Side:志緒


初任務って事で気張って来たが……相手がやられ専門の雑魚じゃ拍子抜けも良い所だぜ――まぁ、見てくれが機械龍ってのを考えれば
あの機械蜘蛛よりは多少は手強いんだろうが――

「その程度で俺を倒せると思ってるなら大間違いだぜ!!」



――バッガァァァァァァァァァァァァン!!!



ハッ!脆いなオイ?
この程度で何とかなると思ってんなら、思い上がりも甚だしいってもんだな?修業して出直して来やがれってんだ!



「……おいスバル、ガジェットにはAMFが搭載されてんだよな?」

「えっと、その筈だよノーヴェ?」

「この人、そんなの関係ないって感じでガジェットぶった切ったよな?
 幾ら物理攻撃でも、デバイスは魔力体だからAMFの影響を受ける筈なのに、此れって色々とおかしくねぇか!?ナンボ伝説の存在だって
 言っても、流石に有り得ねぇだろ此れは!!
 ドンだけ強いんだよこの人!AMFが通じないって、本気で人間か!?有り得ねぇよ普通に!!」

「……其処まで驚く事でもねぇと思うんだがな?」

この程度の相手は、俺――と言うか、X.R.Cの面子にとっては雑魚以外の何者でもねぇからな?
確かに魔法を無効化するAMFは驚異かも知れねぇが、AMFの許容範囲を超えた魔法なら有効だってのはなのはが証明してくれてるから、
圧倒的な魔力を持ってすればAMFも驚異にはならねぇ。
何よりも、魔法が効かねぇなら物理的に殴れば良いだけだからな――さぁて、もうちっと暴れさせて貰うぜぇ!?













リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE122
『予想外の事態~異界顕現~』











だが、そうは言っても数が多いってのが面倒なのは変わりはねぇ。
負ける事は無いとは言っても、数で押されたらレリックとやらを持ち去られちまうかもしれねぇし、何よりもこの暴走列車を何とかしねぇとレリ
ックを回収する以前の大惨事になっちまうかもしれねぇからな?
先ずは、この列車の停止が必要なんだが……非常停止ボタンとかねぇのか?



「あるけど意味なかったんだよ志雄さん……押してみたけど、全然止まる気配がなかったから。」

「でもって、マニュアルのブレーキも効かねぇと来てるからな……マジで最悪極まりねぇぜ。」

「其れはまた何とも厳しい状況だな?」

非常停止ボタンも、マニュアルブレーキも効かねぇって事は、この車両は敵さんに完全に乗っ取られてるって事になる訳か――だとしたら、
ヴォーパルウェポンで計器をぶっ壊しても意味はねぇ。
一見すると打つ手なしって所だが……俺達を舐めて貰ったら困るぜ。
完全に乗っ取られてても、この車両を止める術は有るからな――出番だぜ、フェイト!!



「いよっしゃー!!くらえ、あんこくらいこーけーん!!



――バリバリバリィ!!!

――ボン!!

――プシュゥ……




「へ?」

「列車が、止まっただと!?」

「あ~~~~っはっは~~!やっぱり僕ってさいきょ~~~!!!」



完全にコントロールが奪われてるとは言っても、この列車の構造そのものが変わった訳じゃあねぇんだ――計器をぶっ壊しても意味がねぇ
なら、それ以上の事をしてやりゃあ良いだけってな?
詰まるところ、フェイトの一撃で高圧電流ブチかまして、この列車の動力に直結してる電気系統を纏めてショートさせたって訳だ。――車輛
の屋根まで吹っ飛んだのは予想外だったがな。

まぁ、流石に電気系統が全部お釈迦になっちまったら、外部から操作してようが強制停止は免れねぇからな?そう言う意味では、今のは
良い1発だったぜフェイト?……少々名前が厨二クセェがな。



「かんじで書くと『暗黒雷光拳』で、キリル文字で書くと『АНКОКУ РАИКОКЭН』なんだ~~~♪」

「漢字は兎も角、キリル文字で書く必要あんのか其れ……?」

「因みに、僕がかんがえたシオのひっさつわざは、相手をつかんでみぎにひだりになんども叩き付けてからほーりなげて、そんでもってじめ
 んからひばしらをどーんってはっせーさせる『暗黒地獄極楽落とし』で!」

「また厨二病全開な技名だなオイ?」

「それからね~、あんこくらいこーけんのよはで、ガジェットがなんたいかふっとんだぞ~~~♪」

「其れは一番真っ先に言う事だと思うがな俺は……」

しかしまぁ、ガジェットをもショートさせたって事は、フェイトの攻撃もまたAMFを容易に貫通するって事か……まぁ、頭脳に割り振る為の数値
を素早さと攻撃力に割り振ってるフェイトなら、別に驚く事でもねぇが。
とは言え、コイツ等は無人機だから幾らでも現れるのが厄介だ……フェイト、レリックの回収に向かえ、此処は俺が何とかする。



「りょーかーい!っていいたいとこだけど、じつは僕がいくひつようってないんだよね~~?
 やっちゃえ、キャロ、エリオ!!」




「フリード!!」

『ガァァァァァァァァァァァァ!!!』

「押し通る!!」

「レリックは渡さないよ!!」



アレは、キャロにエリオに玖我山か?――ガジェットと交戦中だった筈だが、列車が停止した事でガジェットの殲滅から、レリックの確保にシ
フトしたってのか?
ったく、頼りになる行動力じゃねぇか!
其れに玖我山のソウルデヴァイス……機械っぽい見た目から、本物の翼みたいになってやがる……ソウルデヴァイスの形が変わる位に、
熾天使の力を使いこなしてるって事なんだろうな。

にしても、龍召喚士と龍騎士と天使とは、何処のファンタジーなんだか……だが、其れだけに頼りになんぜ!ブチかませや!!!



『ゴァァァァァァァ!!!』

紫電一閃!!

シルフィサイクロン!!!




――バガァァァァァァァァァァン!!



「でもって、此れで回収だぜ!!」

「やるね、洸先輩?」

「お見事です、洸先輩!」



フリードのブレス、エリオの槍での一撃に、玖我山の竜巻……玖我山の竜巻は稲妻を纏ってたが、技もパワーアップしたって事か。
兎に角、此の波状攻撃でレリックが積まれてた車輌の屋根と、レリックが保管されてたケースを吹き飛ばし、顕わになったレリックを、時坂
がソウルデヴァイスを使って絡め取ったか……完璧な連携だな。



「す、凄い……此れが、伝説って言われたX.R.Cの力……」

「アタシ達だって連携じゃ負けないだろうけど、地力が違い過ぎる……これが、ジュエルシード事件と闇の書事件を解決に導いた者の力っ
 て事か――!!」



伝説伝説って、俺達は其処まで大した事はしてねぇぞ、青毛に赤毛。
俺達は、俺達のやりたいようにやっただけのこった――それが結果として、トンデモねぇ事件の解決するに至ったに過ぎねぇ。テメェの信念
に従った行動の結果なんだから、別に誇る程の事でもねぇしな?



「ノーヴェ、志雄さんは間違い無くお父さんと気が合う気がするんだけどどうだろう?」

「間違いなく合うんじゃねぇか?
 この人は間違い無く、親父が好きなタイプだからな。」



……一体何の話をしてやがるんだお前等は?
まぁ、其れは今は如何でも良いか。ガジェット共は粗方叩きのめしたし、レリックってのも回収できたからな――尤も、この青毛達が何も成
果がないってのはレティさんの面目に係わるから、回収できた半分はそっちに渡すけどよ。



「半分も……良いのか?」

「仕事とは言え、こっちは乱入した身だから此れ位はな?
 其れに、お前等としても、レリックを一つも回収する事が出来ませんでしたってのは、余りにもカッコつかねぇだろ――何よりも、お前等の
 上司であるレティさんの顔に泥を塗る結果になるしな。」

「……レティ提督の事、やっぱり知ってるんですね?」



まぁ、色々と世話になったからな。
お前等はレティさんの直属なんだろ?……まぁ、宜しく伝えてくれや――俺達は、またこの世界で元気にやってますってな。
――尤も、其れを伝えるのは少し先になりそうだがな……

「こそこそ隠れてないで出てこいや。
 テメェの薄汚い気配はさっきから感じてんぜ?……最高評議会の犬っころが!!」

「気付いていたか……噂以上の男のようだな高幡志緒。」



俺の呼びかけに応える形で現れたのは、上等そうなスーツに身を包んで、日本刀を手にした包帯男……コイツは偶然なのか、其れとも狙
ってやってるのか……見た目がどう見たって悪魔も泣き出す男の小説版に出て来た主人公の双子の兄貴だろ此れは!



「志緒先輩……」

「時坂、お前も思った見てぇだな?……なら行くぜ、せーの……」



「「ギルバァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」」



「誰がギルバか!!」



テメェだテメェ!!
てか、ギルバを知ってるって事は、分かっててやりやがったなテメェ?……んで、何のようだ包帯野郎?まぁ、大体の予想は付くけどよ?



「ならば話は早い、そのレリックを渡せ。
 其れは貴様等が持っているべき物ではない――我ら最高評議会が管理すべき物だ……命が惜しくば、其れを置いてこの場から去れ。
 レティの狗共も、其れを置いて此処から去るが良い。」



まぁ、そう来るだろうな?
だが、悪いがお断りだぜクソが――なのはを殺そうとした最高評議会に、ジュエルシードにも匹敵する魔力結晶体であるレリックが渡ったっ
ちまったら、どんな悪い事が起きるかなんざ想像するまでもねぇからな。
どうしてもレリックが欲しいってんなら――俺達を倒して力尽くで奪ってみやがれってんだ!!



「おぉ、実に見事な啖呵切り!流石は志雄先輩、物凄く絵になるよね♪」

「志緒先輩の啖呵切りは天下一品だからな!」

「いよっ、にっぽんいちーーーー♪」



さて、如何する包帯野郎?



「真正面からぶつかっても勝ち目は薄いが……ならば、こう言う趣向は如何だ?」



――ヒィィィィン……



「「「「「「!!!!」」」」」」



んな、此れは……ゲートだと!?
異界へと通じる門を顕現させるとは、コイツはただの魔導師じゃねぇ……間違いなく異界に精通してる奴だ……!!テメェ、一体何者だ!



「其れは、次の機会に話すとしようか?……尤も、次の機会があれば、だけれどね!!まぁ、精々足掻くと良いさ!!」



逃げる気か!!クソ……待て、待ちやがれ!!
一体何処で、異界を顕現させる力を身に付けやがった――答えろ……答えろ包帯野郎ーーーーー!!!



「生憎と答える舌は持っていなくてね……まぁ、真実を知りたいのなら、精々其処から無事に生還する事だ――その異界は、可成りの力を
 秘めているのは間違い無いからね。」

「……上等だぜこの野郎。」

どんな絡繰で異界を検眼する力を身に付けたかは知らねぇが、今更俺達を異界に閉じ込めた程度で如何にか出来ると思うなよ?
その異界が、倉敷の作り出した『匣』以上でない限り、俺達が苦戦する事は絶対に無いからな!!

――何にしても、久々の異界攻略だ、気合を入れて行くぜ!!









 To Be Continued…