Side:志緒
さてと、負ける気は毛頭ねぇが、コイツは今までのジュエルシードの暴走体とは少しばかり違うみたいだな?
現地生物――つまりは、この世界の生き物を取り込んだって言う事らしいが、明確な憑代が有ると無いとじゃあ、暴走体の強さにはドレだけの差が出るんだユーノ?
「ハッキリとした事は分からないけど、憑代を得た暴走体は、憑代なしの暴走体の倍は強いと思って居た方が良いよ思いますよ、最低でもね。
加えて、この暴走体は、恐らく憑代の持って居た力をある程度己の力として使う事が出来る……其れだけに、とても厄介極まりない相手なんです!!」
「成程な、確かにそいつは厄介極まりないぜ。」
だが、其れも相手によるんじゃねぇのか?
自慢する訳じゃねぇが、俺はこの剣で払う事が出来ねぇ奴は存在しねぇって自負してるからな――俺の前に立ち塞がるなら、何であろうとぶちのめすぜ!!!
準備は良いか、なのは、時坂!!!
「はい!準備万端です!!」
『Standby OK.(準備完了です。)』
「何時でも行けるぜ志緒先輩!」
おし、良い返事だ!このまま一気にたたみ掛けるぞ!!
リリカルなのは×東亰ザナドゥ 不屈の心と魂の焔 BLAZE10
『ジュエルシードの暴走を止めろ!』
No Side
さて、現地生物を取り込んだジュエルシードの暴走体と、志緒達の戦いだが、其れは、マッタク持って凄まじい物となって居た。
『グシャァァァァァァァッァァ!!』
「っと、させるかよ!!」
「喰らい……やがれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
暴走体は確かに強く、並の魔導師であったならば、此の強さに当てられて再起不能になってもオカシクは無い。
だがしかし、生憎とこの場に集うのは、相手が何であろうとも絶対に退かない青年と少女であるのだ――現地生物を取り込み、通常の暴走体よりも強くなったとは言
え、そんな物は大した障害にもならないだろう
「切り裂く……フレアスラッシュ!!」
「どりゃぁぁぁ!!アンカースライド!!」
「ショット!!」
現実に、この暴走体もなのは達を止めるには至っていない――それどころか、必殺レベルの攻撃を目一杯受ける羽目になってしまったのだった。
とは言え、其処は流石のジュエルシードの暴走体。
再度動きだした際には、フォルムを更に凶悪化して目の前に現れてくれたのだ。――だが………
「其れが如何したぁ!!!」
「一気に行くぜ!!」
「全力全開!!」
そんな事は全く関係ない!!今の目的は『ジュエルシード』を全て集める事故に、如何に暴走体が強いかなどは些細な問題で二の次なのだ。
だが、相手はロストロギアの暴走体であり、現地生物を取り込んだハイパーバージョンであるが故に、負ける事が無くとも瞬殺とも行かないのである。
『ウガァァァァァァァァァァァァァァ……!!』
現に、フォルムを凶悪化させた後には、新たに触手と思しき物を無数に作り出して、攻撃と防御を同時に行う様な動きを見せ始めたのだ。
無論、そんな触手など、志緒となのはと洸の前では、大した相手ではなく一撃で吹き飛ばす事が出来るのだが、吹き飛ばした先から次々と再生して来るので、鬱陶
しい事この上ない。
加えてこの触手が、本体に着弾するなのはの魔力砲の威力を軽減しているらしく、そのせいで封印の為の一撃が通らないのだ。
「ヤレヤレ、ウゼェな?」
「くっそ、鬱陶しいぜ!志緒先輩、此処は!!」
「おう、『アレ』をやるか!!」
だがしかし、志緒と洸には如何やら此れを突破する『秘策』が有るらしい。なのはとユーノも『アレって何だろう?』と言った具合で、興味津々だ。
そして、次の瞬間に志緒と洸のソウルデヴァイスが輝きだし……
「「クロスドライブ!!」」
光が弾けると同時に、凄まじいオーラが志緒と洸を包み込んだ。
クロスドライブ――2つのソウルデヴァイスを同調させる事で、一時的に超絶な強化状態になる、ソウルデヴァイス特有のブースト技である。
時間にしては僅かに2分程しか持続しないが、ブースト中は移動速度が上昇し、攻撃属性が必ず敵に対しての有効属性となる上に、ソウルデヴァイスの属性によっ
て、異なる効果が発動する。
補足しておくと、今の志緒と洸は、互いに炎属性なので攻撃力が強化された状態になって居る。
さて、クロスドライブを発動して、先ず仕掛けたのは志緒だ。
「喰らえや……イグニスブレイク!!!」
先ずは豪快な回転斬り『イグニスブレイク』で群がる触手を一掃すると、触手が再生する前に、これまた豪快なジャンプ逆袈裟斬りを繰り出し、更に其処から薙ぎ払う
様な動きで下方への回転斬りを繰り出し、ジュエルシードの暴走体にダメージを叩き込んで行く。
此れだけでも充分なダメージとも思うが、志緒は更に其処から空中跳躍を行い空中袈裟斬りをブチかます。
「其処だぁ!!ブラストエッジ!!!」
そして豪快な連続攻撃のフィニッシュは、空中からの突撃斬り『ブラストエッジ』!
進路上にある全ての物を切り裂く斬撃は、新たに放たれた触手をも切り裂きながら突進し、暴走体の本体を真一文字に斬り付ける。
「一気に行け、時坂!!」
「おう、行くぜ!!おぉぉぉぉぉぉぉぉ………エクステンドギア!!」
続いて、攻撃役をバトンタッチされた洸が、自身の最強技である『エクステンドギア』を繰り出し、チェーンエッジでの斬撃と、巨大化させたレイジングギアでの打撃で
暴走体を殴り飛ばす。
此れだけの連続攻撃を、ブースト状態で喰らわされた暴走体は、流石にダメージが大きかったらしく、即座に身体を再構築する事が出来ないで居た。
が、此れは最大の好機だ。
「なのは、たたみ掛けろ!」
「頼んだぜ、なのはちゃん!!」
「はい!!行くよ、レイジングハート!!」
『All right Master.Ceiling mode.(了解しましたマスター。シーリングモードに移行します。)』
「封印すべきは忌まわしき器、ジュエルシード!!貫け、ディバイィィィィィィィィン……バスタァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
『Divine Buster.』
――キィィィン……ドッガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
勿論その好機を逃す事は無く、なのはは即座にレイジングハートをシーリングモードにすると、必殺の魔法砲撃『ディバインバスター』を暴走体に叩き込む。
即時再生が出来ずにいた暴走体に、此れを防ぐ術は存在せず、桜色の砲撃は闇色の暴走体を貫き、そして爆散させる。
その威力たるや、正に一撃必殺!!其れこそ、魔導に精通しているユーノが言葉を失う程の威力であるのだ。
そして、その一撃を喰らった暴走体は………
――カラン……
一撃で封印され、沈静化したジュエルシードが其処には転がっていた。
――――――
Side:???
ふふふ……中々悪くないわねあの子達は?
魔導師の女の子の方は、マダマダ荒削りだけれど、鍛えて行けば将来はオーバーSランクの魔導師になる事は間違いない程の力を秘めている。正に金の卵だわ。
そして、大剣の大男と、チェーンエッジの青年……まさか『適格者』だったとは、何とも嬉しい誤算だわ。
異界の力に唯一対抗できる適格者が居るのならば、アレを滅する事が出来るかも知れないもの――アリシアの幻影に憑りつかれているアイツを。
其れに、アレを倒せば、あの子も……フェイトと名付けられたあの子も助ける事が出来るわ。
此れは、あの子達と何らかの繋がりを持って居た方が良いわね?
近い内に、何らかの形で、あの子達とコンタクトを取る事を考えておかなければね……
「上手く行くでしょうか○○○○?」
「分からないけれど、上手く行かせなくてはならないわ……でも、軽挙妄動はダウト。今は期を見る時よ×××。」
「期を見て、機を待ち、気をもって戦うでしたか?……ならば、今は期を見る時なのですね?――ですが、此れで漸く……」
えぇ、長年の因縁にケリを付ける目途が立ったわ。
金色の杖の主たる魔導師の少女と、大剣を振るう適格者の青年……あの二人が居れば、きっとこの悪夢に終止符を打つ事が出来るでしょうね。
そして、其れは同時にアレの狂った計画を止める事にもなる――だから、期待してるわよ彼方達にはね。
――――――
Side:志緒
ヤレヤレ、何とか封印出来たか。
負ける気はしなかったが、現地生物を取り込んだだけで、アレだけ強くなるとは、ジュエルシードってのは本気で厄介極まりない代物らしいな?……冗談きついぜ。
まぁ、其れもなのはの砲撃――ディバインバスターで何とかなったんだかが。
取り敢えず、封印したジュエルシードを回収したのは良いんだが……さて、コイツ等は如何したモンだろうなぁ?
ジュエルシードの憑代になってたのは、2体の生物だったみたいで、1体は犬だった。
割かし大型犬だが、首輪をしているし、首輪に書かれてた電話番号に電話したら通じたから、程なく迎えにくんだろうが……もう1体のコイツは何者なんだ一体?
一見すると狐に似てるが、羽が有るし、尻尾は二股……まさか、妖怪の類じゃねぇよな?
「此れは……ハネキツネですね。」
「「ハネキツネ?」」
なんだそりゃ?
「この子の事です。
日本では凄く珍しい小動物なんですけど、近年ではペットとしても大人気で、ブリーダーによる繁殖も行われてるんです。
でも、如何しましょうか?ワンちゃんの方は首輪の電話番号に連絡したので、飼い主の方が来てくれるでしょうけど、ハネキツネの方は何もないですよ?
このまま放置するって言うのも、気分が悪いし、何よりもこのまま見捨てる事なんて出来ないよぉ……」
「珍種の生物か……なら、連れて帰ろうぜなのは?
ユーノの一件を見るに、今更ハネキツネの一匹如きを拒否する桃子さんと士郎さんじゃねぇだろ?ちゃんと世話する事を約束すれば、飼わせてくれんじゃねぇか?」
「あ、確かに。桃子さんと士郎さんはOKしそうっすよね。」
あの人達の懐の深さと、器の大きさはハンパじゃねぇからな。
時になのは、あの砲撃の攻撃名はお前が考えたのか?
「はい!どうせだから、必殺技的な名前を付けてみたんです♪」
「ディバインバスター……悪くねぇ技名だ。
いっその事、この技がお前の代名詞になるように磨き上げて見せな!お前なら、きっと出来ると信じてるからよ。」
「はい!頑張ります、志緒さん!」
良い返事だぜ。
なら、戻るとするか翠屋に。――このハネキツネとやらの飼育許可も貰わねぇとならないからな。………ん?
「如何かしましたか志緒さん?」
「何かあったんすか、志緒先輩?」
「いや……何か、誰かに見られてたような気がしたんだが……ワリィな、俺の気のせいだったみてぇだ。」
今は何も感じねぇからな。――さて、そんじゃまぁ改めて、戻るとすっか。
――――――
Side:なのは
と言う訳で、ハネキツネを持ち帰ったんだけど、この子を飼う事に関しては、驚くほどアッサリ了承されたの。
私が責任を持って面倒を見る事が大前提だったけど、明日香さんと、璃音さんと、空さんがハネキツネの愛らしさにKOされたみたいで、強烈に援護してくれたのが大
きかったのは否めないの、うん。
となれば、後は名前を決めるだけだったんだけど……
『~~~~~!!!』
滅茶苦茶、警戒してるんだよねぇこの子は?
まぁ、目覚めた直後に、目の前にお兄ちゃんに顔があったら、驚くだろうけど……此れは、角まで伸ばして完全な威嚇状態になってるからね?…如何したモンかな。
「そんなに怖がらなくとも大丈夫ですよ?私達は、彼方の敵では有りませんから。」
『!!!!!』(ビックゥ!!)
って、うわわ!!
美月さんが話しかけたら、吃驚して私の肩に乗って来た!?……大丈夫だよ、ハネキツネちゃん、この人は怖くないからね?
「そうそう、大丈夫だから、少し落ち着きなよ?」
『!!!!!』(ドビクゥ!!)
だけど、祐騎さんに話しかけられた瞬間に、また吃驚して、今度は志緒さんの肩に……重ね重ね、お世話になります志緒さん。
「そいつは構わねぇんだが………俺は平気なのかコイツは?
自分で言うのもなんだが、容姿だけで言うなら、俺の方が北都や四宮よりもずっとおっかねぇ感じがするんだがな……俺の事は怖くねぇのか、ちびすけよぉ?」
『キュ~~~~~♪』
「……どうやら、懐かれちまったみたいだな。」
にゃはは……お見事です志緒さん。
どうやら、私も懐かれてるみたいだから、問題は無さそうだね?――でも、この子には、何か名前を付けてあげないと……この子は、新しい家族なんですから。
何か、良い案は有りませんか?
「リヒトってのは如何だ、なのは?」
「志緒さん?」
リヒトって……如何して?
「特に何がって事じゃねぇんだが、ソイツを見てたら自然と頭の中に浮かんで来てな?……まぁ、悪くねえだろ?」
「リヒト……ドイツ語で『光』を意味する単語だね?――ま、良いんじゃないの?
大体にして、志緒先輩が直感的に思い浮かべた名前なんでしょ?だったらきっと良い事が有るんじゃないの?まぁ、そっちの方面には疎いから知らないけどね。」
祐騎さんは、平常運転ですね。
でも、確かに『リヒト』て言うのは良い名前かも知れない――だから、今日からあなたの名前は『リヒト』だよ?因みに、本人以外からの異論は認めないの♪
『キュイー♪』
「如何やら気に入ったみてぇだな?リヒトとは、我ながら良い名前を思いついたみてぇだな?」
気に入ってくれて良かった。――それじゃあ、改めて宜しくねリヒト?今日から、彼方も高町家の一員なの♪
『キュ~~~♪』
うん、此れからも頑張って行かないとだよね♪
「おうよ、気張って行こうぜ!!」
「全力全開で、思いっきり行こう!!アタシ達なら、絶対に出来るだろうからね♪」
はい!思い切りいきます!!全力全開で………否、『全力全壊』で!!!全てのジュエルシードを、必ず封印して見せる!――私の魂の声に誓って、絶対にね!
To Be Continued… 
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