時は僅かに遡り、ネギ達がナギと彼是やって居た時――
「つーか、エヴァ、お前ネギと何時の間に出来てたんだよオイ!?流石に予想外?予想GUY?」
「何時の間にだと?我が弟子として、そして鍛えていた最中に決まっておろうが!
貴様以上の才能をその身に宿し、そして其れに胡坐をかく事なくストイックに鍛錬を続けた居たネギに惚れて悪いか!悪いなら理由を400字以内で述べろ!」
「いや、悪かねぇが意外だと思ってよ……」
ナギとエヴァンジェリンは15年振りの再会を喜んで(?)居た。
軽口上等なアレだが、此れもまた旧知の仲ゆえの挨拶なのかもしれない――思い切りブッ飛ばした事は兎も角としてもだ。
そんな中……
「ナギ!!解放されたんじゃな!!」
「うおっと、姫さん!?其れにアルもかよ!!」
「久しいですねナギ♪」
アリカとアルが参上!麻帆良のゲートを抜けてすぐに、アルの転移魔法で此処までやって来たのだろう――何とも、見事なモノである。
ナギが解放された事はこの2人にとっても嬉しい事だろう。特にアリカはナギが解放された事で、自身もまた解放されたのだから余計に嬉しい事だろう。
「そうだ、ネギは何処じゃ?」
「え?あ……僕なら此処に……」
「おぉ!お主がネギか!……この手で抱く事も出来なかった子じゃが……良く育ってくれた……。
こんな言い方はオカシイかも知れぬが、はじめましてじゃなネギ………妾がお前の母のアリカじゃ………永い間、一人にしてスマなんだな…」
「お……母さん?本当に……僕の……僕の……母さん……」
あまりにも急な展開に、思考が飛びかけたネギだったが、目の前の女性は確かに、去年クルトが見せた映画でのアリカだった。
そして、持てる情報と己の推測から、ネギはアリカが自分の母親であると言う事を看破していた――故に、思考が戻ると同時に、ネギの感情は爆発した。
「うあ……うわぁぁぁあぁぁぁぁぁっぁあ!!母さん…母さん!!!」
「おっと…!……ヤレヤレ――とは言えぬか……お前には本当に寂しい思いをさせてしまった……母親失格じゃな妾は…」
目から涙をあふれさせ、アリカの胸に飛び込み、アリカもそんなネギを優しく抱き留めてやる。
如何にしっかりしてるとは言え、ネギも未だ11歳の子供なのだ……ずっと会った事のなかった母の温もりと言う物を、心のどこかで求めて居たのかもしれない。
ネギはこの日、生まれて初めて『母の温もり』と言う物を知ったのだった。
ネギま Story Of XX 182時間目
『This is Gunavi a Last Remember』
感動的な母子の再会ではあるが、当人達以外にはそうでもないのは世の常と言えるだろう。
「姫さんが復活したのは喜ばしいが、何か俺の時と扱いに差がねぇか?」
「有って当然だろ馬鹿めが。幼い頃に会っただけの父親と、一度も会った事のなかった母親では重さが違うぞ重さが。
まして、哺乳類全般が母親が子を育てるのだ――生物の本能的に、子にとっては父親よりも母親の方が重要なのだ、此れは当然の結果だろうよ。」
ちょっぴり不満そうなナギに対して、エヴァンジェリンは自然界を例に出して説明していく。
まぁ、エヴァンジェリンの言う事も間違いではないのでナギも反論が難しいと言えば難しいのだが――何にしても、11年越しの母子の再会は喜ばしい事だろう。
「生まれたばかりのお前しか知らぬが、あの赤ん坊が此処まで育ったか……死力を尽くして、お前を護ろうと奔走した甲斐も有ったと言うモノじゃ。」
「麻帆良の、皆のおかげです……特に、エヴァが居なかったら僕は此処まで強くなる事は出来なかったですから。
――でも、母さん、再会できた事は嬉しいんですけど、如何やら再会の喜びに浸っていると言う訳にも行かないみたいです……戦いはまだ終わって居ない。」
「何じゃと?」
その感動の対面を果たしたネギとアリカだが、ネギはまだ終わって居ないと言い、アリカから離れる。
丁度その時にタイミングよく稼津斗がこの場に降り立って来た事も有り、ネギは稼津斗の方に向かう。(此処で、時間軸が現在と同期。)
「第一ラウンドご苦労!此処からは俺が引き受けるぜ。」
「うん、頼むよカヅト!!!」
すれ違いざまにハイタッチを交わし、此処で主役交代だ。
ナギを解放したが、其れでネギの闘気が治まったと言う訳ではなく、残った闘気も稼津斗にバトンタッチしたようだ。
其れを感じ取った稼津斗もまた、闘気を漲らせながら歩みを続ける。
「アル、あ奴は一体何者じゃ?ネギと仲が良い様じゃが……」
「去年、俺が一瞬だけ意識取り戻した時にも居た兄ちゃんだよな?――下手すると、ラカンより強くねぇかあの兄ちゃんは?」
だが、稼津斗の事をよく知らないナギとアリカからしたら『誰だコイツ?』状態になるのは仕方ないだろう。
まぁ、山吹色の胴着を身に纏って、顔に大きな傷のある長身の男が、自分達の息子と親しげであったら確かに気にもなるだろうが。
「氷薙稼津斗……僕が知る限り、彼は正に無敵にして最強の『アルティメット・ワン』と言うべき存在ですよ。
彼が本気の本気を出したら、たとえ貴方が本気を出した所で、絶対に勝つ事など出来ませんよナギ。彼はあらゆる能力が、測定限界を超えていると言っても過
言ではありませんからね。いや、本当に強い人ですよ彼は。」
「其れはまた何とも凄い奴じゃな……」(汗)
「俺が本気出してもって……マジかよ!?だけど、何でそんな奴が?」
アルの説明は、至極分かり易いと同時に衝撃でもあった。
英雄と称されるナギが歯が立たない存在ともなれば、驚くのも無理はないだろう――尤も、当の稼津斗はそんな事知ったこっちゃないと言った感じであるが。
「何でと問われたら、第2ラウンドの為さ……此処からは、俺のバトルフィールドだ。」
「第2ラウンドって、ちょっと待てよ!?其れじゃあまるで始まりの魔法使いが生きてるみたいじゃねぇか!?
アイツは、ネギとエヴァの一撃でブッ飛ばされたんじゃないのかよ?――アイツが、ぶっ飛んだから俺は解放されたんだろ!?」
ナギの問いに答えつつ、稼津斗は前を見据えている。まるで、視線の先に敵がいるかの如くに。
「確かにネギとマクダウェルの合体攻撃は凄かったし、見た目も弩派手で威力も申し分ない。あの一撃で一国の艦隊を壊滅させる事だって可能だろうさ――だ
が其れだけの一撃であっても、其れで始まりの魔法使いを倒す事が出来たら、誰も苦労はしないし、『不滅』とは呼ばれていないだろうよ。
寧ろ、先刻の一戦は奴にとっては準備運動と言うかそんな感じの物だったに過ぎん………」
「嘘だろオイ!?」
「マジだ――だから、下がってろ。此の第2ラウンドは相当に激しい物になるからな。
――そうだろう、始まりの魔法使い?………否、俺の世界を破壊した最強最悪のミュータント戦士、運命の輪よ!!」
そして、言うが早いか、稼津斗は気功弾を放ち、屋上の一部が吹き飛ぶ。
単純な一撃だが、着弾地点が大きく抉れている辺り、この一撃の破壊力は推して知るべしだろう。
「ククク……その通りだ氷薙稼津斗――此処からが本番だ!」
その崩れた場所から現れたのは、全身がシルバーメタリックで巨大な輪を身体の周りに展開した異形の存在――稼津斗の仇敵『運命の輪』が其処に居た……
――――――
さて、運命の輪の出現は、外にも影響を与えていた。
「んな、巨大な魔力反応って、状況はどうなってんだ茶々丸さん!!」
「連合艦隊の前に、新たに召喚魔が呼び出された様です。数は1万。
更に、此れまでの召喚魔とは違い、非常に強い力を持っているようです――下手をしたら、連合艦隊だけでは対処しきれないかもしれません。」
「マジかよ!?」
ナギが解放された事で、一時治まった召喚魔の襲撃も、運命の輪が現れた事で再び勢いを取り戻したらしい。
更に悪い事に、今までの召喚魔とは比べ物にならない力を秘めて居ると言うのだ――正直な事を言うと、連合艦隊だけで乗り切るのは難しいかもしれない。
故に、作戦の参謀長的な立場に収まっている千雨は考える。此処での最良の一手は何であるかを。
「……フライングマンタをこの船にホールドさせた上で、連合艦隊に合流する!」
「はぁ!?マジで言ってんのちうっち!?此処を離脱したら、先生達の帰ってくる場所が……」
「確かにそうだが、あの人達は空飛ぶ事が出来るんだから、何とかなるだろ!
だが、強化召喚魔の進行を許す事は出来ねぇ!だったら、この船を遊ばせとく事もねぇ……魔改造上等の兵器があるんだから、精々暴れてやろうぜ?
大体テメェ等が、情報の解析メインで大人しくしてるって魂かよ?結局の所、1−Aってのは全力で騒いで、ブチかまさないとらしくねぇだろ?」
「其れも言えてるわね?」
その千雨が出した答えは連合艦隊と合流しての召喚魔撃破!
確かに何ともアレな作戦かも知れないが、客観的に己の仲間達を見る事が出来る千雨だからこそ思いついた事なのだろう。
1−Aに『静』は似合わない。『動』こそが本質であるからこそのこの作戦――聞いたハルナも、納得したらしく眼鏡を怪しく光らせ、スイッチが入ったようだ。
「グレートパル様号・リペア浮上!特殊フックで、フライングマンタを船艇に固定!」
「グレートパル様号、戦闘システム起動。
イオンシステム濃度正常、マルチロックオン動作正常、原子炉臨界、全武装使用可能、システムオールグリーン――グレートパル様号・リペア行きます。」
其処からは実に速い。
あっと言う間にフライングマンタを船艇に固定し、戦闘システムのチェックが終わり、全システムがオールグリーン!此れならば、直ぐにでも戦闘に移れるだろう。
戦闘態勢万端となった機械龍は、戦場へとその翼を広げるのだった。
――――――
「予想はしていたが、まさか本当に貴様が始まりの魔法使いだったとはな………如何にも、殺り方が生温かったみたいだな?」
「まさか血液から復活が出来るとは思ってはいなかったがね……そう、運が良かったと言う所だよ。」
場所は再び、最終決戦地。
稼津斗と運命の輪は、互いに軽口を叩きながらも隙は見せないで居る――最強同士の戦いであるならば当然かもしれないが。
「どうやって生き延びたのか、そんなモノに興味はないが、今再び俺の前に現れるとは――余程俺に殺されたいらしいな貴様は。」
「ほざくか……だが、此処が貴様の墓標となると知れ!!」
軽口と挑発に関しては、稼津斗の方が一枚上手だったと言う所だが、運命の輪も負けじと魔力を解放して、世界を一変させる。
其れは、崩れた自由の女神像のある、ニューヨークの街並み――嘗て、稼津斗と運命の輪が戦った場所が再現されていたのだ。
「良い趣味だな?……まぁ、俺達の決着の風景としたら悪くないか。」
「最高の舞台だろう?……矢張り舞台は整えておかねばな!!」
「そうかい……ならば、もう一度この場で貴様をぶちのめすだけだ―――今度こそ完全に消してやるから覚悟しておけよな?」
されと稼津斗に迷いはない。
眼前の敵は倒して上等な稼津斗ゆえ、迷う事は無いのだ。
「貴様……変身しない心算か?」
「未だ必要ないだろ?」
「未だ…か?」
交わす言葉は少ないが。高められた闘気はマックス状態!
「随分と自信があるらしい……ならば、その力見せて貰おうか!!!」
運命の輪が言った瞬間に戦闘開始!!!(アリカ達は事前に転移している)
「「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」」
先ずは稼津斗の肘と運命の輪の肘がぶつかり合い激しいスパーク!
其れに怯む事なく、両者は其のまま、空中での戦いに移行!
拳と蹴りがかち合い、スパークが絶えないが、その攻防の最中、稼津斗の拳が運命の輪の顔面に突き刺さり、動きを止める。
「舐めるなぁ!!」
運命の輪もまた攻勢に出て、無数の魔力弾を放つ!その魔力弾は着脱と同時に爆発するから、幾ら稼津斗であっても大ダメージは免れないだろう。
「な、居ないだと!?」
「何処を見ている!」
だが、無数に放った魔力弾が巻き起こしたこの事態は稼津斗にとっては好機!
すぐさま瞬間移動で着弾地帯から離脱し、気を集中していたのだ――此処は、戦いの駆け引きの巧さが出たと言う所だろう。
「消えろ……虚空穿!!!」
――バガァァァアッァァァアッァァァァァッァアッァァァアン!!!
放たれた気功波は、いとも簡単に運命の輪を飲み込んで大爆発!
普通なら、此れで完全KOだが………粉塵が治まって明らかにったのは、多少のダメージは受けた様だが健在な運命の輪――実に脅威だろう。
だがしかし―――
「こんなモンか、始まりの魔法使い?……だとしたらガッカリだ、呆れて物が言えないぜ。」
「ククク……最早これ程とは……トレーニングをしていてよかったよ、氷薙稼津斗!!」
其れでも、、運目の輪からは余裕が消えない――そう、まるで己の勝ちを信じて疑わないように……
「やっぱり、トレーニングをしていたか……良いぜ、お前の持てる力の全てをぶつけてきな――そいつを粉砕してやる!!」
「私の全力か……其れが貴様の墓場になると知れ!!……ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」
稼津斗の挑発に応えるかのように、運命の輪の闘気は高まり、そしてその姿は劇的に変わっている。
「またせたな、此処からが本番だ!!」
身体の周りに展開されていた輪は無くなり、宛ら全身装甲の鎧を纏った騎士の様な姿となって現れたのだ。
「其れがお前の本気か……ならば、ソイツをブチ砕く!!」
――轟!!
其れを見た稼津斗もまたXXに変身して闘気はメガマックス!!!――最終決戦の第2ラウンドは、此処からが真の本番開始であった。
To Be Continued… 
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