Side：アインス 時空の狭間に捕らわれた皆の魂は必ず取り戻さなくてはな……イズチカナタとやらを打ち倒すには、ウタカタの全戦力が必要になる のは火を見るよりも明らかだからな。 ならば、私は持てる力の全てを持って、今の事態に対処するだけだ。 今の里は、私とホロウと樒以外で自我を保っている者は居ない……此れが因果崩壊の力か。 だが負けん！ 「準備は良いですか、アインス――私が時間を飛び越える際に使う、時の乱れた古道を進みます。 　魂が囚われている時の狭間に、皆さんの救出に向かいます……いざ、戦闘開始です！！」 「あぁ、確かに戦闘開始だな！！」 イズチカナタの好きにはさせん……この里は絶対に守り通してやる！！――其れじゃあ、行くとするか！！ 討鬼伝×リリカルなのは～鬼討つ夜天～　任務82 『魂結び～奪われた魂を奪還せよ～』 と言う訳でやって来たのだが……ぶっちゃけて言おう――ここ何処？ 何もない空間にぽつんと佇む私達の足場……足場が崩されたら、其処でゲームオーバーだから、砕かれないように注意しないとだ な……私は飛べるから良いが、ホロウは飛べないしね。 「此処は『時の狭間』……此処に皆さんの魂が囚われています――とは言っても全てではありません。 　今回救出する魂は、お頭とたたらと木綿の三名です。」 「まぁ、妥当な三人だな。」 お頭が居なくては里は成り立たないし、オヤッさんが居なくては武器が破損した時に直せない――何よりも木綿が居ないと、出撃前 後の癒しがないからなぁ。 「行きましょうアインス。『鬼』を倒し、皆さんの魂を奪還します。」 「あぁ、速攻で倒すぞ！」 紅い鳥居を潜って……今回の相手はお前かクエヤマ！ 『ウフフフ……アハハハハ……此処は何処？私はだぁれ？』 『うぃ～～……ヒック……この名工たたら様に文句がアンのかい！』 『待てよ初姉。俺も一緒に行くぜ！』 ！！此れは、この声は大和達の魂の声か！！ 此れは一体如何なっているんだホロウ？ 「アインス、あそこに見える巨大な穴が見えますか？ 　あの穴の先は、人が行ってはいけない場所です――呑み込まれる前に、皆さんの魂を奪還します。」 「あぁ、了解した！」 制限時間付きのバトルと言う訳だが、クエヤマの攻略法など既に分かっているのでな――速攻で終わらせてやる！！ 先ずは毎度おなじみ六爪流で、斬る！分厚い腹の脂肪をこそげ落とすようにして斬る！まぁ、落とせないがな……マッタク少しはダ イエットしろ、此のメタボリックシンドローム。 いや、コイツの場合は内臓脂肪じゃなくて皮下脂肪だから、単なるデブか。 「デブですね。間違いなくデブです。」 「そしてハゲだな。」 「クエヤマの頭部に頭髪は見受けられません……ハゲであると認めます。」 『ウガァァァァァァァァァァァァァァ！！！』 あ、怒った。意味わかったのかお前。 頭悪そうな顔してるけど、自分が馬鹿にされてるくらいは分かる訳か……だが、怒り任せの突進はカウンターの良い的なんだ実は。 ――バッキィ！！ と言う訳でカウンターで顔面に飛び蹴りを喰らわせて、此れで表層生命力は剥がしてやった！序に角も粉砕してやったけどね。 そして、表層生命力が削り取られたクエヤマは…… ――ギュイィィィィン……！！ 『ゴガアァァァァァァァァァ！！』 タマハミ状態となる！ しかし、何度見てもコイツやウロカバネのタマハミ状態は慣れんな？……コイツ等と戦ったモノノフが、悪夢に魘されると言うのも分 かる気がするよ。 だが、タマハミになったのなら……ホロウ！！ 「合点承知ですアインス。擲弾の用意は出来ています。」 「なら、ありったけの擲弾をコイツに食わせてやれ！」 「了解です！」 コイツはホロウからの奢りだ、遠慮なく食べると良い！おっと吐き出すなよ？ 吐き出さないように、口を刀で上と下から交互に刺しておいてやる……さて、弾ける美味しさを堪能しろ！！！ ――ドバババババババババババババババ！！ おぉ、文字通りクエヤマが爆発したな？……倒すには至らなかった様だが、其れでも大ダメージは間違いない。あ、腹の口から煙 が出てる。 一体何の擲弾を食わせたんだ？ 「散弾と爆裂弾です。如何やら効果覿面だったようですね。」 だな、後は一気にとどめを刺すだけだ。 『あれ？私、何か大切な事を忘れているような……』 『あん？何処だ此処は……ワシは誰かの武器を……』 『頭がぼんやりしてはっきりせん……一体俺は何をして……』 クエヤマが大ダメージを受けた影響か、大和達の魂が自我を取り戻しかけているからね。 さてと、此れで終いだクエヤマ……魔力を込めた刀での必殺の一撃！喰らえ、超・鬼千切りぃぃぃぃぃぃ！！！ 「最大出力、ブチかまします！」 ――ドッガァァァァァァァァァァァァァン！！！ 私の鬼千切りと、ホロウの鬼千切りが炸裂してクエヤマはKO！……と言うか、其の銃は極太ビームを放つ事が出来たのかホロウ。 まさか、リアルにビームライフルを目にする事になるとはな。 取り敢えず此れで―― 『あれ……此処は一体？私は如何して此処に……』 『あん？何処だ此処は？ウタカタの里は如何した？』 『お前は……アインス？……こんな所で何をしている？』 如何やら、魂が自我を取り戻したようだな。 其れと大和、何をしてるとはご挨拶だな？――決まってるだろう、お前達を助けに来たのさ。さぁ、ウタカタに戻ろう？ 「魂の結びを確認。早急にこの地から離脱しましょう。」 「だな。」 目的を果たしたなら長居する必要はないからね。 ･････････････････････ ･･････････････････ ･･･････････････ ････････････ ･････････ ･･････ ･･･ と言う訳で帰還。 時の狭間なんて言う超常空間から、瞬間移動で戻って来れた事に驚きだが……気分は如何だ、木綿、オヤッさん、大和？ 「此処は……本部……？」 「俺達は、一体……」 如何やら正気に戻ったみたいだな？ イズチカナタの『因果崩壊』とやらの影響で、お前達の魂は狭間に滑り落ちていたらしい――私にも詳しい事は分からんがな。 「狭間だと……？」 「あぁ、狭間だオヤッさん。――だが、もう大丈夫だ。」 「えぇ、アインスが皆さんの魂を結びました。再びこの地に、もう解けないように。」 何時ものように『鬼』を倒しただけだがな。 だが、そのお陰でお前達の魂を結びなおせたというのなら、此れもまた『ムスヒの君』としての力なのだろうな――或いは、私とオビ ト、新旧２人の『ムスヒの君』の力があっての事かも知れないが、何にしても、戻って来れてよかった。 「……お前の声が、確かに聞こえたぞ。とても強く、魂に響き渡る声が。」 「あの声は、アインスさんだったんですね。」 「……ありがとうよ、若えの。」 此れ位は当然だ。大切な里の仲間だからな。 今回助け出したのはお前達だけだったが、この調子で残りの仲間達も全て助け出して見せるさ……私は、ウタカタの守護神にして 『鬼』を滅する破壊神だからな。 「そ、其れでこそアインスさんです！」 「はい……此れならば、アインスが居ればやれます。全ての魂を、奪還できます――さぁ、行きましょうアインス。 　残る仲間達の魂を、奪還します！」 あぁ、勿論だ！！ 時に大和、今の九葉を見てどう思う？ 「クワッハッハッハッハッハ！！！」 「……只只管に高笑いをしている……普通に怖いな。」 「やっぱり怖いよなぁ……」 「……出来るだけ早く、九葉の魂を奪還してくれ。 　正直、コイツの高笑いが延々と続くと言うのは、精神衛生上宜しくないからな……」 善処する……とは言っても、先ずは戦力を回復させなければならないから、モノノフ達の魂の奪還を優先せざるを得ないのだがな。 先ず、取り戻すべきは桜花の魂だ――私に次ぐウタカタの実力者である彼女の魂を奪還できれば、ウタカタの戦力を大幅に回復す る事が出来るからね。 それ以上に、私の嫁を放っておく事が出来るか！！――ウタカタの皆の魂の奪還は絶対だが、その中でも桜花の魂は最優先で奪 還する！！ 今は時の狭間の混沌にいるのだろうが、待っていろ桜花……お前の魂、必ずこの地に結び直してやるからな！！ ――轟！！ 「銀髪紅眼……そしてその紋様と帯……本気ですねアインス？」 「あぁ、本気だよホロウ。」 桜花のみならず、皆の魂を返してもらうぞ！ 私の魂を奪う事が出来なかったのは、貴様等にとって最大の不運であったかもしれないな？……私の魂を奪おうとした事への礼は １００００倍にして返してやるから有り難く受け取れ！ そして、皆の魂を奪還したその時が、貴様の最期だイズチカナタ！ ホロウの１０００年に渡る戦は、此処で終わる。私が終わらせるからね――！！ 　Ｔｏ　Ｂｅ　Ｃｏｎｔｉｎｕｅｄ…　 おまけ：本日の禊場 取り敢えず、任務が終わったので禊をしましょう、禊をね。 「お待ちしてましたアインスさん。今日はゆっくりして行って下さいね。」 そしたら禊場には木綿が居た……魂が戻って来たばかりだというのに、私を労ってくれるとは、ドンだけ天使だ此の子は？――こん な事を言ったらアレだが、木綿ちゃんマジ天使。異論は認めない。 「そうだな、ゆっくりして行くとしよう。」 「そうしてください♪……アインスさん、皆さんの魂、必ず取り戻してくださいね？」 「ふ、其れは言われるまでもないさ。」 皆の魂は必ず取り戻す――絶対にな。 禊によって穢れは浄化され、私の力は充分だからね――さて、サクッと皆の魂を奪還するとするか！！ 木綿との禊をした事で、次の戦闘ではクリティカルヒット率が上がったみたいだしな……！！