Side:志緒


まさか、最高評議会の狗が異界に関する力を持ってるとは思わなかったが……俺達を相手に異界を顕現するってのはマッタク持って意味
がねぇ事だぜ!
俺達X.R.Cにとって、異界ってのはごく自然に傍にあるモノだったし、活性化した異界はその都度鎮静化して来た訳だからな?

今更、異界に閉じ込められたくらいで焦るなんて事は無いぜ!!!
だから、今更言う必要もねぇだろうが……気合を入れろよお前等!!



「うっす!勿論すよ志雄先輩!」

「久々の異界……目指すはパーフェクトクリアだよね♪」

「押忍!全力で行きます!!」

「久々の異界か……楽しめそうじゃん?」

「ネメシスの執行者として、そしてX.R.Cのメンバーとして責務を果たさないとね。」

「ゾディアックの白き巫女として、力を振るわせて貰います。」

「久々の異界……よっしゃー、これは燃えてくるぞー!!
 どんなグリードがでてきても、僕がげきめつしてやるからかくごしろーー!!って言うか、僕の敵はだれであろうと滅殺するからなーー!」



……分かってた事だがフェイトの気合は相変わらずだな?
まぁ、其れだけに頼りになるとも言えるけどよ……兎に角先ずは、異界攻略と行こうぜ!!――俺達が、此の異界を攻略して現実世界に
帰還したら、其れだけでも最高評議会の脅威になるだろうからな!!













リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE123
『久々の異界攻略!~氷龍の洞窟~』











――異界:氷龍の洞窟


にしても此の異界は異様だな?
異界の雰囲気だけなら鷹羽組の不審火の時の異界に似てるんだが、その異界が灼熱地獄だったのに対して、此の異界は氷に閉ざされた
世界――言うなれば氷結地獄って所だ。
となると、霊属性のグリードが多く出現する筈だから、焔属性が有効だろうな。――時坂、北都。



「うふふ、言われるまでもありませんよ高幡君?」

「俺も美月先輩も、焔属性最強のマスターコア『オートクレール』を装備してるぜ!!」

「なら、問題ねぇな。」

まぁ、異界の攻略なんざ慣れたもんだからな。
つっても其れは俺達に限っての事――一緒に巻き込まれた赤毛と青毛は、突然の事態に目が点になってやがるからなぁ?……オイこら、
惚けてる場合じゃねぇぞ?
此処からは第2ラウンド、ガジェットよりも厄介なグリードってバケモンとの戦いだ。ぼうっとしてたらやられちまうぜ?



「バケモノ!?……てかここ何処だよ!?」

「さっきまでの場所と全然違う……一瞬でこんな所に……」

「此処は異界って場所で、現実世界とは異なる迷宮世界だ。
 さっきの包帯野郎が、どんなカラクリを使ったか知らねぇが、異界を顕現させて俺達を閉じ込めやがったのさ――此処から出るには、迷宮
 を攻略して、最深部に居る異界の主を倒さなきゃならねぇって訳だ。」

そう言う訳で、連戦になっちまうがお前等の力も貸してもらうぜ?
グリード共には適格者のソウルデヴァイスの攻撃しか通らねぇが、魔法攻撃なら有効だってのは、ジュエルシード事件と闇の書事件の時に
実証済みだから、お前等の攻撃も通る筈だからな。
確り気合を入れろや赤毛、青毛!……ってか、今更だが名前何つーんだお前等?



「えっと……レティ・ロウラン提督直属部隊『N2R』所属の三等陸士、スバル・ナカジマです。」

「同じく『N2R』所属の三等陸士、ノーヴェ・ナカジマだ。名字で分かると思うが、スバルとは姉妹だ……双子のな。」

「やっぱりそうだったんだ、何となく似てると思ったし。
 こう言っちゃなんだけど、格ゲーだったらスバルが基本カラーで、ノーヴェはスタートボタン押しながらの決定で使えるアナザーカラーって
 感じじゃん?」

「祐騎君、幾ら何でも其れは失礼だよ……」



郁島の言う通りだぜ四宮?……てか、コイツは間違い無く社会不適合者だな。
普通の会社に就職しても、テメェの思った事をズバズバ言って人間関係をボロボロにするタイプだ絶対――其れを踏まえると、人と直接関
わらないネットビジネスってのは天職だったのかもしれねぇな。

兎に角、先ずは異界攻略だ!!行くぜ!!








――――――








No Side


実に3年ぶり(フェイトにとっては10年ぶり)となる異界攻略だが、X.R.Cのメンバーは当然として、フェイトも全く腕は落ちていなかった。
フェイトに関しては、身体が大人になった事で、寧ろ10年前よりも強くなっているだろう。


「あ~~~っはっは~~!!
 ひさびさのいかいなのに、ぜんぜん歯応えがないぞーーー!!おまえ達みたいなざこグリードなんて、僕の手にかかればしゅんさつだ!
 それもう1ぴき!イエーイ、僕さいきょー!!」


否、実際に強い。
此の異界攻略に於けるエースは、間違いなく志雄とフェイトだろう。
ヴォーパルウェポンと、ザンバーフォームのバルディッシュ……炎熱の大剣と、雷光の大剣が振るわれる度にグリードが1体――ではなく、
纏めて5~6体が消滅しているのだから。


「フェイトちゃんに志雄先輩やるね?此れは、アタシ達も負けてられないよ洸君!!」

「だよな璃音!それじゃあ行くぜ?」

「せーの!」

「「クロスドライブ!!」」


其れに負けじと、洸と凛音がクロスドライブを発動し、見事な前衛後衛のコンビネーションでグリードを葬りさっていく。
全ての属性を使う事の出来る洸と、熾天使の力を高いレベルで使う事が出来る璃音の波状攻撃は、志雄とフェイトの猛攻を掻い潜って来
たグリードを的確に始末しているのだ。

そして他のメンバーも、夫々グリードを倒しているが、思った以上に戦えていたのがスバルとノーヴェの姉妹だ。
最初の頃こそ異界に戸惑っていたが、迷宮を進むうちに慣れたのか、本来の戦闘能力を発揮してグリードを叩きのめしていたのだから。


「てやぁ!ボディが、お留守だよ!」

「大人しくぶっ飛びやがれ!!」


スバルがボディブロー→アッパーカット→打ち下ろし式のエルボーのコンボを繰り出せば、ノーヴェはローキック→ソバット→サマーソルトキ
ックのコンボでグリードを撃滅!!

なので現れるグリードはマッタク問題にならず異界を進んで行く。
途中で現れたSグリードも、志雄がイグニスブレイクで一撃滅殺したので問題なしだ。


そして一行は最深部に辿り着き、迷宮の主と対面。



「あの包帯野郎が顕現したゲートが赤だったから予想はしてたが、居やがったなエルダーグリード!」

『ギシャァァァァッァァァァァァァァ!!!』

――エルダーグリード:アストラルウィドウ



此の異界の番人は蜘蛛型のエルダーグリード『アストラルウィドウ』だ。
ただ、此の異界が氷の洞窟であるせいか、体色は黄色から白と水色を基調としたものになり、属性も『霊』に変わっているらしい――だが、
そんな事は、志雄達にとっては大した問題ではない。


「霊には……」

「鋼だね!」


鋼属性の祐騎と、マスターコアを鋼属性最強の『ギャラホルン』に換装した空が、霊属性のアストラルウィドウに先制攻撃を叩き込んで隙を
作り、その隙に洸と凛音の攻撃が突き刺さり、更に明日香と美月の攻撃もヒットして、霊属性の蜘蛛は暴れまくる!!!
この巨体で暴れられたら堪ったモノでは無いが……


「大人しくしやがれこの野郎!!」

「暴れるのは良くない、感心しない!」


ノーヴェの踵落としと、スバルの打ち下ろし式のフックがアストラルウィドウの脳天に突き刺さった事で、暴れ状態が解除。
蜘蛛の脳みそはとても小さいと言われるが、しかしながら頭への強烈な衝撃は、アストラルウィドウの動きを一瞬だけ、しかし確実に止める
事にも成功していた。

そして、その刹那の瞬間こそが歴戦の勇士にとっては好機に他ならない!!


「隙が出来たぜ!!
 どぉぉぉぉぉぉぉっぉりゃぁぁぁぁ!!!クリムゾンレイドォォォォォォ!!!

「これでおわりだーーー!喰らえ~~、雷刃封殺爆滅剣!!


志雄のクリムゾンレイドと、フェイトの雷刃封殺爆滅剣を喰らった霊属性のアストラルウィドウは完全消滅!そして完全滅殺!!
久々の異界攻略ではあったが、今の志雄達の前ではエルダーグリードですら相手にならない――志緒達は、無自覚の内に強くなってたと
事なのだ。

ともあれ此れで異界攻略は終了――評価は文句なしのSランクで間違い無いだろう。








――――――








Side:???


包帯野郎が顕現した異界を難なくクリアするとは流石と言うか何と言うかだわ。
でも此れで、最高評議会にデータを送る事が出来る――高幡志緒の力は、誇張なしでトンデモないからね……此れは、最大級の警戒が
必要かも知れないわ。

と言う訳で、敵勢力で一番厄介なのは高幡志緒であると申し上げます。



『………!?』

「信じられませんか?
 ですが事実です……高幡志緒と高町なのはの2人が戦場に出て来たら、其れは最大の脅威です――
 えぇ、分かっています。勿論仰せのままに……」

必要であるのならば、彼等を殺す事も厭いませんよ?

















ティアナ・ランスターの名に誓ってね。









 To Be Continued…