Side:なのは


なんて言うか、とっても不思議な体験だったね……私達によく似たマテリアルの子達に、未来からの渡航者も居て、本当に大変な事だった
からね。
何にしても、無事に終わる事が出来て良かったよ。



「あ~っはっは!僕が居る限り負ける事は絶対にない!!だって、僕は最強だから!!」

「いやぁ、どんな時でもぶれへんなフェイトちゃんは?――まぁ、此れがフェイトちゃんなんやろうけどね。
 其れは其れとして、なのはちゃん、ちょおお気に入りの子が居たんと違う?――ほら、あの大人の姿になって戦うハニーブロンドの子。」



うん、気に入ってたよはやてちゃん――名前も思い出せないけどね。
でも、あの子はきっと私と深いかかわりを持ってるって、そう思えるんだ……うぅん、私だけじゃなくて志緒さんともね。



「志緒さんともか……まぁ、そうやろねきっと。
 なんや、志緒さんとなのはちゃんによう懐いとったからね――名前も顔も、碌に思い出す事が出来へんけど、きっと深い関わりがあった筈
 やで。」

「そう、だといいな。」

私とあの子は、一体何時出会うんだろう?
そして、志緒さんと再会するのは何時になるのかな?……再会するその日まで、預かったウォレットチェーンは、大切に持っていないとね。











リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE112
『A's portable~The Last episode~』











Side:リインフォース


あの事件から、もうそろそろ1ヶ月と言う所か――私が復活しなければ起き得なかった事件だが、結果的には全てが丸く収まったと言う事
で良いんだろうね。

アレからは特に大きな事件もなく、平和な日々なんだが……

「だからヴィータ、私だってあの事件の詳細はよく覚えていないと言っているだろう!」

「ぜってー嘘だ!
 ありとあらゆる情報を蓄積する夜天の魔導書の管制人格のお前が、あの事件の事を記憶してねぇなんてありえねぇ!!」



こうして、ヴィータがあの事件事を聞いて来るのが悩みの種だな。
実を言うと、ヴィータの言う通り、あの事件に関わった者達の中で、唯一私だけはフローリアン姉妹の事も、未来からの渡航者の事も完全
に覚えている。
夜天の魔導書の管制人格である私には記憶操作の魔法は意味を成さない……既に身体に正確な情報が記録されているが故に、記憶を
操作されても、直ぐに正しい情報に戻ってしまうからね。
……お陰で、夜天の魔導書の方に記録されていた事を削除するのに苦労したがな……まぁ、多重プロテクトを掛けた上で私の中に保存し
ているから、主でも覗く事は出来ないだろうがな。

そう、あの事件の詳細は――特に未来からの渡航者の事は誰にも話す訳にはいかん……話したら、未来が変わってしまうかもしれないか
ら……だからこそ、私は偽りの答えを返そう。

「そうは言うが、私が一度消えて蘇った存在だと言う事を忘れるなよ?
 一度消滅した際に、私と夜天の魔導書とのリンクは切れ、復活した後でも完全にリンクしている訳ではないんだ……完全に覚えている事
 など出来んよ。
 事実、主との融合機能も徐々に失われつつある……あの戦いでユニゾンできたのは、ある意味で奇跡的なんだ。」

「ぐ……其れを言われると何も言えねぇが……如何にも、怪しいんだよなぁ?」



……こう言う所で鋭いのが、時々困るなヴィータは。
あ~~……こんな事を言っては何だが、私がお前に、と言うかお前達守護騎士に嘘を吐いた事が1度でもあったか?少なくとも、お前達に
嘘を吐いた事は無かったと思うがな?



「……ない。」

「なら、信じてくれ。――どうしても納得できないと言うのならば、商店街のお好み焼き屋の『牛カルビ玉DXソバ入り』で手を打たないか?」

「よっしゃー、其れで手を打とうじゃねぇか!!」

「「「其れで良いのか!?」」んだ♪」



将もザフィーラもシャマルも的確な突込みだな?……シャマルは楽しんでるようだが。
そして、時にヴィータの子供な精神が助かるな。
まぁ、此れでヴィータが追及して来る事はないだろう――時に、我が主、以前に話しておいた私の後継機についてはどうなっていますか?
融合機能が失われつつある今、私の力を受け継がせる為の後継機が必要だとお話ししたと思うのですが……



「其れについては大丈夫やで?
 マリーさんにお話しして、開発の方を進めて貰っとる――私とリインフォースの魔力をベースにして作ってくれるみたいや。
 せやけど、そしたら名前はどないしようかなぁ?
 リインフォースは自分が消えてまう前に、リインフォースの名を継がせてほしい言うとったけど、リインフォースはこうして生きてるやろ?
 其れで、名を継がせたら、リインフォースが2人になってまうからややこしくなってまうからなぁ?」

「そう言う事でしたら、私が『アインス』で、後継機が『ツヴァイ』で如何でしょうか?
 ベルカの言葉で、一番目と二番目を意味する言葉ですが……」

「アインスとツヴァイか~~……ちょっと安直な気がするけど、それで行こか?
 其れに、アインスとツヴァイって言うんは、意味は兎も角として、響きとして悪ないからね――其の案、採用させて貰うでアインス♪」



早速、アインス呼びですか我が主――ですが、其れが貴女の良い所です。
融合機能は失っても、私は永遠に貴女に忠誠を誓いましょう……本当に、貴女に会えて良かったと、心の底からそう思います。



「私も、アインスと会えて良かったで?
 だから約束してや、もう2度と私の前から居なくならないって。」

「はい、約束します我が主。」

もう、2度と離れはしません……貴女の命がある限り、私は貴女と共に居ますから。








――――――








Side:志緒


この上なく濃密な時間を過ごした上で神山温泉に戻って来て、宿泊日数を1日プラスして、今は露天風呂でまったりしてる訳なんだが、この
季節の差には流石に参ったな?
海鳴は早春だったのに、こっちは真夏だからな……まぁ、速攻で身体は慣れたけどよ。

「んで、四宮に時坂、何をする心算だテメェ等は?」

「え?ちょっと後学のために空の事を見ておこうかなって……」

「そんな祐騎を止めようと……」

「そいつは兄貴分として立派だと思うが、本音は如何なんだ時坂?」

「空は兎も角、明日香と凛音と美月先輩はちょっと見たいかなーって思ってます!!」

「正直なのは良い事だぜ時坂。」

だが、正直な事と、其れで覗きが正当化されるかってのは別問題だぜ?
俺も男だから、気持ちは分からなくもねぇが、覗きってのはやっぱり良くねぇからな?……男なら、そんな姑息な事をしねぇで、女の方から
其の身を捧げるくらいになってみろってんだ――オヤッさんの受け売りだがな。



「そんな事言って、志雄先輩って実は大人の女性には興味ないんじゃないの?
 なのはにキスされた時も固まってたし……先輩ってもしかしてロリコン?」

「えぇ、マジっすか志雄先輩!?」

「誰がロリコンだ馬鹿野郎!!」

「「志緒先輩!!」」



テメェ等、良い度胸してるじゃねぇか?
確かになのはのアレには驚いたが、だからと言ってアレがフェイトだったら俺は驚かなかった……なのはだからこそであり、俺は決してロリ
コンなんかじゃねぇ。

と言うか、人をロリコン呼ばわりするとは良い度胸してるじゃねぇか時坂に四宮……覚悟は出来てんだろうなオイ?



――キュゴォォォォォォォォォォォォ……!!



「ちょ、志雄先輩、両手に力を集めるその構えはヤバすぎるって!!」

「しかもこれはまさか……俺と祐騎の人生、もうエンディング!?」



安心しろ、威力は抑えてやるからよ……だが大人しく喰らっとけや!!スターライト・ブレイカーーーーーーーー!!!



――ドッガァァァアァァァァァァァァァァァァン!!!



「いってれぼあ!!」

「たわらばぁ!!」



滅殺完了だ。――女湯とのつい立てを壊さなかったのは自分でも大したモンだと思うぜ。――だが、楽しかった夏休みも残り僅かだ。
……アレだけ濃密な夏休みを過ごしたから、2学期は少し物足りないかも知れないが、だとしても全力でやって行かねぇとだぜ。

高校生活最後の1年、悔いの残らないように過ごさねぇとだからな――!











 To Be Continued…