Side:梓


暦は、取り敢えず落ち着いたようだな……今は眠っているが、熱も下がって来たみたいだからもう大丈夫だろう……薬を調合して
くれた千には、感謝してもし切れない位だ。――改めて礼を言わねばだ。……だから、此処にいてくれて助かったよ千。



「おんしか……薬は飲ませてやったか?」

「あぁ、今し方な。
 お陰様で熱は下がって来たし、暦自身も落ち着いて来てるから、ゆっくり休めば、回復する筈だと思っているよ――」

「そうか、其れは良かった――直に意識もハッキリしてくるだろう。ゆっくり休ませてやる事だ。」



言われずともその心算だよ……しかし、こんな事を言ってられる状況でないと言うのは分かって居るが、如何にも此処は退屈だ。
そうは思わないか千?



「確かに退屈よな……その退屈しのぎになるかどうかは分からんが、知っているか梓?
 この洞窟は、8年前のオオマガドキでモノノフ達が立て籠もった場所だそうだ――退路を断たれ、救援もなく、1人また1人と、命
 を落として行ったと言う――そこらに転がるのは、その名残……私達も、いつ仲間入りするとも知れぬ。
 精々気をつけねばな。」

「此処は、オオマガドキの時にモノノフが立て籠もった場所だったのか……」

ならば、装備の鍛錬が出来る設備やらが残されているのも納得だ……必要最低限の物がある場所で、戦っていたと言う訳か。
だが、此の極限状態では、何時『鬼』が此処に入ってこないとも限らないからな……最大限の警戒はしておくべきだろうね。











討鬼伝×リリカルなのは~鬼討つ夜天~ 任務55
『吹雪の激闘~リインフォース無双Ⅱ~』











何よりも其れ以前に、救援が来なければ、私も暦も此処で野垂れ死ぬより道はないからな……いいや、私も暦も絶対に生き延び
てやる!生きて里に帰ってやるぞ!!
此処に入り込んでくる『鬼』が居たら、ウェスタンラリアットでダウンさせた後に、起き上がりにシャイニングウィザードを叩き込み、ト
ドメに垂直落下DDTをブチかまして滅殺してやる!!



「フフフ、そういきり立つな。『鬼』は、この中には易々とは入れぬ――なので、どうだ、おんし。少し私と遊ばぬか?
 吹雪が止むまで、私も身動きがとれぬ……退屈者同士、暇潰しも良かろう。」

「遊ぶって……私が言えた義理ではないが、割と余裕だな千よ?」

まぁ、気分転換が出来るだろうから、遊ぶと言うのも良いかも知れないが、何をして遊ぶかが問題じゃないか?――生憎と、御役
目を熟す為に来ていたので、携帯用の将棋や碁は持って来ていないからね?
この状況で、どうやって遊ぶか……其れが問題じゃないか?



「ふむ……さて……如何した物か?
 ここは一つ、鬼ごっこでも…………いや、それはちょっと生々しいな。何せ私は、半人半鬼の身……マッタク持って洒落にならん
 からな……?」

「うん、私も其れは止めた方が良いと思う。」

お前の事を恐れはしないが、半人半鬼の存在と鬼ごっこと言うのは洒落にもならないからな……となると、出来る遊びは、山手線
ゲームとかあっち向いてホイとか、イッセーのせ!なんかに限られてくるんだが……此処はそうだな、なじみ深いしりとりでは如何
だろうか?



「ふむ、其れは良いな?
 だが、只のしりとりではつまらぬ。『モノノフ』に関連するもので縛るとしよう。」

「縛りしりとりか……良いだろう、受けて立つ!」

「では、私から行くぞ?『モノノフ』。それ、『ふ』だぞ。」

「では、『富嶽』だ。」

「富嶽……ウタカタの里の手甲使いだったか?ならば『クエヤマ』だ。」



う……何でそれをチョイスするんだ千よ……別に苦戦する相手でもないが、アイツのタマハミは生理的嫌悪感を催すから、余り想
像したくないんだがな。
だが、次は『ま』か……マフウで如何だ?



「『う』か……ウタカタもアリであろう?今やモノノフの大事な拠点の1つであるからな。次は『た』だぞ梓よ。」

「『た』か……」

『た』で始まるモノノフ関連の言葉など『タケミカズチ』位しか思い浮かばないが、残念だったな千!私には、ウタカタに所属してい
るからこその切り札があるんだ!!
私のターン!私は此処で、『たたら』の切り札を切る!
さぁ、『ら』から始まるモノノフ関連の語句が思いつくか千!



「たたら……ウタカタの凄腕鍛冶屋だったか?
 ら……らか……ふむ、思いつかん……私の負けだな此れは。」

「そして、私の勝ちだ。」

「中々やるな、梓。……しりとりなど何十年ぶりか……思ったより面白いな。
 続けてもう一戦……」


『ギィアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』


とは行かないようだ。
今の鳴き声は『オラビ』か?……マッタク持って忌々しい奴だ。己は姿を見せずに、仲間を呼び寄せて敵を狩る……アイツが居る
限り、何れは洞窟の外に『鬼』が集まって来るのは避けられないか……



「そうなるが如何する?また1人、討ちに行くか?」

「無論その心算だ……だから、再戦は戻ってからだ。」

「そう来たか……フフフ、良いだろう。では、武運をな梓。」



うん、ちょっと『鬼』をぶちのめしてくる。――まぁ、私に盾突いた時点で、滅殺は確定しているけれどな!じゃあ、行ってきます♪



・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・



で、出撃した先に居たのは、ヨミトサエと無数のドリュウか……地中から攻撃してくる無数の小型『鬼』と、ゴウエンマをも上回る力
を持った大型の『鬼』であるヨミトサエの組み合わせは非常に強力であるかもしれないが……この程度の戦力で私を倒そうなどと
は笑止千万だぞ?
私だけでなく、ウタカタの里の精鋭達ならば、此れ位の勢力など抑え込む事は容易だろうよ――特にウタカタのエースである桜花
と、ウタカタ一の剛腕の富嶽、そして英雄を自負する相馬なら、単騎で此れ位は如何にかしてしまうさ。
例えヨミトサエが、最初からタマハミの凶暴状態だとしてもだ。

そして私は、その3人よりも遥かに強いぞ?
今は魔法が封じられているとは言え、この程度はお前達を相手にするのに丁度いいハンデだ……来い、少し遊んでやるとしよう。


――ジャキン!!


尤も、その遊びの代価は、お前達の命になるけれどね。
さぁ、私の六爪流の餌食になりたい奴からかかって来ると良い……望み通りに、細切れにしてやる!!



『『『『『ギシャァァァァァ!!!』』』』』

「先ずはドリュウの群れか……!」

地中を移動し、此方の死角である地面から現れて攻撃を仕掛けて来る厄介な相手だな?……しかも、通常の個体だけでなく、上
位種である不浄まで居るみたいだからね。
だが、そんな物は、私にとっては大した驚異にはなり得ない!……大人しく往生しろ、異常成長したミミズ風情が!!


――ドスゥ!!


地上に現れたドリュウ(不浄個体含む)を纏めて突き刺して、一撃掃滅!!……ドリュウは、食べても不味かったから持って帰る
のは止めておこう。うん、そうしよう。
だから、このドリュウの亡骸は、貴様にくれてやるぞヨミトサエ?……尤も、その愚鈍な動きで、私の高速投擲に反応できるか如
何かは、あやしいものがあるが、取り敢えず喰らえ、ドリュウガトリング!!


――ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!


『ガァァァァァァァァァアァァ!!!』


「うん、自分で言うのもなんだが、楽だな此の攻撃。」

ドリュウは倒しても倒しても次から次へと現れて来るから、弾には困らないし、ヨミトサエも予想通り、あの巨体では矢継ぎ早に飛
んで来るドリュウの事を避ける事は出来ないしな?……と言うか、あそこまで巨体で動きが鈍ければ当て放題だし。
序に、最初からタマハミ状態だから当てれば当てただけダメージになるから、部位破壊する必要もないしな。

さてと、其れじゃあそろそろ終わりにするか。
先ずはドリュウガトリングで、甲羅の砲塔を全部破壊して、其の後で……

「むん!……とぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


――バキィィィ


『!?』


――ズッダーン!!



踏みつけ攻撃をしようとしたヨミトサエに真空飛び膝蹴り喰らわせて、後に転倒させてやった!
これで、如何もがいてもお前は二度と起き上がる事は出来んぞヨミトサエ?触手でもあるのならば話は別だが、そんなに短い四
肢しかない甲羅生物のお前では、引っ繰り返されたら何も出来まい。
ヨミトサエの名の通り、黄泉へと帰れ!

「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前!喰らえ、破敵ノ法!!

トドメは魂のタマフリ最強の破敵ノ法だ。
外は堅い甲羅で守られていても、中まではそうは行かないからな……鬼の体内の魂の力を操って内部爆発させる破敵ノ法なら
ば、頑丈な『鬼』でも大ダメージは確定と言う事さ。

さてと、コイツはどうするか?食料として持って帰るのは難しいが、放置して蝕鬼にでも寄生されたら面倒だから、祓っておくか。
……鬼祓い完了。戻るとするか。







と言う訳で、ただいま。無事に外の『鬼』を倒して来たぞ。



「おんしか……無事に戻ったようだな。
 すまないが、私はそろそろここを出る。」

「え?……行き成りだなマッタク。
 ……暦が動けるのならば、一緒に連れて行ってくれと言う所だが……と言うか、出て大丈夫なのか千。外は何時『鬼』が出て来
 るか分からないんだぞ?
 見た所、お前はモノノフではない……『鬼』に襲われたら一溜りもないだろう?……暦の回復を待って、私達と一緒に出た方が
 安全だと思うんだが……」

「そうしたいのはやまやまだが、ちょいと用事があってな。
 いつまでも油を売っている訳にも行かぬ。……おんしとの時間は、中々楽しかったぞ梓。」



用事があるんじゃ仕方ない……否、寧ろ良く今まで居てくれたと言うべきか?――薬を作って貰ったり世話になったな千。
色々とありがとう。



「困った時は助け合うものだろう?『人』ならば。
 しかし、このままお別れと言うのも寂しいな――そうだ。おんし、私の友達になってくれないか?
 あいにく私には、そうした者が居なくてな……」



友達か……構わんさ。少し変わっているが、お前のような友人が居るのも良いだろう。何なら、一度里に遊びに来ると良い。



「里に遊びに来いだと……?
 アッハハハハ!面白い事を言う。……気が向いたらそうしよう。――餞別代りだ、少し食料を置いて行く。
 連れの熱も下がって居る頃だろう。何か食べさせてやると良い。」

「おぉ!此れは有り難いぞ千!……救助が来るまで、『鬼』を食べて過ごすしかないと思っていたからな!!
 干飯に芋がらに、干し肉に……此れだけのモノが有れば、結構上等な食事が作れる!ありがとうな!!」

「『鬼』を喰らうとは、其れだけの気概があれば生き抜けるであろう。
 ではな、梓。おんしの武運長久を祈る。」



お前も気をつけて行けよ千……ふむ、洞窟の奥に消えたか。恐らくは迷路のようになっている洞窟だろうが、その奥に迷わず進
んで行くとは、この洞窟の事をよく知って居るのだろうな。
付いて行くという選択肢もあったが、若しも途中ではぐれてしまったら、迷路から抜け出る事が出来なくなる危険があるし、まだ復
調していない暦を連れまわす訳にも行かないからね。

取り敢えず貰った食糧で飯を作るか。
鍋は……武器入れに残ってた兜で良いか。鉄製の兜なら鍋の代わりになるからな。

此れに雪を入れて、焚き火で溶かして沸騰させたら、其処に干飯と芋がらを入れて一煮立ちさせたら、煮立った所で干し肉を細か
く千切って入れてやる。
後は1分ほど蒸らしてやれば、みそ味の肉入り雑炊の出来上がりだ。芋がらは、煮干しと味噌で煮締めてから干してあるから、湯
に入れるだけで、みそ味と出汁が出るからね。
さて、飯が出来たぞ暦。起きられるか?……暦?



「父上……母上……暦は立派なモノノフになって見せます……だから……安心して眠っていてください……」



寝言……夢を見ているのか。



「……先輩……?すまない……夢を……見ていたようだ。
 遠い昔の……まだ、私がモノノフでなかった頃の……また、戦いに行っていたのか……?」

「ん?あぁ、行っていたよ――オラビの奴が、仲間を呼び寄せてくれるものだから、其れを叩きにな……極めて楽勝だったがね。」

「そうか……申し訳ない……
 少し……熱が下がってきたようだ。――おかげで……だいぶ楽になった……貴女には……感謝してもし切れない。
 ……先輩……貴女は『外様』だ。……辛くないだろうか……今の暮らしは?
 寂しくはないだろうか……1人ぼっちで……訳の分からない世界に投げ出されて……誰も傍に居なくなって……私は……ずっと
 辛かった……
 オオマガドキで故郷が消えて……何もかも失くしてしまって……この世界で生きていく意味が、私には分からなかった……
 だが、立派なモノノフになれば、何時か其れも分かると思った……だから……貴女を騙してでも……其れが務めだと信じて……
 申し訳ない……私は、どうしてこんな話を……」



未だ、熱が下がり切って無くて疲れているんだろうさ。
だが、其れだけ喋れるなら大丈夫だろう?……簡単だが、食事を作ってみた。『鬼』の肉を使った物ではなく、何と米を使った雑炊
だ!!
これを食べて体を温めると良いさ。そうすれば、熱も完全に下がる筈だ。



「忝い……此れを食べたら、今日は……もう眠ろう……また明日、戦いになる……先輩にも……休んで欲しい……」



勿論休むさ……魔法なしでの連戦は、流石に疲れたからね。
千が分けてくれた食料と、燻製に加工した『鬼』が有るから食料は大丈夫だろうが、この極寒の地では、如何に雪風を凌げる洞窟
の中とは言え、消耗は免れない……私は平気かも知れないが、救助が遅れれば其れだけ暦が危ない……一日でも早く、救援が
来るのを待つしかなさそうだな……








――――――








Side:桜花


「如何だ、何か手掛かりはあったか?」



お頭……ダメです……何の痕跡もありません。
那木と富嶽の証言から、『乱』の領域の当該区域周辺を探してみましたが、全て雪に埋もれてしまっています。



「クソ……もう三日だ。……早くしないと、アイツ等……」

「暦様……梓様……私が、もっと周囲を警戒していれば……」

「…………」

「梓さん……」

「……『鬼』と戦って、離れた場所に移動した可能性もある。もう一度、俺の隊で捜索してみよう。」



相馬!助かるぞ……!!
お前の百鬼隊ならば、ウタカタの部隊よりも人数が多いからな……若しかしたら、梓達を見つけられるかもしれん――頼む!!



「やめておけ、もう死んでいる。」

「!!」

お前は……九葉!!!貴様、今何と言った!!



「報告を聞く限り、その高さから落ちて無事とは思えん。
 其れに、何日異界に居ると思う?瘴気に蝕まれ、今頃はあの世行きだ――今は北の『鬼』の殲滅が最優先……死人にかまけ
 ている暇はない。
 『百鬼隊』は捜索を中止。現時刻より、本来の任務に復帰しろ。」

「…………!!」

「お前達もだ、桜花。無駄な事に時間を浪費するな。」



……無駄な事だと?



「そうだ、二人はとっくに死んでいる――人の世を守って、尊い犠牲となった……立派な事だ。」

「いいえ違う!!」



那木?



「あの方は生きています!生きて、私たちの助けを待って居ます!!
 だから助けに行きます!全身全霊を懸けて、お救いします!」

「……そうだな。アイツが簡単に死ぬはずがない――何せ、俺達の隊長だからな。」

「然り。最後まで足掻き、不可能を可能にしてしまうのが隊長だ。」

「アイツが、そう簡単にくたばるタマかよ!」

「そうよ!二人とも、必ず生きてるわ!」



息吹、速鳥、富嶽、初穂!
そうだな……梓が簡単に死ぬはずがない……彼女ならば、例え四方を大型の『鬼』に囲まれたとしても、其処から生還してしまう
規格外のモノノフだからな……捜索は無駄な事じゃない!!



「口の減らぬ連中だ……だが、諦めろ。
 毎日何処かで誰かが死んでいく……その屍を踏み越えて生きるのが我等の務めだ。」

「……もう良い。」

「桜花様……?」



捜索は続ける。そして、九葉殿に従うつもりはない。
此方は此方で好きにさせて貰う。――もし邪魔をするというのなら…………この場で、斬る。



「!!!」




「其処までです、皆さん。」



ん?この声は秋水か?……何だ、人が折角良い感じに決めた所だと言うのに……



「遅くなって申し訳ありません。地図を用意するのに手間取ってしまいました。」

「地図?一体何の地図なんだ秋水?」

「あの付近に広がる、広大な地下洞窟の地図です。」



地下洞窟だと?そんな物が……?



「『鬼』の瘴気を弾く、結界石の洞窟です――お二人が居るとすれば其処でしょう。」

「……貴様、何処でそんな物を手に入れた。」

「自分で作りました。……僕は、この洞窟を抜けて、北の地から脱出してきた者でして。」

「北の地だと……?」



ククク……ハハハハハ!
九葉の恫喝めいた一言にも動じないとは、流石だな秋水?お前は得体の知れない奴だが、今初めて、仲間であるのならばとても
頼りになるのだと実感させて貰ったよ。
其れに、この地図があれば梓達を助ける事が出来るかも知れないんだ……良くやってくれた秋水!



「お褒めに預かり光栄です。
 それより、皆さん誰かが居ないのに気づきませんか?」

「居ないだと?……そう言えば……ホロウ……?」

まさかとは思うが、先遣隊として地図を持って出撃したというのか?――ならば、私達も急ぎ出撃するとしよう!!
行くぞ皆!……お前も来るだろう、相馬?



「当然だ。奴を失う訳にはいかんからな……首っ玉掴んででも連れて帰る!!」

「ふふ、流石はオオマガドキの英雄だ、頼もしいな。」

待って居ろ梓、暦……君達を助け出す目途がついたから、必ず助け出して見せる――だから、私達が到着するまで、何とか持ち
堪えてくれよ!!








――――――








Side:九葉


報告を聞いた時は信じられなかったが……成程、こう言う展開になるとは予想外だった――奴が死んでしまっては、オオマガドキ
で私が見た物は成立しなくなってしまうからな。
奴が死ぬ筈はないと分かってはいたが、生還が絶望的な状況だったのでな……マッタクやってくれるな秋水よ?

否、奴が用意した地下洞窟の地図は切っ掛けに過ぎぬのかも知れん……ウタカタのモノノフ達ならば、遠からず奴の事を探して、
救助したかもしれんな……私を斬ると言った桜花の殺気と覚悟は本物だったからな。
仲間を救うためならば、霊山の軍師にすら牙を剥く……か――そう言えば、オオマガドキの時に行方知れずとなったアイツも、仲
間との絆の重要さを良く語っていたな。

そんな物は不要だと思っていたが、如何やら不要と一蹴する事は出来んようだ……その絆とやらが、最強のモノノフを帰還させよ
うとしているのだからな。

お前の言う事は、如何やら正しかったようだな……○○○○よ……








 To Be Continued… 



おまけ:本日の禊場