Side:志緒


オークション会場の戦いは、戦いに勝って勝負に負けたって言う結果だったな此れは――グリード共は一掃したが、あのオレンジ髪に、まん
まとレリックを持ってかれちまったからな。
其れでも、ロストロギアを持って行かれなかったのは運が良かったって所だぜ。

結果だけを言うなら五分五分だが、市民に被害が出た以上は、優勢負けって所か、クソッタレが。

んで、アジトに戻って来て、なのははそのままメンテンナンスか……まぁ、派手にドンパチやらかしたから、結構身体が負荷を受けてるだろう
から、メンテナンスは必須だぜ。



「まぁ、其れは仕方ないけど、見に行かなくていいの志緒先輩?
 こう言っちゃなんだけど、メンテナンス用のボディスーツって妙にエロいじゃん?……此れは、見ておくべきだと思うんだけどなぁ?」

「……俺も男だから、そう言う欲望が無いとは言わねぇが……直接口にするのは如何かと思うぜ四宮?」

「ぶっちゃけ若干引くぜ祐騎……」



マッタクだ。
ったく、インテリな見た目のクセに、思考は意外とぶっ飛んでやがるな四宮は……だからこそ、郁島と上手くやれてるのかも知れないがな。

何にしても、事態が厄介な事になってるのは間違いねぇ……まぁ、そんな厄介事すら踏み越えて行くだけどな!!















リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE129
『ミッドチルダ・ザナドゥ』











Side:なのは


――プシュー……



ふぅ……メンテナンス終了っと。
志雄さんと一緒だって張り切った結果、オーバーフローを起こすとは、私もまだまだだね――今はまだ、全力とは言い難いけど、其れでも一
緒に戦う事は出来るからね。

取り敢えずメンテナンスの結果は問題なし――戦闘行為も問題ないって所かな。



「そうか、其れを聞いて安心したぜ。」

「志緒さん!?」

居たんですか!?って言うから何時から?!



「来たのは今し方だ……アテンザに聞いたら、そろそろメンテナンスが終わるって事だったんでな。」

「そうだったんですか……」

これは、間違いなく気を使ってくれたんだよねぇ?
まぁ、流石にあのボディスーツは身体にフィットしてボディラインがバッチリ見えちゃうから、あんまり人前で……と言うか男の人の前では着
たくはない物だからね。

あれ?でも私って、志雄さんのお嫁さんになるんだよね?『俺の嫁になれ』って言ってたし。
な、なら別に見られてもいいかな!?だって、だって、いつかはきっと……ねぇ?//////



「……何を妄想してるのかは敢えて聞かねぇが、まだ早いだろオイ。
 少なくとも、士郎さん達に挨拶して、んでもってオヤッさん達にお前の事を紹介するまで手を出す心算はねぇからな?」

「紳士ですねぇ?……志緒さん、何で不良やってるんだって言われた事有りません?」

「直接言われた事はねぇが、顔も見た事ねぇどっかの誰かに事ある毎に言われてる気がすんぜ……ま、あんまり気にすんな。
 そんで、戦闘行為は問題ねぇと言ってたが、それ以外の事は如何なんだ?」



え~っとですね、取り敢えずメンテナンスが必要な状態にはなったものの、オーバーフローを起こした事が今回は吉と出たみたいです。
私に埋め込まれてる生体CPUが、オーバーフローの影響で逆に私の身体に馴染んで、戦闘可能時間が15分から30分に延長されました!
これで、次からはもっと長く戦う事が出来ます!



「ほう?そいつは頼もしいじゃねぇか!
 お前ほどの奴が、15分しか戦えねぇってのは、少しばかり痛手だからな?――幾ら、俺達の方にフェイトやはやてを始めとした精鋭が揃っ
 てたとしてもだ。
 お前のあの砲撃は、一撃で戦局を引っ繰り返すだけの力があるしな……改めて、これからも頼りにしてるぜなのは!」

「はい、背中は任せて下さい!」

あのオレンジ髪の子……ティアナ・ランスターの存在を考えると、此れから更に最高評議会との戦いは激しくなるだろうから、私自身がもっと
戦えるようにならないとだからね。

でも、今回の事で確信できた。
やっぱり今の私は、戦う事で自分の機能を回復させる事が出来るって――此れまでは、生体CPUが不具合を起こす事を恐れて、セーブしな
がら戦ってたけど、これからはノーセーブで行った方が良いみたい。

限界を超えた負荷は、生体CPUが逆に馴染む結果になったんだもん。



「かも知れねぇが、無理だけはするなよ?
 下手に無理して生体CPUがお釈迦になったなんてのは、流石に冗談にもならねぇからな。」

「其れは分かってますから、大丈夫ですよ志雄さん。」

……取り敢えず、お腹減ったのでご飯かな。少し遅めだけど、晩ご飯の時間だしね。



で、晩ご飯は志雄さんが作ってくれたんだけど、サバの水煮缶を使って作ってくれた『サバのユッケ風丼』はスッゴク美味しかったです。
……因みに祐騎さんが『サバの缶詰の身を解すと猫缶ぽくない?』って言って、洸さんの右ストレートと、璃音さんの高速エルボーを喰らって
た――不用意な発言はするべきじゃないね。








――――――








Side:スバル


「そう……スバルとノーヴェの訓練校時代の友人が最高評議会に……しかも、異界を操る力を身に付けていたか……」



ホテル・アグスタでの一件をレティ提督に報告して、ティアの存在を告げたら、レティ提督も何やら神妙な面持ちになっちゃったんだけど、若し
かして、レティ提督もティア――ティアナ・ランスターの事を知ってるんですか?



「直接知ってる訳じゃないわ。
 と言うか、フルネームを聞かなかったら思い至らなかったわ……ランスター姓と言う事は、件の彼女はティーダ君が良く話していた妹と言う
 事になるのでしょうね……」

「レティ提督、アイツの兄貴の事知ってるんすか?」

「知ってるも何も、彼は私の嘗ての部下よ。
 ティーダ・ランスター……10年前に、私の直属の部下として働いていた執務官で、とても優秀な魔導師だったわ……」



直接は知らないって言っても、それ以上の衝撃の事実が来たよ此れ!?
ティアのお兄さんが、レティ提督の嘗ての部下だったとは、初めて聞いたよ!!――って言う事は、レティ提督はティーダさんが殉職した時
の事も……



「知っているわ。
 とは言え、彼の死には不審な部分が多いのも事実ね。」

「不審な部分とは、どういう事だろうか提督?」

「……確かに彼は、任務中に敵の襲撃を受けた。其れは間違いないわ。
 だけど、現場から彼の遺体は発見されていない――彼の死は、現場に残された血の付いた彼のデバイスと、血で染まった彼のバリアジャ
 ケットの一部が見つかった事による状況判断からなされたモノなの。
 加えて、現場には争ったような形跡が全くと言っていいほど存在しなかった……もしも彼が敵との戦闘によって命を落としたのだとしたら、
 此れは余りにも不自然と言わざるを得ないモノでしょう?
 ……まるで、何かの意図があって『ティーダ・ランスターの死』を演出したようにも考えられるのよ――可成り穿った見方をすればだけど。」

「「「「「「!!!」」」」」」


ちょっと待って、って言う事は、若しかしてティアのお兄さんは生きてる可能性もあるって言う事!?
なら、其れをティアに教えれば、復讐をする意味は無くなる!そうなれば、ティアは敵じゃなくなるよね!!



「そうだな!……って、言いてぇところだが、そんな簡単なモンじゃねぇだろうな実際は。
 今のアイツは、兄貴の無念を果たす為に闇に堕ちたアヴェンジャーだ……真面に話しても、話が通じるとは思えねぇだろ?」

「其れはそうかも知れないけど、だからって黙ってる事は出来ないよノーヴェ!」

「あぁ、黙ってる心算は毛頭ねぇ!
 だから、話が通じねえってんなら、先ずは拳で黙らせて、その上で話をするだけだろスバル?――話が通じねぇなら、先ずは打ん殴る!
 母さんが言ってた事だろ?」

「……そうだね、その通りだね!!」

話が通じないなら、先ずは思いっきりぶっ飛ばして、話を通じるようにするだけ――思えば訓練校時代も、話が通じない相手には拳で語って
来たからね。

……尤も、そのせいで、アタシとノーヴェは、訓練校始まって以来の問題児認識された訳だけどね。
でも、そう言う事なら、アタシは今度は迷わないよティア……貴女を救うために、アタシは貴女をブッ飛ばす!!

貴女はそんなとこに居て良い人間じゃないんだティア!――絶対に目を覚まさせてあげるからね!!








――――――








Side:レティ


ふぅ……最終的に勝つ為とは言え、年若い子に嘘を吐くのは気が滅入るわね……尤も、彼女からの頼みじゃなかったら絶対にやらなかった
事だけど――まったく、リンディは何を考えているのやら。
クロノ君がMIA判定されてから大分経って、法律的は死亡届を出せるというのに、其れを出してないと言う事は、リンディはまだクロノ君の生
存を信じているのだろうけど……考えるだけ無駄か。なるようにしかならないだろうしね。

其れで、貴方は如何する心算なの?彼女の前に姿を現す?



「其れも良いかも知れないけど、アイツには敢えて俺の存在は伏せていたんでしょう?
 なら俺は、その時が来るまで裏方に徹しますよレティ提督……尤も、其れすら貴女の思惑の範疇なのかも知れませんけどね。」

「ふふ、さて如何かしらね?」

何にしても、最高評議会を葬り去る為の策は、着々と組み上がっている――残るカギは最高評議会の切り札とも言えるアレの鍵となる存在
ね……早急に見つけ出して保護しなくてはならないわ。


『ゆりかごの聖王』のコピーとも言える存在だけは、絶対にね。
――場合によっては貴方に出張って貰う事になるかも知れないけど、大丈夫かしら?



「問題はありませんよレティ提督……確かに死にかけたけど、そのお陰で俺は更に強くなれたからね。」

「そう、なら頼りにさせて貰うわ。」

私の直属の部下の中でも最高の魔導師である貴方をね。
貴方の出番は無い方が良いのだけれど、貴方が出張る事態になったその時は期待してるわよ?














ティーダ・ランスター君。









 To Be Continued…