「さてと、稼津斗にぃ、詳しい事を聞かせて貰って良いかな?
 エントランスで戦った奴等……と言うか、マジシャンは稼津斗にぃの知り合いと見て間違いないだろうけど……アレは、若しかしてそうなのかい?」

エントランスホールでマジシャン他を撃滅した稼津斗達はビル内部に入って行ったのだが、その中で真名がこんな事を聞いて来てくれた。
いや、ある意味では当然と言える事ではあるだろう、

この世界に現れたミュータントが、稼津斗と知り合いであったなどとは普通に考えて有り得ないのだから。
ならば、消去法で考えて行って、そのミュータントが稼津斗が元々いた世界の存在ではないかと考えるのは至極当然の事であると言えるだろう。


「若しかしなくてもお前の予想通りだ真名。
 アイツは……マジシャンは、俺が元居た世界で戦った最強クラスのミュータントだった……それがこっちの世界に居るとはな。」


だが、問われた稼津斗も、いっそ清々しいまでにあっさりと肯定してくれた。
同時に其れは、稼津斗が『始まりの魔法使い』の正体を見抜いた事にもなるだろう……


「そっちの……ってーと、始まりの魔法使いは若しかして……」

「十中八九、俺が倒したはずの『運命の輪』だろうな。
 如何して生きていたのか、そしてどうやって次元を超えたのか……そんな事に興味はないが、今再び俺の前に立ち塞がるなら、砕くだけの事だ。」

アッサリと看破!
だが、其れで居ても稼津斗の感情は揺るがない……今度は完全に倒すと言う決意の表れと言う奴だろう。

気持ちの昂りが抑えられなかったのか、稼津斗の左拳には、溢れ出した気が『冷たい蒼炎』となって、燃えくすぶっていた











ネギま Story Of XX 175時間目
『Roaring of wolf's pride』











始まりの魔法使いが、実は稼津斗の仇敵だったと言うのは驚くべきことだが、だからと言って、驚いて歩みを止めるかと問われれば其れは否だろう。
エントランスから1Fのホールに至るまでに相当数のミュータントを狩りつくし、階段を上って次の階層を目指しているのだ…と言っても漸く2階だが。


だが、しかし、始まりの魔法使いと言うのは、途轍もなく用意周到な存在であるのかもしれない。
階段を上がって到達したセカンドステージは、不気味な光が内部を照らしている異常な空間が広がって居た……如何考えても此処で一バトルあるのは確実だろう。

そして、それを肯定するかのように、赤いローブを纏った二刀流剣士が現れた――先ず間違いなく、このホールを護る番人なのだろう。
無言で切っ先を突き付けてる様は、狂人ともとられるだろが、よくよく見れば狂気に呑まれた存在ではない――寧ろ1vs1の戦いを好む相手であるかも知れない。


「何や自分、この階層のガーディアンの心算か?……にしては、身体の厚みが今一つやなぁ?
 見たところ、さっきのアイツよりは強そうやけど……タイマン勝負をお望みやったら、アンタの相手はこの俺や!!気の済むまで相手になってやるで!!」

そんな相手に対して、誰よりも早く反応して吼えたのは小太郎だ。
先程の、ハーミットとの戦いが消化不良だったのか、はたまた一度火の点いた闘争本能が静まりきって居ないのか、得物を見つけた肉食獣の如く目つきも鋭い。

其れこそ稼津斗辺りが『やって良いぞ』とでも言ったら、その瞬間に飛び出しかねないだろう。


「少し落ち着け小太郎。………マジシャンに続いて、今度はお前か『スター』。
 単独で現れたのは、一対一の戦いを信条とするお前らしいが、この人数を全て相手に出来ると思ってるのか?」

しかし、やる気充分な小太郎を取り敢えず引き止め、稼津斗は目の前の存在――スターに問いかける。
ミュータントのナンバー2であったマジシャンが率いる軍勢ですら、この一行を止めるには至らなかった。其れを踏まえれば、単身で戦うのは自殺行為でしかない。


「………」


だが、スターは其の問いには答えずに、二刀を構えて既に闘う気充分のようだ。
尤も、如何足掻いても戦闘を回避する事が出来ないのは分かり切って居た事ではある――それ故に、稼津斗は決断を下した。


「あくまでも闘うか……なら、折角立候補してくれたんだからこの場は小太郎に任せるとしようか?」

「ホンマか!!任せてくれるんか兄ちゃん!!」

「あぁ、全面的にお前にコイツは任せる。
 コイツは一対一の戦いを何よりも望む奴だから、俺達が先行しても追っては来ないだろうが……俺達にアイツの相手をさせるなよ(・・・・・・・・・・・・・・・)?」


この場でのスターの相手を小太郎に一任したのだ。
過去に一度闘ったからか、スターの事は良く分かっているからこそだろう。先に進むためにも、この場は小太郎に任せた方が良いと判断したのだ。

勿論それだけでは無く、絶対に勝てと言うのも忘れない。
小太郎も、稼津斗の言わんとしている事を即座に理解し、犬歯とも八重歯とも取れる尖った歯を見せ、獰猛な犬狼を思わせる笑みを浮かべる。


「任せとけや兄ちゃん!俺を誰だと持ってんねん?
 俺は、兄ちゃんに色々教わってるんやで?何よりも俺は、ネギのライバルでダチやからな?此処はキッチリ、ライバル兼ダチ公の役目果たさんとやろ!!」

「小太郎君………此処は任せて良いんだね?」

「ったり前やネギ!!せやからお前は兄ちゃん達と一緒に行って、親父さんに一発かまして始まりの魔法使いから解放したれや!」


そして言うが早いか、小太郎は一足飛びでスターとの間合いを詰め、その蟀谷にシャイニングウィザードを一閃!!
あまりにも一瞬の事でスターも反応が出来なかったのだろうが、それでも180cm以上は有るであろうスターの身体を吹き飛ばした威力は相当なモノだろう。


「小太郎君………また後でね(・・・・・)!」

「おう!また後でな(・・・・・)!!」


其れだけで充分だったのだろう。
一行は、この場を小太郎に任せて先に進む。誰も何も言わない辺り、本気で全員がスターの相手を小太郎に一任した……そう言う事なのだろう。



「俺はライバルとしての務めを果たす、せやからお前は主役としての務めを果たせやネギ。兄ちゃんもやけどな。
 さてと……スターやったか?今のは挨拶代わりや、まさか此れでお陀仏っちまった何て事は無いやろ?今のだけじゃ、俺は到底満足できへんぞ!!」


一行が先に進んだのを確認した小太郎は、己が蹴り飛ばしたスターに向かって挑発的に言う。
壁面激突の衝撃が強かったのか、崩れた壁が砂埃をあげ、スターの安否は確認できないが、少なくともたった一発の膝蹴りで如何にかなるような相手ではない。



――シュ!!



それを証明するかのように、砂埃から一対の剣が飛び出して小太郎に向かって来た。
相当な速度ではあるが、狗族の血を引く小太郎からすれば、鋭く研ぎ澄まされた野生の勘によって反応できないモノではない。

自分に向かって飛んで来た二刀を、一方は殴り飛ばし、一方は蹴り飛ばして無効化して見せたのだ。


「………」

その無効化された剣は、ブーメランのように回転しながら飛行し、砂埃の中から現れたスターの手に収まる――恐らくは、ある程度スターが操作できるのだろう。
同時に其れは、小太郎とスターの本格的な戦いが始まった事を意味しても居た。


二刀を構え直したスターは、これまた凄まじいスピードで小太郎に肉薄し、左右の剣をクロスさせるように一閃。
X字の一閃は凄まじい破壊力があるだろうが、小太郎は其れをギリギリで躱してカウンターのハイキック!!だが、スターも紙一重で直撃を避け、再び攻撃開始。


――ガキィィィィン!!!


そして鳴り響く、硬質の物同士がぶつかった時に発生する衝突音。

発生源は言うまでも無く小太郎とスターだ。


見れば、スターの剣での攻撃を、小太郎が気を纏った腕でガードしていた。
速い話、小太郎は腕に気を纏う事で剛性を鋼鉄レベルに引き上げ、スターの剣を防いでみせたのだ……何とも凄い事をやってくれると言っても過言ではない。

確かに、気による強化を使えば、生身であっても銃弾すら通さない強さを有する事は可能だろう。
だがしかし、ガンガン打ち合う実戦の場で咄嗟に其れが出来るかと言われたら、其れは相当難しい事だろう――其れを小太郎はやって見せたのだ。

ネギとは違うが、稼津斗に言わせれば小太郎もまた『天才タイプ』故に、こんな事が出来たのだろう。天武の才とはかくも恐ろしい物があるのかもしれない。



其れは兎も角として、気で強化した腕は、鋭い刃を受け止める盾になるだけではなく、相手を撃ち滅ぼす鉄槌としても機能する。
剣をガードした小太郎は、追撃が来る前にローキックでスターの体勢を崩し、鉄槌と化した拳を顔面に一閃!!普通なら鼻骨骨折は免れない一発だ。


「おいコラ、見てくれがガキや思って舐めんなよ?
 こちとら、稼津斗兄ちゃんから稽古付けて貰ってるんやで?嘗てお前を滅殺した稼津斗兄ちゃんからな……そんな俺を生半可な攻撃で倒せると思うなダボが!」

「……コロス……」


それを真面に喰らい、更に挑発されたスターは、ローブを取り去り再び構える。
いや、それだけでは無く、新たに4本の剣を自身の周囲に展開し、小太郎を睨みつける――如何やら、小太郎を殺すべき相手だと認識するに至ったようだ。


次の瞬間、4本の剣が縦横無尽に飛び回って小太郎に襲い掛かった。
その軌道は完全なるランダム飛行で、予測するのは容易ではないだろう。


「此れは……って、更にこっちもかい!!」

そして更に、剣に対処する小太郎にスターが近づき横薙ぎ攻撃!!
ギリギリで回避したので何とかなったが、それでも小太郎のシャツを斬り裂き、腹部の表皮を薄く斬りつける事は出来たらしい。

そして其れだけでは終わらない。
飛行する剣と、自らが握る二刀を駆使して、スターは小太郎を撃ち滅ぼさんと攻める!攻める!!とにかく攻める!!正に『怒涛の猛ラッシュ』とはこの事だろう。


逆に堪らないのは小太郎だ。
二刀による左右二択の攻撃だけなら如何とでも出来たが、其処に更に何処から飛んでくるか分からない四刀の攻撃が加わったとなればその限りではない。


「ちぃ……流石にやり辛いでコイツは……!!」


ギリギリで飛翔する四刀の直撃は回避して居るモノの、掠ったり程度の攻撃は如何しても受けてしまう。
一発だけならば大したダメージではなくても、それが積もり積もれば何れ体力が奪われてジリ貧になるのは目に見えているが……現状の打開策は無いに等しい。


だが、負ける事は出来ない故に、小太郎は考える、この状況を打開する術を。



「失敗したら即ゲームオーバー……やけど、此れは意外と行けるかもな!!」


そして思いついたのは、如何やらハイリスクハイリターンとも言うべきモノだった様だが、それでも小太郎の口元には獰猛な笑みが浮かんでいる。


確信しているのだろう、此れは成功すると。


「……シネ……」


何度目かも分からないぶつかり合いの最中、スターは只一言つぶやき、その瞬間に四刀全てが一斉に小太郎に向かって飛び込んできた。
避ける事は不可能なそのスピードと軌道に、小太郎も動く事が出来ず――



――グサァァァァァァァァ!!!



「ガハ……!!」


四刀全てが小太郎の身体を貫いた。
胸やら腹を貫かれた小太郎は、糸が切れた操り人形の様に崩れ、床に突っ伏しピクリとも動かない……小太郎の作戦は失敗してしまったのだろうか?



「……ヤツラヲオウカ……コイツハシンダヨウダシナ。」

「………は!勝手に殺すなやクソッたれが!!」

「!?」


いや、そうではない。
全身を貫かれて絶命したかに見えた小太郎だが、全然そんな事はなかった!それどころか――



――バキィィィィン!!




己の身体を貫いていた四本の剣を砕いて立ち上がって来たのだ。


つまり、小太郎の作戦は成功だったのである。
厄介な四刀を手っ取り早く全て始末する為に、小太郎は敢えて自分を貫かせ、そしてその上で強烈な気を叩きつけて、四本の剣を砕いたのだ。


「バカナ……!!」

「狗族の耐久性を舐めんなよ?
 どてっぱらに風穴ぶち開けられようとも、獣化すりゃそんなモンは速攻で完治やで?……ましてこの程度の傷なんざ、屁とも感じへんでこの野郎!!」


――轟!!


啖呵を切ると同時に、小太郎は気を解放し己の姿を変化させる。
腰の辺りまで伸びた黒髪に、胸部や腹部の一部を除いて全身に生えた漆黒の体毛――小太郎の獣化奥義『人狼黒影装』を発動したのだ。

そして、此れの発動と同時に、貫かれた傷も速攻で完治――狗族の回復力とは、相当なモノであるらしい。


「キサマ……ダガ、マケヌ!」


――ドン!!


其れに対してスターもまた、魔力を全開にして能力を底上げする。


「オラァァァァ!!」

「フン!!」


再び交差する、小太郎の腕とスターの剣。
だが、今度は今まで通りにとは行かなかった。


――バリィィィン!


何故ならば、ぶつかったその瞬間に、スターの剣が砕け散ったのだから。
人狼黒影装を発動し際に小太郎の全身を包んでいる漆黒の体毛は、実はレアメタルのミスリルに匹敵するほどの剛性を備えた天然の鎧なのだ。

其れだけの硬度を有した肉体を鋼の剣で斬る事が出来るか?




答えは言うまでも無く否だ。
如何に鍛えた鋼の剣であろうとも、ダイヤモンドに匹敵すると言われているレアメタルの硬度を相手にしては歯が立たないのは明白――その結果が此れなのだ。


「バカナ……チィィィィ!!」

切れないと思ったスターは、残った一本を毛で覆われていない胸部に突きたてようとするが、そんな見え見えの攻撃をムザムザ喰らう小太郎ではない。


「悪いが、本日のハツやらモツは売り切れやで?」

「!!!」


振り下ろされた剣……ではなく、スターの手首をがっちりと掴んで、攻撃を完全に止めていた。
誰が如何見ても、この戦いの主導権は小太郎が完全に握っていた。血に飢えた犬狼の牙は、星ですらいとも容易く噛み砕く力を有しているらしい。


「オラァァ!!」


――ミシィィィィィィ!!!


「グワァァァァァア!!?」


更に小太郎は掴んだ手首を握り砕き、スターの右腕を使用不能にする。
それだけに留まらず、右腕を潰された事に驚愕するスターに対し、下から頭突きをブチかまし、其のまま肩を掴んで、頭突き!頭突き!頭突きの猛ラッシュを敢行!

人狼黒影装で剛性の増した小太郎の頭は、石頭を通り越したダイヤモンドヘッドだ。
それによる連続頭突きなど想像したくもない……相手が一般人だったら、最初の一撃で頭蓋が粉砕されてお陀仏になって居るのは間違いないのだから。


或は、其方の方が良かったかもしれない。
最初の一撃で終わって居れば、それで終いだったが、耐久性の高いミュータント故に、スターはこの程度では死なない……死ぬ事が出来ないのだから。

既に頭の形が変わるほどの頭突きを喰らいながら、しかしスターはまだ健在で、何とか反撃しようと口を開くが――


「させるかボゲェ!!」


エネルギー波を放とうと開いた口に、剛爆拳が炸裂し、スターの口内の歯は一本残らず叩き折られる結果になった。
完全なるカウンターを喰らったスターは、体勢を崩し、そのまま床に向かって一直線に落下――だが、まだ戦いは終わって居ない。


「そろそろフィニッシュと行こうやないか!!
 どぉぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁ!!喰らえや、狗音爆砕拳!!!


――バキィィィィィィィ!!!!!


落下するスターに、小太郎が己の代名詞とも言える拳打を炸裂させ、自信も共に落下してその威力を高める。



現実に、落下速度に体重が加わった一撃は強烈無比であり――


――バガアァァァァァァァァァ!!



床に叩き付けるどころか、その床をぶち抜き、1階のホールに出てきてしまったのだ。
其れでも勢いは止まらず、1階の床にぶち当たって漸く止まったが、それでも地面が抉れている辺り、ホントにどれだけの破壊力だったのかは計り知れないだろう。


その破壊力抜群の一撃を喰らったスターだが、もうどうする事も出来ないだろう。
許容量を超えたダメージを喰らい、更に今この瞬間は小太郎に馬乗りされている――如何足掻いた所で勝利の可能性を見出す事など出来なかった。


「ハナセ……ドケェェ!!」

「そう言われて放すアホが居るかい!!てか、戦いの場に身を置く者やったら覚悟を決めろや!!
 命のやり取りをする戦場では、覚悟と信念の強い方が勝つて相場が決まっとるんやで?……俺は何が何でも、お前を倒すて心に決めとったからな?
 此処でやられたらネギと大舞台で白黒つける事は出来へんし、何よりも夏美姉ちゃんが悲しむからなぁ?――俺に敗北は許されへんかったんや!!
 まぁ、お前には言うても分からんやろうけど――何れにしても、此れで終いや!!とっておきやでぇぇ!!」


小太郎も小太郎で譲れない、退けない思いがあったのだ。
中でも夏美への思いが大体のウェイトを占めているのは間違いない……大事な人を残して逝く事など出来ないと、つまりはそう言う事だろう。

ともあれ、スターに馬乗りになった小太郎は、左右の拳を高速連射のバルカン砲の如く繰り出し、此れでもかと言う位にスターを殴りつける。
秒間5発と言う、トンでも速度で小太郎はスターを殴る!兎に角殴る!!息つく暇も与えずに殴る、殴り倒す!!矢張り、男はパンチなのだ!!


「此れで止めや……もう一丁!!」


――ドガバァァァァァァァァァァァァァン!!!


超絶馬乗りパンチのフィニッシュは、最大まで気を練り込んだ拳でのパンチ!!
その拳の一撃はすさまじく、叩き付けた瞬間に爆風が発生し、爆炎が猛り、凄まじい破壊音があたりに響き渡る――間違いなく個人の拳打で発生する物ではない。


が、それを放ったのは間違いなく小太郎であり、その破壊力は計り知れないと言う事なのだろう。



だって、小太郎がトドメの一撃を放った其処には、何も残って居なかったのだから、


「俺の勝ちやなスター?
 狼の牙は、時として星をも砕く――其れを精々思い知るんやな。」


と言う事はつまり、小太郎の一撃で、スターは跡形もなく吹き飛ばされたと言う事なのだろう。


現れたミュータントを相手に、小太郎は主人公のライバル兼ダチ公の役目を見事に果たして完全勝利!!――そう言って差し支えない見事な勝利だった。








――――――








一方で裏ミッション組は、突入組よりも早くラストステージに到着していた。



「いよいよやな……」

「だね……」


辿り着いたラストステージに、思わずのどかや亜子も緊張してしまう――其れもまた仕方ない事だろう。
何故なら、此処に辿り着いた彼女達の前には、去年見た祭壇をそのままコピーしたような光景が広がっていたのだから。


それでも、其れだけだったら如何と言う事は無いだろう。

のどかや亜子が、ガラにもなく緊張をしたのは、其れとは別に此処に存在している『巨大なカプセル』の存在が有ったからである……あまりにも不釣合いだ。


だが、作戦を投げ出す事は出来ないので、打ち合わせ通りに陣形を組んでいるところで其れは起こった。



――バチ……バリ……バガァァァアァァァァァァァァン!!!



突如カプセルが爆発し、その中から、透明とも銀色とも言えない身体を持った者が現れたのだ。


「私は…私は…全ての命を憎むモノ、全ての人を憎むモノ……私は…エンペラー。」


如何やら、裏ミッション組の任務もまた、簡単に済む事は無いようである。















 To Be Continued…