Side:桜花


鬼の指揮官を追って『武』の領域にやって来たのだが、まさかこれ程の力を備えた『鬼』が待っているとは思わなかった――コイツは、
ゴウエンマは、此れまで戦って来た大型の『鬼』とは一線を画す存在なのは間違いない。

強さだけならば、この間のダイマエンに勝るとも劣らない――いや、確実に上回るだろうね。

普通ならば、此れだけの力を持った鬼と対峙したら、絶望してしまうのだが、生憎と、私達は――ウタカタのモノノフは、ドレだけ強力な
鬼と邂逅したとて怯む事はない!

鬼を討つはモノノフの運命故に、其れを受け入れている我等は、鬼の指揮官が相手だとしても絶対に退かん!!
其れに……



「お前が鬼の指揮官か……ならば、全力を持って叩きのめすだけだ!!はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


――バチィ!!!



ウタカタ最強のモノノフである梓が本気を出したのだから、貴様の死は絶対だゴウエンマ。
――梓が銀髪赤眼になったのは驚いたがね。
万が一、梓に何かあったとしても、里のモノノフ全てが力を合わせれば倒せない敵でもないのでな――人々の平和を護るためにも私
達はお前を討つ!!



「覚悟しろゴウエンマ……細胞の一欠けらも残さずに焼き潰してやる。――此処が貴様の死に場所だ!!」

「魂を込める!!」

この戦にウタカタの未来が掛かっているのでね。
ウタカタの荒廃この一戦に在り!各員一層奮励努力せよ!――行くぞ、ゴウエンマを討つ!!












討鬼伝×リリカルなのは~鬼討つ夜天~ 任務30
『獄炎の赤鬼~ゴウエンマ~』











Side:梓


貴様が鬼の指揮官かゴウエンマ!――確かに、此れまで戦って来た大型の鬼とはまるで比べ物にならない強さだ。其れこそ並のモ
ノノフならば瞬殺されて終わりだろう。

だが、ウタカタの里には私が居る!
そして最強の仲間達が居るのだから、例え鬼の指揮官が相手であっても負けると言う事は絶対ない!
何よりも、銀髪赤眼と言う本来の姿を取り戻した私が居る限り、貴様は滅殺される運命だゴウエンマ!!



「はっ、言うじゃねぇか梓!!
 大した自信だが、其れ位の自信がなくちゃ鬼の指揮官とやり合う事は出来ねぇんだろうな?――よっしゃー、叩き潰すぜ!!」

「覚悟なさい!!やっつけてあげるわ!!!」



富嶽に初穂……あぁ、任せた!!
圧倒的な巨躯に、それに見合ったパワーを備え、更にはスピードもそこそこの相手に真正面から挑むのは本来ならば悪手なんだが、
パワーの富嶽とスピードの初穂ならば悪手になり得ない。
富嶽のパワーと初穂のスピードは、そう簡単に見極める事は出来ないからね――其れこそ、例え鬼であってもね。

そしてその効果は絶大!
蟀谷に初穂の鎖鎌の分銅がヒットし、腹部に富嶽のボディアッパーが炸裂したのならば、相手がゴウエンマであっても有効なのは間
違いないだろうな――意外なほどに、『鬼』の弱点は既存の生物に通じるところがあるからね。



『ガァァァァァァァァァァァ!!!!』



「お、効いてるみたいだな?
 随分と好き放題やってくれたな……さぁ、痛い目見て貰おうか!」

「鬼は討つのみ……覚悟して貰う。」



よろけた所に、息吹の連昇と、速鳥の空中連続切りが炸裂か!
だが、魂のタマフリは兎も角として、斬属性の攻撃はゴウエンマの本体には効果が薄そうだな……あの筋肉の鎧に阻まれて、表面を
斬る事が出来ても中まで斬るのは難しいか?
私の様に異常に力が強いか、或は桜花の様に長大な太刀ならば兎も角として、速鳥の双刀では手数の割にダメージが低い……なら
ば、筋肉の鎧に覆われていない所を狙えば良いだけの事。

「速鳥、お前はゴウエンマの尻尾を重点的に狙ってくれ。
 尻尾も太く頑丈そうだが、本体と違って筋肉の鎧を纏ってはいないから、付け根の関節部分を狙えば効果は高い筈だ!」

「隊長……承知した!」



『グオォォォォッォォォォ!!!』



――バキィィィィ!!!


「きゃあ!!」

「ぐ……流石にやるねぇ!」

「ハッ、結構やるじゃねぇか?尤も、此れ位じゃないと興醒めだがなぁ!!」



と、速鳥が尻尾に攻撃を始めたのと同時に、ゴウエンマの剛腕の一撃が炸裂して、初穂と息吹と富岳が吹き飛ばされたか!
幸いにして自分から後ろに飛んだようで怪我の程度は軽いが、あの剛腕の一撃を喰らったら、並の人間は即刻ミンチになってしまうだ
ろうね……流石は指揮官と言った所か。

「那木!」

「心得ております梓様。
 女神ノ社を使いましたので、富嶽様達の怪我は直ぐに回復いたします。」



流石、ウタカタ一の後方支援担当は頼りになるな。
だが、お前は単純な回復役だけでなく、一発必中にして百発百中の弓の名手でもあるのだから、その弓での戦闘支援も頼むぞ?



「お任せ下さい。」

「あぁ、頼む。
 其れじゃあ行くぞ桜花!ウタカタのツートップである剣士2人の妙技を、奴にたっぷりと刻み込んでやるとしようじゃないか!!」

「あぁ、見せてやろう、私達の絆の力を!!」

『ウガァァァァァァァァァァァァ!!!』



ふん、吹き飛ばした富嶽達を追って飛び込んで来たか。
その圧倒的な巨躯から放たれるダブルアックスハンドルパンチは強烈だろうが、強力であると言う事が、同時に弱点にもなりうるんだ
ぞ?

「目障りだ!!」


――ズバァ!!!



『グガァァァァアァ!?』


「跳躍による勢いと、腕の振り下ろしの勢いを利用すれば、その剛腕を切り落とす事は難しくない。
 タイミングさえ合わせてしまえば、此方は刀を構えているだけで相手の方から自分の腕を自ら切り落としに来てくれるのだからね。」

「いや、其れが出来るのは君だけだと思うぞ梓?」

「と言いながら、振り下ろされた拳に、確りと太刀を突き刺しているお前も大概だよ桜花。」

と言うか、私なら兎も角、あの超巨体の一撃を真正面から受け止めて如何して無事なんだお前は?
普通なら、アレを受け止めた時点で両肩脱臼は免れないと思うのだが……此れはアレか?桜花は『防』のミタマを装備しているから
堅甲と挑発を使って、防御力を限界まで上げたと言う事なのか?……其れならば納得できなくもないか。

だが、そう言う事ならば頼もしい。
このまま一気に畳み掛ける――って、アレ?



――ブオン!

――バキィ!!!!




のわぁ!?
此れは……腕を切り落とされたゴウエンマがマガツヒ状態になって尻尾を振り回して来たか――速鳥が集中的に攻撃してくれていた
が切断には至らなかったか。

思ってた以上に、尻尾での攻撃は強烈で、吹き飛ばされて巨大な岩に激突させられるとは!!



「ちょ、大丈夫なの梓!?」

「あいつをあそこまでブッ飛ばすとは……此の鬼、トンでもねぇ奴だぜ!!」

「てか、派手に吹っ飛んだ上に岩に激突しちまったが、大丈夫なのか、俺達の隊長さんは!?」



――バガァァァァァァァァァァァァァァン!!!!



だが、私を舐めるなぁ!!
確かに強烈な一撃ではあったが、此の程度の攻撃ではこの身には傷一つつかんぞゴウエンマ!――まぁ、流石に今のは少し痛かっ
たのは事実だけれどね。



「少しだと!?本当に大丈夫なのか梓!?」

「流石に土埃で汚れてしまったが、掠り傷一つ負ってはいないから安心しろ桜花。
 どうやら自分で思っていた以上に、この身体は頑丈に出来ているらしい――この分だと、アームストロング砲を喰らっても、服が消し
 飛ぶ位で済みそうだよ。」

「アレを喰らって無傷とは、ホント惚れ惚れする頑丈さだぜアンタは。」



私の身体の頑丈さは金剛石以上なのでね。
だが、如何にダメージを受けないとは言え、痛かった事に変わりはないんだ――だから、その礼は確りさせて貰うぞゴウエンマ?

貴様は鬼の指揮官と言う事だが、それで破壊神を越えられると思うなよ!

「喰らえ!オベリスク・ゴッドハンド・クラッシャー!!!


――バガァァァァァァン!!



「これは、魔法で作った巨大な拳がゴウエンマをブッ飛ばしたのか!?」

「破壊神を名乗る以上、この技は外せないので使わせて貰ったよ。
 序に、今の一撃で、残った四肢と角と尾をぶっ壊した。此れで奴は丸裸だ。――後は此方の戦力を全開にして押し切るだけだ!!」

追撃だ、ナイトメアハウル!!


……さぁ、如何したゴウエンマ?貴様の力はその程度ではないだろう!!
伝説に語り継がれている赤鬼はお前の事だろう?ならば、其の力を見せてみろ!鬼の指揮官が此の程度だったとは、流石に興醒め
なのでね。



『グオォォォォォォォォォォォ!!!』


――ギュィィィィン!!!




此処でタマハミか!
いや、其れだけならば如何と言う事はないのだが、タマハミ状態になった瞬間に、斬り飛ばした四肢と尾が復活しただと?……如何や
らコイツは、タマハミになったらなったで、破壊された部位が再生して力が増すようだ。

成程、並のモノノフではタマハミが発動した時点で終わるだろうね……四つん這いになって移動すると言う所から、通常状態との違い
が見て取れる上に、タマハミになった事で本来の凶暴性が完全に表に現れているのだからな。

私が破壊神なら、タマハミ状態のゴウエンマは差し詰め殺戮神と言った所か?
この狂乱の赤鬼と対峙して生き長らえる事が出来る者などは居ないだろうからね――私達、ウタカタのモノノフを除いての事だがな!



『ガァァァァァァァァァァ!!!!!』

「早速の熱線放射か?
 その破壊力だけならば、某怪獣王の熱線放射に負けるとも劣らないが、私をこんがり焼くには全く持って力不足だ!!――まぁ、通
 常状態であったのならばきつかったかも知れないがな。」

その証拠に、熱線を受け止めたグローブが焼き焦げてしまったからね。
オヤッさんに鍛えて貰ったグローブを焼き切るあたり、コイツの力はトンでもないのだが、其れもそろそろ終わりだ――ブチかませ!!



「行くわよ!くらえーーーー!」

「そらよ、逝っちまいな!!!」

「隙だらけだぜぇ!!」

「鬼は討つのみ。」

「天の破魔矢!」

「魂を込める!華と散れ……橘花繚乱!!!」



鬼千切り6連弾!!
これでも大ダメージだろうが、其れだけでは終わらせん!指揮官である貴様は、欠片すら残さずにこの世から消し去ってやるから覚悟
しておくが良い!!



――キィィィィィィン!!!



「咎人達に滅びの光を。星よ集え、全てを撃ち抜く光となれ。貫け極光――スターライトォォォォォ……ブレイカァァァァ!



――ギュイィィィン……ドガァァァァァァァァァァァァァァン!!!!



『グガァァァァァァァァァァァァァァァ!!!』


「んな!ゴウエンマが一撃で!――何と言う恐ろしい攻撃だ此れは……!!」

「ったく、梓が鬼だったらと考えると、ぞっとしねぇなオイ。」



まぁ、この技は、世界を滅ぼす存在を滅ぼした小さな勇者の超必殺技だからね――如何に鬼の指揮官とは言え、闇の書の闇以上と
言う事はないから、此れを喰らったら欠片も残らずに消滅する以外の道はないさ。

尤も、此れはあくまでも模倣に過ぎないので、本物の砲撃と比べたら半分程度の威力しかないがね。
だが、其れでもゴウエンマを討つ事が出来たんだ――私達の完全勝利だよ!!



――シュゥゥゥン……



と、戦闘が終わったら髪と目の色が薄茶に戻ったか……



「まぁ、勝っちゃったからね♪
 でも梓、さっき貴女の目と髪の色が変わったのは一体如何言う事?今は何時もの色に戻ってるみたいだけど……」

「分からん。が、私が魔力を完全開放した影響かも知れない。
 己の中の力を解放した事で、その影響が容姿に及ぶ事って言うのは、実は結構ある事なんだ。
 ある人物は、怒りによって己の潜在能力が爆発した際には黒髪黒目が金髪碧眼になっているし、自らを『拳を極めし者』と称する武
 道家は、禁断の力を得た事で肌が褐色になって髪は赤く染まってしまったからね。
 此度の私の変化も、一時的な強化状態による変化ではないのかと思うんだ――それ以外に説明が付かないからね。」

「身体に変化をもたらす程の強化……矢張り君は凄いな。
 改めて、君と共に戦える事を誇りに思うよ梓。」



其れは私もだよ桜花。


夜天の守護騎士達以外で、此処まで一緒に戦える仲間と言うのはお前達が初めてだからね――私としても、良い経験さ。

ともあれ目的は果たしたから、里に戻るとしようか?――ゴウエンマの素材で、オヤッさんに新たな武器を作って貰いたいしね♪



・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・



で、ウタカタに帰還!大和よ、私達は帰って来た!!



「うむ、よく戻ったな梓。」

「おかえりなさい、皆さん。
 英雄たちの帰還を、謹んで寿ぎ申し上げます。」


あぁ、ただいま!
此れまでの大型鬼とは一線を画す相手だったが、其れでも私達の敵ではなかったよ――跡形もなく全て吹き飛ばしてやったからね。



「とうとうやったな。『鬼』の指揮官を討ったんだ。」

「大勝利ね♪」

「大では足りません。大々勝利にございます♪」」

「なんだそりゃ?聞いた事もねぇぜ。」

「はは、そう言うアンタも顔が緩んでるぜ。」

「貴殿は変わらないな?普段から、鼻の下が伸びているからか?」



あぁ、間違いなく大勝利だ。
って言うか、意外ときついな速鳥?そのテンションで毒吐くとか、クールに見えて天狐好きな事以外に、冷静に毒を吐く事もあるようだ
な……用心しておこう。



「ふふ……相変わらず手厳しいな速鳥は。」

「……失敬。些か昂って無用な事を言った。
 だが……これで少しは里も安全になるだろう。」



だろうね。
里の人間が襲撃に脅え、眠れぬ夜を過ごす事も減るだろうからね――本当に、よくやってくれた。これは、私達が力を合わせて得た
最高の勝利だよ!



「梓、隊長としてよく仲間を率いた。」

「其れが私の役目だからね。」

「ま、確かにテメェは良くやったぜ梓。
 此処まで長かったが、此れで漸く鼬ごっこも終わりだ。」



そうだな。
だが、油断は出来ん。如何に指揮官を討ったとは言っても、其れでこの世界から『鬼』が居なくなった訳ではないのだからな?慢心は
禁物、勝って兜の緒を締めよだな。



「ちょっと梓、大和に似て来たんじゃない?言い方とか、間の悪さがそっくりだわ。」

「そうか?そんな事は無いと思うんだけどな……」

「ふ、俺のセリフを取るなよ梓。」

「大和まで……」

「だが、梓の言う事は尤もだ。
 『鬼』の指揮官は倒れたが、しかし『鬼』が居なくなった訳ではない――オオマガドキを防げたかも明確には分からんから、まだまだ
 課題は山積みだ。
 明日から、早速周囲の哨戒を始めるぞ。『鬼』の行動に変化がないか調べる――各自、備えておけ。」



警戒は怠らずは当然の事だが、今は体を休めるべきだろうね――ゴウエンマは此れまでの鬼とは別格の強さだったが、私も本来の『
力』を使った事で、結構消耗しているからな。
今宵はゆっくり休んで、明日に備えるとしよう――其れが一番だからね。








――――――








Side:橘花


鬼の指揮官を討ち、取り敢えず当面の脅威は取り除かれましたね……姉さまと梓様の強さは、流石です。
私も神垣ノ巫女として里を守る事が出来たので、其れは良かったですね。



「橘花さん。」

「秋水さん……お散歩ですか?」

「まぁ、そんな所です。
 其れにしても橘花さん……貴女は予想以上の事をしてくれましたね?」



予想以上?……如何言う事ですか?



「此れは完全に僕の予想の範疇外の事です。
 貴女を過小評価する心算はありませんが、精神的に追い込んで行けば、何れ逃げ出すと思っていましたよ――どんな生き物も自己
 保存を優先する――其れは仕方のない事です。ですが、貴女は一向に怯まない。それどころか、何度でも立ち上がって来る。
 神垣ノ巫女と言う忌まわしい呪い……其れから逃げたいとは思わないのですか?」



……貴方の言う通りです。
私は呪っていました――如何して、私だけが、と。生まれを呪い、世界を呪い、自らを呪いました。
ですが……呪いはもう、解いていただきました――この力のお陰で、大切な人たちを守る事が出来ました。

この力を持っていてよかった。神垣ノ巫女で良かった――今は、そう思えます。



「理不尽だとは思わないのですか?死の宿命を押し付けられて……」

「……どの道、人は自由ではあり得ません――生まれからも、過去からも、突如訪れる災厄からも。
 ですが、其れにどう立ち向かうかは決める事が出来ます。どう生きるかを決める事が出来ます。そう、あの方に教えて頂きました。
 だから……私は、人々を守ります。義務でもなく、宿命でもなく、私自身の意思として。この世界の命運を、背負ってみせます!」

「…………どうやら、少々貴女を見くびっていたようです――今回は、僕の負けです。
 ……貴女も隠れていないで、出てきては如何ですか梓さん?」



……え?



「失敬な、隠れていたつもりはないぞ?
 ちょっと年頃の男女がただならぬ雰囲気で一緒に居たから、事の顛末を見届けてやろうかと思っただけだ――事と次第によっては
 桜花に報告しなくてはならないのでね。」

「梓さん……!」

「出来れば、桜花さんへの報告はやめて下さい――僕も、まだ死にたくはありませんので。
 其れは其れとして、次の戦いは厳しいモノになるでしょう――ですが、貴女ならきっと勝てます。
 汝らモノノフに、英雄の導きがあらん事を。」

「言われるまでもない……其れ以前に、私と言う破壊神の前に立ち塞がると言うのならば、纏めて粉砕するだけの事だ。
 鬼がドレだけの数存在し、ドレだけ倒せば絶滅させる事が出来るのか分からんが、私の前に現れる鬼は全て滅してやる!其れが、
 私の使命だからな!!」

「貴女ならば、其れが本当に出来てしまうかもしれませんね梓さん。
 さて、些か喋り過ぎました――何れ時が来れば全てをお話ししますが、其れまで、今日の事は御内密に願います。僕としても、目的
 を果たさない事は出来ないので。
 では、僕は此れで――また、語りあいたいものですね。」

「……優男と思っていたが、意外と食えない男だな秋水?……まぁいい、今はまだ追及するのはやめておこう。今はまだな。」



梓さんが警戒している?確かに、只者ではなさそうですが……貴方は、一体何者なんですか……秋水さん?











 To Be Continued… 



おまけ:本日の禊場


Side:梓



さてと、強力な鬼と戦ったので、瘴気を落とす意味でも禊は重要なんだが――如何した初穂?何をそんなに震えている?
まさかとは思うが、禊場に黒光りするGでも現れたか?


「そんなモンじゃないわよ!!何アレ!?なんなのあれは!?」

「あ~~……うん、此れは確かにインパクトが凄すぎるな。」


『キュ?』



まさか、禊場に、通常の30倍近い大きさの天狐がいるとは思わなかったからね……マッタク持って、何でこんな事になったのか。
とりあえず、お前は山に帰れ。悪いが、ウタカタでは如何に天狐と言えども、お前の様な巨体を預かる事は出来ないからね――って言
うか大人しく山に帰って下さい、お願いします。



『きゅい~~~~♪』



うん、如何やら言葉は通じるようだ。山に帰って行ったからね。
しかしあれほどの巨躯を持つ天狐が居たとは驚きだ……この世界は、まだまだ私の知らない事に満ちているのかもしれないな。