Side:志緒


休日に襲撃を掛けてきたクソッタレ共は返り討ちにしてやったぜ……ランスターの奴には逃げられちまったが、其れでもガジェットとグリードを
一掃出来たって事を考えれば、悪い結果じゃねぇだろ?
結果論ではあるが、ミッドチルダの被害はゼロだった訳だからな。

テメェも随分と頑張ったみたいじゃねぇかフェイト?



「もっちろん!
 僕の前にあらわれたやつは、敵であるいじょー、ブチかましてぶった切ってかっこよくスラッシュするだけだからね!うん、僕さいきょー!!」

「まぁ、テメェがなのは以外の誰かに負ける事なんざ想像出来ねぇか。」

「其れがフェイトちゃんだからね。」



言い得て妙だな。
んで、特に被害は無かったって事だが、問題はエリオとキャロが地下水道で保護したって言うガキンチョだ……棺のようなもんを引き摺って
たって事だが、一体何モンなんだ?



「彼女が何者であるかは分からないが、彼女が引き摺ってた棺の中に入っていたのは、トンデモない代物だった事は分かったよ。
 あの棺の中に入っていた物は……これまで回収したモノとは比べ物に成らない程の力を秘めた、レリックだった。」

「!!!」

マジかオイ!?
ガキが何だってそんなモンを……如何やら件のガキンチョは、只のガキじゃなさそうだな。――一体何者なんだ、そいつは?














リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE133
『保護された少女、その名は……』











そんで件のガキンチョは、今は『聖王病院』って所に入院してるらしいんだが、見舞いに行かないってのは有り得ねぇ。
聖王病院てのがどんなもんかは知らねぇが、事と次第によっちゃ、スカリエッティのアジトに連れ帰る事も念頭に置いとかなきゃならねぇだろ
うし、レリックなんてもんを持ってた以上は、最高評議会とやらに狙われる可能性もあるからな。



「確かに志雄さんの言う通りですね……放っておく事は出来ませんよ。」

「お前もそう思うかなのは。」

「はい。出来ればこちらで保護したいですけど……時に其れは何ですか志雄さん?」



コイツか?
手作りの『モリマル人形』だ。
手作りだから大分不格好かもしれねぇが、取り敢えずガキンチョの興味を引く事は出来るレベルに仕上がってるとは思うんだが、如何だ?



「不格好所か、普通に売れるレベルだと思いますよ此れ?」

「うん、アクロスタワーで売ってるのと遜色ないわ。
 料理だけじゃなくて、裁縫も出来るとか志雄先輩凄くない!?此れで更に腕っ節も強いなんて、最早完璧超人だよ!」

「だね。見てくれだって、ちょっと怖いけどどっちかって言うとイケメンの部類だし。」



其処までの出来か。
と言うか本物には流石に劣るだろ玖我山。つーか俺は完璧超人なんかじゃねぇ、只の修業中の蕎麦屋だ。――それから、怖いってのは自
覚してっから余計なお世話だ四宮。

まぁ良い、そんじゃ俺は、エリオとキャロが保護したって言うガキンチョに会って来るがお前等は如何する?



「あ、私も一緒に行きますよ志緒さん。何て言うか、其の子には会っておかないといけない気がするので。」

「何となくそんな気がするって奴か?なら一緒に行くとすっか。四宮と玖我山は如何する?」

「僕はパス。デートが邪魔された事で空が若干へこんでるから、今日は一日一緒に居る心算だし。」

「アタシもパスかな~~?
 って言うか無理。ジェイルさんが、アタシの熾天使の力のデータを採りたいって言うから、其れに付き合う事になってるし。」



なら、2人で行くかなのは――



「はい、ツヴァイは一緒に行くです!!!」

「うお、お前一体何処から現れやがったツヴァイ!!」

「マッタク気配を感じなかったよ!?」

「ツヴァイはちっちゃいので、気配も相当にちっちゃいのです!!」

「んだ、そのトンでも理論は……」

まぁ、一緒に行くのは構わねぇが、何だってお前が?若しかしてはやてから、何か密命でも受けてんのか?――ガキの頃からは考えられね
ぇ位にしたたかになってやがるから、実は聖王協会と個人的なパイプを作っててもオカシクねぇからな……



「「え゛?」」

「ん?」

「志緒さん、如何してはやてちゃんが聖王協会と繋がってる事が分かったんですか!?」

「此れは、ドクターも知らない事ですよ!?」



予測で言ってみたら真実かオイ!
人は成長するって言うが、アイツは色々とちょっと黒い方向に成長しちまったみてぇだな?……政治手腕とか外交能力に長けてるって言っち
まえば可成り優秀なのかも知れねぇがな。

まぁ良い、だが一緒に行くなら何かに隠れて行くか?
流石にお前みたいのがフヨフヨ浮いてたら目立っちまってしょうがねぇからな。



「其れについては大丈夫です!せーの!!
 はい、大きくなりました!此れなら普通に歩いてても問題は無いです!」



30cmほどだった奴が、小学生くらいの大きさになったとは、サイズは自由自在って事か。
だがまぁ、其れなら目立つ事はねぇか?俺となのはと一緒に居ても、なのはの妹って言う事も出来るからな。



「その場合は、志雄さんが長男で、私が長女で、ツヴァイが次女ですね♪」

「お前が長女?何を言ってやがる、お前は俺の嫁だ。」

「あ、言われてみればそうでしたね。」



ったく、大事な事を忘れてんじゃねぇぞ?その内士郎さん達に挨拶に行かねぇとだし、お前の事をオヤッさん達に紹介しなくちゃならねぇんだ
からよ。



「ねぇ、ユウ君、今志雄先輩サラッと凄い事言ったよね?」

「うん、言った。其れにあっさりと返すなのはも大概だと思うけど。」



まぁ、気にすんな。其れが俺となのはってこった。
そんじゃまぁ、行くとすっか、聖王病院とやらにな。



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つー訳で聖王病院とやらに到着したんだが、お前等も来てたのかナカジマ六姉妹?



「其方で保護した少女と言うのが気になりましたので、見舞いを兼ねて会っておこうかと思いまして。」

「まぁ、ぶっちゃけて言うとレティ提督からの命を受けての事で、結局は仕事なんすけどね~~……カリム姉ちゃんは優しいから好きなんす
 けど、シャッハ姉ちゃんはちょっと怖くて苦手なんで、あんま来たくなかったんすけどね……」



其処はまぁ、仕事だと思って割り切れやウェンディ。
取り敢えず、先ずは病院の受付に行って、昨日保護された子供がいる病室を聞かねぇとだぜ――って、ん?



「助けてぇ!!」

「ふえぇ?如何したの!?」




病院と思しき建物の方から、金髪のガキが走って来てなのはに抱きついた!?
助けてとは穏やかじゃねぇが……如何したガキンチョ!







「その子を此方に渡してください。」







……って、聞く前に原因が現れやがったか。
テメェ何モンだ?ガキ相手に武器携えてとは穏やかじゃねぇな?



「その子は昨日保護されて此方に来たのですが、其の子は危険なんです。此方に渡してください!!」

「そう言われて『ハイどうぞ』って渡すと思ってんのかテメェは?
 こう言っちゃなんだが、コイツをテメェに渡す事は出来ねぇよ……テメェに渡しちまったら、コイツがどうなるか分かったモンじゃねぇからな。」

如何してもコイツを連れて行きたいってんなら、俺をぶっ倒してからにしな!



――ジャキィィィィン!!



ソウルデヴァイスを展開し、その切っ先を現れた女の鼻先に向けてやる。
どうしてもやるってんなら、相手にはなるぜ?……尤も、テメェが無事でいられる保証はしかねるけどな。――つーか、コイツがエリオとキャロ
が保護した奴って事か。



「此処は退いてくださいシスターシャッハ。
 我々N2Rもレティ提督の命を受けてここに来ています……彼女に危害を加えると言うのなら、N2Rとして対応せざるを得なくなりますが?」

「レティ提督の?
 ……分かりました、そう言う事ならば仕方ありません――今し方、騎士カリムからも連絡がありましたからね。
 ですが、彼女が危険な存在であるのは変わりません……其れを努々忘れない事です。」



そうは言われても、なのはにしがみついてるコイツが危険だとはどうしても思えねぇ。
取り敢えず顔を上げろや――お前を追っかけてたおっかない姉ちゃんはどっかに行っちまったからよ。



「もう、怖くない?」

「うん、怖くないよ。」

「だから、思い切って顔を上げてみな。」

「うん……」



そしてガキンチョがなのはから少し離れて顔を上げたが……オイオイコイツはマジか?
さっきは猛ダッシュしてたから分からなかったが、ハニーブロンドの髪に加えて紅と翠のオッドアイとは……コイツはヴィヴィオか!!
まさか、此処でヴィヴィオと会う事になるとは、予想外だったぜ。

如何やら、この世界とゲートが繋がったのは単なる偶然じゃなさそうだな。








――――――








Side:ティーダ


聖王の器は、無事に不屈のエースと、伝説の重剣士と邂逅したか……此れでレティ提督の言う、ファーストフェイズは完了か。
続くはセカンドフィイズだが、これも恐らくはレティ提督の思惑通りに事が進むだろうね――此処までの事は、完全にレティ提督の予定通りに
事が進んでいるからな。

まぁ、僕は僕のやるべき事を成すだけだ。

――最高評議会を潰す、其れが僕の最終目標だからね。










 To Be Continued…