季節は秋。

秋の学校行事最大の目玉となれば、其れは勿論『体育祭』がトップに上げられると言っても過言ではないだろう。

この麻帆良学園でも御多分に漏れず、現在2日後に迫った体育祭――『麻帆良大体育祭』に向かって、運営委員会を中心に準備の真っただ中!

上空をプロペラ機が飛び、スピーカーで体育祭の開催を継げてるあたり、既に一般の学校の体育祭とは一線を画していると言っても良いだろう。
まぁ、此れだけの学園都市での体育祭ともなれば、その規模が一般の学校法人のそれと異なるのは当たり前ではあるのだが。


「規模は大きそうだが、流石に学園祭と比べると準備は些か大人し目だな?」

「まぁ、メインは競技内容だし、準備と言ってもクラスでやるのは学級旗作り位だし、運営委員も宣伝とテント張り位なモノさ。
 とは言っても、その競技内容に『格闘大会』や『リアルサバイバルゲーム』がある時点で普通とはだいぶ違うと思うけどね?」

「……取り敢えず其の2つは一般的な学校の体育祭では絶対に有り得ないからな?」

稼津斗と真名は、大会準備中の麻帆良を適当にぶらついている。
流石の稼津斗も真名から聞かされた競技内容の一部には突っ込まずに居られなかったようだが――寧ろ突っ込むのが普通だと言えるだろう。
果たして、麻帆良は体育祭に何を求めているのか小一時間ほど問いただしたい所ではある。


「時に稼津斗にぃは格闘大会には出ないのかい?」

「今回はパスだ。
 麻帆良祭の時でも余裕だったんだ、今出たら全試合5秒以内で決着がつくと思うからな……チートキャラの参戦は大会的にNGさ。」

「確かに今の稼津斗にぃに勝てる人は……多分存在しないだろうね。ジャック・ラカンを100人連れて来たら分からないだろうけど。

「まぁ、今回は『教師限定競技』に専念する事にするよ。障害物競走に、借り物競争に、意外と楽しめる競技があるみたいだしな。」

「其れ等も稼津斗にぃが本気だしたら、全種目総なめにしそうだけどね。」

天気予報では今日から1週間は雲一つない晴天。(麻帆良独自の気象予報装置で的中率は99.99%)
此れならば2日後の体育祭も、きっと天候に恵まれる事だろう。











ネギま Story Of XX 137時間目
『ネギは女の敵?なら稼津斗は?』











さて同じ頃、3−Aの正規担任であるネギはユエに呼び出されて中庭に来ていた。
ユエからの呼び出しに『何事か?』と思ったネギだが、女性からの呼び出しを無碍にする事など英国紳士に出来る筈がない!寧ろしたらダメだ!

「えと……何のご用でしょうかユエさん?」

「えっと……その……」

当の、呼び出したユエの方は顔が既に真っ赤になっている――無理もないだろう、彼女にとっては一世一代の大舞台なのだから。

未だ記憶が戻ってないとは言えユエは『綾瀬夕映』がネギに好意を持っていた事は知っている。
尤も彼女はその気持ちを押しとどめておく心算だったのだが、まき絵やのどかに『後悔だけはしないで』と言われ、考えた結果この選択をしたのだ。



ハッキリ言うなら無謀だ。
ネギには既にエヴァンジェリンと言う心に決めた女性が居る……其れを蔑ろにして他の誰かと交際など、ネギの性格的に有り得ないだろう。
だが、其れでも己の気持ちは誤魔化せないし、言わねば後悔する……其れがユエを突き動かしたのだ。

「あ、あの……ネギ先生……その……せ、先生の事が好きです!///

最大限の勇気を振り絞った告白!
直球弩ストレートな告白に、陰から事の成り行きを見守っていたクラスメイトからも感嘆の声が上がる。(あくまでも小声ではあるが。)

「え?…あの…」

勿論、告白されたネギの方は驚くだろう……まさかユエが正面切って告白してくるなど夢にも思わなかったのだから。
だが、其れをも上回る事態がこの告白で起きてしまった――他ならないユエ自身に。


――ドクン…


「!!?」
――こ、此れは……私の記憶!?…何故今になってこんなに鮮明に……!!


突如脳裏に、魔法世界を訪れるまでの記憶が蘇って来たのだ。
其れも断片的なモノではなく、ハッキリと鮮明に――何故今までこうもさっぱり忘れていたのかが不思議になる位にだ。


――私はネギ先生を……だけど一歩踏み切れなくて……ではこの記憶喪失は……一部は私が望んだ事…?
   此れまでの記憶や経験が断片的なモノであれば……だとしたら、私は何て浅はかな……


「え?あ……ユエさん……あの、そのお気持ちは嬉しいんですが……スイマセン…僕は……」

「あ…え…ヒック…」

「って、ユエさん〜〜〜〜!?」

その告白……自分に好意を向けてくれると言う事はネギとて嫌ではないが、ネギには既にエヴァンジェリンが居る状態だ。
何とか与えるダメージを最小限にして断ろうとした矢先にユエが泣きだしてしまい、此れにはネギも大慌て!

そして、隠れて事の成り行きを見ていた面々も大騒ぎ!!


「あ〜〜〜〜!泣かした〜〜〜〜!!!」
「ちょっとネギ君ーーーーーー!何女の子泣かしてるのーーーーーーー!?」

「うわぁ!?皆さん何時の間に!?」


本当に隠れる気が有ったのか?と言いたくなるような勢いで、物陰から全員見参!!
まぁ、会話内容は聞こえていない故にネギがデリカシー皆無の振り方をしてユエの事を泣かせたようにしか見えないのだから仕方ないだろう。


「ちょっとこの色男、一体どんなヒドイ言葉で振ったのよ!!後学の為に吐きなさい〜〜!!」
「あ〜〜〜、ユエちゃんかわいそー!!!」

THE・女の敵だね!!仮にも英国紳士なら、振るにしてももっとアレな何があるでしょうが〜〜〜〜〜!!!」

……お約束的のその一部(主に裕奈や和美や美砂)は此れに便乗して完全にネギを弄る事に専心しているのだが……もう何も言うまい。
あっと言う間に混沌の様相を呈して来たのだが、それは泣き出してしまったユエ本人によって止められる事となった。


「ち、違うです…ネギ先生は何も悪くないです…」

「ゆえ?……そっか…」

「ひぐ…えく……スミマセン……ごめんなさいです……」

「ゴメンじゃないよ…記憶戻ったんだね、夕映……いいんだよー……」

要領を得ないが、親友であるのどかには夕映に何が起きたかは分かったようだ。
恐らく本当は自分でも何が悪かったのか分からずに泣きじゃくる夕映を、のどかは優しく抱きしめ頭を撫でてやる……それは妹を慰める姉の様だ。

んがしかし!!!

「え〜と…どゆこと?」

「良く分からないけど……取り敢えず今この場ではネギ君が悪いーーーーー!!!」

「え〜〜〜〜〜!?」

「其れ罰ゲーム!!寧ろお仕置きじゃ〜〜〜〜!!!者ども、であえであえ〜〜〜〜!!!」

「ちょっと〜〜〜〜!!!!」

だからと言って止まらないのがこの面々。
理由はどうあれ、ネギが関係して夕映が泣いた事は事実である!紛れもない事実である!宜しいならばお仕置きだ!つまりこうなのである。













――只今(3−A的には)毎度の事である狂乱の宴が繰り広げられてるせいで画像が乱れております。少々お待ちください。












「……お騒がせしたです……何で人の事で此れだけ盛り上がれるのでしょうか…?

「いえ……他人事だからじゃないですかね…多分きっと…

何とか騒動を収めたネギは、改めて誠実に夕映に『その気持ちには応えられない』旨を伝え、何とか一段落。
まぁ、結果的には振る事になったが、だからと言ってネギと夕映の関係が悪くなるとかそう言う事はないだろう、相思相愛でなくとも友人なのだ。

「えっと…うん、此れからも宜しくお願いしますね夕映さん?
 僕達の計画には貴女の力も必要になります……友人として頼りにしていますよ?」

「その期待には応えるですよネギ先生……では、私は教室に戻りますので。」

「はい。」


初恋が破れたとは言え夕映の表情は何ともさばさばしている。
きっと魔法世界を訪れる前から自分の中に有った『もやもやした感情』に明確な答えが出てスッキリしたのだろう。


「ふぅ……」

「あ、おかえり夕映ちゃん!」

「大丈夫〜〜〜?
 ネギ君てばエヴァちゃん以外には微妙にデリカシーない部分があるけど……酷い事言われなかった?」

「あ、大丈夫です……ネギ先生には何も非はありませんので……寧ろ自分の気持ちに決着が付いてスッキリしてるですよ。」

クラスに戻って来た夕映に、クラスメイトは大丈夫かと問うが、勿論夕映は大丈夫だ。
気持ちに決着が付いたと言うのもあるが、ネギと己の関係は『心を許せる友人』が丁度いいのだと確認できた事で失恋の痛みも何のそのだ。

「そう?……んっと、そっかぁ?」

とは言えそれでアッサリ納得するかと言えば其れは否。
特にパートナー全員と相思相愛関係にある稼津斗の従者の1人である裕奈は殊更納得できないようだ。

「まぁまぁ、別分酷い事言われたんじゃないんでしょ?だったら気にしないで良いんじゃないの綾瀬?
 大体、あの難物にコクるって事自体が私に言わせれば物凄い勇気だと思うよ?だから気にする必要なし!ね、OK?」

「は、はぁ?」

だが、其れを和美が見事に誘導し『夕映の言う事は問題ない』と言う方向に持って行った……ように見えるだろう此れなら。
其処には凄まじい罠がある訳で…

「ちょっと待った和美、『難物』ってネギ君の事だよねぇ?……どゆこと?」

裕奈がその罠にまんまと食いつき、和美は其れは其れは『良い笑顔』を浮かべ…


「何処が難物かって…そりゃあ……
 ネギ君は多くの女子生徒の好意を集めておいて、あまつさえうら若き乙女と数々の仮契約をしてる訳じゃん?
 其れで居ながら結局本命はエヴァちゃんで、何時かはエヴァちゃんと本契約でしょ?
 そうなるとそれ以外の仮契約は消滅して綺麗さっぱりなかった事に……其れをアッサリ選ぼうとしてる外道、悪党、非道なところでしょうやっぱ!」

それだぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁ!!!!稼津君には感じた事のないもやもやの正体は其れか!!


あな恐ろしや麻帆良のパパラッチ。
確かに言う事は事実であるのだが、此処までゴシップ週刊誌もビックリな説明は早々できるモノでもないだろう。

まぁ、エヴァンジェリンが準備をさぼって此処に居ないからこそ言えた事なのかもしれないが。


「ちょ、待ちなさいよ!仮契約云々は前に図書館島の地下で聞いたけど、今の言い方だとあの時よりも増えてる訳!?」

更に美砂が話題に食いつき、一気に熱が上がる。
先の夕映の一件での熱が冷めきっていない3−Aへの新たな火種は燃え広がるのも兎に角早いのだ。

「あ…そっか柿崎達は魔法世界来てねーんだっけ?
 向こうでも色々有って、稼津君のパートナーが1人、ネギ君に5人、新たにコタに1人のパートナーが出来てるよ?」

「合計で+7人!?
 って、ちょっと待て……そうなると今現在クラスの何人がそのカード持ってる訳?」


教室内の空気が凍った。
何人が持っているかと聞かれれば、寧ろ持って無い人の方が少ないと言う答えになる訳で……

「その契約カード持ってる人全員挙手!!そして提出!!!」

「「「「「「えぇ〜〜〜〜〜〜〜!?」」」」」」

「此れは体育祭前にクラスの結束がかかった大問題よ!つべこべ言わずに出しなさい!!!」

ある意味トンデモナイ暴論なのだが、言われた側としても魔法ばれクラス故に隠す事でもない。
アッサリと契約者全員がカードを提示し……

「え?何此れ…」

美砂の目は丸くなった。

無理もないだろう、なにせ……


・稼津斗組:(クスハ込みで)9人
・ネギ組:13人(アスナと委員長は只今不在)
・その他組:2人(刹那と栞はダブル仮契約状態なので此方にも含まれるが員数外)


総勢24名が契約しているのだ!
3−Aで契約していないのは、美砂と円と鳴滝姉妹、そして葉加瀬とザジに四葉と、契約しようのない幽霊のさよだけである。

「に、24人?」

「いや、アスナと委員長もだから+2人。」

「に、26人!?クラスの約80%…

「因みに春日と村上の2人はネギ君でも稼津斗にぃでもないから、その辺宜しく。」

「あれ…此れって…」

「私等完全に流れに乗り遅れてないかね?」

あまりの現実に美砂も円もどこぞの最終回宜しく真っ白状態。
加えて言うなら、同じチア部の仲間である桜子が既にネギと仮契約していたと言うのがダメージを倍増させているようである。


「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!待っててネギ君、今直ぐお姉さんが新たなパートナーになってあげるわ!!」

「………!!」

そしてしかる後の暴走!!
こと、以前の日曜日に流れ失恋を体験した美砂と円は完全に理性が吹っ飛んでしまったらしい……思考回路がデストロイだ。


「廊下は走るな……覇王翔哮拳1/10000ーーーーーーーー!!!!


――ドガァァァァァァァァン!!!


「「ぺぎゃぁぁぁぁぁ!?」」

「元気なのは結構だが、ルールは護ろうな?」

だがそんな面々の命運も、稼津斗がクラスに戻って来ようとしていたことでTHE END。
破壊力を1/10000にまで抑えた覇王翔哮拳で、美砂と円の2人を教室内に強制送還!!最早常識が呼吸を止める日も近い様である。

「つーかアンタがルール護れよ稼津斗先生……何処の世界に生徒を超必殺技で教室に押し戻す奴が居るってんだ…

「此処に居るが?」

「あぁ、そう返って来ると思ったよ!!!」

毎度ながら、千雨はお疲れ様である。








――――――








「成程、綾瀬の記憶が戻って、其れが切っ掛けでね……」

「なはは、ちょ〜〜〜〜〜っと煽り過ぎたかね?」

取り敢えず稼津斗が戻って来た事で騒動は今度こそ終結し、只今そこに至った経緯を把握中である。
まぁ、今回の騒動の切っ掛けは誰が如何見ても和美が煽りまくった結果であり、其れに乗せられた美砂と円は残念さんとしか言いようが無い。


「煽り過ぎだ和美……まぁ、魔法云々にどっぷり浸かったクラス故に契約していないと言うのはアレかもしれないのも分からなくはないがな。
 と言うか、ネギは何れマクダウェルと本契約するだろうが、だからと言って仮契約者を切る心算はないみたいだぞ?
 如何にも、『仮契約を司る精霊を誤魔化す手段を思いついた』とかなんとか……」

「え、マジで?……な〜〜〜〜んだ、其れなら難物でも何でもないじゃん!
 本妻エヴァちゃんで、他の仮契約者は全員妾にしちまえっての!エヴァちゃんもその程度はグダグダ言わないでしょ?」

「あの、和美……流石に其れは如何かと…」

で、話を進めてまたも暴論が飛び出す!アキラの突込みは当然の反応だろう。
確かに600年も生きて来たエヴァンジェリンならば、自分が本妻であればネギが他に何人の妾をはべらせようと何も言うまい。

それどころか『本妻に最大の愛を向けながらも、他の女を囲む事が出来ぬようではマダマダ半人前だ』とか言いかねない。
中世の時代における一夫多妻を知っているエヴァンジェリンからしたら現在の『一夫一妻』の方が奇異に映るのかもしれないが…


「まぁ、一般的には倫理観云々を言われるだろうが、互いに気持ちが通じてるなら一夫多妻でも問題ないと俺は思うがな。
 だが和美、お前単純に未契約者を煽る目的だけで今回の騒動を炊きつけた訳じゃないだろう?……何を企んでる?」

其れは其れとして、稼津斗は確りと『何故和美がこんな事をしたか』を見抜いていた。
和美が何の目的もなく、こんな事をするとは思えなかったのだ――和美とて契約の重要さは知っているのだから。


「さっすが稼津兄……此れだけでばれちゃったか。まぁ、バレてんなら隠す必要はないか。
 本当は今ので焚きつけて学園祭で発揮して貰おうと思ったんだけど……稼津兄も体育祭に委員長主催のイベントがあるのは知ってるよね?」

「あぁ…それが?」

「ふっふっふ……そのイベントを使って――私等3−Aは稼津兄とネギ君に宣戦布告するよ!!
 麻帆良教師最強トップ2と、麻帆良学園最強クラスを含めた麻帆良学園都市の生徒と学生全部………どうよ!!!」

その真実は何と稼津斗とネギに対する宣戦布告!
ルールの中でのガチバトルをしようぜと言う分かり易いモノだった。

果たしてどんなイベントになるのか、勝利条件は何なのかそれらが全く分からないが、挑まれたのなら黙って等いられる筈もない。


「本気か?俺とネギが本気を出したら、お前達が束になって掛かって来ても脅威にはならんぞ?」

「其れは如何だろうな?
 私がXX2ndを使った状態でリバースユニゾンすれば必ずしもそうとは言えないんじゃないのか?」

「だとしてもXXV+殺意の波動なら負ける事はないな。」


瞬間、稼津斗とパートナー(アキラ、亜子、のどか、クスハを除く)達の間で火花がバチバチと散る。
同時に稼津斗とネギとマジバトルと聞いた面々も『トンでもない事になる』事を感じとり、一気にテンションがバーニングソウルしているらしい。

「常識を宇宙の彼方に蹴り飛ばす3−AにXX2ndに覚醒したお前達が相手に有ると知って敢えて言おう……俺に勝てると思っているのか?」

「勝てるのではなく勝つのでござるよ……稼津斗殿!!」

「OK……だったら体育祭では手加減しないで行く!」

如何やら今年の体育祭は平穏無事に終わると言う事は期待できそうにないらしい。








――――――








放課後、ネギは一日の仕事を終え帰路に付いていた。(最近はもっぱらエヴァンジェリン邸に入りびたり)

「ネギ。」

「姉さん!」

其処に、最近漸く登校してこれるようになったアスナが合流――姉弟水入らずで一緒に帰りたいと言う事だろう。

「良かったわね、体育祭には出れそうで。この一大イベントを外したら大事よ?」

「はい、カヅト達の協力も有って向こうも何とか一段落ですから。」

「なら良いけど……どうせまた忙しくなるんだから皆との思い出は作っておきなさい?」

「はい……分かっていますよ。」

この2人も姉弟でありながら主従と言うアレな関係だが、其れでも姉弟の仲が良いのは間違いないだろう。
ネギにとってアスナは大事な姉であり、アスナにとってネギは護り導いてやるべき弟なのだから。

「でも、姉さんも…はひ……ハクション!!!」

「おっと!」


――バシュン!!


「如何したの?若しかして風邪?」

「いえ…何か悪寒が……何でしょうか?」

「確りしなさい、大切な身体なんだから。……と言うか、今の私じゃなかったら脱げてるわよ?

「あはは……咄嗟の無効化お見事です。」

「笑い事じゃないわ…テオドラの前とかでやらないようにね?外交問題に発展しかねないわ。

「き、気を付けます。」

夕焼けに染まる街を行く姉弟は何とも穏やかな雰囲気だ―――体育祭までは後2日である。

和美が仕込みを入れた体育祭は一体何が起きるのか…其れは当日までのお楽しみだが、少なくとも『普通の体育祭』でない事は確かだろう。


2日後の体育祭で何が起きるのか……其れは神であっても見通す事は出来ないかもしれない。













 To Be Continued…