Side:志緒
プログラムカートリッジのテストって事で、なのはがクロノと、フェイトがリーゼ姉妹と、シグナムが柊と、ヴィータが時坂と模擬戦を行ってる訳だ
が、結果を見る限りはプログラムカートリッジは問題ねぇみたいだな?
……本来なら、俺や郁島が模擬戦を行う筈だったんだが、クロノに『この組み合わせで模擬戦なんかやったら船が消し飛ぶから止めてくれ』っ
て止められちまったから、模擬戦の相手が変更になった訳だがな……
まぁ、取り敢えずなのはを始め、全員が相手に勝利してるからカートリッジはOKだろ?……だが、コイツは少しやり過ぎじゃねぇかなのは?
「えっと……大丈夫、クロノ君?」
「そ、そう思うならもう少し手加減してくれ……危うく死に掛けたぞ……?」
「にゃはは……ゴメンね?」
「……非殺傷設定なのに、死に掛けるっておかしくない空?」
「それだけカートリッジが強力だったのか、なのはちゃんの砲撃が凄まじいのか……取り敢えず、模擬戦の相手にならなくて良かったです。」
「や~っぱ、志雄先輩となのはちゃんだけは、絶対に敵に回したくないわよね~~。」
玖我山達の反応も、ある意味当然だな……正直言って、カートリッジ付きのなのはの砲撃を真面に喰らったら、流石の俺も無傷とは行かねぇ
だろうしな。
にしても、死に掛けた相手に『ゴメン』の一言で済ますとは、大概だななのは?
まぁ、クロノの方がなのはよりも年上だから、素直に謝られたら何も言えないのかも知れねぇがな……しかも、其れを狙ってるんじゃなく、素で
やってるってんだから大したモンだぜ……
だが、これで対U-D用のプログラムが正常に機能してるってのは分かったからな……後は、コイツを使ってU-Dを止めるだけだぜ!!
リリカルなのは×東亰ザナドゥ 不屈の心と魂の焔 BLAZE105
『A's portable~アミタとキリエ~』
んで、何だってそんなにくたばってんだアリアとロッテは?……相手がフェイトだったからか。
アイツは、多分模擬戦と言いながら手加減とかカートリッジの性能テストだとか、そんなモンは関係なしに全力で掛かって来るだろうからな?
こりゃぁ、フェイトの相手は俺がした方が良かったかもだぜ……オイ、大丈夫か2人とも。
「いやぁ、若い子の相手そろそろキッツいわぁ……」
「色々年寄りだからねぇアタシ等……」
「年寄りって見た目でもねぇだろ?
其れにだ、こう言っちゃなんだが、フェイトの奴は脳味噌に割り振る筈のリソースを全部パワーとスピードに費やしてんだ、アイツの相手をす
りゃ、大抵の奴はキツイと思うんじゃねぇか?」
「かも知れないけど、アタシ等はお父様の飼い猫が使い魔になった存在だから、普通の猫の何倍も生きてるからさ……こう見えて、結構お婆
ちゃんなのよ……」
……グレアムの爺さんの猫だと、確かに結構生きてそうだな?
女に年齢を聞くのはタブーだって分かってるんだが、お前等猫の年齢だと、大体何年ぐらい生きてるんだ?
「お父様が提督になった頃に子猫だった訳だから……彼是30年以上経ってるんじゃない?」
「あ~~……其れ位は経ってるだろうね~~~……」
猫で30歳っつーと、人間に換算して……大体200歳くらいか?――年寄りってレベルじゃねぇなコイツは……確かに、其れじゃあ辛いっての
も頷けるってもんだぜ。
ご苦労さん。後で、桃子さん直伝のハチミツホットミルクでも差し入れさせて貰うぜ。序に、上等の猫缶も付けさせて貰うぜ。
「その心遣いに感謝するわ……と、他の子達も終わったみたいだね。」
「みてぇだな?……よう、如何だった時坂、柊?」
「ヴィータちゃんのプログラムは問題ないっすね。直接殴るだけじゃなくて、撃ち出した鉄球にもちゃんとプログラムの効果出てたし。」
「シグナムさんの方も問題ありません。彼女の腕があれば、よりプログラムを効果的に使う事が出来ると思います。」
「なら問題ねぇな。」
なのはとフェイトの方もプログラムはバッチリ起動してるからな。
戦力的にも、X.R.Cになのはとフェイトに八神家、未来からの渡航組と一時的に復活したプレシアさんと充実してるから不安はねぇ……欲を言
うなら、レヴィ以外のマテリアルの力も借りたかったがな。
まぁ、無いものねだりをしても仕方ねぇから、あるモノで何とかしねぇと行けねぇんだがよ……
「そうっすね……って、何処行くんすか先輩?」
「ん?ちょいと野暮用だ。お前等は、模擬戦の疲れを癒しとけ。」
「……?はい、そうさせて頂きます――行きましょう、時坂君。」
「お、おう。」
だが、無いものねだりはしても仕方ねぇが、出撃前の不安要素ってのは全部取り除いておかねぇとだろ?――最終決戦を目前にして、あの
バカピンクが何もしねぇ筈がないからな。
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んで、デッキの近くまでやって来た訳だが……やっぱり居やがったかキリエ。――聞くまでもない事だと思うが、敢えて問わせて貰うぜ?
テメェ、何をする心算だ?
「あら、屈強なお兄さん……見つかっちゃぁ、しょうがないか。
何をする心算だなんて、決まってるじゃない――U-Dを倒しに行くのよ。……アタシが馬鹿な事をしたせいでU-Dは目覚めて、この世界を危
険に晒してしまっているじゃない?
だったら、其れだけの事をしてしまった責任は取るべきでしょ?……アタシがU-Dを止めなきゃならないの。分かるでしょ?」
「理屈は分かるが、納得はしてねぇな。
こう言っちゃなんだが、お前の実力じゃU-Dを倒す事は出来ねぇだろ?……如何考えたって、お前の力は俺より下だし、逆にU-Dは俺よりも
力が上なんだからな。」
「だとしても、方法がない訳じゃないわ。
アミタが使ったオーバーブラストも、アタシならもっと威力を出せる筈だしね……それで、U-Dなんてイチコロよ♪」
予想してた事だが、やっぱり特攻かける気だったな、この馬鹿野郎!!
そんな事をして、責任取った心算か、このすっとこどっこいが!責任を取るって言うなら、生きて責任を取らなきゃ意味がねぇ!死んじまったら
其処で終わりで、若しも失敗した場合には他に丸投げにする事になるってのが分からねぇのかテメェは!!
「勝手に死ぬ事にしないでよ!アタシは死なずに上手くやる。
オーバーブラストでU-Dを倒して、エグザミアを手に入れる……仮に、U-Dを倒しきれないまでも、エグザミアさえ手に入れてしまえばU-Dの
力は大幅に弱体化するから脅威もなくなるでしょう?
アタシがやらなきゃならない事なのよ此れは!巻き込んでしまったこの世界の為にも、故郷のエルトリアの為にも!」
「決意は固いみてぇだな……口で言って如何にかなる筈がねぇか。
だが、俺だって自ら死地に出向こうって奴を、『ハイどうぞ』と行かせる訳には行かねぇ……どうしても行くってんなら、先ずは俺を――」
「どうしても行くというのなら、私を倒してからにしなさいキリエ!!」
って、この声はアミタ!!?お前、まだ傷が治ってない筈じゃねぇのか!?
「お姉ちゃん!?」
「イエス!アイアムお姉ちゃん!
全くもう、私達姉妹で皆さんに盛大に迷惑をかけているというのに、此処で更に迷惑の上塗りをしてどうしますか!!」
「煩いわね、ほっといてよ!!アタシはアタシのやり方で、今回の事を決着させる心算なんだから!!!」
「そうは行きません、この馬鹿チンが!
此方に来てから碌にエネルギー補給もせずに動き回って、更に戦闘でのダメージも回復してない状態でアレに挑んだ所で、一瞬で返り討ち
にされるのが関の山でしょうに。
そんな無茶を見過ごす事は出来ません!!」
いや、無茶ってだけなら、お前も相当無茶してるだろアミタ?……まだ動けるような状態じゃ無かった筈だが――そうであっても、妹が何かし
でかすんじゃないかと感じ取って馳せ参じたって所か。
だが、アミタが来たなら大丈夫だろうな……コイツなら、俺がやるよりも上手くキリエを止めるだろうからな。
「其れでも行くというのなら、この場で私を倒してから行きなさいキリエ――私の屍を越えて行くんです!!」
「上等じゃないアミタ……其処まで言うならやってやるわ!!
お互いにパワー全開なら兎も角、病み上がりの貴女なんて敵じゃないのよ!!――姉殺しの罪を背負ってでも、アタシは……!!!」
キリエが武器を大剣に変化させてアミタに斬りかかる……避けるか防ぐかしねぇと、アミタは一刀両断されちまうだろうが、アミタは迫る刃にも
動こうとはしねぇ……ふ、この勝負はアミタの勝ちだな。
――ピタリ……
振り下ろされたキリエの大剣は、アミタに直撃する寸前でその動きを止めた――キリエが振り下ろすのを止めた訳だからな。
「如何して、避けないの?」
「質問に質問を返すようで悪いですけれど、逆に何故止めたんです?
そのまま振り下ろしていれば、手負いの私は完全にスクラップになって貴女を邪魔するものは無くなったというのに、如何して止めたんです
かキリエ?
言った筈ですよ、私の屍を越えて行けと!!」
「そんなの……そんなの出来る訳がないじゃない!!」
――カラン……
大剣が銃の形に戻って床に落ちたか……やってくれるじゃねぇかアミタ。――お前さんは、少々暑苦しい所があるが、最高の姉だって太鼓判
を捺してやるぜ。
もう、キリエに強硬手段に出る気力は残ってねぇだろうな。
「なんで、どうしてそんな事が出来るのよ!
アタシはアミタにウィルス喰らわせて勝手にこの世界に来て、色んな人に迷惑かけて、挙げ句の果てにはアタシのせいでアミタは死に掛け
たんじゃない!
其れなのに、どうして……如何してアタシが死なない様に動くのよ……そんな状態で動いたら、稼働寿命が縮むのは、自分でも分かる筈で
しょ!?――どうして、アタシなんかの為に無茶するのよ!!」
「キリエの為だからですよ……お姉ちゃんて言うのは、妹の為ならどんな事だって出来るんです!!」
「……そう言う所が……大っ嫌いなのよ……!!」
「貴女が私を嫌いでも、私は貴女の事が大好きですよキリエ……」
「馬鹿……本当に馬鹿なんだからアミタは……こんな時くらい、馬鹿な妹を突き放しなさいよ……本当に……何処までも真っすぐで馬鹿よ。
………ゴメンねアミタ………謝って許される事じゃないのは分かってるけど……ゴメンなさい、お姉ちゃん……!!」
「良いですよ、許します。
大体にして、妹を許さない姉が居ますか?……一度間違ってしまったのなら、次は同じ間違いを犯さなければ良いんです!!!」
本気で姉の鑑だなアミタは……此れで、キリエの独断専行も阻止できた訳だからな?
だが、お前等はお呼びがかかるまで休憩室――いや、食堂で休んでろ。U-Dの居場所が割れるまでは、まだもう少し時間が掛かりそうだか
ら、出撃前に力の付くモンを作って食わせてやるからよ。
「本当ですか!?其れは楽しみです!!食堂に急ぎますよキリエ!!」
「うわ!?ちょ、引っ張らないでよアミタ!!」
ったく、互いに万全の状態じゃねぇってのに元気なモンだぜ……だが、これでアミタとキリエも戦力として少しは当てに出来るだろうから、僅か
ばかりでもプラスになった訳だ。
加えて、クロノとはやても独自にカートリッジをデバイスに組み込んだらしいから、U-Dに対抗する有効打も増えたしな。
なら、後は出撃前の腹ごなしで士気を上げてやるとすっか!ゲン担ぎも兼ねて、出撃前のメニューは俺特製の『超スタミナカツ丼』で決まりだ
な!!
時に、レヴィは何処だ?全く姿が見えねぇが……何処に行っちまったんだ?
――――――
Side:ディアーチェ
ふむ、漸く復活できたか……力溢れるとは行かんが、此れならば十分戦闘を行う事は出来るであろう――シュテルよ、貴様は如何だ?
「フルパワーには大きく劣りますが、戦闘行為を行うには充分でしょう……足りない分も、闇の欠片を倒す事で補充が出来るでしょうから。」
「あ、復活したんだね、王様、シュテル!
こっちの準備は着々と進んでるよ……取り敢えず、オリジナル達はU-Dに対する有効打を手に入れたみたいだから、上手くいけば砕け得ぬ
闇は私達の物に出来ると思う。」
「レヴィか、でかした!よくその情報を持って来てくれた!」
我等は砕け得ぬ闇を欲し、奴等はU-Dの脅威を排除したい……其れを考えるならば、我が砕け得ぬ闇を手にする事が一番の解決策に他な
らぬのは明白よ。
我が砕け得ぬ闇を手にすれば、U-Dの脅威は消え去り、この世界の無事は守られるのだからな。
「流石はディアーチェ、よく考えておられますね?」
「だけど、その目的を果たす為には、如何やら倒さなきゃいけない相手が居るみたいだね……こう言っちゃなんだけど、悪趣味だよ……」
うむ、その目的を果たす為には、先ずはこの塵芥をどうにかせねばなるない?
有象無象を真似るのならば兎も角、我等を真似ると言うのは流石に容認できんからな?……何の意図があって我等を模したかは知らぬが、
其の力の差をその身で知るが良い。
そして思い知れ、王たる我の覇道を妨げる事の愚かさをな……!!
To Be Continued… 
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