Side:アインス
新たにほのかと直虎と有馬を取り戻したから、戦力の振り分けを行わねばなのだが、此れは考えるまでもなくほのかと直虎が探索
組で、有馬が奪還組だな。
有馬の剣技は将に匹敵する物が有るから、奪還組に居ると頼りになると言うのもあるがな。――其れで良いか有馬?
「お前がそう言うのならば其れに従おうアインス。
生半可な者が言ったのならば即座に反論するが、お前の実力は疑うべくもなく、此処に集った英雄の中でも最強だ――其れ程
の者が言うのならば、従わない理由は無いからな。」
「生真面目なんだな、お前は。」
だが、だからこそ頼りになると言うモノだ。
軽薄な男と言うのは、総じて頼りにしては駄目だからね。
「アインス、其れは息吹は駄目だと言う事か?」
「アレは別格だ――息吹の軽薄さは、あくまで伊達男を演じている上での事だからね。」
ともあれ、取り戻すべき仲間は後僅かだ――此のまま一気に取り戻してしまおうじゃないか?そうすれば、夜見の力も大きく減衰す
るだろうからね。
討鬼伝×リリカルなのは~鬼討つ夜天~ 任務116
『浄化~残酷なる呪縛~』
で、やって来たのは如何にもな感じの古城……此れは、普通に『出そう』な雰囲気だが、如何したウィリアム?
「It's not a big deal, it's a bit like my hometown.(大した事じゃない、少し俺の故郷に似ていてな。)」
お前の故郷に……と言う事は、此処はウィリアムの記憶が再現された世界だと見て間違いないだろうな――城の造りはどう見ても
三国の世や戦国の世の物とは異なるからね。
其れは其れとして、此処に操られた仲間が居るのか刹那?
「あぁ、此処には操られた英雄さんが集まっている――一気に浄化して、皆を取り戻そう!
悪いんだが……確実に儀式を成功させるため、俺を守ってくれれば助かる。」
ふ、その程度の事は雑作もないぞ刹那――此れまでもお前を護りながらの戦いだったからね。
そもそもにして、攻撃が通じると言う条件下ならば、私は夜見を圧倒出来る破壊神だぞ?――其れだけの力を持った者が、この地
に現れた魔物に如何にかされると思うてか?
「いや、其れは思ってないが――金色の杖を携えた英雄さんが出て来たら、その限りじゃないだろう?
あの人の力は凄すぎる……俺でも分かるくらいにな。」
「確かに、なのは殿が出て来たら此方とて只では済まないだろう……なのは殿の武は、若しかしたら呂布殿をも越えているかも知
れないからな。」
「趙雲さんに、三国志最強の英雄以上の評価をされるママって一体……」
まぁ、確かになのはが出て来たら厄介極まりないな。
あの子は僅か9歳の時に、ダメージこそ与えられなかったとは言え、1000年もの間、誰一人として止める事が出来なかった私と互
格に戦ったのだからね。
成長し、大人になったなのははあの頃よりも遥かに強い筈だ――子供の頃の正面からの真っ向勝負だけでなく、戦いの駆け引き
なんかも覚えているだろうしね。
加えて、夜見もなのはは特別と思っているのか、他の英雄達とは違って操られながらも本来の力が出せるようにしているらしいか
らな――或は、なのはを十全に使おうとした結果、他の英雄達の支配には力を割けなのかったのかもしれないが。
「其れでも、今の私がなのはに負ける事は無いと言いきれるな。」
「ふむ、その心は?」
「桜花、私を誰だと思っているんだ?300体以上のミタマをこの身に宿す今世のムスヒの君だぞ?
基本能力ならば私となのはは互角かも知れんが、ミタマの能力が上乗せされている分だけ私の方が上だ――加えて全てのタマ
フリが使用可能と言うチートを通り越したバグキャラだからな私は。
如何に強くとも、バグではない『ゲーム中最強キャラ』のなのはが相手ならば私が勝つさ。」
「……ヴィヴィオ殿、アインス殿は何を言っているのか分かるだろうか?」
「あはは……まぁ、趙雲さんに分かれって言うのが無理ですよね。」
まぁ、三国志の英雄に分かれと言うのが無理だからな。
兎に角、先ずは英雄達の奪還だ……儀式の邪魔をする奴等を片っ端から叩きのめす!!こんな風にな!!
――ズバァ!!
『ギヤァァァァァァァァァ!!!』
「マフウだったか……後ろからしか襲えないようなチキン野郎に、私の首はやれんな。いや、コイツは烏だからチキンではないか。」
「何と言う居合だ……剣閃がマッタク見えなかったとは……」
ふふ、此れ位は雑作もないぞ有馬?
私の剣技は将の剣技をも上回るからね――と言うか、将の剣技その物が私が管制人格として作り出したモノだから、私より上と言
う事は無いのだけれどね。
さてと、このまま一気にケリをつける!
サーチャーを飛ばして確認したが、化け物たちの侵入経路には、操られた英雄達が陣取っているから、其れを撃破しつつ刹那の事
を儀式が完了するまで守り抜くぞ!!
「無論だ!趙子龍、龍の如く攻め抜かん!!」
「真田の戦、ご覧に入れよう!」
「精鋭分隊隊長、有馬一……参る!!」
「戦の時だ……!」
「高町ヴィヴィオ、全力全壊で頑張ります!!」
取り敢えず、先ずは雑魚共を蹴散らす!!ヴィヴィオ!!
「OKですアインスさん!!」
「消え失せろ雑魚共!覇ぁぁぁぁぁぁ……!!」
「「真空波動拳!!」」
――ドドドドドドドドドドドドドド!!
――Double Shinku-HadohKen!!KO!!
ヴィヴィオとのダブル直射砲で鬼とかプニとか、その他諸々の化け物共を完全滅殺!!……しかし、義理とは言え、流石はなのは
の娘と言うべきか、ヴィヴィオの直射砲の威力は中々の物が有るな。
だが、今のは戦闘開始の前奏曲に過ぎん……本番はこれからだ!!
――操られた英雄達と雑魚共を倒している最中だから待っていてくれ。
「泣け!叫べ!!そして死ね!!
遊びは終わりだ!私からは逃げられないんだよ!!
調子こいてんじゃねぇぞオラァ!その命貰ったぁ!!
ファイヤー!だだだだだだだだだ!!破壊力ーーー!!!」
「八稚女、神塵、暗黒地獄極楽落とし、バリバリバルカンパンチ……なんで、KOFの超技?」
「作者の趣味だ、気にするな。」
其れに、此れだけ暴れたおかげでハヤブサとあやね、リオとクリストフォロスを倒す事が出来たのだからね――意識を奪ってしまえ
ば、後は浄化した後で元に戻るのだから。
だが、此の状況で漸く出て来たみたいだな――なのは、そして環!!
「此処までやるとは思わなかったけど、其れも終わりだよ……此処からは私達が相手になるから。」
「夜見様の邪魔をするのならば、滅します!!」
分かっていた事ではあるが、戦いは避けられんか――ならば来い!目を覚まさせてやる!!
なのはは私と趙雲とヴィヴィオで抑えるから、後は全て環に!刹那が浄化の儀式を行う前に環の自我を取り戻す事が出来れば、
刹那の儀式の負担を軽減できるかもしれないからね。
「了解した――万に一つもないだろうが、死ぬなよアインス?」
「ふ、要らぬ心配だ桜花。」
さてと、環は桜花達が何とかするとして、お前の相手は私達だよなのは。
「たった3人で、私を如何にか出来ると思ってるの?」
「大した自信だが、逆に問うぞ?――操られた貴様如きが、数多の世界を滅ぼして来た破壊神と、三国志の英雄と、次代を担う新
星に勝てると思っているのか?」
もし思っていると言うのならば、夜見の目は節穴としか言いようがないな。
確かになのはの力を最大限に引き出した状態を維持しつつ、操っているのは驚異だが、操った事でなのは本来の意思は奪われて
しまっているのだからな。
全力全壊を貫けないなのはなど、私達の敵ではない!!
「!!」
「遅いな……!」
言うが早いか、なのは肉薄し、先ずはショートボディアッパーを喰らわせ、更にショートアッパーで顎をカチあげ、そのままジャンピン
グアッパーで顎を撃ち抜く!!
「真昇龍拳!!」
「ヴィヴィオ殿、驚いてる暇はない!此処が好機だ!!!」
「は、はい!趙雲さん!!」
私が真昇竜拳でなのはをブッ飛ばし、その隙を逃さずに趙雲とヴィヴィオの猛ラッシュが炸裂か――超高感度カメラであっても全て
捉えるのは難しいレベルの趙雲の連続突きと、打撃の重さを重視したヴィヴィオのアクセルスマッシュが連続でヒットしたらなのはと
て無事では済まない筈だ。
「っく~~……此れは流石に効いたかな?」
「なのは殿?」
「ママ!!」
そして、趙雲とヴィヴィオの攻撃を喰らって、なのはは正気を取り戻したみたいだね。――にも拘らず、レイジングハートを此方に向
けているのは何でだ?
「趙雲さんとヴィヴィオの攻撃で精神的な支配からは解放されたけど、肉体の支配はまだ夜見に受けているの……だから、一刻も
早く浄化を!!」
「そう言う事か!!」
夜見め、なのはにはドレだけ強固な操作を施したのかだ……刹那、浄化の準備は!!!
「丁度出来た所だ。タイミングよく、環を取り戻す事も出来たからな。」
「環も……ならば頼む!!」
「あぁ、任せておいてくれ!!」
次の瞬間、刹那の天剣が輝き、更に解放された環の天鏡も光を放ち、夜見に操られた英雄達を解放する――無論なのはもな。
リュウ・ハヤブサ、あやね、リオ、クリストフォロス、なのは、環を奪還できたな。
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さてと、此れで夜見に操られていた仲間は全て取り戻した訳だが、志貴、碑文の方は如何だ。
「あぁ、問題なく手に入れる事が出来た。
この欠片は、碑の下部にあたるものだろう。上部の文字を捕捉する様に、夜見と初代の王を描いた絵が彫られているようだ。
そして……その絵の中に隠れるように、文字が紛れ込んでいる――『次代の子らが、如何か汝を救わん事を――』。
此れは一体?」
謎だな。
だが、残りの碑の欠片を集めれば分かるのかも知れん。
全ての仲間を取り戻した今、優先すべきは、夜見を倒す術が記されているであろう、黎明の碑を完成させる事だな。
To Be Continued… 
おまけ:本日の浴場
さて、日課の温泉だが――
「はわわわわ、アインスさん!?
私なんかが先に使っていてごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!!」
先客は直虎だった。
別に謝る事も無いと思うのだが、如何して直虎はこうも気が弱いのか……言っては悪いが、よくもまぁ井伊家は直虎がトップを務め
ていて持ったモノだと思うよ。
謙虚なのは良い事だが、直虎はもう少し度胸を付けた方が良いかもな。
「度胸だなんて……そんなの無理ですよーー!」
「だろうな。」
だが、克服できるなら克服しておいた方が良い――弱点を放置していたら、碌な事にはならないからね。
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