2学期も残すところあと僅か。
冬休みになればクリスマスやらお正月やら、期間は短くともイベントが盛りだくさんなのが冬休みである。


だがしかし、その前には突破しなくてはならない関門があるのもまた事実!!

その関門とは何か?……言うまでもなく学期末考査――俗に言う『期末試験』である。
この試験の結果如何によっては、冬休みが補習に当てられて露と消える可能性もゼロではなく……3−Aは、今正にその危機に直面してる真最中!


「と言う訳で、中間考査の結果を踏まえると、このままだと3−Aは期末試験はドンケツで、冬休みは補習ってのが避けられないぞ……」

「皆さんやれば出来るんですから、もう少し試験の時に本気を出してくれるとありがたいんですけれども……」


1学期の期末で、学年2位を取った3−Aは、2学期の中間考査の結果は目出度く下から3番目!!!
このままでは冬休みが全て補習に当てられると言う事態は避けられない……だからと言って其れを享受する3−Aではない。


「冬休みが補習!?……そんなのは絶対不許可!!
 期末で1位とって、冬休みはマッタリ謳歌が上策でしょ!!?異論ある人いる!!?」

在る筈がない!
冬休みもまた、1年の間で欠かせない長期休暇なのだ……其れが無くなるなんて事は絶対に認められる事では無い!!

冬休み確保の為に、3−Aは一致団結!!
此れは良い結果が期待できるかもしれない――まぁ、もっと言うなら、その力を普段から出せよと言う感じだが、其れを言ったらお終いである。

3−Aは危機的状況にならないと真価が発揮できないが、その分発揮された力は他の追随を許さないのだから、此れで正しいのだ。


だが、其れとは別に、稼津斗には別の不安要素が有った。











ネギま Story Of XX 143時間目
『期末試験は一種の鬼門…か?』











稼津斗の不安要素は言うまでもなく、クラスの平均点を著しく下げている成績底辺組、通称『バカレンジャー』の存在である。
彼女達もまたやれば出来ると言うのは証明済みだが、稼津斗の悩みはその構成メンバーにあった。


「バカレンジャー5人中3人が俺のパートナーって……此れは泣いても良いよな?」

そう、バカレンジャーのメンバーには楓と真名、そして新たに裕奈が追加されていたのだ。
此れには、まき絵の学力向上もまた関係している。

魔法世界で何かあったのか、2学期が始まってからまき絵の成績は急上昇!!テストでも平均70点を打ちだし、バカレンジャーを見事卒業していた。


そして、まき絵の抜けた穴を埋めるように入って来たのが裕奈だ。
元々裕奈はクラスでも真ん中よりも下の成績だったのだが、部活の引退に伴う引退試合やら何やらのせいで、勉強時間が足りず成績が急降下!!
この間の中間考査では、5教科合計点数が180点(1教科平均36点)と言う底辺バリバリな成績を打ち出し、目出度く新バカピンクに就任である。


「お前等は元々の頭は悪くないし、やれば出来るのに……何でこんなに下の方に居るんだよ?」

「え〜〜〜…ひっじょ〜〜〜〜に申しあげにくいのですが…」

「我等、バカレッド、バカブルー、新バカピンクは……」

「机に向かって勉強するのが極めて苦手でごぜる〜〜〜!故にこの成績……容赦されよ、稼津斗殿!!!!」


「容赦……する訳ないだろアホンダラどもが!!
 お前達は今日から俺の家に泊りがけで勉強合宿!!もしも期末で順位が下から10位以内だった場合、冬休みはなくなるから覚悟しておけよ……」


鬼と言うなかれ、此れ位でなくては3−Aは動かないのだ。


現実に『冬休み消滅』と聞いた面々は大慌て!
上位陣である、和美やアスナを除いて期末に向けて大わらわだ。因みに和美、のどか、イクサは成績上位組で、亜子とアキラは真ん中くらいである。


更に……


「え〜〜〜………このままだと、エヴァも絶賛補習組ですね……」

「何だとぉ!?この私が赤点など、そんな事が……」

エヴァンジェリンもまた補習の危機であった。
此れはよろしくない……エヴァンジェリンは、冬休みはネギと温泉に行こうとか色々考えていたのだ……其れが補習となったら全てがパーである。

「ネギ、是非とも補習を頼む!!折角茶々丸に楽○トラベルで予約させたのに、行けないのでは意味が無い。

「無論ですよ、楽しい冬休みの為に頑張りましょう!!」

即決であった。
元より600年を生き、ナギのせいで5周も中学生をやってるエヴァンジェリン故に、少し勉強すれば学年1位だって夢ではないだろう。

尤も、その理由がネギとの楽しい冬休みと言うのが些かどうなのだろうと思わなくもないが……


ともあれ、バカレンジャー+エヴァンジェリンは放課後補習が此れにて確定!!
更には、楓、真名、裕奈の3名は其の後で稼津斗宅での強化合宿もアリなのだが、最早これは自業自得、冬休みの為には頑張らねばならない。

そして、成績がよろしくない3−Aメンバーも同様である。
下から10位以内だった場合で冬休み消滅!!もしも最下位だったら………考えるのも恐ろしい。

一歩間違ったら、クリスマスのディナーと称して稼津斗の手料理が全員に振舞われると言う大量殺戮問題に発展しかねないのである。


命は大事だ、生物の本能だ!!
何故か、その恐ろしい結末を全員が予想してしまい、この日より3−Aは猛勉強して、その眠る力を目覚めさせる事に腐心する事になるのだった。




因みに、稼津斗の料理の酷さをリアルに知っている稼津斗組の面々は、恐るべき物を想像したせいで顔面蒼白であったとか……








――――――








「裕奈が平均70、楓が平均65、真名が平均68………少しやれば此れ位は取れるんだから、せめて試験の前位は勉強しろお前等……」

「「「だって勉強嫌いなんだもん!!!」」」

「身も蓋もないぞ其れ……」

「何気にクラス上位と、中位と、下位が揃ってるって凄いよね稼津兄♪」

「せめて、真名達も中位をキープしてほしいんだが…と言うか出来る筈なのに、如何して底辺組になるのか…
 若しかしてアレか?真名は報酬が無いとやる気がでないのか、仕事人だから!!
 そして楓も何か重要な事が無いとやる気にならないのか!?裕奈は……今回は酌量の余地もあるが、勉強時間が無くなると極端に駄目か!?」

「「「その通り!!!!」」」

「じ、自信満々に言う事やあらへんね……」

「ある意味で清々しいレベルだけどね……」


完全下校時刻も過ぎた後、稼津斗宅ではバカレンジャー3名の勉強合宿が行われていた。
のどか、亜子、和美、イクサ、アキラもコーチ陣+食事準備組として参加しての本格的なモノなのだが……模擬テストの結果はご覧の通り上々!!

やろうと思えば出来るのだこの3人は。
ただ、基本が『やらなくたってどうにかなるさ』なので、よっぽどの事がない限り自分で勉強などしない。絶対にしない。世界が滅びてもしない。

其れが逆に稼津斗には頭が痛い事案だ。
此れが生徒と教師の関係でなければ、あまり言う事はないのだが、少なくとも今の稼津斗は彼女達の副担任と言う立場なのである。

そうである以上、自分が受け持った生徒が成績底辺と言うのは悩んで然りだ――ともすれば自分の教え方が悪いのかとも思ってしまうのだから。


だが、この模擬テストの結果を見る限り、教え方が悪いと言う事は無いだろう。
だって、3人とも平均点を上回る結果を残しているのだ――出来ないのではなく、やらないだけと言うのが完全に証明されているのだ。


「頼むから、試験前位はやってくれ。
 次の学期末と、3学期の学年末くらいは頼むよ本気で……やっぱり、クラスの成績が悪いと、俺やネギも肩身が狭い思いをするんでね……」

そして受け持ちクラスの成績が悪いと肩身の狭い思いをするのも仕方ない。
特に稼津斗の場合、所謂『正義の魔法使い』な先生の風当たりが強い故に、3−Aが底辺にいると、何かといわれる事が多いのだ…基本無視だが。


だがしかし、今の稼津斗の一言がバカレンジャーレッド、ブルー、新ピンクに火を点けた!!
己の愛する人が肩身の狭い思いをする……其れも自分のせいで。

そんなのは絶対に嫌だし認められないし超却下である!『超却下』と書いて『ふざけんな馬鹿』とルビを振る位に認められるモノではない。

まして、学園祭の時の有り得なかった未来で稼津斗を殺した連中が、稼津斗に対して彼是言うのは世界破壊レベルで完全却下の不許可である!!


「稼津斗にぃが……」

「拙者達のせいで……」

「肩身の狭い思いをする……」


「「「認められるかそんなモンーーーー!!!」」」


そして大爆発!!
すぐさま成績上位組に徹底的なマンツーマン指導を申し入れ、亜子とアキラにはケアレスミスのチェックを願い出る。

本気だ。本気と書いてマジと読むレベルで本気だ!!
やらないだけで、やれば出来る子の3人が本気になったら、下手したら5教科合計で400点越えとかやりかねないだろう――愛の力恐るべしである。


この日から期末試験までの間、稼津斗宅での勉強合宿は続いた。








――――――








一方でエヴァンジェリンだが……


「ん〜〜〜〜……文系は漢字の些細な間違いに気を付ければ問題ないですね。
 歴史の方も、ある意味生き字引なので大丈夫でしょうが……問題は理科、と言うか科学的な部分ですね……見事なまでに全問不正解ですエヴァ。」

「か、科学的な事は一切分からん……考えるだけで頭が痛くなるわ……」

「まぁ、得手不得手があるのは仕方ないと思うけどね……」

「つっても、マークシート方式で科学系を全問外すってのはある意味スゲェよ……適当にぬりゃ1問くらい当たるってのに……」

科学的な分野が完全崩壊していた。
アスナの言うように得手不得手は有るのである意味で仕方ないのだが、マークシート形式で全問不正解と言うのはある意味で快挙である。

其れだけ科学的な事が壊滅的に苦手と言う事なのだろうが、そうなると理科の点数は如何頑張っても半分が良い所だろう。
ならば、エヴァンジェリンの得意分野で点数を稼ぐのが最もベターであり無難である。


「仕方ありません……エヴァ、この際化学は捨てましょう。この短期間で付け焼刃的な知識を叩き込んでも意味はありませんから。
 代わりに歴史や文系は全て満点が取れるように頑張りましょう!!大丈夫です、僕もアスナさんも千雨さんもついていますから!!」

「短所は斬り捨て、長所を伸ばすと言う事か?……異論はない!!その方向で頼むぞネギ、アスナ、長谷川千雨!!!」

「おう!……つーか、アンタもいい加減私の事フルネームで呼ぶの辞めろよ?
 認めたくねーが、私とアンタの関係もそんな浅いもんじゃねぇと思うぜ?……違うかよエヴァ?」

「!!……確かにそうだな……。
 魔法世界では随分とネギの世話を焼いてくれた奴に対し、何時までもフルネームと言うのは礼を欠いたか……なれば宜しく頼むぞ千雨!!」

「へ……任せときな!!」


序に此れを機に新たな友情も芽生えた。
仲良き事は美しき事なり……ネギ組の結束は今此処に新たな強さを手に入れたのだった。(一切謎)








――――――








そしてあっと言う間に時は過ぎ、期末考査。
3−Aの面々は夫々が相当に頑張ったらしく、試験中も真剣そのもの!――試験官としてやって来た新田が驚いたくらいに真剣だったのだ。


全員が己の力を出し切り、やれるだけのことは全てやった期末考査………その甲斐は充分にあったらしい。




期末考査全日程終了から3日後の成績発表に其れは現れた。



『今季学期末考査の第1位は………3−A!
 去年の3学期隔年末考査以来の学年首位、おめでとうございます!!!!』



見事に1位を奪取!!
しかも驚く事に、全教科平均89点と言うぶっちぎりのアベレージを記録してくれたのだ――此れは稼津斗とネギも鼻が高いだろう。
自分達の受け持ったクラスは『出来るクラスだ』と言う事をキッチリと形で示したのだから。




最高の結果を残した事で、3−Aは最高の冬休みを過ごす事が出来るだろう。









期末考査が終われば、残るイベントは終業式のみ。


その終業式も恙無く終わり、通知表の配布をして、2学期も此れにて終了――時は冬休みへと駒を進める事になる。



尤も、この面子の冬休みが只で済む筈は絶対に無いのだが………果たしてどんな冬休みになるのか――其れは次回から語る事にしよう。











 To Be Continued…