Side:志緒


ゲートを通って到着した先は見知らぬ場所で、行き成り正体不明のロボットに襲われて……そんでもって、なのはとフェイトと再会して、盛
り沢山の内容だが、まさかこっちの世界では10年も経ってたとは驚きだぜ。
だとしたら、随分待たせちまったななのは?



「うん、ずっと待ってましたよ志雄さん……やっと、やっと会えた!」

「あの時のガキんちょが、良い女になったじゃねぇか?……待たせて悪かったななのは。」

しかし、何だってお前は顔を隠してたんだ?
こっちの世界での10年前に、お前は管理局の歴史に残る位の大活躍をした魔導師じゃねぇか?顔を隠す必要は、ねぇと思うんだが…?
有名人だから、顔を曝したくないってのがあるのかも知れねぇが……



「……其れについては、私達のアジトに戻ってから説明しますね志雄さん。――私も、此処に来るまでにも少なくない数のロボットと戦闘を
 行ってて、更にさっき強い力を使ったせいでタイムリミットが近いから、アジトに戻ってメンテナンスをしないといけないので。」

「メンテナンス、だと?」

一体どういうこった?
妙に機械的なアイマスク型のバイザーとチークガードをしてるのが気になったが、メンテナンスって、まさかなのはは、普通の人間じゃなく
なってるってのか?

もしそうだとしたら、此の10年間に一体何があったんだ?……此れは、聞いてみる必要がありそうだぜ。













リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE118
『完全予想外の敵対相手!!』











しかしまぁ、まさか迎えとして垂直離着陸の出来る軍用ジェットみたいなのが来るとは思わなかったぜ。
向こうの世界の国防軍にだって、これ程の性能の輸送機はねぇ……其れ以前に、プロペラなしの垂直離着陸可能な機体なんぞ存在して
ねぇからな?……一体どれだけの技術力のある世界なんだが。
序に言うと、其れを操縦してたパイロットの事を一瞬『男』かと思ったのは俺だけじゃねぇよな?……あのガタイの良さと髪型で、初対面で
アイツを『女』と思える奴はドレだけ居るのやらだな。

だが、其れは其れとして、俺達の時間軸で3年、なのは達の時間軸で10年てのは大きな時間だからな?……移動中には、その間に起
きた事をネタに話題は尽きないぜ。



「うわぁ……其れは流石に引きますね志緒さん?
 幾ら表現の自由とは言っても、志雄さんと洸さんをモデルにしたBL同人誌を作るとは……そんな漫画部は潰れるべきです。」

「まぁ、俺と時坂が直々に乗り込んで、最終的には売りに出される事は無かったけどよ。」

とは言え、アレはおぞましかったぜ……何が悲しくて野郎が野郎と××××せにゃならんのか……漫研の連中をぶち殺さなかった自分を
褒めてやりてぇくらいだぜ。



「寧ろ滅殺しても良かったんじゃ……」

「そうだぞー!滅殺!抹殺!!瞬獄殺だー!!!」



いや、相手は流石に女子だったからな……四宮にコンピューターウィルス作って貰って、『次にこんなモンを作りやがったら、テメェらのPC
とサイフォンに、コイツを送りつけてデータ全部デリートするからな?』って脅したら顔青くして頷いたから其れでな。
まぁ、会話は確りと録音しといたし、誓約書も書かせた上でコピーを取って印鑑捺させたけどよ。

さてと、なのはの言う『アジト』とやらにはまだ着かねぇみたいだが、今更だが此処は何処なんだなのは?少なくとも海鳴じゃねぇよな?



「此処はミッドチルダって言う、地球とは異なる場所――時空管理局の本部がある世界です。」

「管理局の本部だと?」

通りで、近未来的な建物が見えた筈だぜ。
管理局の化学力と技術力を考えると、この世界の化学力や技術力その物がスゲェ高い事になるからな?
其れだけの化学力や技術力があれば、東亰の首都高以上に入り組んだ道路を作る事だって出来るだろうし、プロペラなしの垂直離着陸
可能飛行機体を作る事だって出来るだろうからな。

だが、お前は『アジト』に戻るって言ったよななのは?……お前は、管理局員じゃねぇのか?
この世界での10年前に起きた『ジュエルシード事件』『闇の書事件』『闇の欠片事件』『砕け得ぬ闇事件』――何れも管理局のレコードに
残る位の大事件だと思うが、それらの事件の解決の立役者であるお前なら、管理局から引く手数多だったと思うんだが……?



「其れは………」



――ビーッ!ビーッ!!



「「「「「「「!!!!」」」」」」」


なのはが何か言おうとした途端に、コイツは警報か?オイ、一体何が起きやがった!あ~~~……青毛の男女!!!



「誰が男女だ!俺の名前は三月だ!」

「あら、同じ名前だったんですね♪」

「テメェはどんな時でも落ち着いてやがるな北都……にしても、一体なんだってんだ?」

「ちぃ、面倒な奴等に見つかっちまったな?……管理局の魔導師が来やがったか!!」



管理局の魔導師だと!?
何だってそいつ等がこの機体を……一体如何言う事だ?



『見つけたぞテロリスト共!大人しく投降しろ!』

『出てこい第一級犯罪者高町なのは!そしてフェイト・T・ハラオウン!!』



「テロリストに犯罪者?……なのはちゃん、君は一体……?」

「待ったリオンー!アイツ等のいうことなんてうそ800まんだから信じちゃダメー!
 誰がてろりすとではんざいしゃだってんだ!8ねんまえに、なのはのことをころそうとしたくせにえらそうにー!トーレ、アイツ等ムカつくか
 ら、ちょっと外に出てやっつけてくる!!!」



なのはの事を殺そうとしただと?管理局が?……一体如何言う事だフェイト!……って、行っちまったか。
……説明して貰えるかなのは?



「……本当はアジトに戻ってからにする心算だったんですけど、仕方ないですよね。
 志雄さんが予想した通り、私の魔導師としての力は、管理局としては欲しかったみたいで、小学校5年生に上がった11歳の頃には、私
 とフェイトちゃんとはやてちゃんは、管理局の嘱託魔導師として働いていたんです。
 フェイトちゃんは執務官を目指して猛勉強してて、はやてちゃんはヴォルケンリッターの皆と一緒にレティさんの直属として働いて局内で
 の地位を固めて行って、私は現場に出る事でキャリアアップをしていたんです。
 だけど、8年前のあの日――ヴィータちゃんと一緒に行った任務で、全てが変わっちゃいました。
 任務其の物はロストロギアの確保って言う簡単なモノだったんですけど、任務完了直後に現れた蜘蛛型のロボットの襲撃を受けて、私
 は瀕死の重傷を負ってしまったんです……ヴィータちゃんが言うには、可成り危険な状態だったみたいです。」

「「「「「「「!!!?」」」」」」」


マジかオイ……!
まぁ、今こうして生きてるって事は一命はとりとめたんだろうが……



「ドクター……ジェイル・スカリエッティと言う科学者のおかげで私は一命を取り留める事が出来ましたけど、彼のアジトで知ったのは、管理
 局の裏側でした。
 クロノ君やリンディさん、レティさんと言った人達と、その派閥の人達は間違いなくミッドチルダと管理世界の平和の為に働いてたんです
 けど、最高評議会って言う派閥に属してる連中は、己の利しか考えて無い連中ばかりで、そんな連中からしたら、リンディ・レティ派閥に
 属してる11歳の小娘は邪魔で仕方なかったんだと思います。
 それと、執務官の試験に臨もうとしてたフェイトちゃんや、常に誰かが傍にいるはやてちゃんよりも、現場に出る事が多い私は連中にとっ
 て絶好のターゲットだったって事なのかも知れません。」

「……管理局は一枚岩じゃないって事か……」

「って言うか、自分達の利の為に、なのは程の魔導師を殺そうとするとか、その最高評議会とやらは馬鹿じゃないの?アホなの?」

「た、多分どっちもじゃないかな祐騎君?」

「いずれにしても、胸糞が悪くなる話だぜ……クソっ垂れが!!」

「絶対に許せないよそんな事!!」



あぁ、マジで許す事は出来ねぇなコイツは?
まぁ、お前が一命を取り留めたってのは良かったが、其の後はどうなったんだ?



「幸いにして、ヴィータちゃんは無傷だったから、フェイトちゃんとはやてちゃんに『なのはは生きてる』って連絡を入れて貰って、それで合
 流したんです……その時に、私もフェイトちゃんもはやてちゃんも、そしてヴォルケンリッターの面々も管理局を退職しましたけど。
 其れで今は、反管理局を掲げる民間組織『BLAZE』に所属して、管理局の最高評議会派閥と戦っているんです。」

「成程な……そうなると、リンディさんとレティさんは、局に残っていながらもお前等と内通してるって所か?其れからクロノの奴も……」

「はい、そうなります……ただ、クロノ君は1カ月前に遠征に出た先で、率いていた艦隊諸共行方不明になって『MIA』判定をされたみたい
 ですけれど……」

「マジかオイ……!!」

リンディさんとレティさんは無事だが、クロノは……実際に会った事は無くても、なのはから聞いただけで、管理局の最高評議会ってのは
クソ野郎共の集まりじゃねぇか!!
俺達が杜宮に戻ってた間にそんな事が有ったとはな……時に、フェイトの奴は1人で出撃したが大丈夫か?



「其れについては大丈夫だと思うぜ志雄先輩?」






「あ~~~っはっは~~!!
 どーした、かんりきょくのまどーし!たった1人があいてなのに、其れをたおすこともできないのか~~?そのてーどで、僕達をやっつけよ
 うだなんて17兆8千3百57億4千3百12万9634年はやいんだよ!!
 くらえー!雷神滅殺爆光剣ーーーーー!!




――ドッガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!




「「「「「「「「「「ごぉぉぉぉわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」」」」」」

「よっしゃー!僕の勝ちだな!!
 うんうん、やっぱり僕さいきょー!って言うか、僕のおにーちゃんをえむあいえーはんていにしやがったお前達にてかげんなんてしてやる
 もんか!!僕のかみなりにうたれてかんでんししちゃえ!!」




……確かにマッタク問題なかったな。
追手も生半可な実力じゃなかったはずだが、平均の範囲内の実力者じゃ、攻撃とスピードがSSクラスのフェイトの敵じゃなかったか……こ
う言っちゃなんだが、なのはとフェイトと八神家が抜けたってのは、管理局にっては致命傷だったかもしれないぜ。



「よっしゃー!ぜんいんぶったおしてきたぞ!」

「流石はフェイトちゃん……お見事でした。」

「は~っはっは!僕が本気を出せば、あんなやつらなんてはなくそだ~~!ティッシュで丸めてゴミ箱にポイだよ!!」



言いたい放題だなマッタク……まぁ、テメェに良い様にぶっ飛ばされた連中を見る限り、平均以上ではあるだろうが、最強ではないだろうか
らな……逆に言うなら、その程度の魔導師を前線に送り込まなきゃならない位に管理局は人手不足にあえいでるって事か。
其れを打開する為に、リンディさんやレティさんはなのは達を自分の配下に取り込みたかったんだろうな……だからこそ、その2人はなの
はと内通してるんだろうけどな。

其れだけに最高評議会とやらは馬鹿の集まりなのかとしか思えないぜ。
テメェ等の利が第一だとしても、その利を得る為には管理局が存在してないと無理な筈だ……其れなら、真っ先に管理局の人員不足をな
んとかしなきゃならねぇのに、自分達とは違う派閥に属してる優秀な人材を消そうとするなんざ正気の沙汰とは思えねぇな?

欲望に目がくらんだ連中ってのは、大事な事を見抜く事が出来ねぇって事なのかも知れねぇが……どうやら、今回の厄介事は、前に海鳴
に来た時に起きた4つの事件の比じゃねぇかもしれねぇな?

コイツは、少しばかり気合を入れて行かねぇとな!!








――――――









Side:???


なのは君からの通信を受けて迎えを寄越したが……まさか、『彼等』がこの世界に来ているとは予想外だった!!
現行戦力でも管理局とは充分にやり合うことが出来るが、『彼等』が居ればより盤石となる――特になのは君が御熱心だった『高幡志緒』
……彼の戦闘力は、ガジェットは勿論、戦闘機人や、下手したらヴォルケンリッターの面々をも上回るかも知れないからね?

これは、楽しみにするなと言うのが無理があると言うものだよ!!君もそう思うだろう、ヴィータ君!!



「あ~~……志雄達がまたこっちに来てるってのには驚いたが、志雄の戦闘力に関しては同意するぜ変態博士。
 てかよ、もっと普通に振る舞う事が出来ねぇのかアンタは?……瀕死のなのはを可成り無理矢理だけど助けてくれたから腕は確かなん
 だろうけど……今のアンタは普通にマッドサイエンティストだぜ?」

「マッドサイエンティスト!其れは最高の褒め言葉だよヴィータ君!
 何と言っても、私の夢は『世・界・征・服!』だからね!その為には労力は惜しまないさ!!」

「サラッと爽やかに、トンデモねぇ目的口にしてんじゃねぇ!!アイゼンでぶっ叩くぞテメェ!!」


――メキィ!!



ぶっ叩くぞと言った瞬間に、ぶっ叩いてるのは如何なものかと思うけれど、見事な一撃だヴィータ君。私が強化人間でなかったら死んでい
た所だ。

とは言え、私も伊達や酔狂で世界征服を掲げてる訳じゃないし、私の中での世界征服は世界の平定だからね?
誰も争う事が無く、太平の世が続く世界……其れが私の目指しているモノさ――其れを私の手で成し遂げる事が出来たら、世界征服が
出来たと言えるだろう?



「確かに、言われてみればそうかも……」

「だろう?」

だからこそ私は、私のやりたいようにやるだけさ……管理局の最高評議会によって歪められてしまったこの世界を元に戻す事が、私に課
せられた使命だと、そう思っているからね。


いずれにせよ、君と会うのを楽しみにしているよ高幡志緒君――!










 To Be Continued…