Side:アインス


ハヤブサとあかね、そしてクリストフォロスを撃破し、更にはなのはと環も夜見の支配から解放で来たと言うのも大きい――と言うか
なのはが敵方に回ったら勝てる気がしないからね。
取り敢えず、元に戻って良かったな?



「なのは殿……良く戻って来てくれた。貴女が居れば百人力だ。」

「にゃはは……趙雲さんとヴィヴィオが私の精神を解放してくれたからこそだからね?」

「謙遜なさるな。
 夜見がなのは殿に特別強い術をかけていたのも、貴女の力を脅威と感じたからこその事……其れ程の者が仲間に居ると言うの
 は、矢張り心強い物が有る。」

「そうそう、ママと趙雲さんが居ればどんな相手にも勝てるって!!」

「そうだね、趙雲さんと一緒なら!!」

「ならば、私とてその期待には応えねばな。」




「なぁ、アインス……」

「言うな桜花。私も思ってた所だから。」

何だ此の幸せ家族計画?――何だかもう色々と突っ込むのもアレだから、お前等さっさと家族になってしまえ。
と言うかなのは、お前は自分に向けられる異性からの好意には気付かないくせに、自分がとなると大分アレなんだな?……何と言
うか、ユーノ・スクライアやクロノ執務官が哀れになって来たよ……









討鬼伝×リリカルなのは~鬼討つ夜天~ 任務117
『碑の欠片~隠された歴史~』










残る碑の欠片はあと2つ。
全ての英雄達が戻って来た訳だが、さて如何戦力を振り分けたモノか……



「英雄の数は全部で27人だから、9人ずつのチームに分けたらどうだろうか?
 碑の欠片の探索組と、夜見の動きを探るチームとに分けると言うのは如何かなアインス?」

「あぁ、悪くないな。」

だが、そうなると最悪の場合を考えて夜見の動きを探るチームには環達は入れない方が良いだろう――もしもの話だが、探索組
が夜見に操られてしまったら其れを取り戻す為に神器の力が必要になる訳で、そうなった場合は三種が全て揃っていた方が浄化
も楽だからな。

と言う訳でチーム分けだ。

・碑の欠片探索チームA:私、桜花、元姫、ソフィー、プラフタ、三成、ダリウス、周倉、リオ、環
・碑の欠片探策チームB:刹那、志貴、なのは、ヴィヴィオ、趙雲、幸村、直虎、ハヤブサ、あやね、ウィリアム、有馬
・夜見の動き探査チーム:紅月、時継、かすみ、ほのか、マリー、のぶニャが、レグリナ、アーナス、クリストフォロス


まぁ、こんな所かな?
夜見の動きを探るチームにアーナスを入れたのは、彼女のナイトメアフォームがあれば夜見を倒す事は出来なくとも、アーナスだけ
は操られる事がなくなるからだな……流石に、最強最悪の魔物でも同格以上の『夜の王』を操る事は出来ないだろうからね。

さてと、そんな訳で行動開始だ!!



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で、神器の反応を頼りにやって来たのは、高層ビルが立ち並ぶ、やたらと近代的な場所……果たして誰の記憶が再現された場所
なのやらだ。
早速碑の欠片をと行きたい所だが、如何やらそうにも行かないみたいだな?



「環様、英雄様!ど、どうか……お助け下さい!」

「そんなに慌てて、一体如何したのですか……?」

「この辺りを偵察していた所、突然夜見の配下に襲われたのです――此のままでは、仲間達がやられてしまいます。
 環様、どうか……!」

「分かりました、直ぐに向かいましょう。
 英雄様、申し訳ありません……欠片を探すより先に、彼等の救援を手伝って頂けますか?」

「任せろ環。一緒に皆を助けよう。」

さてと、先ずは彼らの救出からだと出撃したのだが、此れはまた何とも笑ってしまう位の化け物の多さだな?
無数のガキに其れを統率しているかのようなマフウ……確かに『鬼』を知らぬ者からしたら驚異だろうが、この程度の相手ならば一
流のモノノフの前では塵芥に過ぎん!!

「闇に沈め!」

「花と散れ!!」



私と桜花の先制攻撃で速攻撃滅!
本来ならばこの程度の雑魚に六爪流を使うまでもないんだが、此方も悠長にやってる暇はないんでな……初っ端から全力で行か
せて貰うぞ!!
喰らえ超反則技……六爪流での、回転剣舞六連!!



――ババババババババババババババババババババババババババババババババババババ!!



左右二択の一瞬六斬を六爪流で行えば左右二択の一瞬三十六斬と言う如何足掻いても回避不可能な一撃の出来上がりだ。
もしも六爪流で九頭龍閃を放ったらどうなるかなんて、あんまり考えたくは無いな。
其れは其れとして、夜見は小夜によく似ていたな?……今更だが、何か関係があるのか?



「夜見はとても恐ろしい魔物……ですが、憎みきる事が出来ないのです。
 其れは、お母様にどこか似ているから……でも、それだけではない気がする……」

「恐ろしいが憎み切る事は出来ないか……」

其れもまた難儀な事だな。
いっその事完全に憎む事が出来ればドレだけ楽だった事か……言い方は悪いが、憎悪の感情しか持てない相手ならば、滅するの
のを躊躇う事は無いからな。

其れもまた碑文を完成させれば分かる事なのかも知れんが、果たしてここにある碑文には何が書かれているのやら……環が悲し
まない内容であると良いのだがな。



「アインス、そう言うのは確か、えーと……ふらぐと言うのじゃなかったか?」

「言わないでくれ桜花、自分でもそう思ったから。」

だが、何と言うのか此処にある碑文には途轍もない事が書かれている気がするんだ――其れこそ、この世界の在り方を根幹から
覆す様な事がな。

まぁ、先ずは助けるべき者達を助け出してからだな!!










――槍兵隊長達を襲っていたマフウ達を撃滅中だからちょっと待ってろ。って言うか、マフウとガキだけとか私達を舐めてる?











遊びは終わりだ!泣け、叫べ、そして死ね!楽には死ねんぞ!燃え尽きろぉぉ!!!!
最後のマフウも、八稚女→彩花のコンボで撃滅完了!!
此れで、全ての槍兵隊長を救出したと同時に、最後のマフウを倒したら碑の欠片をドロップしましたとさ……最初の欠片を手に入れ
た時もそうだったが、碑の欠片って言うのはあれか?特定のモンスターを倒す事で手に入れられるドロップアイテムなのか?



「其れは分かりませんが、英雄様達のおかげで彼等を助け出す事が出来た上に、碑の欠片を手に入れる事が出来ました。
 ですが……妙なのです。
 この欠片は、碑の下部にあたる物だと思います――そのせいか、装飾や絵ばかり掘られているのですが……よく見ると、装飾に
 見せかけてちらほらと文字が隠れているのです。
 『夜見、共に世界を創りし女神よ』と……
 此れは一体、どういう意味なのでしょう?」



夜見が、この世界を創った女神、だと?
其れは確かに意味が分からないな……刹那と志貴が持ち帰って来るであろう碑の欠片と合わせて読み解く必要があるな此れは。

取り敢えず、聖域に戻るか。
毎度お馴染み、瞬間移動!!



――バシュン!!




ってな訳で聖域に戻って来た訳なんだが、首尾は如何だ刹那、志貴?



「欠片は手に入れたんだけど……妙なんだよな。
 この欠片、異常に文字が読みづらいんだ――まるで隠してあるみたいに、装飾に紛れてる。
 『人の為に穢れ、闇に落ちた我が妻よ』そう読めるんだが、どういう事だ?」



ふむ、新たに見つけた部分を組み合わせてみると、『夜見、共に世界を創りし女神よ、人の為に穢れ、闇に落ちた我が妻よ、次代
の子らが、如何か汝を救わん事を』となる。

『ともに世界を創った』となると、此れを書いたのは初代の王か?



「あぁ、間違いないだろう。
 そもそも、あの碑に文字を紛れ込ますなど、彼以外には出来ない。」

「つまり、夜見は俺達王族の先祖で、しかも女神だったって事か……?其れ、トンデモない秘密じゃないか!!」

「だから、碑が見つからなかったのだろう。
 碑を割って隠したのは、夜見でも、操られていた母上でもない……恐らく、過去の王の誰かだ。」



夜見は、世界を脅かす魔物になってしまった。
だから、実は王族にその血が入ってるなんて知れたら拙い……そう言う事だな?



「その通りだアインス殿。
 其れと、王の権威を高める為、夜見を退治した伝説を利用したかったのだろう。
 『魔物を倒した王』ならば聞こえはいいが……女神を封じた王となれば人々の心は離れ、権威を揺るがす事にもなりかねない。」

「でも……酷過ぎます。
 人の為に犠牲になった夜見を、こんな悪者に描くなんて……!」



恐らくだろうが、王の周囲がした事だろうな。
だから、せめてもの抵抗に、こんな文章を紛れ込ませた……だが、此れでは夜見が人間を人間を憎むのも無理はない――私が同
じ目に遭ったら、復活した瞬間に全てを皆殺しにしているだろうからね。
だが、元が女神だったと言うなら、救う方法があるかも知れないな。



「その可能性は高いと思う。
 戦いを通じて英雄さん達の力が注がれた事で、神器は力を増している――操られた人間を、元に戻す事すら出来た……」

「あ……!
 確かに、英雄様がいらっしゃれば、夜見を浄化できるかもしれません。」

「英雄殿……私達の問題に巻き込んで、本当に申し訳ない――だが、もしよければ、力を貸してくれ。
 哀れな魔物を浄化するために……」



是非もないな。
夜見が、穢れを受けて魔物と化してしまったと言うのならば闇の底から引っ張り上げてやるだけの事だ――闇の書として、死と破壊
を巻き散らしていた私が、なのは達によって救われたのと同じようにな。








 To Be Continued… 



おまけ:本日の浴場



次の戦いに備えて英気を養うために温泉だ。
温泉で一献やって、温泉上がりにマッサージチェアと言うのは至福の流れだが……如何やら男性の時間だったようだな有馬?



「露天風呂に華とは風流だな……。
 ……誤解をするな、俺もこの状況に動転している――自分でも何を言っているか分からないんだ。」

「つまり混乱していると……殴ったら治るかな?」

「いや、お前に殴られたら涅槃に渡ってしまう気がするから止めてくれ。」



斜め45度でかませばと思ったんだが、ダメだったか。
だがな有馬、実直なのは認めるが、軍人としては女の色気にある程度の耐性は付けておいた方が良いぞ?――どこで、誰がハニ
ートラップを仕掛けてくるかわからんからな。



「肝に銘じておこう。」

「ならば良い。と言う訳で、メンタルを鍛える意味で温泉に付き合え♪」

「待て、どうしてそうなる!!」



フフフ、精神修業だよ有馬君。
バスタオル1枚の私に耐える事が出来るようになれば、大概の色仕掛けには引っ掛からなくなるからな――だから、精々頑張れ。