Side:シュテル


しかし、此れはまた何とも凄まじい力を持っている様ですねU-Dは?……ある程度は予想していた事とは言え、未だ結構な距離が有るにも
関わらず、此れだけの魔力を感じると言うのは、流石に脅威です。
……此れは、干渉制御ワクチンを打ち込めるかどうかも怪しいモノです……打ち込む事が出来たら御の字と言うとこでしょうが、そうであって
も、私はやらなければなりません。
全ては王の為に―――



「待ってよシュテル。私も手伝うよ。」

「レヴィ?バインドで、拘束した筈ですが、何故?」

「忘れたの?こう見えても、私は力のマテリアルなんだよ?あれ位のバインドを引き千切る位は、訳ない事だよ。」

「やれやれ、其処までの馬鹿力であるとは思いませんでした。」

ですが、バインドを破って私に付いて来て、一体何をする心算ですか?



「そんなの決まってるでしょ?私も一緒に戦うよ。――1人よりも、2人の方が成功確率は高くなるからね?其れ位の事は、私でも分かる。」

「そうですか……ならば手を貸してくださいレヴィ。共にU-Dを止めましょう。」

「了解!」


行きますよU-D、必ず貴女を止めて見せます。私達の全力全壊を……覚悟のほどを、貴女に届けて見せましょう……!













リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE107
『A's portable~星と雷、暁に散る~』











とは言え、あれ程の相手を前に如何戦った物でしょうか?復活したばかりの私達では、フル稼働状態でないU-Dであっても勝つのは困難。
戦力差は、私とレヴィの2人の力を合わせても5倍以上と言った所ですか……この限りなく絶望的な状況で、貴女ならばどうやって私達の切
り札をU-Dに打ち込みますか?



「総合的な戦闘力じゃ敵わないけど、私はスピードで、シュテルは砲撃能力でU-Dを上回ってるから、私がスプライトフォームで撹乱した隙に
 シュテルが砲撃を打ち込むのがベターなんじゃないかな?」

「……意外と真面な案が出てきて、正直驚きました。
 貴女の場合、オリジナルがアレなので、もっと突撃上等の脳筋な案が出て来るのではないかと思いました……」

「……うん、自分でも結構驚いてる。オリジナルがアレだから。」



まぁ、彼女と高町なのはがこの状況に立ち向かう事になったと仮定した場合でも、恐らくはレヴィが提案した戦術をとる事になるでしょう……
尤も、彼女達の場合は、事前の打ち合わせなどせずとも自然とそうなるでしょうが。

ともあれ方針は決まりました――眠って居る所、大変恐縮ですが少々お付き合い願えますかU-D?



「君達は……来てしまったのか……私には壊す事しか出来ないのに……私に関わったら壊れてしまうのに……
 私の中のエグザミアと結合した異界の因子……其処から湧き上がる無限の破壊衝動を抑える事が出来ない……君達は、死ぬ気……?」

「いえ、私達は貴女を止めに来たのです……その破壊衝動から貴女を救ってみせましょう。」

「そんな事は出来ない……君達は、何も出来ずに壊されるだけ……」

「悪いけど、私もシュテルも、壊れないし壊させないよ?――私達の王様が、きっとあなたを救ってくれるから。」

「……ディアーチェが?……無理だ、いくら彼女でも……」



如何やら、言葉は通じないようですレヴィ……ならば、理と力、炎と雷を合わせて身体に叩き込んで差し上げましょう。



「そうだね……スプライトフォーム!!」

「ルシフェリオン、フルドライブ。」


――轟!

――バシュン!



変身と同時にレヴィが飛び出して……相変わらず凄まじいスピードですね彼女は?目視が不可能なほどのスピードで動き回りながらも、滑
らかさを失わないとは見事なモノです。
……同じ位のスピードで、超鋭角的で多角的な動きをするフェイトは、ある意味もっと凄いと言えるのかも知れませんが……
いずれにせよ、予想通りU-Dであっても、レヴィの本気のスピードを捉えきる事は出来ないようですね?魄翼から魔力弾を放っていますが、
全く命中していませんからね?
逆にレヴィは、飛び回りながら魔力弾をばら撒いて、U-Dを削っていますね――ですが、大したダメージにはなっていないようです。
私も、レヴィに気を取られているU-Dの死角に回りながら、パイロシューターやブラストファイヤーを放っているモノの、マッタク持って動じる気
配すらないとは……此れが砕け得ぬ闇の力と言う事でしょうか?

此れでは、並の攻撃に干渉制御ワクチンを乗せて打ち込んでも大した効果は得られないでしょう……其れこそ、真ルシフェリオンブレイカー
に匹敵する一撃を打ち込まねば……

ですが、其れだけの一撃を打ち込むには、もっと大きな……パワーをチャージする為の時間が必要になります……U-Dを相手に其れだけの
時間を稼ぐとなると……

「(……レヴィ、30秒間だけU-Dの動きを完全に抑えて頂けますか?
  可能ならば、完全に私の事を意識の事から外れる位の派手な立ち回りで……)」

「(厳しいけどやってみるよ……でも、そう言う事なら、こんなチマチマした攻撃じゃ駄目だから、私の真髄で行かせて貰うよ!)」



真髄?……まさか、クロスレンジの戦闘を挑む心算ですかレヴィ?
U-Dは、魄翼を使ってのクロスレンジでの戦闘力も非常に高い……バルニフィカスをクラッシャーフォームにした上で挑んだとしても、勝率は
可成り低い……ですが、其れしか方法はないでしょう――お願いします、レヴィ。



「了解!てりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「自棄になったか?……ならば、先ずは君から壊してしまおう。」

「舐めるな!!」


――ブォン!!

――ババババババババババババババババ!!




!!此れは……何と言う超光速連撃……エネルギー剣とは言え、身の丈2倍以上の大剣を使って此処までの光速連撃が出来るとは……
攻撃の残像が残る程の連撃に、U-Dも防戦一方なようです……此れならば、30秒稼ぐ事は出来そうです。



「これで決まりだぁぁぁ!!」

「無駄だ……」


――バガァァァァァァァン!!


く……トドメの兜割に行ったところをカウンターの砲撃で捕らえられてしまいましたか……私達の中で、最も防御力の低いレヴィがアレを受け
たのならば一溜りも無いでしょう……防御を捨てたスプライトフォームならば尚更です。
ですが、そのお陰で準備は整いました……



「矢張り、君達では何も出来なかった……」

「……其れは如何かな?――君は、大事な事を忘れてるんじゃない?」

「少々注意力が散漫ですよU-D?」

「!!」



気が付いた所で、もう遅い……此れが、勝利するための我等の番面此の一手……見様見真似で申し訳ありませんが、A.C.Sルシフェリオン
ブレイカーです。
ゼロ距離からの攻撃ならば、如何にU-Dであっても防ぎようがない筈……ありったけの干渉制御ワクチンを込めたこの一撃を受けて貰いま
す!撃ち貫けぇ……!!!








――――――







Side:ディアーチェ


クソ、シュテルの奴め勝手な事をしよってからに……レヴィもレヴィだ、己のバインドを引き千切ったのならば、我の拘束も解いて行け!!!
ジャケットパージを行って、何とか拘束を解いたが……奴等、馬鹿な事をしてはいないだろうな?……如何か無事でいてくれ!!

前方に見えるのはU-Dか?……って、奴の魄翼が貫いているのは……シュテルとレヴィだと!?



「あぁ……ぐあぁぁ……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁっぁぁぁぁぁ!!!」



――バシュン!!!



と、苦しんだ様子を見せながらU-Dはこの場から消えたとな?……となると、シュテルの策が巧く行ったと言う事なのだろうが……オイ、大丈
夫か2人とも!?無茶をしよってからに、この虚け共が!!



「王様?」

「ディアーチェ?……U-Dは、U-Dはどうなりました?」

「貴様等の策が上手く嵌ったわ……ワクチンを喰らって逃げ出しよった。
 待っていろ、今我の魔力を分けてやる!さすれば、その傷も癒えよう。」

「いえ、其れには及びません……其れよりも、私達の魔力を貴女に……」

「私達の力も持って行って王様……そして、U-Dの事を助けてあげて。」



何だと?……此れは、我に魔力の供給をしていると言うのか!?
貴様等、何を考えている!そんな状態で魔力供給など行ったら己を保つ事が出来なくなるぞ、分かって居るのか!?分かって居るのならば
今すぐ魔力供給を止めよ!!
貴様等の力など要らぬ!王の命令が聞けぬのか!!



「貴女が王だからこそ、私達はその全てを捧げるのです……」

「私達は消えちゃうけど、ずっと一緒だよ王様……」

「馬鹿を申すな!臣下無くして何が王か!」

「逆ですよ……王があってこその私達なのです……私とレヴィの炎と雷の力、貴女に託します……必ずや悲願を達成してください……」

「王様ならきっと出来るよ……だって、ディアーチェは私達の王様なんだから……お願い、U-Dの事を救ってあげて……」


――シュゥゥゥゥン……


あ……あぁ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
馬鹿者共が……如何して、我に力を託した……そんな事をしなければ、消える事などなかったと言うのに……いや、何故か等分かっておる
……全ては我等が悲願を達成する為よな?
ならば、我は王として必ずや悲願を達成しなくてはならぬ……そうでなくては、我に力を託したお前達に顔向け出来んからな――お前達が
我に託した力を持ってして、U-Dを必ずや討伐すると誓おう。――お主らの力を貰って、赤と金と闇色の3色に変わった、この翼に誓ってな。








――――――








Side:志雄


アースラがU-Dの反応を捉えたって事で、なのはとフェイトとキリエと共に出撃したんだが……如何やら少しばかり遅かったみてぇだな?既
に、終わってたって事か王様よ?



「来るのが遅いわ、この虚け共が……」

「だれがおつけものだー!僕達はぬかみそやあさづけのもとにつけこまれてないぞーー!!!」

「お漬物じゃなくて虚け者だよフェイトちゃん……」

「此の子が居ると、シリアスどっちらけ……SDTよね~~……」



まぁ、其れがフェイトの良い所だから突っ込んでやるなよな?……そんで王様、シュテルとレヴィは如何した?一緒に戦ってたんだろう?



「一緒にではない……奴等は、独断専行を行い、干渉制御ワクチンを打ち込んだ上で、我に全ての力を託して消えた……」

「なに!?」

「そんな!?」

「マジンコで!?」

「良く分かんないけど、たいへんなことがおきたっぽい?」



大変どころじゃねぇぞフェイト……マテリアルは、王様を除いて、シュテルもレヴィも消えちまったらしい……この局面での戦力ダウンは有り難
くねぇ事だが、干渉制御ワクチンとやらを打ち込んだって事を考えれば、或いは五分五分かも知れねぇが……



「奴等が命懸けで行った策にしくじり等有り得ん……干渉制御ワクチンは、確実にU-Dの力を削いでいる筈よ……だが、アレは我の物だ!
 他の誰にも、絶対に渡さんぞ!!」

「はいはい、今更横取ったりしないわよ王様。」



アイツ等が命懸けでやったってんなら、俺達も其れに応えねぇと嘘ってやつだ……上等じゃねぇか、俺達のBLAZE魂を限界まで燃やして行く
ぜなのは!!



「了解です志緒さん!!」

「よっしゃー!僕もぜんりょくぜんかいでいくぞーー!!!」



フェイトも良いノリじゃねぇか?お前も、BLAZEの魂を引き継ぐに値する奴かも知れねぇな?
何にせよ、此れで此れからやるべき事は決まったぜ――一度アースラに戻って、作戦会議と行こうじゃねぇか?――間違いなく、次にU-Dと
邂逅したその時が、最終決戦の時だろうからよ……!!











 To Be Continued…