Side:シグナム
砦から『戦の領域』にやって来たのだが……
「道を開けろ雑魚共!!」
「斬り捨てる……花と散れ!」
アインスと桜花が無双してくれて居るおかげでマッタク持って苦戦する事無く進む事が出来ているな?まぁ、今の所出てくるのは小型の『
鬼』だから、そもそも苦戦などする筈もないか。
「なんだアイツ等の強さは?
俺が今まで見て来たモノノフ達とは一線を画する……特にアインス、アイツの実力は紅月をも遥かに凌駕しているんじゃないのか?」
「アインスの実力は間違いなく私より上ですよ神無。
彼女は世界を破滅に導く邪神ですら制する程の力を持っています……並大抵の『鬼』では、千体集まろうと敵ではないでしょう。」
「正に一騎当千か……機会があれば是非戦いたいな。」
「いや、先に世界を破滅に導く邪神とやらに突っ込みを入れろよサムライ野郎?
でもって、オメェも何言ってんだ紅月?変なモンでも食ったかオイ?」
「そうではありませんよ焔。私も少し不思議な体験をしただけの事です……そんな事を気にするよりも、先ずは目の前の『鬼』に集中しなさ
い焔。」
「わ~ってるっての。
つってもアインスと桜花が居てくれるおかげでこっちは楽出来るぜ。やっぱ強い奴が一緒ってのは助かるねぇ。」
まぁ、確かにアインスと桜花が無双してくれているおかげで私達が倒した『鬼』は数える程しか居ないからね……六爪流のアインスに、太
刀使いの桜花か。
何れウタカタの里に帰ってしまうのが残念でならない程のモノノフだな彼女達は。
討鬼伝×リリカルなのは~鬼討つ夜天~ 任務165
『戦の領域だが、ウタカタ組が激強』
そんなこんなで戦の領域を進撃中なのだが、目標であるところのクエヤマはまだ見つからないな?――クエヤマは大型の『鬼』の中でも
巨躯を誇る方だから、目立つと思うんだが……視認できる場所には居ないと言う事か。
「にしてもミタマ探しねぇ?都合よく手に入りゃいいけどよ……」
「ダメなら何体でも倒せば良い。稽古には持って来いだ。」
「相変わらずの剣術馬鹿だな。他に好きなモンねぇのかよ?」
「……食って寝る事だな。」
「テメェは野生動物か!」
焔と神無が何やら愉快なやり取りをしていたが、其れでも問題なく進撃中だが……お前、何をしようとしてるんだアインス?何だ、その妙
な構えは?
「日本人が選ぶ必殺技ベスト10で、見事第一位に輝いた必殺技のバリエーション技の構えだ……喰らえ、ファイナルかめはめ波ーー!」
――ドッガァァァァァッァァァァァン!!!
んな!アインスの両手から光線が発射されて射線上に居た『鬼』を一匹残らず消滅させただと!?魂のタマフリにも似てるが、破壊力が
段違いすぎる。
アインス、お前は一体……
「ふ、私は少々非常識な存在でね?
普通の人間やモノノフの常識が一切通用しない存在なんだよ将……お前は覚えていないのだろうが、私はモノノフとなる前は数多の世
界を滅ぼして来た破壊神だったんだよ。」
「破壊神、だと?」
「そう、破壊神。
自分ではどうにもできない呪いに蝕まれた結果、壊しに壊して続けてあっと言う間に千年……其れがようやく終わって救われたと思った
ら、今度はその破壊の力を人々を救う為に揮っていると言うのだから世の中分からんものだな。」
「?」
何だかよく分からないが、アインスも色々訳アリと言う事なのだろうな。
時にアインス、桜花がやたらとササガニに対して容赦が無いように見えるのだが、其れは私の気のせいだろうか?
「いや、気のせいではないよ将。
桜花は蜘蛛が苦手なんだ。だから見た目が巨大な蜘蛛でしかないササガニは速攻で撃滅したいと言う事なんだ……嫌いなモノから逃
げずに戦って倒すと言うのが桜花らしいがな。」
「蜘蛛が苦手とは……ミフチと遭遇したらどうするんだ?」
「問答無用で一刀両断。
部位破壊とか表層生命力とかそんなのは一切無視して真っ二つだな。桜花は、蜘蛛型の『鬼』限定で、敵の防御力を無視してダメージ
を与える事が出来るんだ。」
「なんだ其れは……」
だが、其れは其れである意味頼りになるか。
さてと、大分進んで来た所で穢れた結界跳石を発見だ。――此れは、浄化しておいた方が良いな。浄化しておけば異界の瘴気も薄くなる
しね。
……尤も、浄化する為には此れに宿っている中型の『鬼』を倒さねばならないのだがな。
『ギシャァァァァァァァァ!!!』
そして、蝕む者として現れたのはグヒンの亜種であるマカミか!
狼の様な体躯と素早い動きが特徴的な『鬼』だな……グヒンの亜種である事を考えると、グヒンよりも手強いのは間違いない――
「邪魔だ犬っころが。」
『むぎゃぁぁぁぁ!?』
と思った矢先に、アインスがデコピン一発で撃破しただと!?……本気でお前は一体どれだけの戦闘力を秘めているんだアインス?
大型には劣るとは言え、中型の『鬼』も其れなりに強い筈なんだが……其れをこうもアッサリ倒してしまうとはな。
――キィィィン!!パシュン!!
『此処で立たなきゃ義賊の名折れ!』
――ミタマ『石川五右衛門』を手に入れた。
だが、そのお陰で新たなミタマを手に入れる事が出来たか……目標であるクエヤマからの入手ではなかったが、此れもまた貴重な戦力
だから、有り難い事だな。
しかし、未だにクエヤマを発見できんとは……此れは、奥の手を使うか。
鬼の手を装備した状態で鬼の眼を使えば、『鬼』の痕跡を辿ることが出来るからな……其れでクエヤマの痕跡を追うとしようか――ふむ、
早速見えて来たな。此れがクエヤマの痕跡か。
「おっし、此れがクエヤマの痕跡か!」
「痕跡を追うぞシグナム。」
「あぁ、是非もない!!!」
そうして痕跡を追ってきた結果……
『グガオォォォッォォォォォォォォ!!』
遂にクエヤマと遭遇することが出来たか……覚悟しろ、我が十束の錆にしてくれる!!
「うっし、ギタギタに削ってやるぜ!」
「……俺達に当てたら殺す。」
「当てねぇよ!!」
「……行きます!」
「現れたなクエヤマ……マッタク、相変わらず見るに耐えん容姿だなお前は?
デブ、ハゲ、短足のトリプルデンジャーを備えたお前は醜悪極まりない……せめてダイエットしてその余分な腹の肉を削ぎ落してこい。
何なら私が削ぎ落してやろうか?削ぎ落した肉はステーキにして食ってやるから心配するな。」
「君は『鬼』を……喰らってたんだなそう言えば。」
「乱の領域でのサバイバル生活してた時は貴重な食糧だったからね。」
……アインスは私の想像を絶するような体験をしてるみたいな――だが、其れ程の経験をして生き延びていると言うのなら、逆に頼りに
なると言うモノだ。
お前の力、頼りにさせて貰うぞアインス?
「ふ、水臭い事を言うな将……必要と言うのならば、私の力など幾らでも貸してやる――だから、遠慮なく言え!」
――轟!!!
!!アインスの髪が銀色になって目が赤くなっただと?
そして其れと同時にアインスから感じられる闘気が数十倍に膨れ上がった――!此れは、如何やらクエヤマ終了のお知らせ待ったなしと
言った所かも知れんな。
だが、そうであるのならば其れは其れで問題ない。
なんにせよ、貴様に待っているのは『死』だけだ……だから選べクエヤマ、我が十束の錆になるのか、其れともアインスの六爪流で細断
されるのかをな。
「選ばせてやるとは優しいな将……だが、選択肢など与える必要は無い――『鬼』はぶっ殺せ。百鬼隊参番隊の隊則だが、正にその通り
だからな。
人に仇なす『鬼』に情け容赦は必要ない……撃滅するぞ将!」
「ふ、其れは確かに其の通りだな……では行くぞアインス!!」
「応!!」
貴様は撃滅する……そして返して貰うぞ、貴様が喰らった英雄の魂をな!!
To Be Continued… 
おまけ:本日の禊場
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