「ふー…雲海の上の宮殿なんてホントに御伽噺みたい。」

 一曲踊り終えた夏美はバルコニーでノンアルコールのカクテル片手に小休止。
 イキナリ社交界の舞踏場に引っ張り出されれば緊張もしただろう。

 「あ、此処が火星ならあの2つの月がフォボスとダイモスか…今は如何でも良いけど。
  って、問題はアイツだよ!イキナリあーんなセレブ軍団の前で躍らせてくれちゃって!」

 その緊張の原因は主に小太郎――と言うか100%小太郎。
 目立たない一般人を自覚している夏美にとって公衆の面前でのダンスは相当に応えたようだ。

 が、だからと言って小太郎と踊ったのがイヤだったかと問われればソレは否。

 「けど…コタ君、私のことキレイだって言ってくれたんだよね…大人モードもカッコ良かったし…

 普段は寮の部屋で一緒に生活しているが、夏見の中で小太郎の存在は意外と大きいようだ。


 嗚呼、命短し恋せよ乙女。
 その思いは是非とも大切にして欲しいものだ…そして願わくばその思いが実らん事を…











 ネギま Story Of XX 95時間目
 『本日契約パーティ也』











 「おうネギ、総督言うのはマダ出てけへんのか?いい加減セレブがウザイでホンマに…

 「公務で1時間ほど遅れるって…総督が出てくるまで僕達が出来る事は無いね…罠とか周囲の状況を再確認しておく?

 さて、室内では相変わらずダンスが続いているがネギと小太郎は2曲踊った所でリタイア。
 と言うか、セレブレディから逃げるのがメインになったのだ。

 稼津斗は稼津斗で2曲目が終わった所で高音なんかと雑談中。


 が、実際問題クルトが出てくるまで出来る事は殆どない。
 ネギが言う周辺状況の確認だって、この面子なら10分もあれば完璧にこなせる。

 ホントの本当にやること殆どなしなのだ。


 「あ、ネギ君コタ君、丁度良かったちょっと良い?」

 「ハルナさん?」

 「なんやねん、パル姉ちゃん?」

 其処に現れたのはハルナ。
 その目に何かを企んでいる光を宿し…しかし、それは麻帆良で見せるような『悪戯を思いついた』光ではない。
 あくまで今の状況を理解した上で、だが面白そうだと言う事なのだろう。

 「アンタ等、今此処で未契約の子と仮契約しなさい。コタ君は夏美ちゃんとね♪

 「「はい!?」」


 ――ちょっとパル!?


 爆弾投下。
 その威力は原爆かはたまた水爆か、何れにせよとんでもない威力。

 仮契約の事で小太郎に話を持ちかけようとしていた夏美も柱の陰に隠れて心の中で突っ込むほどだ。


 無論ハルナとて、伊達酔狂で仮契約を言ったわけでは無い。
 状況を踏まえ、そして全員が無事に麻帆良に帰還すると言う事を熟考した結果だ。

 「此れから先の戦いを考えると――少なくとも非戦闘員も自分の身を護れるくらいの力は持ってないと不味いと思うんだよね?
  仮契約すればアーティファクトも出るからある程度の自己防衛はできるでしょ?」

 「…確かにそうですね。
  フェイト達が非戦闘員を狙わないとは言い切れないですから……しておいた方がいいかもしれません。」

 ネギもまた其れを理解しているが、小太郎は反対に渋い顔だ。

 「夏美姉ちゃんと…」

 如何にも夏美との仮契約に抵抗があるようだ。

 「なに、イヤなの?夏美ちゃんの安全確保はコタ君の役目だと思ったんだけど?」

 「ちゃうわアホ!
  今の状況で夏美姉ちゃんは俺が護らなあかんし、其れが俺の役目言う事は分っとるわ!
  そうやなくて……夏美姉ちゃんが俺とやったら嫌とちゃうんか?」


 ――え?


 が、ソレは小太郎自身ではなく夏美の事を考えての事だった。

 「俺は夏美姉ちゃんと仮契約すんのは嫌やない…けど夏美姉ちゃんは如何やろか?
  ホラ…俺まだガキやし、人に言えんようなこともやってきたしなぁ……」

 結構小太郎も考えるようだ。
 自分が子供と言う事を自覚し、だからこそ夏美との仮契約は躊躇ってしまうらしい。


 だが…


 ――コタ君…まったく、君は本当に子供なんだから…
 「コタ君、ちょっと良い?」

 「な、夏美姉ちゃん!?」

 其れが逆に物陰で聞いていた夏美に行動を起こさせることになった。

 少しばかり強引に小太郎の手を引いてバルコニーに。

 「ちょっ、夏美姉ちゃん!!」

 「良いから来て!」

 そのまま会場を出てしまった。


 「え〜と…」

 「う〜〜ん、青春だわね♪
  で、あっちはまぁ良いとして…ネギ君はアキラ以外の子と契約するように。」

 「へ、アキラさんは除外ですか?」

 ソレはソレとして、ハルナはネギに『アキラ以外』を厳命。
 ネギとしては『?』だが、理由は勿論有る。

 「的中率100%で感度バリ3の私の『ラブ臭』感知レーダーによればアキラはカヅッちに『ほの字』な訳よ。
  だったらカヅっちと契約すんのが良いんだろうけど…カヅっちの場合契約したら人外一直線じゃん?流石に気軽に薦められない…」

 「あ、成程そう言う事ですか。」

 そしてネギ納得。
 まぁ、アキラの方はアキラ本人と稼津斗に任せる方が良いだろう。

 「となると超さんに桜子さん、それからまき絵さんに…ハルナさんですね?」

 「ん?あ、そっか私も入るのか?
  まぁ、私は何時でも良いから先ずは他の子としてきな〜〜♪」

 「そうですか?…分りました!さっそく仮契約してきます!!…と、アクアはコタロー君の方行ってあげて?」

 「はい?

 「ほら、コタロー君と夏美さんだけじゃ契約できないから。」

 「あぁ、そう言う事ですか。了解ですご主人。

 で、ネギは早速契約に。
 スライム少女のアクアは、小太郎達の契約補助と言う役割を担うようだ。



 そしてネギの1人目は…

 「超さん、折り入ってお話が!」

 「ん?如何した、ネギ坊主?」

 超である。
 まぁ、ネギの未契約人の中では最も戦闘力が高くチームの頭脳としても機能している彼女との契約はある意味当然かもしれない。

 「はい、実は僕と仮契約をお願いしたいんです!」

 「ハ?」

 だがしかし、突然言われた超からすれば意味が分らない。
 あまりに衝撃だったのか、思わずネギの額に手を当ててしまったくらいだ。

 「あの…熱はないですよ?」

 「その様だナ……だが、何故突然に?戦力強化カ?」

 「有体に言えばそうなります。
  非戦闘員であるまき絵さんと桜子さんは勿論ですが、超さんにも契約をお願いしたいんです。
  この先の事を考えると、戦力強化は矢張り必要ですので。」

 「ふむ…成程ナ。」

 この物言いに有る意味で超は感心した。
 綺麗事ではなく、今の現実を理解したうえで仮契約の必要性を言うネギは実に頼もしく見えたのだ。

 「良いだろウ。
  だが、私だって『はい、そうですか』と受けるのでは面白くないネ。
  矢張り自分の契約主となる相手には相応の力がなければ……だから少し勝負をしないかネギ坊主?」

 「勝負…ですか?」

 「なに、ドンパチやらかす訳ではないヨ。簡単かつ勝負事としても使える『腕相撲』で一勝負しないカ?」

 とは言え簡単に仮契約とはならないのが超鈴音。
 契約するに値する相手かどうかを見極めるらしい。


 勿論ネギにそれを断る理由など無い。
 と言うか、力を示す必要が有るならばソレをなすだけだ。

 「分りました…その勝負受けてたちます!」

 「そう来なくてはナ♪」

 即テーブルがセッティングされ、腕相撲勝負の準備は完了。
 大会準優勝者の有名人『ナギ』が腕相撲勝負ということで、周囲のセレブ連中も俄か野次馬状態だ。

 「ナギが勝負?」

 「あの女の子大丈夫なのか?」

 「いや、どうもナギの修行仲間らしい。」

 「そう言えばダブルエックスさんと一緒にドラゴンを狩ってる姿を見たとか…」


 「…私等と合流するまでに何してやがったんだ、あのインテリカンフーは…」

 野次馬セレブの噂話に千雨が突っ込むのはまぁ、お約束だ。
 ソレはソレとして、テーブルを挟んでネギと超は向き合い、確りと大概に手を組んでいる。

 審判を勤めるのは茶々丸だ。


 「それでは…Ready…GO!!」


 ――ガッ!!


 開始と同時に互いに力を込め――其処で完全に拮抗した。

 驚いたのは周囲のセレブだ。
 誰もが『ナギ』の圧勝を信じていたが、にも拘らず完全拮抗!
 つまりは超の実力はそれほど高いということだ。

 尤も、ネギは闇の魔法の力は使っていないのだが…


 ――此れは…!!…そうだった、超さんは僕には到底理解できないような過酷な環境で生きてきた人…
    全力を出さずに勝てる相手じゃなかった!!


 ネギは無意識とは言え闇の魔法を使わない=手加減をしたことを恥じていた。
 超の事情を考えれば、その力が強いのは当然。

 更に学園祭以降も弛まず鍛錬を続けていたのだ、弱い筈が無い。


 ――…無礼を働きました超さん、不肖ネギ・スプリングフィールド…本気で行きます!


 ――轟!!


 「!?」
 ――こ、此れは!?此れが今のネギ坊主の本気だと言うのか?…く…なんと言う…!


 右腕一本に闇の魔法の力を集中し、超を押し始める。
 超もまた魔力を集中してソレに対抗するが、出力が違いすぎた。


 ――コト…


 程なく超の手がテーブルに付き勝負あり。

 周囲は当然の結果と言う者や、超の予想外の健闘を称えるなど様々だ。

 「見事でした超さん。」

 「いやいや、見事はそっちだヨ――ふむ、此れは完全に私の負けだナ。
  ネギ坊主、君は私の契約主に相応しいと認めるヨ。」

 ネギの価値という事はつまり、力を示したと言う事。
 自分が出した条件ゆえ、超もアッサリとそれを認めたようだ。



 そのまま2人はバルコニーに。
 仮解約をセレブ連中に見られたらどんな噂が立つかわかったものではない。

 「では、行きますよ?」

 「うむ、何時でもいいヨ♪」

 「ふぅ……では!ネギ・スプリングフィールドの名において、超鈴音を我が従者とする。
  契約により出でし力よ、破滅の未来を防ぐ力となれ!仮契約!!」


 ――カッ!!


 契約魔法特有の光が一瞬溢れ、そして契約完了。
 超の手には契約完了の証しである仮契約カードが握られている。

 「此れで、正式に主従関係だナ…まさかご先祖様と仮契約する事になるとは予想していなかったヨ。」

 「超さん…」

 「ネギ坊主、世界の進む道は既に私が知るものとは異なるモノになっていル。
  この先の未来に何が起こるのかは、最早私にも予想がつかない…だが、何があっても迷うなヨ?」

 「はい!分っています!」

 「ふふ、その目と意思なら大丈夫そうだナ。
  改めて、これからもよろしく頼むぞ、ネギ坊主――愛すべき我がマスターよ♪」

 超との仮契約は完了。
 此れは結構大きな戦力アップだろう。








 ――――――








 「ちょ、夏美姉ちゃん何処まで行くねん!?」

 一方で、夏美に連れられた小太郎はバルコニー……をも超えて、宮殿の屋根部分に来てしまっていた。
 どうやって来たかは聞いてはいけない、乙女の行動力は時に常識をも超えるのだ。

 「おい、夏美姉ちゃん!!」

 「ほへ!?…あ、アレ此処何処?」

 「バルコニー越えて、此処屋根の一部やで?何処まで行くねんホンマに…

 「え?あ、ははははは…ゴメンゴメン。」

 思わず夏美も照れ隠しの苦笑いだが…即座にその顔は真剣なモノに変わる。

 「まぁ、ちょっと暴走しちゃったことは謝るけど――ねぇ、コタ君…私が何時コタ君と仮契約するのイヤだって言った?」

 「へ!?あ…さっきの聞いてたんか!?…うわ、俺カッコ悪すぎやろ…」

 突然言われて小太郎だって慌ててしまう。
 しかも、さっきのは完全に主観であり、夏美の本心を聞いたわけでない予想に過ぎないのだ。

 「そら面と向かって言われた訳や無いけど……なんつーか、俺みたいなガキは夏美姉ちゃんの相手に相応しくないやろ?」

 「……バカ。」

 「は?」

 その理由を言うも、今度は『バカ』一言でカウンター。

 「え〜と、そのね……わ、私は嫌じゃないよ?コタ君と仮契約するの。
  そ、そりゃあ確かに君はまだ子供だけど……けど、その…何ていうか…」

 「……あ〜〜…まさかと思うけど、夏美姉ちゃん俺の事好きなんか?」

 「は!?」

 今度は逆カウンター!
 いや、知る人が見ればバレバレだが、夏美としては心臓バクバク状態だ。

 「なななななななな〜〜〜!?///

 「なに慌ててんねん…やっぱし女はよう分らん。
  やけど…俺は好きやで?うん、大好きや――俺が今一番大切なんは夏美姉ちゃんや。」

 「ほえ!?」

 更に追撃。
 夏美の顔は熟れたトマトやりんごよりも真っ赤だ。

 「そ、ソレって…」

 「言葉通りの意味やけど?
  ん〜〜〜…夏美姉ちゃんのトコに居候してるんは、まだ短い期間やけど皆の事は…か、家族おもてる。迷惑かも知れへんけど…」

 「え?い、いやコタ君、ソレは全然迷惑じゃないよ!?」

 「俺、親も家族も居らんし、ネギや夏美姉ちゃんに言えんような仕事で食いつないできた半端モンやからホンマに嬉しかった。」

 見れば小太郎の顔も少々紅い。
 只今の見た目は大人で、腕っ節も相当だが中身は10歳の少年なのだ。
 その少年が思い切って心の内を曝け出すとなれば気恥ずかしさも有るだろう。

 「うん、せやな――今、この世界に居る俺の家族は夏美姉ちゃんや。」

 「コ…コタ君…」

 「テメェの大事なモンを護れ…うん、俺が命に代えても…いや、どんなにカッコ悪くても生き抜いて護らなアカンのは夏美姉ちゃんや。
  パル姉ちゃんに言われたからするんやない…俺がしたいんや、夏美姉ちゃんアンタを護るために!
  嫌やないんやったら、いっちょ頼むわ仮契約!」

 「コタ君……断る理由が無いよ…」

 「では契約すると言う事で良いですね?

 「「!?」」

 いざ契約!と言う良い雰囲気のところでアクア参上。
 時に空気を読まないのは主に似たのか…

 「どうも、ご主人の命により契約魔法補助に上がりました。
  あんまし時間もないのでチャッチャと済ませてしまいしましょう。

 「…このスライム…まぁ、良いか…確かに俺1人じゃ契約は出来へんからな。」

 「うぅ…今までの良い雰囲気を返して…」

 さもありなん。
 だが、次のアクアの一言で2人の思考はぶっ飛ぶこととなる。

 「時に、私は接吻による契約での魔法陣しか使えないのですが良いですよね?

 「「はい〜〜!?」」

 とんでもなかった。
 もう小太郎も夏美も顔は真っ赤、いっそ蒸気が出る勢いだ。

 「あう…あの、コタ君…」

 「し、しゃーないんとちゃうか?そ、ソレしか方法がないんやから…」

 「そそそ、そうだよね?」

 実に初々しい。
 その手の方面は初心者の少年と、思春期の恋する乙女の組み合わせは実に……

 「せせせ、せやけど俺はよう分らんから…夏美姉ちゃんからしてや!!」

 「おおおOK!」

 もう思考がオーバーヒートしているらしい。
 純粋である、実に純粋である。

 「じゃじゃじゃ、じゃあ、お願いねアクアちゃん?」

 「はい、お任せを。

 そして魔法陣が展開し、後はするだけ。
 互いに初めてであり心臓はドキドキが止まらない。

 「じゃあ、行くよ?」

 「お、おう…。」


 ――ちゅ♪


 「パクティオ〜〜〜。

 2人の唇が触れ合った瞬間、契約発動。
 光があふれ、契約がなされていく。



 時間にしては10秒にも満たないが、それでも2人は真っ赤。
 契約の証しのカードが出て、仮契約は成功だ。

 「なはは…ほれ、仮契約カード…って夏美姉ちゃん?」

 カードを渡そうとするが、夏美は赤いまま反応なし。
 いや、今の仮契約でいっそ思いを完全に自覚したようだ。

 「私も…大好きだよ、コタ君…」

 「へ?」

 そのままもう一度唇を重ねる。
 どうやら、この2人の仮契約は、単なる主従契約ではなく、互いの思いを繋ぐ結果になったようだ。








 ――――――








 「あり?ネギ君他の子とは済んだの?」

 「いえ…ですが此れからの――総督との謁見を考えるとハルナさんとの契約の方を優先すべきと思いまして。」

 「ふっふ〜〜ん?このパル様の力が必要って訳ね?OK、受けましょう!」

 再びネギ。
 超との契約がなって、次なる相手はハルナ。

 状況を考えて、今の面子ならまき絵と桜子を護衛しながら戦うのは難しくない。
 寧ろ、稼津斗が本気を出せば総督府の騎士団が全員でてきても20秒で滅殺である。

 だが、総督との謁見で何か有るのではと考えると正直自軍の戦力の強化は望まずにはいられない。

 クルトは正面切っても搦め手も中々な部分がある。
 会場の一般人の護衛も考えた場合、非戦闘員との契約よりも、修行仲間から契約した方が都合が良いのだ。

 勿論、ハルナもソレは理解しているし、自分の力が現状では伸び悩んでいるのも事実。
 己が強化とチームの強化を考えれば、契約を断る理由は無い。

 「けど、ヤルからにはマジだぜネギ君?」

 「当然です、僕だって半端な気持ちで仮契約を持ちかけたりしませんよ。と言うか半端な気持ちとかで言ったらエヴァンジェリンさんに殺されます。

 真剣である。
 他の誰かなら兎も角、エヴァンジェリンだとガチでやりかねない。

 「た、確かにね…(汗)ま、まぁエヴァちゃんはネギ君を殺したりはしないと思うよ?愛の溢れるスパルタ修行はすれども…

 「で、ですよね…」

 真祖の姫は矢張り普通では無いらしい。
 まぁ、ネギ少年は頑張るしかないだろう。



 ソレは兎も角、契約に依存が無いのなら即すべし!
 もとよりバルコニーにいた2人なので、移動する必要は無い。

 魔法陣を展開し、超速攻の準備完了だ。

 「では……ネギ・スプリングフィールドの名において、早乙女ハルナと契約を結ぶ。
  汝が力と知恵が、我等の未来を切り開く光とならんことを……仮契約!!」

 「おぉ!?」

 本日3発目の契約魔法光。
 初体験のハルナは少々驚き気味だが……契約は成功し仮契約カードも無事出現だ。


 「へ〜〜、此れが私のカード……中々良いじゃん?
  ま、此れかもよろしく頼むぜマスターネギ♪」

 「はい!」

 ハルナは何時も通り、まぁ、此れが彼女の良いところだろう。

 「と、そうだ……試合の時のネギ君、カッコ良かったよ――エヴァちゃんが居なかったら嫁候補に立候補してたね♪」

 そして、冗談なのか本気なのか分らない一発も忘れない。
 早乙女ハルナという少女は、ちょっと普通とは違うようだ。






 で!

 「え〜〜〜3人とも仮契約したの!?」

 「夏美ちゃんはネギ君じゃないの!?え、誰?」

 他のメンバーの恰好の的になったこの3人。
 まぁ、夏美以外はマッタク平気なようだが…


 「…アキラは?」

 「ゆーな…私は…ちょっと踏ん切りが付かないよ…」

 「やろなぁ…まぁ、ウチ等はアキラが稼津さんと契約しても文句は無いから……アキラの思うようにしたらえぇよ?」

 「亜子…うん、ありがとう。」

 アキラもアキラで思うところが有るらしい。
 まぁ、最も…

 「ずるい、ずる〜い!!」

 「私達も仮契約〜〜♪」

 「残念、時間切れ!」

 未契約のまき絵と桜子は仮契約を望むも無常の時間切れ!
 実に残念である、合掌。

 まぁ、総督との一件が終れば仮契約はするはずだからもう少し待つのが良いだろう。








 ――――――








 そのころ、地球の麻帆良学園では、図書館島の地下――アルビレオの部屋に、エヴァンジェリンと近衛詠春が呼ばれていた。

 「でだ、何の用だアル?私のみならず詠春までとは…何時もの茶会ではあるまい?」

 決して強くないが、エヴァンジェリンが訊ねればアルもその笑みは絶やさず、だが誤魔化しはしない。

 「いやなに…私の持っている情報をお話しようと思い立ちまして…」

 「ほう?…マッタクどういう風の吹き回しだ?」

 エヴァンジェリンの言う事はマッタクもってその通り。
 今この場で持って居る情報を公開など普通では考えられない。

 「いえ…かの少年も、そろそろアノ世界の秘密に辿り着いているかと思いましてね…」

 理由はちゃんと有った。
 そしてエヴァンジェリンには、其処まで分れば充分だった。

 「成程な……ネギ、か…」














  To Be Continued…