リベールの領空内に現れた移動要塞とも言うべき巨大な飛空艇である『グロリアス』からは、小型の戦闘艇が発進してリベールの各地へと向かって行った――リベールに攻め入る日時は守ったモノのこれは一種の奇襲とも言うべき先制攻撃だったのだが……


「その程度の奇襲でリベールを落とせると思ったのならば些か舐め過ぎだな……ディバインバスター!!」

「なのはママ直伝!ディバインバスター!!」

「リベールは此の程度では落ちません……アラウンド・ノア!!」


王都に攻め入ろうとした小型の戦闘艇は、王都に入る前になのはとヴィヴィオが直射砲、クローゼが水属性の上級アーツで撃墜して壊滅状態に陥らせたが、搭乗員達は戦闘艇が撃墜されても平気なように全員が小型のフライトユニットを搭載しており、更に戦闘艇に乗り込む前に『アースガード』を掛けていたので無傷であり、其のままフライトユニットを使って空中戦を仕掛けて来た。


「船が落とされた時の備えもして来たと言う訳か……だが、其れも無駄な事!王都の守護龍の姿を見るが良い!ヴァリアス!!」

「出番ですよ、アシェル!!」

「やっちゃえバハムート!」


『ゴガァァァァァァァ!!』
真紅眼の鋼炎竜:ATK2800

『グオォォォォォォォ……!』
ブルーアイズ・タイラント・ドラゴン:ATK3400

『『『『『キシャァァァァァァァァァァ!!』』』』』
F・G・D:ATK5000



其れに対しなのは、クローゼ、ヴィヴィオは夫々のドラゴンを呼び出すと敵部隊に攻撃命令を下す。
放たれた闇の炎、光のブレス、水、炎、風、地、闇属性のブレスは空中部隊をいとも容易く壊滅させたが、其れに続いてグロリアスから現れたのは闇の力を得て『トワイライトロード』となった嘗てのライトロードの一団だった。
エサーガ国の本命は此方であり、先の戦闘艇は小手調べに過ぎなかったのだろう。
地上ではエサーガ国の聖騎士『アルテナ・ウィクトーリア』のクローン部隊がリシャール率いる王国軍、ユリア率いる王室親衛隊、そしてベルカからの援軍であるシグナム率いる部隊と激突して激しい戦闘が繰り広げられる展開となっていた。


「王国の興廃この一戦にあり!一人たりとも王都には立ち入らせるな!」

「全員死ぬ気で戦え!だが絶対に死ぬな!」

「同盟国が攻められると言うのならば、共にそれを討ち倒すがベルカの騎士!リベールの為にその剣を揮え!」


王国軍は最新鋭の戦車である『オルグイユ』を出撃させ、親衛隊の兵士の中で剣を使う隊員は遊星がネロのレッドクィーンをベースに『普通の人間でも使えるようにした』として開発したエンジン付きの機械剣『バルムング』を装備していた。
ベルカの部隊も隊長であるシグナムを筆頭に、鉄槌で戦う少女騎士ヴィータ、屈強な肉体そのものが武器の獣人ザフィーラが先頭を切って戦い、ペンデュラムを装備した女性騎士シャマルは得意の後方援助で味方をサポートしている……リベールとベルカの混合軍、其の力は凄まじいモノである。
そして、リベールの各地では同じ様に戦闘が開始されるのだった。











黒き星と白き翼 Chapter75
『オープンコンバット!リベールは無敵です!』










・ボース地方


ボースは市街地に至るルートが他都市よりも豊富なのだが、エサーガ国の部隊はロレント側のルートとルーアン側からのルートの二方向から仕掛けて来たので、ロレント側のルートにはアガットと悪魔将軍の配下の中でもトップクラスの実力者であるバッファローマンとアシュラマンが、ルーアン側のルートには悪魔将軍とザ・ニンジャが夫々配置に付き、ハーケン門の部隊は伏兵に備えて他のルートの防衛に付いていた。


「喰らいやがれ!ハリケーンミキサー!!」

「バカデカイ図体に違わず、モノスゲェパワーだなオイ……只のタックルで十人以上吹っ飛ばすとは呆れたパワーだぜ。っと、そうは行くかよ!ダイナストケイル!!」

「カカカ、貴様も人間にしては恐るべきパワーよ。
 おぉっと、此処から先は通さぬ。竜巻地獄!!」


そのロレント側のルートではアガット、バッファローマン、アシュラマンがアルテナのクローンを圧倒していた。
聖騎士とは言えアルテナは女性なので力では此の三人には圧倒的に劣り、完全にパワーでねじ伏せられる結果になっていた……特にバッファローマンのハリケーンミキサーは只のタックルとは一線を画した最早交通事故レベルの破壊力なので此れを喰らったら一撃で戦闘不能は免れないだろう。


「地獄のメリーゴーランド!」


ルーアン方面では悪魔将軍が自身の強度を『ダイヤモンド』まで強化した上でその強化状態で両腕に固定装備として現れる剣を使っての高速回転攻撃を行い、トワイライトロードの部隊を血祭りに上げていた。
その巨体からパワー攻撃が得意と思われがちな悪魔将軍だが、実はパワー攻撃だけでなく技も冴えるのだ。
ザ・ニンジャも其の名が示す通り、東方に伝わる伝説の隠密である『忍者』を彷彿とさせる隠形と暗殺術を駆使してトワイライトロードを次々と始末して行った……数だけは多いのでまだ戦闘は終わらないだろうが、現状ではボース部隊が優勢であると言えるだろう。





・ルーアン地方


ルーアン地方では主にルガールと『Devil May Cry』のメンツが出張る事になったのだが、此れはもうマッタク持って問題が無かった。


「神をも超える力、思い知るが良い。」

「バージル、中二病乙。」


多数の敵はバージルが『次元斬・絶』で斬り伏せ、其れを逃れた相手もキッチリとダンテとネロとなたねが仕留め、ルガールはマーシア孤児院に近付く敵を容赦なくジェノサイドカッターで撃滅し、場合によっては自爆して道連れにしながらも最早趣味となっている復活によって即時復活して敵を葬ると言うトンデモナイ事をしてくれていたのだった……自爆しても復活出来るとか、若しかしたらルガールこそが此の世界における最大のチートバグなのかもしれない。


「合わせろよクソ親父!」

「誰にモノを言っているドラ息子。」


そんな戦闘の最中ネロとバージルが親子合体の『ダブル絶刀』を繰り出して敵部隊を鎧袖一触!
更にダンテがハンドガンの曲撃ちである『ミリオンダラー』を繰り出し、なたねは三連直射砲の『ディザスターヒート』を繰り出して敵部隊を減らしていく――更にルーアンの遊撃士であるカルナが、遊里が開発した『導力アサルトライフル』を連射して次々と敵を撃破していた。


「「君の死に場所は此処だ!」」


そしてルガールは殺意の波動を覚醒させてゴッド・ルガールとなるとルガール版瞬獄殺『ラスト・ジャッジメント』を叩き込んで敵部隊を撃滅していた――因みの本日のルガールは肩パッド付の少しメカメカしいデザインのコートを羽織っているのだが、このコートは孤児院の子供達がデザインしたモノをテレサが形にしたモノだったりするのだ。
この魔王、すっかり孤児院に馴染んでいる様である。





・ツァイス地方


ツァイス地方も都市の防衛は万全だった。
不動兄妹によって開発された『都市防衛結界』はなのはの直射砲をも防ぐ強さがあるので、並の攻撃では突破される事は無いと言えるのだが、そして其れ以上にエサーガ国の部隊の迎撃に向かったのも中々にぶっ飛んだ部隊だった。
ハーケン門から派遣された王国軍は強力なのだが、其れ以上に不動兄妹が召喚した精霊とナイトメアフォームのアーナスとアーナスの従魔が強力過ぎた。


「魔法カード『融合』を発動してアタシの『プリンセス・ヴァルキリア』と兄さんの『セイヴァー・シューティングスター・ドラゴン』を融合!現れよ、『龍騎士-プリンセス・ヴァルキリア』
 龍騎士-プリンセス・ヴァルキリアの攻撃力は3000だけど、龍騎士-プリンセス・ヴァルキリアは融合素材にしたドラゴン族の元々の攻撃力の半分の数値攻撃力が上昇し、更に融合素材となったモンスターの効果を得る!
 これにより龍騎士-プリンセス・ヴァルキリアはセイヴァー・シューティングスターの攻撃力の半分とその効果、そしてプリンセス・ヴァルキリアの効果を得る。
 そして得たプリンセス・ヴァルキリアの効果発動。手札を一枚捨てて墓地のセイヴァー・シューティングスター・ドラゴンを蘇生させるわ!」

早速一仕事と行きますか。
龍騎士-プリンセス・ヴァルキリア:ATK3000→5000
セイヴァー・シューティングスター・ドラゴン:ATK4000



「レベル8の銀眼の光子竜とレベル1のチューニング・サポーターに、レベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!
 集いし星が一つになる時、無限の力が目を覚ます。光さす道となれ!シンクロ召喚!光来せよ、『銀河眼の究極光子竜』!!」

『グオォォォォォォ』
銀河眼の究極閃光竜:ATK4500


「トラップカード『バスター・モード』
 此のカードにより、スターダスト・ドラゴンは、スターダスト・ドラゴン/バスターへと進化する!来い『スターダスト・ドラゴン/バスター』!!」

『ショォォォォォォォ!!』
スターダスト・ドラゴン/バスター:ATK3000



「ヨルドの力……格の違いを思い知るが良い。」

『ピッギャーーーー!』


不動三兄妹の精霊の圧倒的な力、ナイトメアアーナスの反則級の魔力砲撃、従魔の一体であるメテオボマーのエリクの目からビーム回転攻撃の恐るべき攻撃範囲がアルテナクローン部隊もトワイライトロードも寄せ付けずにいた。
更にエルモ村方面では、嘗て温泉を覗いたとしてエステルにシバかれた経験のある魔獣『ヒツジン』が、合体してエルモ村に向かう敵部隊と交戦すると言う謎の行動を執っていた……悪い事をしたらシバかれる、良い事をしたら褒められる、そう思ったのかも知れない。




・ロレント地方


そしてある意味ではリベール一の過剰戦力を誇ると言っても過言ではない魔窟のロレントは他の地方以上に無双状態となっていた――京が百八拾弐式で殴り燃やせば京-1がド派手に大蛇薙を放ち、京-2が無式をブチかまし、KUSANAGIが千九百九拾九式・霧焔で焼き尽くす。
エステルとヨシュアは必殺コンビネーションの『幻影無双』で敵部隊を殲滅し、庵が八酒杯で動きを止めたところにはやてとなぎさが広域殲滅魔法を叩き込んで鎧袖一触!
シェラザードとオリビエは『夫婦無双コンビネーション』として、オリビエが導力銃で動きを制限した相手をシェラザードが弩S全開の高笑いを上げながら鞭での乱舞攻撃をブチかまし、自警団のBLAZEはリーダーである志緒を筆頭に夫々が的確に敵を倒していた――志緒が重戦車の如き強さで無双していたが、洸と璃音も見事なコンビネーションを見せていた。
レンは手にした大鎌で敵の命を刈り取るだけでなく……


「出番よ、パテル=マテル♪更に『キリュウ』も召喚しちゃって♪」

『QONSYT+?><』

『マンゾォォォォォォォォォォォク!』
煉獄龍 オーガ・ドラグーン:ATK3000



パテル=マテルを起動し、更に内蔵されている『オーガ・ドラグーン』をも召喚して来た――エステル、ヨシュア、京、アインスのドラゴンもフルサイズとなってロレントの防衛を行っているので、ロレントを落とすのは相当に難しいだろう。


「草薙京……俺が俺であるために、貴様を倒す。」


だが此処で京によく似た容姿でクリザリッドのバトルスーツに酷似したモノを纏った青年と、エステル達が連れ去られる原因となった仮面の女性、ノーヴェに酷似した青髪の少女とスカリエッティ製の女性兵士――戦闘機人が現れた。
京に酷似した青年はワイスマンとスカリエッティが採取出来た僅かな京の遺伝子から培養して作り出した『ネームレス』で、炎を操る能力は持っているモノの『草薙の技』は真似事すら身に付けていないのだが、その代わりに腕をドリルに変形させる事が出来たりするのだ。
そしてネームレスとは別にもう一人、此方はネームレスの衣装からクリザリッドの要素を排除してカラーリングをトップスを黄色、ボトムズを青にした感じで、髪は青い短髪である――此方は『K9999』と名付けられた京の劣化クローンだ。
そのK9999は京のクローン三号のKUSANAGIを睨みつけ、其れに気付いたKUSANAGIもメンチを切り返し――


「KUSANAGIーーーーー!!」

「さんを付けろよ、デコスケ野郎!!」


謎のバトルが勃発した。
其れとは別に仮面の女性『ミスX』はアインスと交戦状態となり、まさかのアインスと互角の戦いをして見せたのだが、アインスが一瞬の隙を突いてミスXの懐を掴むと其のまま京直伝の『一刹背負い投げ』で地面に叩き付け、追撃のエルボーを仮面に叩き込む。
此れを喰らったミスXは地面を転がってアインスと距離を取って立ち上がったのだが、強烈なエルボーを叩き込まれた仮面には罅が入り、そして砕け散った。


「……私が何者であるのかを知ったその時からお前の正体についてはある程度予想が付いていたが、矢張りだったか――私が『アインス(一番目)』なら、お前は差し詰め『ツヴァイ(二番目)』と言ったところかな?」

「ふふ、如何にも其の通りだよ――我が名はツヴァイ、貴女の妹さ。」


その砕け散った仮面の奥から現れたのはアインスと瓜二つの顔であった。
共にワイスマンによって生み出された存在でありながら、アインスはカシウスに保護された後にブライト家で家族を得て京と言う恋人も出来て『愛』を知る事が出来た存在であるのに対し、ツヴァイは生まれてこの方『愛』を感じた事は一度もないと言う対照的な存在であるのだ。


「お前が妹であると言うのであれば、私は姉として妹の間違いを正してやらねばなるまい……来い、お前では私には勝てぬと言う事を骨の髄にまで叩き込んでやる。」

「その言葉、そっくりそのまま返してやるぞ姉上殿!!」


次の瞬間、アインスとツヴァイの拳がかち合って激しくスパークする――共にワイスマンによって生み出されながらも全く異なる道を歩む事になった姉妹の最強で天下無双の姉妹喧嘩が此処にゴングが打ち鳴らされたのだった。









 To Be Continued 







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