Side:アインス


全ての遺跡を攻略した事で、夜見を倒す手段は分かった――より正確に言うのならば、夜見を浄化する方法が分かったと言うのが
正しいかも知れないな。
夜見を浄化する事が出来ればこの世界を救う事が出来るのだからね。

志貴、夜見の居場所は掴めたか?



「あぁ、夜見の居場所は割り出せた。
 夜見が環達を操って貴女達と戦わせた場所、あそこが夜見の根城であり、あそこは泉の底の更に下に位置する地下空間だったら
 しい……あそこに至るまでの道程で錯覚してしまっていたが、夜見は私達の近くに居たと言う訳だ。」

「其ればかりは言っても仕方ない事だよ志貴。」

大事なのは、夜見の居場所が分かったと言う事だ――居場所が分かっているのならば、後は其処に乗り来んで浄化してやるだけ
だろう?
問題は、どうやってあの場所まで行くかと言う事だ。



「君の瞬間移動では行けないのか、アインス?」

「私もそう思ったんだが、直接夜見の所には瞬間移動は出来ないみたいだ……夜見の気配は知っているし、あの場所も1度訪れた
 場所なんだが、如何やらあの場所は泉の力が影響してるのか、ショートカットは出来ないらしい。
 さっきから、瞬間移動を試してるんだが、飛ぼうと思っても弾かれ続けているんだ。」

仕方ない、直接地下空間まで行く事は出来ないが、外の不思議な森には瞬間移動で行く事が出来るみたいだから、其処から決戦
開始だな。










討鬼伝×リリカルなのは~鬼討つ夜天~ 任務122
『最終決戦~蘇る闇~』










さて、最終決戦地に到着したが、思った通り化け物共が跋扈しているな?
私達モノノフの世界の『鬼』、アーナスとクリスの世界の『邪妖』、ソフィーとプラフタの世界の『プニ』、ハヤブサとあやねが戦ったと言
うミュータントモンスター……化け物オールスターだな。
だが、上等だ!夜見の前の前座、軽く片付けてやろう――目的は夜見だけだからな。



「あぁ、神器と泉の力を皆に分け与えた……此れで夜見と戦う事が出来るだろう。」

「神器の準備も出来てる。
 弱らせたところで、英雄さんの力を借りれば、きっと夜見を浄化できる筈だ。」

「英雄様には、御迷惑ばかりおかけして来ましたが……此処まで辿り着けたのは、皆様のおかげです。」

「如何か、最後まで一緒に戦ってくれ。
 もう分かってると思うが……俺達には、英雄さんの力が必要なんだ。」



あぁ、分かってるよ刹那。
そして、言われずとも最後まで一緒に戦わせて貰うさ――さぁ、行こう!夜見を浄化し、この世界の戦いを終わらせるために!
夜見を浄化し、この世界を救い、私達が元の世界に帰る為にも、絶対に勝つぞ!!



「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「おーーーー!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」



待っていろ夜見、お前を魔物にしていたその穢れ、今祓ってやるからな!!








――――――








Side:夜見


力が漲って来るわぁ……植物を通じて、私に力が送り込まれてきている――ふぅ、もう十分ね?



――轟!!



ふふ……すっかり元通り。
さぁ……早くここまで来て――彼方達の絶望する顔を、早く見せて……力が満ちていて、とてもいい気分……さぁ、絶望を味わわせ
てあげる。








――――――








Side:アインス


先ずは一番槍として、私となのはとヴィヴィオでトリプルディバインバスターを叩き込んでやり、其れで開けた道を趙雲と幸村とアーナ
スと紅月が先陣を切って突き進んだ訳なんだが……矢張り幻影が現れたか。
しかもこの幻影のオーラは此れまでとは比べ物に成らない位に強い……此れは、本物と遜色がないレベルと考えた方が良いかもし
れないな。
と言うか、私やなのはの幻影が本物と遜色ないレベルで現れたりしたら冗談じゃないぞマッタク!!



「先ずは幻影を倒しましょう。
 万全の態勢で夜見の元へ向かわなければ。」

「西の道は幻影が散らばっているようだが、夫々倒さねば道は開けぬか。」

「東の道には幻影が固まっているな……集中攻撃を受けるかも知れない。」

「中央の幻影は戦意が高そうです……入念な準備が必要ですね。」



何れにしても楽な道はないと言う事か。
ならば西の道はかすみ、ほのか、マリー、ハヤブサ、あやね、有馬、ダリウス、幸村、三成、直虎。
東の道はなのは、ヴィヴィオ、趙雲、周倉、リオ、レグリナ、のぶニャが、ウィリアム、プラフタ、クリスで攻略してくれ。
中央の道は、私、桜花、時継、紅月、元姫、ソフィー、アーナス、環、刹那、志貴、小夜で攻略する!!



「了解したわアインスさん……あとでまた、会いましょう。」

「承知したアインス殿!必ずや最深部で!!」

「あぁ、必ずな!」

さてと、中央の道の幻影は戦意が高そうだとの事だったが……此れは、戦意が高いと言うよりも、戦力過剰の間違いじゃないのかと
思うぞ?
何だ、私の幻影とアーナスの幻影となのはの幻影って……過剰戦力にも程があるだろうに!!……まぁ、此れだけの幻影を使役す
るのは並大抵の力では済まないだろうから、このクソチートな幻影が現れるのは此処だけだろうけどね。
こんな事ならば、なのはも此方のチームにするべきだったな。



「大丈夫よ英雄様、私に任せて。」

「小夜?」

「お母様?」

「母上?」

「叔母上?」

「私は、可成り長い期間、夜見に操られていたわ。
 でも、そのせいである程度ならば私から夜見の力に干渉する事も出来るわ――操られていた事で、私の巫女としての力は、夜見
 と同調しやすくなっているのよ。
 流石に夜見本体を如何にかする事は出来ないけれど、夜見が召喚した幻影を弱体化する位なら出来るわ。」



其れはまた、何とも驚きだな?
夜見に操らえながらも、逆に其れを利用する力を身に付けていたのか小夜は――夜見本体を操る事は出来ないと言っても、幻影を
弱体化出来ると言うのは大きいな。
本物と遜色ない私となのはとアーナスの幻影ならば苦戦必至だが、弱体化したのであれば敵ではないからね。



「此処だけではないわ……私の力を最大限に使って、夜見が召喚した全ての幻影を弱体化させているわ。
 夜見に操られていたとは言え、私は許されない事をした……夫を殺し、子供達を苦しめ、この世界を滅びへといざなってしまった。
 だから、せめてもの償いに、夜見を浄化する為となるならばどんな事でもする心算……其れが、命を落とす事になろうとも。」

「小夜……」

せめてもの償いに、か。
だが、命を落とす事になるのは駄目だ――己のした事を悔いるのであれば、安易に死に罰を求めるな。
生きて、生きて、生き抜いて、己が罪と向き合って真に償え……何よりも、お前まで居なくなってしまったら、環達は本当に親を失っ
てしまうんだ。
だからお前は生きろ小夜。何が有っても絶対にな。



「英雄さん……そうね、死ぬよりも、生きてこそだったわね。」

「その通りだ。」

取り敢えず、弱体化した私達の幻影を撃滅するとしようか?……一気に決めるぞ、アーナス!!



「了解。其れじゃ、頼んだよ。」

「任された。」

アーナスが魔剣ヨルドを投げて寄越し、右手に刀3本、左手にヨルドの四刀流で幻影を滅多斬りだ!!――因みに、幻影以外のモ
ンスター共は、桜花達が撃滅中だ……あ、マフウが桜花の斬撃で真っ二つになった。

で、私が滅多斬りにしている間に、アーナスは自身を地下に――正確に言うなら、地下に作り上げた異空間に移動させ、私が滅多
斬りにした相手を其処に引きずり込んだみたいだな?
異空間で何が行われているかは知らないが、取り敢えず引き込まれた連中は御愁傷様だと言っておこう。



「お疲れ様、アインスさん。」

「お疲れ様はお互い様だろう?」

で、異空間から戻って来たアーナスとハイタッチ。
此れで、中央の道の幻影は全滅させたが、門を開くには幻影とは別に門番を倒す必要があるんだが……



「魂を込める……華と散れ!橘花繚乱!!」

「私に倒されたいの?……これで決まりね。」

「私だって……出来るんだからーーーー!!」



桜花の鬼千切り、元姫の鋲のばら撒き攻撃、そしてソフィーのプニミサイルで門番も吹き飛ばされたようだな……私とアーナスの様
な規格外ではないが、桜花と元姫とソフィーも相当なモノだと思うな、うん。
勿論、紅月と時継だって大活躍だがな。



「此れで、幻影は全て倒しました……残るは夜見だけです。」

「戦いの流れは俺達の方にあるぜアインス。
 此のまま一気に決めてやろうじゃねぇか!――勇者の力、見せてやるぜ!!」

「あぁ、一気に決めようじゃないか!!」

かすみ達やなのは達も、夫々の道を突破した筈だから、地下に向かう此の道の何処かで合流する筈だ……最深部へ至る道にはモ
ンスターが跋扈してるだろうが、全てのチームが合流すれば、誰が相手であっても驚異にはなり得ないから無問題だ。

つまり、事実上残る敵は夜見だけだ。


さぁ、もう終わりにしよう夜見。
お前には世界を滅ぼす理由も、意味も存在していないんだからな……無意味な破壊は、もう終わりだ。私達が終わりにする!!










 To Be Continued… 



おまけ:その頃のウタカタ



Side:大和


アインスと桜花が任務中に行方不明となって、此れで21日か……2人はまだ見つからないのか?



「残念ながら、あの2人が任務で訪れてた雅の領域じゃ何も見つからなかったぜお頭……せめて、アイツ等の衣服の一部でも残っ
 てりゃ手掛かりになったんだがな。」

「ねぇ、大和……アインスと桜花は無事よね?生きてるわよね?」

「初穂……」

無事だ!と断言できないのが辛い所だな……アインスと桜花が簡単にやられるとは思わんが、行方不明となってから幾ら何でも時
間が経ち過ぎている。
考えたくはないが、2人の生存は絶望的なのかも知れん……



「案ずるな大和。
 アインスと桜花は必ずや戻って来る。だから、信じて待て。」

「九葉……何故言い切れる?」

「軍師としての勘だ。
 あの2人は、ウタカタのモノノフの中でもとりわけ強い力を持っているから、そう簡単にくたばるとも思えぬのでな。」



勘と来たか。
だが、お前がそう言うのならば、俺も2人の帰還を信じて待つとしよう――モノノフの無事を信じて待つのもまた、里のお頭の役目だ
からな。