Side:志緒


次なる任務はオークションと来たか……まぁ、どんな危険物が出展されてるか分かったもんじゃねねぇから。そこに介入するのは当然の事だ
と思うんだが……俺は何だってこんな格好をしてるんだ?
白のスーツの上下に紫のシャツに金色のネクタイ……どう見たって梧桐さんだろ此れは!



「とっても強そうですよ志雄さん?」

「見た目が強そうだからって敵に勝てる訳じゃねえだろうが!!」

「確かに。」



ったく、梧桐さんに扮する事になったのはこの際何も言わねぇが……このオークションは、確実に何か起きるだろうな?
ロストロギアにレリック……俺等やレティさんが回収したいモンは、最高評議会も手に入れたい代物だろうからよ?――まぁ、仕掛けて来た
らその時は、返り討ちにして御退場願うぜ。



「おー、ヤクザがきあいをいれてる!」

「フェイト、お前……いや、お前には怒るだけ無駄か……」

何より、コイツのセリフには全く持って悪意とかはねぇからな――尤も、其れが性質悪いとも言えるんだが。
取り敢えず、一仕事と行くか。















リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE125
『ホテル・アグスタ~競売の序章~』











んで、オークションに参加すんのはX.R.Cの面子と、なのはとフェイトとザフィーラ――と、男装した三月とシグナム……男女比が合わねぇから
って男装させんな。
てか其れなら普通に女子を減らせば良いだけの話だろうが!

「と言うか、三月とシグナムの男装は、テメェの趣味だろ四菜!!」

「当然ですわ志緒さん!
 美月姉さまと、シグナムお姉さま以上に男装が似合う女性は早々居ないんですから、その最高の素材を使わずに如何しろと!?」

「普通に男女比率を少ねぇ方に合わせりゃいいだろうが!
 こんなに面倒な事しねぇで、X.R.Cにザフィーラ加えりゃ4:4になんだろう!!」

「いいえダメですわ!
 だってなのはお姉さまが、志雄さんと一緒に行きたいって仰るんですもの!なら、男を増やすしかないじゃありません事!?」



根本の原因はなのはかオイ!!
いやまぁ、なのはが行きたいってんならしょうがねぇと思うし、戦力的にはこの布陣の方が充実してっから有事の際の事を考えりゃ、この2人
を男装させてでも連れて行くのは理に適ってるのかも知れねぇが……



「え~っと、駄目ですか志雄さん?」

「……まぁ、戦力的には充実してっから此れでも良いか……三月とシグナムが男装でも構わねぇならな。」

「まぁ、私は構わん――元より私服はジャージにTシャツが多かったから、女性らしいドレスなど出されたら逆に引く。」

「俺も同じく。」



……お前等はもう少しテメェが『女』である事を自覚しろや。

しかしまぁ、何だな?こうして改めて見てみると可成り華があるなコイツは?
柊、北都、玖我山は言うまでもなくドレスが似合ってるし、郁島は北都達と比べると少しカジュアルなデザインのドレスが様になってて、なの
はとフェイトに至っちゃまるでモデルかってレベルだからな?
ったく、此の2人……いや、はやても入れると3人は、10年間で随分と『良い女』になったもんだぜ。――フェイトの中身が全く成長してねぇっ
て事は突っ込んじゃならねぇんだろうがな。



「ねぇ、洸先輩。今のなのはなら志緒先輩とお似合いだと思わない?」

「あぁ、其れは俺も思ってたぜ祐騎。
 昔のなのはちゃんが相手だったら、間違いなく犯罪だったけど、今のなのはちゃんなら大人になってるから全然OKだろ。」

「其処で昔のなのはの方が良いって言ったら、志雄先輩はロリコン確定だけどね。」



四宮、テメェ未だそのネタ引っ張りやがるかオイ。
何度も言うが俺はロリコンじゃねぇし、今のなのはなら……まぁ、そう言う対象として見れるかも知れねぇからな。――なのはからしたら10年
前の約束もあるし、コイツは真剣に考える必要があるかもな。








――――――








Side:スバル


『ホテル・アグスタ』で行われるオークション当日、アタシ達N2Rのメンバーは会場の警備と、出品物の警護、オークションに違法性が無いか
のチェックの為に会場に来てる。
担当としては、会場全体の警備と警戒を行うのがギン姉とウェンディ、出品物が保管されてる倉庫の警護がチンク姉とノーヴェ、で参加者に
扮してオークションに違法性が無いかチェックするのがアタシとディエチ姉の役目。

其れは良いんだけど、何でドレスなんだろう?此れじゃあ何かあった時に動き辛くて仕方ないんだけどなぁ……



「其れは仕方ないよスバル。
 一応会場にはドレスコードがあるから、男性はスーツ、女性はドレスじゃないと入る事が出来ない……其れに、デバイスを起動すればバリ
 アジャケットになるんだから問題ないよ?」

「其れはそうだけど、アタシにこんなドレスは似合わなくない?
 自分で言うのも何だけど、アタシとノーヴェって、姉妹の中では断トツで『女の子らしい服装』が似合わないと思うんだけどなぁ……」

「そうかな?そんな事ないと思うけど。
 少なくとも、その薄い青色のドレスは良く似合ってると思うよ?――私が男の子だったら惚れちゃう位だよ。」

「もう、からかわないでよディエチ姉!」

ディエチ姉ってば普段は口数が少ないくせに、時として饒舌になる事があるんだよねぇ……主にアタシやノーヴェをからかう時だけど。

にしても、会場は人が一杯だね~~?
オークションなんてブルジョワが道楽で散財するモノだと思ってたし、実際そうなんだろうけど、此処まで人が集まるとは思わなかった……こ
こに集まってるのは、アタシ達とは住む世界の違うセレブなんだろうなぁ。

って、ん?



「此れは此れは美しいお嬢さん達、美女が2人でオークションに参加とは珍しいね?」



……誰?
高級そうなスーツに身を包んだ軽薄そうなお兄さん……銀髪ロングって時点で真面な人じゃなさそうだけど――って言うか、此れって若しか
してナンパって奴かな?



「美しいだなんて口が巧いですね?
 私達は姉妹でオークションに参加して居るんです――母から『此れも淑女の嗜み、社会勉強をしてきなさい』と仰せつかったので。」

「へ~~……其れは其れは……」



って、設定勝手に作ってぶっこんだねディエチ姉!?
間違ってもお母さんはそんな事言わないし、ましてやアタシ等セレブじゃないんだけどね?……尤も、このナンパ男さんは完全に信じてるみ
たいだけど……さて、如何しよう?

この手の輩は下手に刺激すると面倒だって聞いた事があるけど、さりとて御退場いただく妙案も浮かばない……う~~む……



「おいテメェ、俺の連れに何か用か?」



って悩んでた所に男の人の声が。
振り返ると其処には、長い金髪を一つに束ね、紫のシャツと白のスーツを着て、金色のネクタイを締めてサングラスを掛けた大男と、桜色の
ドレスを着て、亜麻色の綺麗な髪をサイドテールに纏めた凄い美人さんが居た。

って言うか、この人達シオさんとなのはさんじゃないの!?そしてシオさん、その格好は一体何処のマフィアですかーー!?



「へ?」

「何を呆けてやがる……その2人は俺の『鷲羽組』の一員、つまりは俺の妹分だ。
 其れに下手に手を出すって事は――詰める覚悟は出来てんだろうなオイ?」

「ひぃ!?」

「うふふ……全力全壊で一発やっちゃおうかな?」

「ひぎゃぁぁぁ!?す、すんませんでしたーーーー!!!」



……行っちゃったよ。
まぁ、確かに今のシオさんとなのはさんの迫力は物凄かったから、軟派チンピラ風情が対抗できる筈もないんだけどさ――で、お二人はどう
して此処に?



「オークションに参加しようと思ってな――ってのは冗談で、このオークションで出品されるロストロギアやレリックの確保が目的だ。
 お前等も似たようなもんだろスバル?」

「貴女達の場合は、どちらかと言うと会場の護衛が目的なのかも知れないけどね。」



成程、確かに其れならば此処にお二人がいてもオカシクは無いですね――レティ提督も、シオさん達が会場に現れるかも知れないって言っ
てましたから。



「だからまぁそう言うこった――何か起きた時には頼りにさせて貰うぜ?」

「はい、その時は尽力させて貰います!!」

シオさん達とは表面上は敵対関係と言う事になってるけど、水面下では協力関係にあるから、此れは頼もしい味方が来てくれたよ本当に。
此れなら、オークションで何が起きても如何にかなると思う。
高幡志緒さんと高町なのはさん――ジュエルシード事件と闇の書事件って言う、世界の存亡をかけた事件を解決した中心人物が出て来てく
れた以上は、少なくとも負ける事は無いだろうからね。




と、そう思ってたアタシとディエチは、このオークションに伝説のX.R.Cの面子と、夜天の守護騎士と、伝説のアホの子(?)が参加してるって
事を知って、更に驚く事になったんだけど、其れは割愛しておこうかな。

――だけど、このオークションは絶対に只では終わらない。アタシの第六感がそう告げてる。
せめて、大惨事にならない事を祈っておくよ……5年前の空港の大火災みたいな参事は二度と御免だからね……








――――――








Side:ティアナ


如何やらオークション会場には、スバル達が入ったみたいね――其れから、最高評議会が最大の危険分子として認定していた『高幡志緒』
と『高町なのは』も。

此れだけでも可成りな戦力だけど、其れに加えて、10年前に第97管理外世界で起きた2つの大事件を解決に導いた連中が略揃っている
から、下手に手を出すのは悪手ね?

でも、ロストロギアは兎も角として、レリックは絶対に回収したいから、少し横槍を入れさせて貰う事にするわ。
一応仮面をして正体は隠すけど……此れで私は完全に悪役ね?――まぁ、自分で望んだ事なんだけどね……こんなマスターで悪いわね、
クロスミラージュ。



『No problem.I believe you Master.(大丈夫です。私は貴女を信じます、マスター。)』

「ありがとう。」

其れじゃあ始めるとしましょうか?
頑張りなさいよスバル、ノーヴェ?……死傷者がドレだけの数になるのかは、アンタ達の働き次第なんだからね。


そして、貴方達の力も見せてもらうわ――伝説の騎士『高幡志緒』、伝説の魔導師『高町なのは』!!――名前負けじゃないって事を祈って
るわ。

ミッドチルダと、そして管理局の終わりを始めようじゃない……さぁ、開幕よ!











 To Be Continued…