Side:志緒


ふぅ……取り敢えず異界攻略完了って所だな?
スバルとノーヴェも予想以上に良い働きをしてくれたから、結構助かったぜ?……まぁ、まだまだ粗削りな部分があるのは否めねぇんだが、
其れも此れからの鍛錬次第で改善されるだろうからな。

兎に角現実世界に戻って来たんだが――



「スバル、ノーヴェ無事!?」

「行き成り消えたから姉は驚いたぞ!!」

「怪我とかない?大丈夫?」

「まぁ、スバル姉ちゃんとノーヴェ姉ちゃんなら、大丈夫だと思うっすけどね。」



スバルとノーヴェの周りには人だかりってか、女子が……言ってる事から察するに、コイツ等はスバルとノーヴェの家族か?……ストレート
の青髪は、スバルとノーヴェに似てなくもねぇし、他の連中も姉妹レベルで似てると言えるからな?
……銀髪眼帯が、スバルとノーヴェの姉らしいって事には流石に驚いたけどよ。

さて、帰還したは良いがどうしたモンか?
コイツ等は敵じゃねぇが、表面上は管理局とテロリストの関係だからな……最高評議会の連中に嗅ぎ付けられる前に、やる事やってさっさ
と撤収するのが得策だな、これは。













リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE124
『混ざりあう夫々の思惑~The Edge~』











取り敢えず回収したレリックは、俺等とお前で半分ずつ持っておくとすっか?
本来なら管理局で保管するのが正しいんだろうが、全部が全部管理局に有ったら、最高評議会の連中に全部横取りされる危険性もあるか
らな……其れで良いか?え~~と……



「初めまして、伝説のX.R.Cの皆さん。
 レティ・ロウラン提督直属部隊『N2R』の隊長を務めているギンガ・ナカジマ一等陸士です。ナカジマ六姉妹の長女でもあります。」

「副隊長の、チンク・ナカジマ一等陸士だ。私は次女だ。」

「ナカジマ家三女にして、二等陸士のディエチ・ナカジマです。」

「でもって末っ子で、三等陸士のウェンディ・ナカジマっす!」



青毛のロングがギンガ、銀髪眼帯チビがチンク、茶髪がディエチ、赤のパイナップル頭がウェンディか、覚えたぜ。
そんで、レリックの分配はさっき言った通りで良いか?



「はい、其れが最もベターな方法だと思います。
 本音を言うのならば、全部其方で管理して欲しいのですが、回収すべき物を全てテロリストに奪われたとあっては、レティ提督の局内での
 立場にも影響してきますから……」

「面倒だよね、そう言う組織って。
 いっその事、最高評議会の悪事とかを掴んで世間に暴露すれば良いじゃん?そうすれば、最高評議会は終わりなんだからさ。」



其れはそうかも知れねぇが、そう簡単なモンじゃねぇぞ四宮?
内部告発ってのは確かに有効かもしれねぇが、そうした場合、市民の怒りの矛先は最高評議会だけじゃなく、管理局全体に向けられる可
能性が否定できねぇだろ?
そうなって市民の暴動でも起きてみろ……其れこそミッドは大混乱だ。
最高評議会の事はあんまり表に出ずに、出来るだけ秘密裏に処理した方が良いってこった――分かるだろ?



「分かるけど、メンドクサ。……管理局のコンピューターにハッキングかけて、最高評議会の隠したい真実をネットに流しちゃダメ?」

「気持ちは分かるけど、絶対にダメだよ祐騎君!!」

「え~~~?」

「『え~~~?』じゃねぇだろ祐騎!
 お前志雄先輩の言う事聞いてたか!?下手にやったら、管理局その物がヤバい事になるんだっての!!」

「そーだぞー?そんなことも分からないなんて、ユウキはあたまがいいくせにバカだな~~♪」

「いやぁ、フェイトちゃんにバカって言われたらお終いだよユウ君……アホの子にバカって……ねぇ?」

「えっへん!」

「いえ、褒めてないわよフェイトちゃん?」

「まぁ、これがフェイトちゃんクオリティですから♪」



……マッタク持って、どうにも空気が緩くなっちまうが、まぁ、そう言う事でレリックは半分ずつでな。



「了解しました。
 ……では、私達は此れで失礼します――最高評議会の魔導師が現れては面倒な事になりますから……シオさん達も、早急に撤収した
 方が良いと思います。」

「勿論その心算だ。」

てかその準備は出来てるからな。
モンディアルが、シャマルに連絡を入れて、旅の鏡のゲートを顕現してくれたからな……此れを潜ればアジトまで一飛びだぜ!

そんじゃあまたな?……レティさんに宜しく言っといてくれや。



「了解です。」

「またっすね、シオシオ~~♪」



……ウェンディ、そりゃ俺の事か?
って、テメェ等揃いも揃って笑いを堪えてるのが丸分かりだぜこの野郎……テメェ等、アジトに戻ったら覚悟しとけやオイ――!!








――――――








Side:スバル


まさか、伝説のX.R.Cの人達と出会う事になるとは思わなかったけど、それ以上にアタシとノーヴェが『異界』を探索する事になるとは思わな
かったよ……

アレは話に聞いていた以上の場所だった――シオさん達が一緒だったから何とかなったけど、あそこに捕らわれたのがアタシとノーヴェだけ
だったら可成りヤバかったも知れないよ。



「む、異界とは其処までなのか?」

「あぁ、ありゃあ相当なモンだぜチンク姉?
 一応魔導的な攻撃手段を持ってればグリードとか言う化け物とも戦う事が出来るが……異界迷宮の最深部で待ってるボスの『エルダー
 グリード』ってのは可成りヤバいぞマジで。」

「うん、アレはマジでヤバい。
 シオさん達は軽くあしらってたけど、エルダーグリードの力は、最低でもAAA+ランクの魔導師と同等だと思うから――」

「其れは、確かにあまり宜しくないわ……そして、そんな化け物が居る異界を操る事の出来る人物が最高評議会に居ると言うのもね。
 ――此れは、局に戻ったら即レティ提督に報告して、対策を練らないと……若しも、私達だけが異界に捕らわれてしまったら、抜け出すの
 は可成り困難な事になるのは目に見えてるもの。」



うん、其れが良いと思うよギン姉。
いつもいつも、X.R.Cの人達が一緒に異界にって訳には行かないと思うけど、対策をしておけば如何にかなるかも知れないしね。



「大丈夫っすよスバル姉ちゃん!
 アタシ等が力を合わせればどんな敵にだって勝てるっすから!アタシのライディングボードで、戦場をかき回してやるっすよ!!」

「うん、其れは頼りにしてるよウェンディ♪」

まぁ、異界の方については何とかなるだろうけど……アタシとノーヴェにはそれ以外の懸念があるんだよね……
其れは、訓練校を卒業と同時に行方を眩ませてしまった親友の『ティアナ・ランスター』の事――捜索しても見つからなかったって事だけど、
見つからなかっただけで、ティアは生きてる筈だよ。
あぁ見えて、ティアはタフだから、誘拐されたとしても自力で逃げ出すだろうし、何処かに迷い込んでも逞しく生きてるだろうからね――にも
かかわらず、未だに見つかっていないのは何でだろう?

……ティアの事も、少し本腰を入れて調べてみる必要があるかもね――今度、司書長のユーノさんに手伝って貰おうかな。


ねぇティア、君は今どこで何をしてる?――この空の続く場所に、君は居るの?君は一体何処に行っちゃったのティア?……教えて、教え
てよ……何処に居るんだ、ティアナ・ランスター!!








――――――








Side:なのは


この間の任務では出撃する事は出来なかったけど、志雄さん達が無事に帰って来てくれた事には安堵したよ……フェイトちゃんは心配する
のが馬鹿臭くなる位に元気だったけどね。
取り敢えず、其れなりの数のレリックを回収できたから、任務としては成功だって言えるね。

そして其れから数日後、アジトのロビーに全員が集められた……此れは間違い無く新たな任務だよね?



「だろうな……まぁ、やる事は決まってるんだから焦る事もねぇがな。」

「ふふ、そうですね志緒さん。」

やる事が決まってるなら、焦らずに確実に成すべき事を成せ――此れもまたBLAZEの教えですから。
其れでドクター、次の任務はどんなモノなんですか?……私達全員を集めたと言う事は、可成り高レベルの任務だって解釈しますけど……



「うむ、その認識で構わないよなのは君。
 此度の任務は、1週間後にミッドチルダの『ホテル・アグスタ』で行われるオークションが舞台だ。
 表向きにはセレブ達が集うオークションだが、このオークションには裏ルートで取引されたロストロギアも出品されるとの事なので、其れを
 君達に回収して貰いたいのさ。
 そして、それ以上にそのロストロギアを目当てに最高評議会のハイエナ達が群がって来るのは目に見えてるから、其れの撃退もだね。
 何よりも、出品物の中にはレリックが存在してる可能性も高い――ならば、其れは絶対に手に入れておきたいものだからね。」



其れはまた、何ともなオークションですね?
まさか裏ルートで流れてきたロストロギアが出品されるとは……だけど、確かに其れは最優先で確保しないといけない事だから、この任務
は絶対に達成しないとだね!

今度は私も一緒に出撃できるから、志雄さん達と一緒に戦えるし♪



「よっしゃー!やったるぞー!!!……ところで、おーくしょんって何?」



――ドンガラガッシャーン!ガッチョーン!!バッカルコーン!



「こ、此処でそう来るかいフェイトちゃん……」

「流石にコイツは予想外だったぜ……」

「うん、本当に予想外でしたよ志雄さん……」

まさかフェイトちゃんがオークションが何であるかを知らないとは思わなかったよ?って言うか、幾らアホの子でも限度があると思うの!!
取り敢えず、フェイトちゃんにはオークションが何であるかを説明したけど、ちょっとばかり不安が残るかなぁ?

でも、既に賽は投げられたんだから、後は出た目のままに――
だけどホテルアグスタのオークションは、絶対に最高評議会の思い通りにはさせないの!!――私と志雄さんが現場に出張る以上、貴方
達の野望が成就する事は無いからね。











 To Be Continued…