Side:ディアーチェ


復活した直後に、我等の姿を模した闇の欠片と遭遇するとは、何とも面妖な事だが、寝起きのリハビリには丁度いい相手とも言えるやも知れ
んな?……我等の姿をしているのは腹立たしいがな。
まぁよい、これもU-Dと戦う前の前哨戦と思えば、大した事ではない……何よりも、こ奴等を倒せばその力は我等の物になるのだからな?
魔力が十全でない我等にとっては、闇の欠片如きは餌に過ぎぬわ!!



「至言ですね……では、此処から如何戦いますか王よ?」

「ふむ……流石に己を相手にすると言うのはきつかろう?
 なので、レヴィはシュテルの欠片を、シュテルは我の欠片を撃滅せい!我は、レヴィの欠片を葬ってくれるわ!!」

「了解です。」

「任せて王様……闇の欠片如きに、負けはしないから。」



ふ、その意気よ。
其れ位の気概無くては我が臣下は務まらぬからな!……さぁ、味わって貰うぞ塵芥ども……王たる我の力を思い知れ!!それと同時に、我
等を模したその罪を裁いてやる!!

精々足掻いてみせろ塵芥が――そして、我等の糊口となるが良い!!













リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE106
『A's portable~マテリアルの戦い~』











Side:レヴィ


私達の姿を模した闇の欠片が現れるとは思わなかったけど、此れは本当に妙な気分だね?……今なら、オリジナル達の気持ちが分かる気
がするかな――取り敢えず、私の相手はシュテルの姿をした闇の欠片だね。

「悪いけれど、君には此処で消えて貰うよ?……邪魔なんだ、君達は。」

「申し訳ありませんが、私達の悲願を達成するためにも消える訳には行きません……貴女の力、我等の目的の為に貰い受けましょう。」



うん、予想はしてたけど、このシュテルの欠片は、前に私達が現れた時の記憶を再現してるみたいだ……砕け得ぬ闇が何なのかも知らずに
闇の書を復活させようとしていた時の私達を。
でも、そうなると強さは今の私には及ばない……如何にシュテルでも、高町なのはのコピーに過ぎなかった頃のシュテルじゃ、本来の力を取
り戻した私には勝てないよ。



――シュン!



「……消えた?」

「遅いよ。はぁ!!!」

「後ろから……驚きの速さですが……この一撃に耐えられますか?ブラストファイヤー!!」



シュテルの炎熱砲……真面に喰らったら危ないけど、そんなに鈍い砲撃じゃ、本来の力を取り戻した私を捉える事なんて出来ない!
一気にカタをつける!スプライトフォーム!!



「此れは……装甲を捨てて軽くなったと言う事ですか……」

「その通り。
 そして、こうなった私は、君じゃあ捕らえる事は出来ないよ……だから、此れでサヨナラだ。」



――ドス……



「え?……あ……」



君達が望む物は、私達が手に入れるから、今は闇の中で大人しく寝ているんだ……U-Dを止めて、砕け得ぬ闇を手に入れて、私達は私達
の本当の目的を果たすから。

それにしても、偽物とは言え、仲間を倒すって言うのは良い気分じゃないな……オリジナル達が闇の欠片と戦うのを、嫌がる筈だよね……








――――――








Side:シュテル


さてと、私の相手は偽りの王ですか。



「ククク……我の前に立つとは良い度胸だ、塵芥の分際で。
 本来ならば、即時その首を刎ねてやる所だが――我は、今とても気分が良い。我が力を、其の身で味わう栄誉を貴様にくれてろうぞ!」



外見は元より、不遜で傲慢で限りなく上から目線の物言いは、王其の物ですが……ダメですね、ディアーチェの様に、それ等の態度の中か
ら感じられる王としての威厳、臣下への愛情が全く感じられません。
その程度で、王を名乗るとは烏滸がましいにも程があると言うか、只の張り子の傲慢王と言うか、中身が空っぽの厨二病と言うか……何に
しても、存在その物が凄くムカつくので今すぐ消えて頂けませんか?
最大限要約して言わせて頂くならば……消えろゴミクズ――でしょうか……?



「き、貴様……涼しい顔をして、トンデモない毒を吐く奴よのう?」

「お褒めに預かり光栄です。……お望みならば、もっと強烈な毒を吐いてごらんに入れますが?」

「要らぬわ戯けが!!
 まぁ、よい……砕け得ぬ闇を手にする為の余興だ。精々我が糊口となるが良い。」

「嫌です、お断りします。」

何故私が、偽りの王の中身のない目的の為に倒されねばならないのです?……真なる王は、我等の王であるディアーチェ只一人であり、王
の覇道も、ディアーチェが進もうとしている道だけです。
劣化コピーに過ぎない闇の欠片如きが、王の覇道を口にするなど、身の程知らずも甚だしい……此処で焼滅させて頂きます。

私は砲撃型なので、本来はクロスレンジはあまり得意ではないのですが……高町なのはをベースとしているからこそ、見様見真似とは言え
出来る事があります。
其れがこの技……見様見真似、イグニスブレイク!!



「のわぁ!?ほ、砲撃魔導師と見せかけてクロスレンジだと!?……しかも、何と言う威力………我が、たったの一撃で……」

「いえ、多分出来るだろうと思ったのでやってみたら出来ただけで、私は本来は砲撃型です。」

尤も、本物のディアーチェならば躱せたかもしれませんが。
しかし、見様見真似のぶっつけ本番で、闇の欠片とは言え、ディアーチェを一撃で葬り去るとは……恐るべき技ですね、イグニスブレイクは。
見様見真似で此れだとすると、高幡志緒が使う、本家本元のイグニスブレイクの威力は如何程なのでしょうか?……こんな事を言ったら、デ
ィアーチェは怒りそうですが、彼が本気を出せば、案外U-Dを如何にか出来るのではないでしょうか?

割と、本気でそう思ってしまいますね。








――――――








Side:ディアーチェ


我の相手は、レヴィの姿を模した闇の欠片なのだが……



「あーっはっは!お前の相手はこの僕だ!覚悟しろ、やっつけてやるーーーー!!」

「何故、見た目はレヴィで、中身はレヴィのオリジナルたる水色の阿呆なのか!!」

バグか?バグなのか?否、闇の欠片自体が、そもそもバグによって発生した者であるが故に、其れが如何様な問題を抱えていてもオカシク
はない訳だが……流石に此れは無かろう!!
敢えて言おう、どうしてこうなった!?



「むずかしーことなんて、どーでもいーじゃん?……とりあえず、僕の目的の為に君をやっつける!粉砕!玉砕!!大喝采だー!!!」

「えぇい、やかましいわ塵芥にも劣る阿呆が!!
 貴様のテンションに付き合っていると、此方の頭がおかしくなりそうだ……故に、黙って我が力の前にひれ伏すが良い!」

「そ・れ・は、無理ーーー!」



――ブチィ!



ほう……良い度胸だな貴様?
良かろう……我が力、其の身でとくと味わうが良い!!インフェルノ!インフェルノ!!インフェルノ!!アロンダイト!!!
エクスカリバー!!!!ジャガーノート!!!!!




「あ~~れ~~~」



――ドッガァァァァァァァァァァァァァァン!!



人の話を聞かぬ阿呆が、此処まで癇に障るとは思わなんだぞ……人によっては、あのノリに当てられて実力が封殺されるとも限らん……そ
れを考えると、アレと普通に付き合っている夜天の小鴉は、若しかして結構凄い奴だったりするのか?
……非常に不本意ではあるが、小鴉の評価を上方修正しておいてやるとしよう。

だが、其れは其れとして、我等の姿を模した塵芥は、此れで掃滅した……ならば行くぞ、我等の真の目的である、U-Dの元へとな!!








――――――








Side:シュテル


私達の姿を模した闇の欠片を打ち倒し、目的であるU-Dの前までやって来た訳ですが……如何やら、事は私が考えていた以上に深刻な状
況となっている様ですね……



「あの魔力の繭とでも言うべき球体……その中に居るのだなU-Dは?」

「多分……って言うか、略間違いないよ王様……あの繭からは、途轍もない力を感じるから――あれだけの力を放てるのは、U-D以外に存
 在しないと思うからね。」

「で、あるか……復活したばかりの身では、些か厳しいかも知れんが、我等の悲願を達成する為にも、アレは何としてでも手に入れねば…」



その意見には賛成ですが、貴女達は此処で大人しくしていてくださいディアーチェ、レヴィ。



――ガキィィィィン!!



「此れは……バインド!?」

「シュテル、貴様如何言う心算だ!?」


「申し訳ありませんディアーチェ、レヴィ。
 ですが、私達の悲願を達成するには、もうこうするしかないのです……理のマテリアルたる私が、此れしか方法を思いつかなかったのです
 が、此れは状況を打開するための一手に過ぎません。」

あの魔力――U-Dの力は、私が想定してたよりもずっと強くなっているので、倒す事は不可能でしょう。
ならば、此処は我が身を犠牲にしてでも、干渉制御ワクチンをU-Dに撃ち込んで、次に希望を託すのが最善の一手の筈……後の事は任せ
ますよディアーチェ……貴女ならば、きっと理想を現実に出来る筈ですので。

高町なのはの不屈の心と高幡志緒のBLAZE魂を、コピーとは言えこの身に宿している私ならば、役目を果たす事は出来る筈――我が身を
賭した乾坤一擲の此の一手、受けて頂きますよU-D……!











 To Be Continued…