Side:アインス


ヤチギリって言う新たな『鬼』が現れたので、目撃されたという『雅』の領域にやって来たんだが、如何にもいつもと様子が違うみ
たいだな?
景色がすっかり変わってしまっている……此れは何時もの『雅』の領域ではなく、『雅』の侵域と言う所か。
だとするなら、ヤチギリとやらは最低でもカゼヌイクラスの力を持っていると考えるべきだな?……領域を侵域に変える事が出来
るのは、相当な力を持った『鬼』だけだろうからね。

とは言え、負ける気はないがな――お前達もそうだろう?桜花、那木、初穂?



「あぁ、君が一緒なら負ける気がしないな。」

「アインス様と一緒ならば、絶対勝利が約束されてございますから。」

「そう言う訳でちゃっちゃと倒しちゃいましょ!」



ふ、そうだな――私が居る限り、負ける事などなかったな。
ならば、初穂の言うようにちゃっちゃと倒してしまうとしよう――暦が戻るまでの間、里の防衛をするとなれば、1回の戦闘でドレ
だけ体力を温存できるかが重要になって来るからね。
出来るだけ、早い時間で仕留めるに越した事はない……まぁ、この面子なら其れ程時間を掛けずにヤチギリとやらを倒す事は
容易いだろうけどな。

……それにしても、どうして『雅』の侵域は、紅い鳥居までの道のりが上り階段なのだろうか?――『鬼』の嫌がらせだったりして
な……流石にないか。












討鬼伝×リリカルなのは~鬼討つ夜天~ 任務66
『ギリギリの攻防~戦う者達~』











まぁ、上り階段くらいは戦闘前の準備運動として丁度良いが、鳥居を抜けた先に現れた黒い穴から感じる気配は、カゼキリやア
マキリとは比べ物に成らない程に強い。
単純に、奴等の上位種と思うのは危険だな。



『ゴアァァァァァァァァァァァァァ!!』



「来たぞ!怯むな、迎え撃て!!」

「行っくわよーーー!!」

「虎穴に入らずんば虎子を得ず、参ります。」



コイツがヤチギリか!
獅子面の『鬼』と言う意味では、カゼキリやアマキリの上位種とも言えるだろうが、奴等を凌駕する立派な体躯に巨大な牙と言う
見た目は、完全に別物だ。
身体付きもカゼキリやアマキリと比べると分厚くて、パワーがありそうだからな。

単純な力で言えば、クナトサエやヤトノヌシを凌駕するだろうな……其れだけの『鬼』が、これまで確認されていなかったとは考
え辛い――此方の戦力に対抗する為に、『鬼』も新たな『鬼』を生み出しているのかもな……

まぁ良い、貴様が『鬼』である以上は、狩るだけだ。



――スタッ……



「ちょっ、アイン「シー……」……分かったわ。」



まぁ、行き成りヤチギリの背中に飛び乗れば何事かと思うだろうね……ゆっくりと飛び上がって、静かに着地したせいか、ヤチギ
リは気が付いていないようだけどな。
どうやら、頑丈なだけに感覚は鈍い様だね?……そんな事では、簡単に急所を突かれるぞ――こんな風にな!!



――バキィ!!



『グギャァ!!』


「背中に乗られたの位には気付け、間抜け。」

パワーとスピードはカゼキリ・アマキリよりもずっと上だろうが、知能の方はあまり高いとは言えないなお前は?――もしも、お前
にイテナミ程の知能があったのならば脅威になり得たかもしれんが、力と速さだけの馬鹿では相手にならん。

しかしまぁ、不意の一撃とは言え、一発で『鬼』の角を破壊するとは、オヤッさんが鍛えてくれた刀の強度はダイヤモンドに勝ると
も劣らないんじゃなかろうか?……下手したら、オリハルコンやミスリルをも凌駕するかも知れん。
流石は『オメェさんが全力でぶん回しても折れないように鍛えた』と言うだけあるな。

さて、急所である角を私に砕かれて、ヤチギリは現れて早々スタンした訳だが……如何する?



「如何に手強いであろう『鬼』も、君と言う規格外のモノノフの前には形無しだなアインス?
 だが、此の好機を逃す手はない!一気呵成に攻める!!」

「一気に攻めましょう!」

「行くわよ!全力全開!!」



其れで正解だ。
この好機を逃す手はない!――因みに初穂、全力全開ではなく、全力全壊の方がインパクトがあるから覚えておくと良いぞ。



「その違いは?」

「前者は全力を持って戦う、後者は必要ならば星をも砕く一撃をブチかます戦い方だな。
 ぶっちゃけて言うと、鬼千切りが全力全開で、私のデアボリックエミッションやスターライトブレイカーが全力全壊だ。」

「成程分かり易いわね……でも、確かにそっちの方が良いわね!全力全壊で行くわ!!」



よし、それで良い。
それにしても、何処かの誰かが『戦闘中に相手の動きが完全に5秒止まれば致命傷を負わせる事が出来る』と言っていたのを
聞いた事があるが、其れは正に真理だな?
膨大な生命力を誇る『鬼』が相手ゆえに、致命傷を負わせる事は出来なくとも、ヤチギリがスタンしている間に、私達の波状攻撃
で、牙と尾と右前足と左後ろ足が吹っ飛んだからね?

そして、此れで終わらせるつもりはない!!どぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!



「馬鹿な、あの巨体を空中に放り投げただと!?」

「其れだけじゃなくて、落ちてきたヤチギリを背中で受け止めて、更に背骨を極めてる!?」

「そしてまた空中に放り投げた……マッタク持って驚きでございますアインス様……」



これくらいで驚いて貰っては困るぞ那木?
落ちてきたヤチギリを、もう一度アルゼンチンバックブリーカーで絞め上げてから放り投げ……そして空中でキャッチして脳天逆
落としの体勢を取る……喰らえ、ウルトラアルゼンチンバックブリーカー+キン肉ドライバーの複合技――アルティメット・アインス
ドライバーを!!



――ドッゴォォォォン!!



で、大型『鬼』を頭から地面に突き刺してみたんだが如何だろう?
個人的には犬神家のスケキヨも真っ青の見事な出来栄えだと思うんだが……思ったままに、正直に言ってくれていいぞ桜花?



「取り敢えず、君が味方で良かったが……だが、奴は未だくたばってはいないぞアインス!!」



――ギュオォォォォォォン!!



倒し切ったと思っていたが、生きていたか?……尤も、タマハミ状態になった事を見る限り、私達の猛攻で追い詰められたと言う
のは間違いないだろうがな。
そして、タマハミと同時に破壊した牙と尾が再生したか――特に牙はより巨大になって攻撃力が増して良そうだ。
あの牙の一撃を喰らったら、並のモノノフでは一溜りもないだろうな……



――バキィ!!



……私ならば全然平気だけどね。――流石に此の質量を喰らえば、少しばかり痛いけどな?
と言うか、最初の一発が決まったからって、調子に乗って牙攻撃を連続でしかてくるなぁヤチギリよ?――確かに戦いに於いて、
己の最大のお武器で攻撃するのは基本だが……そのバカでかい牙での連続攻撃は頂けんな?

「巨大武器での攻撃は強力だが、同時に隙も大きいのでな、タイミングさえ合わせてしまえば掴み取る事は容易いぞ?
 素手では少し危険かもしれんが、六爪流に於いては6本の刀は指の延長故、刀で挟み取る事も出来るのでな。」

「其れが出来るのは、アインス様だけではないかと思うのですが……」

「まぁ、私しか出来ないだろうな。
 だが、これでコイツの動きは完全に止まった――桜花、初穂、再生した尻尾を斬り落とせ!その尻尾は残しておくと面倒そうだ
 からな!」

「あぁ、花と散れ!!

喰らいなさい!!



――バァァァァァァァァン!



ダブル鬼千切り、見事だな。
しかし、毎度の事だが『鬼』の部位を破壊すると、大凡生物の四肢を斬り飛ばしたとは思えない音が発生するのは何で何だろう
か?……此れも『鬼』が普通の生物とは違うからなのだろうね。

ま、其れは其れとして、刀で挟んだ牙もバキッとな!……何だ、意外と簡単に折れるじゃないか?
立派な牙だったが、こう簡単に折れるとは、実は虫歯だったのか?歯磨きはちゃんとした方が良いんじゃないかと思うぞ。
其れと、牙を折られた怒りで、私に噛みつこうとするのは良いが……お前の脳味噌は学習能力がないのか?上がガラ空きだ。



――ドドドドドドドド!!



那木の専心で無数の矢が降って来るからね。本日の天気は全国的に晴れですが『雅』の侵域では所により矢の雨でしょうって
所だな。
で、怯んだ所で、残った左前脚と右後ろ脚を、久々の一刀流の居合で斬り飛ばしてやったぞ!――此れで丸裸だな?
終わりにする!!
先ずは6本の刀で斬りつけ、スライディングキックで足元を崩した後に、サマーソルトキックで蹴り上げ、そして夜叉車で斬りまくっ
た後に、踵落としで地上に蹴り落とす!
トドメは任せたぞ、桜花?



「任された!
 魂を、込める!花と散れ……橘花繚乱!!


――ズバァ!!ジャキィィィィン!!


鬼千切りからの、斬心開放のコンボとは考えたな?
モノノフの最大の必殺技である鬼千切りに、太刀の真髄である斬心開放をプラスしたら、相当な破壊力になるだろうからね?…
…随分と鍛錬を積んだんだな桜花?



「当然だ、此れ位出来なくては、君と並び立つ事など出来ないからな。」

「……私に並び立つ事が出来たら、間違いなく人間辞めてると思うんだが、其れ位の心意気があると言うのは頼もしいよ。」

と言うか、桜花の力はウタカタの中でも私を除けばピカ一だ。其れこそ、英雄と称される相馬に勝るとも劣らないレベルだろう。
場合によっては、相馬すら凌駕しているかも知れん……流石は、ウタカタのエースと言った所か。
ともあれ、桜花の渾身のコンボでヤチギリは倒したから里に帰るぞ?――さほど苦戦しなかったとは言え、戦いはまだまだ続くの
だから、ほんの少しでも体を休めておかねばだからな。



――バシュン!!



で、体力温存の観点から見ても、瞬間移動は素晴らしい。歩いて帰る距離をゼロに出来るから、その分だけ体力を温存出来る
からな。
さてと、新手の『鬼』を退治してきたが……何を難しい顔をしているんだ大和?



「戻ったかアインス……いや、此処までよくやっているが……」

「戦い始めて何日目だ?倒しても倒してもキリがねぇ……」

「シラヌイの援軍は、まだ来ないのかよ……」



……成程、モノノフ達に疲労の色が見え始めたと言う事か。
確かに、倒しても倒しても、奴等は次から次へと湧いて来るからね?……最早、百鬼夜行所か『千鬼夜行』だ。其れこそ、モノノ
フには寝る間もない位だからな。
一応交代制で休みを取ってるとは言え、こうも戦いが続くと流石にきついか――私は、まだまだ余裕だがな。
最悪の場合は、皆に休んでもらって、私が1人で『鬼』を蹴散らすと言う案もあるが、其れは絶対に桜花達は『是』としないだろう
からなぁ……富嶽辺りには『ふざけた事言ってんじゃねぇ!』って怒られるだろうし。



「此処までだな……相馬、引き上げるぞ。」

「九葉?」

「なに……?」

「時間切れだ、シラヌイの援軍は来ない。
 次の戦いに備える為に、部隊を死地から脱出させる。」

「……まだ判断するには早い。
 もう少し待てるはずだ――何よりも、アインスはまだまだ元気が有り余っている。そいつが元気なら、最低でも後3日は持つ筈
 だろう?」

「ハハハ、馬鹿を言っちゃいけない相馬……木綿のお手製のおにぎりがあれば、余裕で10日は持つぞ私は。」

「だとしてもだ。
 如何にお前が規格外であろうとも、疲弊した状態で戦えば、貴重な戦力に不要な犠牲も出て来るだろう。
 部隊が無傷である今が引き際だ。――『百鬼隊』は、お前の私物ではないぞ相馬。
 そしてアインス、お前ほどのモノノフを失うのは、この先『鬼』との戦いを続けて行く上での大きな痛手となるのでな……お前が
 倒れる前に、退くが上策。」



私は全然平気だ!と言いたいが、私が平気だからと言っても他の者達が平気とは限らないか――特に、相馬と共に激戦を続け
ていた『百鬼隊』の面々は、そろそろ限界みたいだからな。
――だからと言って、ウタカタを捨てたくはないが……



「そう言う訳だ、大和。お前達も私と来い。」

「……退けば、敵もまた増える。
 霊山に兵を結集したとして、その頃には、敵は更に増大している――其れで勝てるのか、九葉?」

「……お前の言う通りだ。どちらにしろ、死線は避けられない――我々は今、滅びの縁に立っている。」



滅びの縁……確かにそうかも知れんな。
倒しても倒しても押し寄せて来る『鬼』の大群……一体どれだけ倒せば良いのか分からない位だ。其れこそ冗談抜きの、千人組
み手でも足りないだろう。
だが、だからこそ……!!



「だが、此処で戦うよりはまだマシだ。
 霊山には、『鬼』と戦うために必要な全ての備えがある――その備えに賭けるとしよう。
 此れよりウタカタを放棄する!『百鬼隊』は撤退の準備にかかれ!」

「……仕方あるまい、俺達だけ残っても、勝機はない――如何にアインスが規格外とは言え、何れは限界が来るからな。
 何よりも、むざむざお前達を死なせる気はない……『百鬼隊』と共に、ウタカタから退く!」



大和……!いや、此れもお頭としての苦渋の決断か。
私達だけが残っても、勝てる確率は限りなく低い……ならばウタカタを捨てて、霊山で『鬼』を迎え撃つのが上策だろうからね。
――クソ!結局はウタカタを捨てるしかないのか!!
この世界に来ても、私は結局己の居場所すら護れないと言うのか――!!



「……皆、すまん。」

「……大和。」

「お頭……」

「…………」



だが、こうなってしまった以上は仕方ない。
桜花に、避難の準備を頼んでおいたのは正解だったね――避難の準備は整っているよな?



「あぁ、何時でも出られる……」

「ならば直ぐに住民を避難させろ。――此れよりウタカタを……」

「止めて!!」



初穂……



「しっかりして、大和!君はこの里のお頭!なら、この里を守るのが役目!
 ここは40年前と今を結ぶ、たった1つの場所なのよ?40年……ううん、もっともっと長い間、沢山の人が、ウタカタを守って命を
 落として来た!――この里には、その思いが込められてる!
 私達が絶対に守らなきゃいけない!そうでしょ、大和!
 お願い、アインス!皆に言って――ウタカタを守るって!君ならやれるって!!そう言って……!」



それ程の思いがあったのか……ならば、その思いには応えよう!
幸か不幸か、私にはまだまだ戦う力が残っているのでね……ウタカタを守ろうじゃないか!



「アインス……そう言ってくれるって、信じてた。」

「残念だが……判断は変わらない――大事なのは、全員が生き延びる事……お頭の命だ。
 全員、撤退の準備にかかれ!」



――だが、私がそう言った所で大和の判断は変わらんか……確かに、全員生き延びる事が大事だからね……クソ、本当にウタ
カタを捨てるしかないのか!!
何か、何かないのか……ウタカタを放棄しなくてもいい方法が――!私は、此処を失くしたくないんだ……!



・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・



とは言え、妙案が浮かぶでもなく、結局は撤退の準備をせざるを得ない訳か……木綿は、泣いていたな、この里を捨てたくない
と……!
其れだけウタカタを大事に思ってる子がいると言うのに、ウタカタを放棄すると言うのか?……ふざけるな!!

命令違反だろうが知った事か!
私は最後までウタカタに残って『鬼』と戦い続けるぞ!!ウタカタは、私にとっても大切な場所なのだからね!!其れを守る為な
らば、どんな事だってやってやる!!

「たのもーーー!!」

「……予想通りとは言え、扉を蹴破って現れるのは何とかならないのか?
 待っていたぞアインス、遅かったな。」

「相馬!こんな所で何をしている?」

「何をしているかだと?決まってる――戦の準備だ!」



何だと?……本気か相馬?ウタカタに残っての戦は、文字通りの地獄だぞ?下手したら、100年続く苦しみを100回繰り返す程
の地獄かも知れん。



「進むも地獄、退くも地獄……どちらを選んでも、地獄は地獄――なら今此処で、ウタカタを守って戦う!
 シラヌイの援軍が来る可能性に賭け、此処で時を稼ぐ!――命を救われた恩、貰った笑顔、今こそ木綿殿に返す時だ!
 俺と来いアインス!お前となら、どんな『鬼』にでも勝てる!」

「是非もない!行くぞ相馬――「オイオイ、俺達の事を忘れてねぇか?」……富嶽?」

「……そう言えば、お前達も居たな。」

「ったく、1人で尖るなよ、トンガリ頭。」

「ツ、ノ、だ!」

「分かった分かった。それより、俺も連れてけ、アインス。」

「まだ時は稼げる。最後の瞬間まで、諦める必要はない。」

「此処は私の故郷よ!『鬼』なんかに渡さないんだから!」

「此の位の状況を、覆せなくてどうする――そうだろう、アインス?」

「逃げるのは性に合いません。『鬼』を討つのが最優先指令です。」

「アインス様、如何か私達に号令を!ウタカタを守れと!!」



フフ……ハハハハハハハ!!
参った参った……マッタク、何処の世界にも居るモノだな馬鹿と言うのは――其れこそ、大事なモノの為なら己をコストとする事
が出来る最上級にして、最高の馬鹿がな。
だが、私もそんな馬鹿の1人だ……良いだろう、付いて来い!



「俺とアインスも含めて、良い意味でのバカばかりか……だが、其れが頼もしい。
 なら、3組に分かれるとしよう。――正面に展開して奴等の侵攻を防ぐ!一匹たりとも先に行かせるな!
 ……序に、何時もの奴をやっとくか。」

「其れは命令か相馬?」

「いや、提案だアインス。」

「ならば、乗らせて貰おう!」

此れは士気を挙げられるからね!


「「参番隊・隊則、復唱!!一、『鬼』はぶっ殺せ!」」

「あ?何だ行き成り?」



如何した、復唱しろ!戦の前の景気付けだ!



「アインス……アンタがそう言うならな――あ~~……『鬼』はぶっ殺せ?」



そうだ!一、ミタマは使い倒せ!



「ミ、ミタマは使い倒せー!」

「「一、仲間は守れ!」」

「仲間は、守れ。」

「「一、誰も死ぬな!」」

「誰も、死ぬな!」

「「一、死んでも生きて帰れ!」」

「死んでも、生きて帰れ!」


「行くぞ、アインス!この美しい里を守りに!」



あぁ、行こう相馬!
参番隊の隊則復唱で皆の士気はマックスまで上がったからな……だが、大和と九葉にはなんて話す心算だお前は?



「事後報告だ!」

「いや、堂々と言うなよ……」

だが、確かにこの状況では、一々上に打診してる暇はないか……つまりは現場の判断で動くのが最上策と言う事だ。
其れだけに、付いて来てくれる者には死線が待っている訳なんだが……そんな事は桜花達とて分かり切って居る事なのだから
、其れでも残ってくれたというのは、ウタカタを守る為にだな!!
マッタク持って頼りになるじゃないか――ならば行こう、ウタカタを守る為に!私達の居場所を守る為にな!!











 To Be Continued… 



おまけ:本日の禊場