Side:志緒
態々休日に仕掛けて来たのは悪くねぇ戦術だ、こっちの隙を完全に突ける訳だからな。
だがな、ノコノコ出て来た事を後悔させてやんぜ!生きて帰れると思うなよテメェ等?
こっちはなのはとの外出を楽しんでたってのによぉ……人の楽しみを奪った罪は万死に値するぜ?オヤッさんも、『人の休みを邪魔する奴は
地獄に落ちろ』って言ってたからな。
「人のデートの邪魔をしたんだから、冥底に落ちる覚悟は出来てるよね?……少し、頭冷やそうか?」
「其れが嫌なら、天使の力で天獄へ送ってあげるわ!」
「我が怒り、主の命をもってでしか収まる術は持たぬぅ……滅殺!!」
尤も、なのはと玖我山と郁島の怒りだけで、テメェ等をぶっ殺す事は可能かも知れねぇがな?……てか、郁島が微妙に殺意の波動ってやつ
に目覚めかけてねぇか?
「殺意の波動だけじゃなくてオロチの暗黒パワーも宿したっぽい。いうなら『神・ソラ』って感じ?」
「つまりラスボスか……成長したな空、今ならじっちゃんに勝てるかもだぜ。」
……四宮も時坂も余裕だなオイ。
まぁ、コイツ等をぶっ倒せるなら問題ねぇか――そのデカブツ共々、御退場願うぜテメェ等!
リリカルなのは×東亰ザナドゥ 不屈の心と魂の焔 BLAZE132
『真実と撃滅と新たな出会いと……』
しかしまぁ、今更3S級にビビる事はねぇが、Ωグリードってのはやっぱりトンでもねぇな?3S級とは言っても、実際の力は5S級のグリムグリ
ードに匹敵するって所か。
コイツもテメェが作り出したのかランスター?
「其れは私が作ったモノじゃないわ。
前に彼方達の前に現れた包帯男が変異したのがこのスカーライトよ。」
「「「「「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」」」」」
なん、だと?
暴走列車の時に現れた包帯野郎が、コイツだってのか!?……テメェ、人間をグリードに変異させやがったのか、この外道が!!
「勘違いされちゃ困るわ。
私はそいつには何もしてない……包帯野郎は、力に溺れた結果こうなったのよ。
アイツは、その資格もないのに異界の力を使い過ぎた――その結果、少しずつ身体が異界に浸食され、終末発作を起こしてグリードへと
姿を変えた。
まぁ、人を越える存在になれたのだから、本望なのかも知れないけど。」
「力を……でも、ちょっと待って!だったら何でティアは無事なの?
ティアだって異界の力を使ってる。だったら、ティアだって化け物になってもおかしくないのに――」
言われてみりゃスバルの言う通りだな?
異界の力の行使でグリードになっちまったってんなら、ランスターの奴もグリードになっててもオカシクはねぇ――コイツの場合は、ゲートを
顕現させるだけじゃなく、グリードを使役し、更には新たなグリードを作り出すトンデモねぇ力を持ってた訳だからな。
何だって、テメェは無事なんだ?
「答える義理は無いけど、特別に答えてあげるわ。
まぁ、実にシンプルな答えよ。私は異界の力を扱う資格を持ってた――信じられないかも知れないけど、私は『適格者』なのよ。」
なんだと!?
テメェが適格者だと!!
「そんな馬鹿な……適格者にはソウルデヴァイスが顕現する筈よ。
だけど、貴女の武器はソウルデヴァイスじゃない……それ以前に、適格者だからって異界の力を扱うだなんて、聞いた事も無いわ!」
「私も同じ気持ちです明日香さん……ですが、彼女が嘘を言っているとは思えません。」
「信じる信じないはアンタ等の勝手だけど、私が適格者である事実は変えられないわ。
私はソウルデヴァイスの代わりに、異界を操る力をその身に宿した、言うなれば『ダーク適格者』と言った存在ね――そして、私は此処で撤
退させて貰うわ。捕まる訳には行かないからね。」
テメェ、待ちやがれ!!
……ちぃ、転移しやがったか。逃げ足の速い奴だぜ。
捕らえる事は出来なかったが、アイツの力の正体が分かっただけでも良しとするか――力の正体が分かれば、何らかの対策を講じる事も
出来るからな。
何にしても、先ずは目の前のコイツを如何にかしねぇ事には始まらねぇからな……全力でぶちかましてやんぜ!!
――――――
No Side
ティアナが去った戦場では、2つに分けられたチームによってグリードとの激戦が行われていた。
無限に補充される雑魚グリードの掃討を行うのは洸、明日香、祐騎、美月とN2Rの面々で、3S級であるスカーライトに立ち向かうのは志雄、
なのは、璃音、空と言うメンバーだ。
雑魚グリードの方は問題ないだろう。
洸達は異界に関しては百戦錬磨と言って差し支えないレベルであるし、スバル達N2Rだってレティの直属の部隊と言う事もあり、有望な若
手で構成された部隊だ――故に下級グリードなどは敵ではないのだ。
となれば問題はΩグリードだが……
「おぉぉぉらぁぁ!!喰らえや、イグニスブレイク!!!」
「ぶっ飛びやがれなの!ハイペリオンスマッシャー!!」
「吹き飛べ!シルフィサイクロン!!」
「てやぁぁぁぁぁ!轟雷撃!!」
志雄、なのは、璃音、空の前では大した敵ではなかった様だ。
実質5S級のグリムグリードに匹敵するとは言っても、此の4人は過去に5S級など生温い程の相手と戦って来たのだ――如何に未知のグリ
ードとは言え、相手が『闇の書の闇』以上の存在でなければ負ける事は基本的に有り得ないのだ。
故に余裕。
スカーライトは、強靭な腕を振り回して攻撃してくるが、悲しいかなその巨体故に攻撃が読みやすく、只の一発も志雄達にはヒットしていない
どころか、逆にカウンターを叩き込まれる始末だ。
グリードとしてのランクは高くとも、所詮は力に溺れた愚者の成れの果てに過ぎないこのグリードでは百戦錬磨の者達の敵ではないと言う
事なのだろう。
「ハッ!見た目だけの張りぼてか!
このまま一気に押し切んぞ!!行くぜぇ?」
「「「クロスドライヴ!!」」」
そして此処でクロスドライヴを発動し、更に激しく攻め立てる!
眼にも留まらない斬撃と拳打と、砲撃と射撃が打ち込まれ、スカーライトは満身創痍……マッタク持って志雄達の実力は恐ろしいと言わざる
を得ないだろう。
3S級のΩグリードをいとも簡単にあしらってしまうのだから。
「おぉぉぉらぁぁぁぁぁ!クリムゾンレイド!!!」
「一撃必殺!ディバインバスター!!」
「行っけぇぇぇぇ!セラフィムハーツ!!」
「覇ぁぁぁぁぁ……風塵虎吼掌!!」
そしてトドメとばかりに放たれた必殺技によって、スカーライトは沈黙し、其れと同時に雑魚グリードも活動を停止して消滅――休日におきた
突然の戦闘であったにもかかわらず、志雄達は完全勝利と言っても過言ではない戦果を挙げたのだった。
――――――
Side:エリオ
地下道から妙な反応が有るってドクターから聞いて、キャロと一緒に現場に来たんだけど、まさかこんな事が――僕達よりも小さい女の子が
下水道で倒れてるとは予想外だったよ。
脈はあるし熱も無いから大丈夫だとは思うけど、取り敢えず保護して聖王病院に速攻で搬送した……後で、志雄さん達にも報告しなくちゃだ
けど、一番気になったのは、彼女が鎖で引き摺って来たと思われる棺だ。
アレには一体何が入っていたんだろう?……この棺は回収して、ドクターに見せた方が良いな……如何やら、僕達の預かり知らない所で、
何やら色々有るみたいだからね。
尤も、そんな色々も、志雄さんとなのはさんなら、真正面から如何にかしちゃうんだろうって思ってる僕が居るのを否定できないしね。
だけど確信できる――此の子は多分、今回の一件のキーパーソンだって言う事が。
此の子の保護は絶対だけど、近い内に此の子を巡っての何かが起きる……多分、其れだけは間違い無いだろうな。
To Be Continued… 
|