ある日の夜。
満月が夜空を照らしている深夜、なのははグランセル城の空中庭園に一糸纏わぬ姿で居た……月の魔力を其の身に一身に受けるかのように。太陽や月の魔力を其の身に受けるには、服などない方が最も其の力を受ける事が出来るのだろう。
だが、なのはは何者かの気配を感じて直ぐに防護服を展開する。流石に、こんな姿を誰かに見せる訳には行かないから。


「あ、なのはさん。」

「クローゼ……如何した、眠れないのか?」


其処に現れたのは寝間着を纏ったクローゼだった。
クローゼの本日の寝間着は東方から取り寄せたモノで、ツァイス地方のエルモ村にある温泉旅館『紅葉亭』でも使われている上質なモノだ。異国情緒溢れる寝巻がクローゼの魅力を引き出しているようだ。


「えぇ、何故か目が冴えてしまいまして……それで少し月でも見ようかと。」

「今宵は見事な満月だからな、月の魔力に惹かれたと言う訳か。」

「月の魔力に、ですか?」

「あぁ、太陽の光を反射して光る月もまた純粋な魔力を放つのだが、其の魔力は満月の時にしか此の星には届かない。
 そして月の魔力は通常あまり感知出来るモノではないのだが、お前は先祖である神族の血が覚醒した事が影響して月の魔力に少し過剰に反応してしまったんだろうな……だが、暫く月の魔力を浴びていれば直に眠くなる。
 太陽の魔力には覚醒効果があるが、逆に月の魔力には気持ちを落ち着かせて眠りへと誘う効果もあるからな。」

「そんな効果のある魔力に反応して一時的に眠れなくなってしまうとは、何とも妙な話ですねぇ……」


眠りへと誘う効果のある魔力に過剰反応して目が冴えてしまうとは矛盾した話ではあるが、此れもクローゼが先祖返りとも言える神族の血の覚醒によって『神人』とも言うべき存在になってから日が浅く、そして今夜の満月は雲一つない夜空に浮かんでいた事でより強い魔力を放っていたからであろう。


「では、お前が眠くなるまで暫し一緒に月見を楽しむか?それとも、二人だけの月下の舞踏会の方がお望みかな?……或は月下の怪奇話にするか?
 此の十年、色々な場所に行ったから、都市伝説や怪談の類ならば結構な数を知っているぞ?上りと下りで数の変わる階段とか、夜な夜な走り回る石像とか、突如演奏を始めるピアノとか、話しかけると身体をくの字に曲げて回転しながら飛んで行ってしまう老婆とか。」

「怪奇話は止めておきましょうか?逆に眠れなくなりそうですので。
 そうですね……只の月見と言うのも味気ないので、一曲お願い出来ますかなのはさん?寝間着姿で申し訳ありませんが。」

「いや、其の姿もまた魅力的だから問題ない。」


そして、空中庭園では暫し二人きりの月下の舞踏会が行われた。
月明かりの下で静かに舞う黒き神魔と、白き聖女と言うのは其れだけで一種の芸術品のようであり、もしも第三者がこの光景を目にしていたら目を離す事が出来ずに釘付けになっていた事だろう。


因みに同じ頃ロレントでは……


「キョォォォォォォォォォォォ!!!」

「うっさいわ馬鹿兄!今何時やと思ってんねん!!」

「ご近所の迷惑であろう!大人しく寝んか、此のたわけ!!」



満月に反応して庵が暴走状態となり、眠りを妨げられたはやてとなぎさによってシバかれていた……同じくオロチの血を其の身に宿しているレオナが平気だった事を考えると庵はマダマダオロチの血に翻弄されているようだ。











黒き星と白き翼 Chapter35
『ちょっとした日常と最大級の重要情報』










翌日、なのははクローゼとヴィヴィオと共にグランアリーナを訪れていた。
グランアリーナは年に一度の武術大会が開催される場所だが、其れ以外の時は王室親衛隊が訓練場として使用しており、なのは達は親衛隊の訓練の様子を見に来たと言う訳だ。以前にヴィヴィオの訓練をした時は、親衛隊が訓練をしていない時間を使ったと言う訳だ。


「行くわよ一夏!覇ぁぁぁぁ……疾風迅雷脚!」

「ふっ!はっ!!せりゃ!!」


なのは達がアリーナの中に入ると、一夏と刀奈が組み手を行っており、刀奈の連続蹴りを一夏が見事に捌いているところだった。
刀奈の連続蹴りは回転しながら繰り出されており、二発目以降は遠心力も加わりドンドン威力が上がって行くのだが、一夏は捌く瞬間に腕に気を纏って強化して蹴りの威力を大幅に抑えているようだ。


「ていやぁ!電刃……波動拳!!」


刀奈の連続蹴りを捌き切った一夏はカウンターの足刀蹴りで刀奈の態勢を崩すと、其処に電刃波動拳を放つ。電刃波動拳は強烈な雷を帯びているので防御を貫通するガード不能技であり、更に電撃によるスタン効果もあるので喰らったら一撃必殺なのだが、刀奈はギリギリで氷の盾を作りってそれを防ぐ。
正に一進一退の攻防だ。
一夏と刀奈の組手が行われているだけでなく、レオナとシェン、ヴィシュヌとグリフィンも激しい組手を行っており、其れ以外の隊員はフィジカルトレーニングや己の得物を使っての素振り等を行っているが、その全てが活気に満ちており親衛隊の士気の高さが窺えると言うモノだ。


「ふむ、やっているな?活気に満ちていて実によろしい。」

「陛下、いらっしゃっていたのですか!」

「来たのは今だがな。
 中々に激しい訓練を行っているようだが、其れが出来るのも隊員全員が絶好調である証とも言える。隊長であるお前から見て、今の親衛隊は如何だユリア?」

「以前よりも強化されたのは間違いないかと。
 特に陛下が王となられてから新たに親衛隊の隊員となった者達の力は凄まじいモノがあります……そして、彼等に触発される形で私を含めた元々親衛隊の隊員だった者達も自己研鑽に励んで、アリシア前女王時代よりも強くなったと感じています。」

「そうか、其れは良かった。」

「特に鬼の子供達は此れから先が楽しみでもあります。織斑一夏は、その中でも一番楽しみです。」


デュナンが王になった際に一度は解体された王室親衛隊だが、なのはが新たな王になった事で再編成され、新たなメンバーが加わった事で解体前よりも大幅に強化されているようだ。
中でもユリアが特に注目しているのは実は鬼の子供達だった。
単純な戦闘力で言えばレオナやアルーシェ、嘱託隊員であるシェンの方が高いのだが、鬼の子供達からは未だ解放し切って居ない潜在能力を感じたのだ。特に一夏に関しては他の鬼の子供達とは異なる何かを感じたようだ。


「一夏か……確かにアイツは鬼の子供達の中でも頭一つ抜きん出ているからな?
 無手の格闘も然る事ながら、剣術では恐らく私の兄と勝てずとも負けない戦いを出来る筈だ。アイツの秘めたる潜在能力が解放されたら、若しかしたら稼津斗に匹敵するレベルかも知れないな。」

「稼津斗さんも相当に強いですからねぇ……通常状態でルガールさんと同じ位の強さがあるのではないでしょうか?」

「そして殺意の波動を開放すればルガールを越えるか……最もルガールにもオロチの力があるから、互いに力を開放して戦えば略五分と言った所かもしれないが。」


一夏の秘められた潜在能力が解放されたら相当な力である可能性は高そうである。
組手の方はと言うと戦いながらパートナーチェンジを行い、一夏とレオナ、刀奈とヴィシュヌ、グリフィンとシェンと言う組み合わせになり、また時にはタッグマッチやバトルロイヤル状態と、組手の方式も変えて行く。
ユリアがアーツで意識外からの攻撃を行う事もあり、訓練の質は可成り高いと見て良いだろう。


「ふむ……此れだけの訓練を行っているのを見て、私も少しばかり身体を動かしたくなった。ユリアよ、私も組み手に参加させて貰っても構わないか?」

「陛下が組み手に?
 ……普通ならば大凡許可は出来ませんが、陛下ならば大丈夫でしょうから特別に参加する事を認めましょう。ですが、やり過ぎないで下さい。親衛隊の隊員が王との組手で大怪我をしてその任を果たす事が出来なくなったと言うのはシャレにもなりませんから。」

「其れに関しては案ずるなユリア。
 レイジングハートを非殺傷モードで使うからダメージは受けても怪我をする事だけはないからな……まぁ、痛みは感じる訳だから気絶くらいはしてしまうかも知れないけれどね。」

「気絶する程のダメージを受けても無傷って、便利ですね非殺傷モード。」


そして、此処でなのはが組み手に参加し、一夏と刀奈とレオナとシェンとヴィシュヌとグリフィンを同時に相手にする事になったのだが、組手開始直後にバインドで一夏達を捕らえると、其処に一撃必殺の集束砲を叩き込んでターンエンド。
力自慢のシェンであっても、なのはのバインドを腕力だけで引きちぎると言うのは無理だったみたいである。


「私の勝ち、かな?」

「貴女の勝ちです、なのはさん。」

「なのはママ、強~~い!」


そんな訳で結果はなのはの圧勝!
王が此れだけ強いのであれば『王室親衛隊なんぞ必要ないのでは?』と言う意見が飛んできそうだが、なのはが何らかの形で全力を出す事が出来ないと言う事が無いとも言い切れないので、そんな時の為に親衛隊の存在は必要不可欠なのである。
王にとって絶対必要となる王室親衛隊を解体したデュナンは最大級の愚行を働いたと言っても過言ではないだろう。デュナンは、自ら最大の防衛力を放棄したに等しいのだから。

その後も訓練は続き、ヴィヴィオもロランとの組手を行ったのだが、戦闘力では勝っていても経験の少なさから時間切れの判定負けとなった……が、それが相当に悔しかったのか、ヴィヴィオは暫く親衛隊の訓練に参加する事を決めた。


「お前がそう決めたのならば私は何も言わんが……自分で決めたのならば、途中で投げ出すなよ?」

「ヴィヴィオ……頑張ってください。」

「なのはママ、クローゼママ……頑張って来ます!!」


親衛隊の訓練に参加して、組手で戦闘経験を積めばヴィヴィオの持っている巨大な力をより生かせるようになるだろうし、巨大な力と共に訓練を行えば親衛隊全体のレベルアップにも繋がるのでヴィヴィオにとっても親衛隊にとっても、互いにウィン・ウィンであると言えるだろう。
嘱託隊員のシェンが参加する時にはユーリも一緒に来ているので、外見的には兎も角精神年齢的には同じ位のヴィヴィオが居ればユーリの話し相手になる事も出来るのであるしね。


「あ、いたいた王様~~~!!」


其処にグランアリーナの上空からエリアがアドバンス召喚した使い魔に乗って登場。
如何やらなのはの事を探していたようだ。……水霊使いが空を飛んでと言うのも如何かと思うが、水霊術の中には水の分子を編むように組み合わせる事で『乗れる雲』を作り出すモノもあるので水霊使いが空を飛んでも別におかしくはないのだ。己の使い魔で飛んでいると言うのは大分レアケースであろうが。


「エリア、如何かしたか?……と言うか、お前の使い魔飛べたのか?」

「アドバンス召喚した際のギゴちゃんの装甲を遊星さんと遊里さんに改造して貰って、飛行用のジェットブースターを搭載しているんですよ♪」

「使い魔の強化状態でのみ現実に現れる装甲を改造するって、最早何でもありですか遊星さんと遊里さんは?あのラッセル博士ですら、流石にそんな事は出来なかったと思いますが……」

「ラッセル博士は十年に一人の稀代の天才だが、不動遊星と不動遊里の兄妹は百年に一人の稀代の天才と言う事なのだろうな……百年に一人の逸材が二人も居ると言う時点で中々のレアケースであると思うが。
 其れでエリア、私に何か用があったみたいだが?」

「え~とですね、王様にお客さんが来ているんです。セスって言う大きな男の人なんですけれど……」

「セスが?分かった、直ぐに城に戻るとしよう。」


不動兄妹がゴギガ・ガガギゴの装甲を魔改造していたようだが、エリアがなのはを探していたのはなのはに来客があったからだった。
そして其の来客の名は『セス』……リベリオン時代から付き合いのある情報屋だったのだので、なのはも直ぐに城に戻る事を決めクローゼと共にグランセル城へと戻って行った。ヴィヴィオは親衛隊の訓練が終わるまで此処にいる事にしたらしく残る事に……訓練に参加する事を決めた初日から早速訓練に加わる様である。


「なのはさん、態々セスさんが訪ねて来たと言う事は……」

「あぁ、私か或はリベールにとって何かしらの大きな情報を得たと見て間違い無いだろう……さて、一体どんな情報を掴んだのやら。」


なのははクローゼをお姫様抱っこして空を飛びながらグランアリーナからグランセル城に最速で飛んで行った……『オイ、ドラゴン呼べよ。』と言ってはいけない。アシェルとヴァリアスとバハムートは最近は日替わりでジーク先輩と共にリベールの空を見回っており、本日の担当はアシェルであるので簡単に呼ぶ事は出来ないのだ。空の安全を守るのもとても大事な仕事であるのだから。








――――――








城に戻ったなのはは、直ぐに侍女に命じてセスを謁見室……ではなく女王宮にさせた。
謁見室では室内にも警護の兵がいるが、女王宮は入り口に護衛の兵はいるが室内には居ない……セスの得た情報がどんなモノであるのか分からなかったので、取り敢えず情報が外に漏れるのを防ぐためになのはは女王宮を選んだのだ。
その女王宮の中にいるのはなのはとクローゼとセスの三人……茶と菓子を運んで来た侍女は既に退室している。


「セス、お前が態々城を訊ねて来たと言う事は私か、或はリベールにとって何か大きな情報を得たのだと考えているのだが……一体どんな情報を得たんだ?」

「お前さんにとっては何よりも欲しかった情報だと思うぞ?……ライトロードの居場所が判明した。」

「何だと?」

「其れは本当ですか?」


挨拶もそこそこになのはがセスにどんな情報を得たのかを聞くと、セスの口から出て来たのは『ライトロードの居場所が判明した』との情報だった。
此れにはなのはだけでなくクローゼも驚く……此の十年間マッタク足取りの掴めなかったライトロードの居場所が遂に見つかったと言うのだから驚くなってのが無理であるのかも知れないが。
だが、この情報は確かになのはにとっては何よりも欲しかった情報であると言えるだろう。
クローゼと出会った事で無差別の復讐を選ばずに済んだなのはではあるが、其れでも唯一復讐すべき相手であるライトロードへの憎悪の気持ちは心の奥底で静かに燃え続けていたのだ……その相手の居場所が分かったと言うのは歓喜すべき事だろう。


「そうか、遂に奴等の居場所が……其処は一体何処なんだセス?」

「リベールから遥か遠く離れたエサーガ国にある人里離れた山奥の施設だ……如何やらライトロードの連中は、十年前にハーメル村を襲撃した際に『鬼』によって壊滅状態となり、メンバーの多くが瀕死の状態になってたらしいんだが、何者かが瀕死のライトロードを其の場に運び、生命維持装置兼治療機に放り込んで回復を行ったらしい。」

「ライトロードではない第三者がライトロードを回復したと、そう言う事か?……ソイツは何者か分かっているのか?」

「残念ながら其処までは分からなかったが……一つ面白い情報として、如何やら復活したライトロードは召喚士を除いて全員が殺意の波動を其の身に宿しているみたいだ。
 自分達を壊滅寸前にまで追い込んだ力を欲したのかな?」

「殺意の波動を……」


ライトロードを助けたモノが何者であるのかは分からなかったが、ライトロードが召喚士以外が殺意の波動を宿していたと言うのは予想外の事だっただろう。
殺意の波動は言うなれば闇の力であり、ライトロードが忌み嫌う力でもあるのだから……そうであるにも関わらず、殺意の波動を其の身に宿したと言うのは、セスの言うように自身を壊滅状態に追い込んだ力と言うモノを欲したのかも知れない。
或は、『正義の使者である自分達を壊滅状態に追い込んだ殺意の波動を取り込む事が出来れば、其の力を正義として振る舞う事が出来る』と、何とも都合の良い事を考えたのかも知れない。


「此れで連中の居場所が割れた訳だが、お前さんは如何するんだいなのは?早速攻め込むか?」

「辺境の、其れこそ何処の国にも属していない土地に居るのならば其れも良いが、連中はエサーガ国の領土内に居ると言うのでは話は別だ。
 ライトロードを攻撃するためだけに攻め込んでは、エサーガ国に攻め入ったのも同じ事になり外交問題に発展しかねないからな……なたねにも言った事だが、ライトロードの連中がリベールに攻め入って来るのを待つさ。
 私達から攻め入ればエサーガ国との外交問題が発生するが、ライトロードの方がリベールに攻め入って来たのであれば、私としても『リベールをライトロードから守る為』と言う戦う為の大義名分を得る事が出来るからね。
 リベールに攻め入ってきたその時は全力で相手をしてやるさ……そしてリベールに攻め入ったその時がライトロードの終焉の時だ。」


だが、なのははライトロードの居場所が判明しても、其の場所が外国の領土内にあると言う事で攻め込む事はせずに、逆にライトロードがリベールに攻め込んでくるのを待つというスタンスで居るようだ。
確かにエサーガ国の領土内に居ると言うのであれば、其処に攻め入っては外交問題になってしまうのでライトロードが攻め入って来るのを待つのが上策だろう。ライトロードがリベールに攻め入ってくれば、なのはの言うように『リベールを守る』と言う戦う為の大義名分が手に入るので国民世論もライトロードとの戦いを支持するだろうから。


「願わくは、ライトロードがリベールに攻め入るまでに、なたねがリベールで何かを掴む事が出来ると良いのだがな……」


一つ懸念事項があるとすれば其れはなたねだろう。
なたねがネロと共にリベールを回って何かを掴んで、己の何がなのはと違うのかに気付けばいいのだが、其れに気付かずにライトロードと相対する事になっては、なたねの復讐心だけが燃え上がり理性を失った状態で戦いかねないのだから。


「大丈夫ですよなのはさん、なたねさんならばきっとライトロードがリベールに攻め入って来る前にリベールで何かを掴んでくれる筈です……だから、信じましょう彼女達の事を。」

「……そうだな。姉ならば、妹の事を信じてやらねばだったな。」


だが、其れもきっと大丈夫だろう。

何れにしても、そう遠くない未来にライトロードとの戦いは待っているのは間違い無いだろう……








――――――








――リベールから遠く離れた絶海の孤島にある研究所


「如何だいドクター、ライトロード達の様子は?」

「上々だプロフェッサー。
 彼等は見事に殺意の波動と融合して見せた……光の力に殺意の波動が融合され、其の身には混沌の力を宿した。後は其れがドレだけのモノであるのかを確かめるだけだよ。果たして、ドレだけの成果を出してくれるのか楽しみではあるね。」


其の研究所では、眼鏡を掛けたオールバックの男と、白衣を纏った紫髪の男が何やら不穏な会話をしていた……会話の内容からして、壊滅状態にあったライトロードを助けたのは彼等なのだろうが、如何やらライトロードを助けたのはライトロード其の物を助けた訳でなく、自分達の実験の為にライトロードを助けて治療を行い、そして殺意の波動を宿したらしい。

普通に考えたら、トンデモナイ事なのだが、ドクターとプロフェッサーにとっては大した事はない事なのだろう……取り敢えず、ライトロードの裏には途轍もない悪意が存在していると言う事だけは間違い無いようである。
そして其の悪意は、ライトロードを通じてリベールに向かっていたのだった……!








 To Be Continued 







補足説明