の方が違法な事をしていると暴露し、そんで噛みついて来たレジアスとか言うオッサンには階級を
盾にとって対応するか。
リンディさんは現場での指揮官って感じだったが、レティさんは政治方面で力を発揮するって感じかもな――実際に、はやてと守護騎士達が
闇の書事件の後で無罪放免になったのはこの人のおかげだしよ。
「逆に最高評議会には問いたい事があるわ。
8年前に起きたある事件――当時管理局の新鋭の魔導師として、僅か11歳でも着実にキャリアを積み上げていた『高町なのは』を如何な
る考えのもとに殺害しようとしたのかしら?――あぁ、あの事件は最高評議会が起こしたって言う事は調べがついてるからしらばっくれても
無駄よ。其れに関しての音声データも入手しているからね。」
「貴様、何処で其れを!!!」
「はい、ご苦労様……この程度のブラフに引っ掛かるなんて、三流ね?
でも、今のは確りと録音させて貰ったわ……此れで、最高評議会が『高町なのは殺害未遂事件』に関わってるのは確定したわ……さぁ、キ
リキリ吐いて貰いましょうか?」
「女狐が……こうなっては仕方あるまい――やれ!!」
っと、此処でレティさんが8年前のなのは撃墜事件を持ち出して、その犯人は最高評議会って事をぶっちゃけたか。しかも、ブラフを張って相
手を自滅させるおまけ付きだ。
其れにブチ切れた髭親父がテメェの配下に指示を飛ばしたが……させるかよ!!
「フレアスラッシュ!!」
「ディバインバスター!!」
「ブリリアントレイ!!」
「スティンガー!!」
「ぶっとべー!光翼斬!!」
「やらせるか、フォトンランサー!!」
「刃持って血に染めよ……穿て、ブラッディダガー!!」
「エルシニアダガーです!!」
「テメェ等の好きにはさせねぇぞ!!……七緒も、テメェ等は許さねえって言ってるからな!!」
「………」
俺達の一斉攻撃で髭親父の部隊を一撃滅殺!
よう、久しぶりだなレティさん?元気そうで安心したぜ……こっちでは10年も経ってるってのに、見てくれが10年前と変わってねぇ事には驚
いたけどよ。
「志緒君、其れになのはさん達も……如何して此処に――なんて聞くまでもないわね、はやてさんの差し金かしら?」
「有体に言えばそうなりますね……はやてちゃんは、意見公聴会で何かが起きるって言ってましたから。」
「マッタク、彼女の勘の鋭さには脱帽するわ。
でも今のはグッドよ?……少なくとも会場の監視カメラには最高評議会派閥の奴が、私を殺そうとした事が記録されているのだから。
後は、これをネタに最高評議会を追い詰めて崩壊させるだけ――とは言っても、害悪の中枢である脳みそを叩きのめす必要はあるけど。」
ま、脳味噌共が生きてたら、最高評議会を潰しても意味はねぇからな――なら、この機に乗じて脳味噌共をぶっ殺してやんぜ!!
つっても先ずは、会場内の制圧と公聴会に来てた一般市民の避難だな?
もうなりふり構わねぇのか、最高評議会の連中がガジェットを投入して来やがったからな……尤も、此の一手で最高評議会派閥の連中が解
決した事件は自作自演てのが市民に知られちまったがな。
なのは、フェイト、時坂、玖我山、三月、七緒、リインフォース姉妹……気合入れて行くぞ!!
「よっしゃー、てきはぶっころーす!!
めっさつだ、まっさつだ、瞬獄殺だーーー!!」
「フェイトちゃん、ちょっと意味が分からない……」
ま、細かい事は言いっこなしだろ?
意見公聴会の現場は、今この時を持って戦場に変わった――なら、現れた敵はぶっ倒すだけだからな!!アルフ、お前はヴィヴィオを連れ
てアジトに戻れ!
こんな場所にヴィヴィオを置いておく事は出来ねぇし、ヴィヴィオには何かあるだろうから、最高評議会の連中に渡す事は出来ねぇ――任せ
てもいいか?
「何言ってんだい、任せな!!
つー訳で帰るよヴィヴィオ!アンタが此処に居たら、アンタの大好きなママとパパは力を発揮する事が出来ないんだ――だから、な?」
「力を発揮出来なかったらどうなるの?」
「最悪の場合は死ぬ。」
「其れはヤダ!じゃあ、スカリエッティ先生の所に戻る!!」
……お見事。
まさか、俺となのはを持ち出して自主的に去る事を選ばせるとはな……フェイトの相棒を続けて来たってのは伊達じゃねぇな?
だが、これで思い切り暴れる事が出来るぜ――護衛対象が居なくなっちまえば、護る必要はないから、やりすぎ注意なんて事を考えずに思
いっきり戦う事が出来るからな!!
「行くぜなのは、全力全壊だ!!」
「はい、全力全壊です!!」
「よっしゃー!かくごしろよおまえらーー!!僕が1匹のこらずやっつけてやるからなーーー!!!」
まぁそう言うこった……此処で叩きのめしてやんぜ脳味噌共!!
テメェ等は、俺の焔でステーキにした後で、なのはの砲撃で細胞レベルで吹き飛ばすからな――精々塵となる覚悟でもしてるんだな!!!
――――――
Side:レティ
ふぅ……此処まではシナリオ通り……志緒君達が再びこっちにやって来た事も含めてね。
となると、後は如何にして最高評議会に『アレ』を使わせるかね……『アレ』が起動したと言う証拠が無ければ最高評議会を追い詰める事は
出来ないしね。
でも、其れを起動した時が、最高評議会終焉の始まりだとは微塵も思ってないのでしょうけれどね。
何にしても、貴方方にはそろそろ退場して貰うわよ、最高評議会の脳味噌共が……精々、己の生き汚さを後悔すると良いわ――!!
――――――
Side:ティアナ
ったく、罠にしたって稚拙にも程があるわこれ。
この程度の罠でギンガさん達をおびき寄せる事が出来るとか考えてる時点で、最高評議会は中堅クラスの連中の寄せ集めであるのは間違
いないわ……まぁ、此の謀略の為に配置された警備員は、始末したけどね。
――パチパチパチ!!
って、此処で拍手ですって?……新手かしら?
「俺は敵じゃない、寧ろ味方さ。
って言うか、まさかこんな所で再会するとは思ってなかったよ?」
「?アンタは一体誰?偉そうな事言ってくれてるけど……局の魔導師なのかしら?姿を見せなさい!!」
「分かった、これで分かって貰えるかな?」
「……え?」
暗闇から現れたのは、兄さん?……何で、如何して此処に兄さんが――10年前のあの時に、殉職した筈だったのに!!
如何して、此処に居るの兄さん……答えろ、ティーダ・ランスター!!!!
To Be Continued… 
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