Side:志雄


期せずして、渡航者の一人を確保できた訳だが、まさか普通の人間じゃなかったとは驚きだぜ……だからこそ、腕が吹っ飛んでも、腹に穴が
開いても一命を取り止めたんだろうがな。

んでシャマル先生、コイツの容態は如何なんだ?いくら治してたとは言え、直ぐに目覚めるって事でもなさそうだが……



「シャマル先生って……」

「いや、なのは達がそう呼んでっからよ?」

「あはは……良いけどねぇ。
 ……そうね。一応身体の方は治ったけれど、目を覚ます為にはエネルギーの方を回復させてあげないといけないみたい。
 身体が中破するレベルの攻撃を受けながら、トリプルブレイカーに匹敵する攻撃を使ったのだから、彼女のエネルギーは殆ど残っていなかっ
 たわ。」

「そうかい……ったくコイツも中々に無茶しやがるもんだが、テメェの妹を護る為にってのは可成り正しい事だな――問題は、その妹の方が行
 方知れずで、未だにU-Dとやらを狙ってるってこったがな。」

リインフォースの話だと、正確にはその中にあるエグザミアって物らしいが……まぁ、此処で手を拱いててもしょうがねぇ。
ちょっくら出てくらぁ。もしもそいつが目を覚ましたら、サイフォンに連絡入れてくれやシャマル先生。



「志緒君、何処に行くの?」



何処って……テメェの事を護ってくれた姉を置き去りにして、どっかに行っちまった(バカ)をひっ捕まえて来る。
何よりも、アイツが今回の事件の発端な訳だから、いつまでも野放しにしとく事も出来ねぇし、またU-Dにちょっかい出して、面倒な事態を引き
起こされても厄介だからな。













リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE103

『A's portable~不良先輩とピンク髪~』











「で、何でなのはじゃなくて僕を連れて来たの志雄さん?」

「いや、あのピンク1人なら俺だけで何とかなるが、探すのは簡単じゃねぇからな?
 お前さんは、攻撃系の魔法はあんましないみたいだが、補助系や索敵系の魔法は得意だっただろユーノ?……広域エリアサーチってのを
 使って、見つけ出す事は出来ねぇかと思ってな。」

「出来なくはないと思うけど、僕の広域エリアサーチだって、半径1000mが限界だから、その範囲の外に居たらどうしようもないんだけど…」



そん時は、移動してまた探しゃ良いだけのこったろ?
と言うか、直径2kmを探せるなら、恐らく見つかると思うぜ?恐らくだがU-Dは、まだ海鳴沖の海上の何処かに居る筈だし、其れならあのピン
クが遠くに移動してる可能性も高くはねぇ。
其れなら、ユーノの直径2㎞のエリアサーチで引っ掛かる筈だぜ。



「……ビンゴ、志雄さんの言うとおりだった。
 彼女は、キリエ・フローリアンは、エリアサーチの範囲ギリギリの東側に居るみたいだ……今は動いてないみたいだけど、何を考えてるんだ
 ろう?」

「さてな、そいつは本人にしか分からねぇだろうよ。」

だがまぁ、居場所が分かれば後は楽だな。
居場所までカッ飛んで行って、話をしてみて、それで通じれば其れで良し。話が通じねぇみたいなら、話を聞かせる為にブッ飛ばしてやりゃ、そ
れで万事解決だからな。



「それ、色々と間違ってない志緒さん?」

「……不良に一般常識求めんなや。」

「見た目は不良っぽいけど、中身は不良とは程遠い気がするけどね志緒さんは……」



まぁ、BLAZEも、メンバーがメンバーだっただけに、勝手に周囲から『不良軍団』って言われたからな……見た目はアレでも、中身は良い奴等
ばかりだったから、不良とは言い切れねぇのは確かだぜ。

……取り敢えずまぁ、ピンクを確保すっか。



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つー訳で、全速力で飛ぶ事2分半で目的地に到着だ。
さぁてと見つけたぜピンク。……いい加減、大人しく捕まってくれねぇか?――こう言っちゃなんだが、お前も大分ボロボロだろ実際の所。そん
なんじゃ、目的とやらを果たす事だって出来ねぇんじゃねぇのか?



「ほっといてよ!私には何が何でもやらなきゃならない事があるの!
 アミタを犠牲にしてでも、私はエグザミアをエルトリアに持ち帰る……其れしか、あの世界を救う方法はないんだから、邪魔をしないでよ!」

「お前さんの世界の事情は分からねぇが、だからと言ってはいそうですかって訳にも行かねぇんだ。
 お前のやってくれた事で、この世界がヤバい事になりそうな訳だからな……其れに、お前が話してくれれば、協力できる事があるかも知れ
 ねぇだろうが。」

「煩いわね!
 私は私のやり方でやろうとしてるの!貴方達の助力なんて要らないわ!!」



マテリアルの力は借りようとしてたみたいだが、其れはあくまでもU-Dを出現させるための物でしかなかったって訳か。
自分だけの力で何とかしようとして、周りを頼らない……ったく、いつぞやの馬鹿()を思い出すぜ。

だが、大人しく投降しねぇってんなら、少し荒っぽい事になるぜ?



「上等よ!邪魔するなら斬り捨てるわ!!」

「……吐いた唾、呑み込むんじゃねぇぞ?
 悪いがやるとなった以上は、相手が女であっても手加減する心算は毛頭ねぇからな?……それが、マジで戦う相手への礼儀だと、思ってる
 からよ。」

「舐めないでよね!!」



舐めちゃいねぇよ。
お前の武器は、銃と短剣と大剣に変形するみたいだが、お前が得意とするのは大剣でのアグレッシブで大胆な攻撃だろ?……奇しくも、俺の
得物も重剣だから、真っ向からの勝負ってやつだろ?



――ガキィィィィン!!



「この……!!」

「ち……良い踏み込みからの一撃繰り出すじゃねぇか!!」

此れだけの踏み込みから、鋭い唐竹割が出来るとは、剣道の大会で優勝できるかもしれねぇ腕前だ……俺も、あと少し反応が遅かったら、ヤ
バかったからな。
まぁ、何とか超反応して防げた訳だが……攻撃の鋭さと素早さは、大したもんだが……攻撃の重さが足りてねぇし、その程度のパワーじゃ、俺
を押し切る事はできねぇぞ!!

「オォラァ!!!」

「ふぇ!?嘘でしょ!?
 幾ら私が女の子で、其処まで重くないからって、そんなに軽々簡単に振り払う事が出来るもんじゃないでしょ?一体どんな力してるの!?」



こんな力に決まってんだろ馬鹿野郎!
悪いが、互いに超重量武器を得物としてる場合には、パワーのある方が絶対有利って相場が決まってんだ……パワーだけなら、俺はお前の
10倍は下らねぇ筈だ……大人しく投降してくれねぇか?
出来れば余計な戦いはしたくねぇんだ俺は。



「嫌よ!私は私の目的を果たす……例えこの身が壊れようとも、エグザミアを手に入れて、パパにエルトリアが生き返る様を見せてあげたい。
 その為なら私は、どんな犠牲だって厭わない!!アミタの事も、マテリアル達も、そしてこの世界も!!」

「そうかい………いい加減にしろ、このバカ野郎!!」



――バキィ!!



「!?」



テメェの目的を果たす為なら、実の姉もマテリアルも、果てはこの世界ですら犠牲にするだと?ふざけた事ぬかすのも大概にしやがれだぜ、こ
の箆棒が!!
テメェがドンだけ馬鹿な事言ってるか分かってのかオイ?
仮にテメェが、目的以外の全てを犠牲にして目的を果たしたとして、テメェの親父さんは其れを喜ぶのかよ!!!

少し頭冷やせや……テメェの親父さんは、望んでねぇ筈だろ、こんな事は……其れに、テメェの姉貴は無事だぜ?意識は戻ってないが、傷は
完全に治ってるからな。



「え?アミタ、無事なの?」

「エネルギーさえ回復すれば、意識を取り戻すとの事だ……恭也さんに頼んで、忍をアースラに召喚したのは、最高の一手だったがな。」

忍の技術力は、来世紀レベルのもんだからな……やろうと思えば、国民的キャラである青い猫型ロボットだって作れるだろアイツは。
だからもう、変な意地を張らずに、お前もこっちに来な。――悪い様にはしないって事だけは、約束すっからよ。



「……分かったわよ――だけど、女の子の顔を殴った代償は払って貰うわよ?」

「そいつは自業自得だろ?テメェが大人しくこっちの言う事聞いてくれりゃ、そうはならなかったんだからな。」

「……うぐ、其れを言われると何も言えないのUSN……」



取り敢えずアースラに戻んぞ。
……其れと、アミタが目を覚ましたらちゃんと謝っとけよピンクもといキリエ。テメェがバカやった事で、アミタの奴は死に掛けた訳だからな。



「そんな事は分かってるわよ。」

「分かってるなら良いぜ。」

取り敢えず、重要参考人であるキリエを確保だ。……此れで、状況が好転すると良いんだが……まだまだ簡単に終わるって事はねぇだろう。
マダマダ一悶着も二悶着もありそうな気配だぜコイツは……まぁ、発生した厄介事を出て来た端から解決すれば、何時かは本命に大当たりと
は言うけどよ。
何にしても先ずは情報からだな。








――――――








Side:レヴィ


ふぅ……シュテルと王様が目覚めるまでには、もう少し時間が掛かるみたいだね。
スピードとパワーに特化した私と比べたら、シュテルも王様もバランス型だからね……パワーとスピードが充実してれば動く事が出来るって言
う事で、私が真っ先に復活できたのかな?

まぁ良いか……折角復活したんだから、私達の望みを叶える為の事をしないとだよ。
シュテルが言うには、3基のマテリアルと、砕け得ぬ闇って言うのは元々一つで、それらが全て揃った時に、紫天の魔導書は完成する……や
っぱり、戦うしかないか……

少し、街を見て回る必要がありそうだよ此れはね。











 To Be Continued…