Side:志雄


く……最大級の攻撃をブチかました上での、王様の一撃ってのは流石にトンデモなかったみてぇだな?……攻撃で巻き上がった閃光と煙で
何が起きてるのか全く分からないぜ……



「確かに分かりませんけど、きっと大丈夫ですよ志雄さん。
 王様は、U-Dの事を本気で救いたかった……だから、救うために最大の一撃を放ったんです――だから、きっと大丈夫です。闇の書の闇
 の時だって、はやてちゃんを救いたい、闇の書の呪いを終わらせたいっていう思いが一つになって奇跡が起きたんですから。」

「……確かに、そうかも知れねぇな」

だが、一つ訂正しとくなら、アレは奇跡でもなんでもねぇ……俺達が力を合わせた事で起きた必然の結果だ――尤も、其れを考えると、間違
いなく、王様は旨くやっただろうがな。

何にしても、閃光と煙が治まるまでは下手に動く事は出来ねぇだろ?……下手に動いて、倒しきれなかったU-Dの攻撃を受けたなんてのは
、幾ら何でも笑えねぇからな。

さて、俺達が見通せない閃光の中では、一体何が起きてるんだろうな?











リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE110
『A's portable~全てが決着の時~』











Side:U-D


身体が動かない……私は、死んだのでしょうか?其れとも壊れたのでしょうか?……何れにしても、此れで良かったのかも知れません。
私は壊す事しか出来ないから……此処で死ぬと言うのも悪くありません……此れで、漸く楽になれる――



「随分と勝手な事を言っているな?……我の許可なしに、勝手に逝くなど許さんぞ?」

「ディアーチェ?」

「うむ、我だ。
 如何やら、作戦は成功だったようだな?貴様に波状攻撃を仕掛け、貴様を覆う障壁を取り去った上で許容量を超えるダメージを与える事
 で、貴様の力を弱めた上で、我が書の機能を上書きする。
 夜天の小鴉が、行ったのと同じ方法だが、まぁ、巧く行って良かった。」



ディアーチェ……どうして私を?



「……我等は、元々1つの存在だったが、永い年月で其れが解れ、其処に外部からの刺激が加わり、我等はバラバラになってしまった……」

「ディアーチェ?」

「我が王、シュテルとレヴィが臣下……そしてお前が、此の紫天の魔導書の盟主よ。
 お前を探す事を目的としておきながら、惰眠を貪り、前回目覚めた時にはお前の事も忘れ、随分待たせた。」

「ディアーチェ……」

「ヤレヤレ……もう泣くな。
 今はゆっくり休め……と、その前に、これも今し方思い出した事なのだが、お前の本当の名はU-Dなどと言う物ではない。
 ユーリ・エーベルヴァイン――其れが、人として生まれた時のお前の名だ。」

「ユーリ・エーベルヴァイン……」

そうでした、それが私の……でも、これでもう私は壊さなくて良いんですね?……やっと、やっと解放されました。
……ありがとう、ディアーチェ……ありがとう、皆さん……








――――――








Side:なのは


閃光と煙が晴れて来た……見えた!王様とU-Dだ!!
王様、U-Dは大丈夫!?なんか、ぐったりしちゃってるけど……



「うわっ、ぼろっぼろじゃん!?
 ま~~、これくらいですんでるのは、きせきにちかいな~?アレだけの連続こーげきくらったうえで、僕となのはとはやてのとりぷるぶれい
 かー受けて、とどめにおーさまのいちげきでしょ?
 ぶっちゃけて、よくしょうめつしなかったよね~~~?」

「そらま、一応非殺傷でかましたからやろフェイトちゃん。」

「非殺傷じゃなかったら、笑えねぇ結果になってただろうが……本気でそいつは大丈夫なのか、王様よ?」

「えぇい、ごちゃごちゃと煩いわ!こやつは、ただ寝ているだけに過ぎん!
 一々騒ぐな!我のやる事に、不備や不手際がある筈が無かろう!……まぁ、今回に関しては、貴様等の力も多少は役に立ったがな?」



寝てるだけ……其れを聞いて安心したけど、相変わらずぶれないね王様って。
我のやる事って言っても、やった事ってはやてちゃんとリインフォースさんの時と同じ事だからね?……無粋だから、其れは言わない方が良
いんだろうけど。



「其れとな、こやつの事をU-Dなどと言う無粋な名で呼ぶなよ?
 こやつの名はユーリ・エーベルヴァイン。しかと覚えておくが良い。」

「ほえ?それっておーさまがつけたなまえなの?」

「私がリインフォースに名前を送ったんと同じやな?……なんや、王様も随分と粋な事をするやないの♪」

「いや、我が付けた訳ではないが……まぁ、よい。
 ユーリが大人しくなった以上、もうここに長居は無用よ……貴様等の船に戻るぞ?ユーリを、ゆっくりと休ませてやらねばならぬしな。」

「なら、そいつの目が覚めたら、ガッツリと力の付くモンを食わせてやらねぇとな?」



ふふ、なら志緒さん特製のカツ丼ですね♪
それにしてもユーリ・エーベルヴァイン……良い名前だね?U-Dよりも、よっぽど人間らしいし――巧く行ったみたいで本当に良かったよ。



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・・・



で、アースラに戻って来た次の日。(昨日は結局、そのままアースラに泊った。)
私とフェイトちゃんとはやてちゃん、ヴォルケンリッターの皆に、志雄さん達は1晩で回復したんだけど……



「が、頑張った~~……でも、キツイ~~~」

「銀十字、回復モード……」



未来からの渡航組は、1晩じゃ回復しなかったみたいだね?……全員、私よりも年上なのに其れで大丈夫なのかなぁ?
特にトーマさんとリリィさんは、未来の管理局に属してるみたいだから、これくらいの事でへばってたら、お仕事にならないと思うんだけど…



「まぁ、今と未来では色々と違うのだろうな……しかし高町、お前は未来から来たと言う自分の娘と、もう少し触れあわなくて良いのか?」

「そうしたいんですけど、そうすると未来に影響が出るかも知れないってアミタさんが言うので……」




「おら、だらしねぇぞお前等!いつまでくたばっていやがる!
 桃子さん直伝のハチミツホットミルクを作って来てやったから、これを飲んでさっさと回復しな。」

「運ぶの手伝いますよ、志雄さん。」

「あ、パパとちっちゃいママ~~♪」

「は~~い♪」

「って、めちゃめちゃ仲いいじゃねぇかお前!!」



だって、何かヴィヴィオの事って放っておけないんだから仕方ないよヴィータちゃん。
でも、私がママで、志雄さんがパパって言う事は、未来ではそう言う事な訳で……あぁ、物凄く詳しく知りたいよ~~!だけど、それを知った
ら未来が変わっちゃうから知ることが出来ない~~!!
あぁ~~、モヤモヤするの~~~!!



「はいは~い、落ち着きなさい。
 ここに渡航して来た未来組は、言うなれば無限にある可能性の一つで、必ずそうであるとは限らないのよ?――とは言っても細かい違い
 で大筋は変わらないけど。
 でも、だからこそ未来の事なんて知らない方が良いのよ。」

「キリエの言う通りです。
 未来とは運命ではありません――夫々の踏みしめて来た道が重なって未来となるんです。」



キリエさんにアミタさん。……そう、かも知れませんね。
でも、だったら私は私がヴィヴィオのママになって、志雄さんがヴィヴィオのパパになる未来に向かって頑張るだけです!!――時に、王様
とユーリは?



「やぁ、戻って来たよオリジナル。」

「無事に復活できました。」

「ふわっはっはっは!驚いたか貴様等!
 王と臣下と盟主、今此処に紫天の力が全て集った!我等こそが紫天の力を司る無敵の存在『ダークマテリアルズ』よ!!」

「よろしくお願いします、皆さん。」



シュテルにレヴィ、復活できたんだ!……良かった、もう会えないかと思ってたよ。



「全てはユーリが元に戻ったおかげよ。
 紫天の盟主が本来の姿を取り戻せば、理と力を司っていた者が復活するのは道理だからな?
 此れだけの力があれば、この世界を手中に収めるなど造作もない事だが――うぬらの世界は、我等には窮屈すぎる!よって、我等ダーク
 マテリアルズは、赤毛とピンクの世界に進出する事にした!」

「色々エキサイティングな世界だから、退屈はしないだろうから、其れも良いかなって。」

「とは言いますが、結局の所は、キリエの提案に乗ったのが本当の所なのですよ。
 この世界には私達が生きる場所はありませんが、彼女達の世界ならば私達が居ても問題はありませんし、ユーリが一緒に行けば、キリエ
 の当初の目的でったエグザミアをエルトリアに持ち帰ると言う事も果たせますので。
 微力ではありますが、エルトリアが復興できるように尽力しましょう――幸いにして、私達にもフローリアン姉妹にも、命は無限に確保され
 ていますので。」



そうなんだ……そうなると、もう会う事は出来なくなるんだね?……其れは少し寂しいけど、そう言う事なら仕方ないかな。
時にアミタさん、未来の事は知らない方が良いって言う事でしたけど、そうなると今回の事件の事はどうなっちゃうんですか?未来からの渡
航組の存在で、私達は未来の事を少しだけ知っちゃったんですけど……



「『こんな事件があって、こんな人がいた』程度の事を除いて、全て記憶から消去させて貰う事になりますね。
 本当は全てを無かった事にするのが一番なのですが、今回の事件は管理局さんの記録に残るでしょうから、事件その物の記憶を消す事
 は出来ないので、可成りギリギリの処置をする事になると思います。」

「そうですか……」

でも、未来に影響を与えない為なら仕方ないかな……でも、そう言う事なら、お別れの時が来るまでは目一杯楽しまないとだね!








――――――








Side:志雄


事件解決から3日後……いよいよ、今日はアミタとキリエとダークマテリアルズがエルトリアに、ヴィヴィオ達が夫々の未来に帰る日か。
ヴィヴィオ達には、何時の日かまた会える日が来るんだろうが、別れるってのは少し寂しい気がするぜ……次に会うのが何時の日になるか
は、分からねぇが達者でな?



「うん!またね、パパ、ママ!」

「今度は未来で会いましょう。」

「色々お世話になりました!」


「ではな?貴様等と過ごしたひと時、悪くなかったぞ?」

「バイバイ、元気でね?」

「彼方達の道に幸ある事を祈っています。」

「本当に、ありがとうございました皆さん。」


「其れじゃあ、これで良いわね?」

「皆さん、本当にありがとうございました!!」



これでお別れか……元気でやれよ――


――キィィィン……


「「「「「「「!!!」」」」」」」


って、サイフォンが反応してるだと?しかもコイツは――!!


――ヴィン……



『やぁ……どうやら、最悪の危機は防ぐ事が出来たみたいだね?まったく、本当に君達には驚かされるよ……だけど、如何やら君達の、この
 世界での役目は、一時終わりになったみたいだね。』


「レム……」

此処で現れるとはな……だが、其れだけじゃなく、俺達がこっちに来た時に現れた桜色のゲートまで現れるとはな?
どうやら、ヴィヴィオ達だけじゃなく、俺達も元の世界に戻る時が来ちまったみてぇだな……












 To Be Continued…