ミッドチルダ上空では特Aレベルとも言うべき戦闘が展開されている。

アインスvsゼスト、そしてツヴァイvsアギト。
オーバーS同士の戦いと、オーバーA同士の戦いは何方も退かないガチバトルだ。

「はぁぁぁあ!!」

「ぬぅぅん!!」


「えぇぇい!!」

「どりゃぁぁぁ!!」


拳と槍が交錯し、氷と炎が炸裂する。

「埒が明かんな…アギト!」

「おうよ旦那!!」

そんな中で先に切り札を切ったのはゼストのほうだった。
自身にアギトをユニゾンし、限定的ではあるが能力の底上げをしてきたのだ。

だが、それを見て夜天の魔導書の完成融合騎であったアインスが黙っているだろうか?…答えは言うまでもなく否!

「ユニゾンだと?……良いだろう。ツヴァイ、お前は私にユニゾンすることもできるな?」

「お姉ちゃん?はいです!可能です!」

「ならば行くぞ!ユニゾン…」

「イン!!」

即座にツヴァイとユニゾンし、ゼストに対抗する。

そして現れたのは、鮮やかな蒼髪と輝く金眼を持った黒翼の守護騎士。
大空の戦いは、激しさの上限などとっくに何処かに吹き飛んでしまったようである。













  遊戯王×リリカルなのは  絆の決闘者と夜天の主 クロス97
 『全てを包み込む戦』











一方で、クロウ&ノーヴェと、戦闘機人ウェンディの戦いは戦いとは言えない一方的な展開を呈していた。

「オラァァァ!!」

「ブラックハリケーン!!」

「ぬえ!?ちょっと此れはキツいっす〜〜〜!!」

其れも仕方ない。
シンクロしたノーヴェはAAAクラスに相当する力を有しているし、クロウのモンスターはSレベルに相当するのだ。
其れをたった1人で抑えろと言うのがそもそも無茶で無謀としか言いようがない。

が、少しだけ妙だった。

ウェンディは、何でか自分から攻撃を仕掛けてこないのだ。
ノーヴェとクロウの攻撃を回避し、回避後のカウンター攻撃はしてくるものの、自身から先に攻撃を仕掛けてこないのだ。

時間稼ぎだろうか?だが、だとしたら何のために?…意図が読めない。

「テメェ…時間稼ぎのつもりかよ!
 んなもんはアタシと兄貴にゃ通じねぇ!それに先に行ったスバル達だって直になのはさん達と合流する!
 チマチマやってたってジリ貧になんのはそっちだってくれぇは分かるだろ!えぇ、このパイナップル!!」

「パイナップルじゃねぇっス!てか口悪いっすねアンタも!!」

「ハッ、敵さんに敬意払うこともねぇだろ?でもって、こいつで詰みだ!」

「へ?」


――バキィィィン!!!


「んなぁ!?」

だが、戦闘では矢張り有利な状況にある者の方に勝利が傾くのは当然の事。
ウェンディの身体が突然チェーンバインドで拘束されたのだ。

「な、なんすか此れ!?」

「遊星とマリーが作った『アビリティカートリッジ』ってモンだ。
 1回きりの使い捨てタイプの『簡易魔法』のプログラムカートリッジなんだと。
 コイツのおかげで、俺にもバインドが使えたって訳だ!ま、ノーヴェが巧く誘導してくれたからだけどよ。」

『見事だったぜ嬢ちゃん。』

「へへ♪」

ウェンディの戦い方には疑問が残るが、さっさと片付けて先に進みたいのも事実。
確実にカートリッジでのバインドを決めるために、ノーヴェはウェンディを誘導していたのだ。

「や、やばいッス……と、取り敢えず確認は出来たから離脱するッス!!」

「させるかよ!!ディバイン…バスター――――!!!」

「ブラックハリケーン!!」

何とか離脱しようとするウェンディに対して、ノーヴェの直射砲と、クロウのアーマード・ウィングの一撃が炸裂!
離脱が早いか、直撃が早いか……


――シュゥゥゥ…


「ち、逃げ足の速い奴だな…」

僅かに離脱の方が早かったらしい。
ウェンディの姿はどこにもない――尤も掠るくらいはしているだろうから全く無傷でもないだろうが。

「まぁ、アイツを倒す事が目的じゃねぇからな。俺達もスバル達の後を追うぞ!」

「了解だアニキ!!…って、あのパイナップル、確認出来たとか言ってたけど、何を確認したんだ?」

「俺らの戦力じゃねぇのか?
 まぁ、俺とお前の戦力だけ測っても無意味だろ?遊星とはやてのコンビなら俺らの数倍は行く。」

「あ、それ否定できねぇわ。」

疑問は残るが、今は合流が先だ。
『こっちの方が速いから』との理由で、ノーヴェはブラックバードにタンデム乗車して先行しているスバル達の後を追う。


だが、ウェンディの言った『確認できた』の真の意味は全く別のモノであると言う事をノーヴェもクロウもこの時は知らなかった。








――――――








先行していたスバル達はノーヴェの予想通り遊星たちと合流していた。
だが、この大混戦の中で、全てが無事とはいかないのもまた事実。

「ギンガと通信が繋がらない?」

「うん、さっきから呼んでるのに全然応答がないんだ…」

ギンガとの通信が出来なくなっていたのだ。
閉じ込められていた遊星達は、幸いにもフォワード陣と合流したことで自由に動く事が出来る。
決断するのは、はやてだ。

「固まって動いても効率が悪いだけや。
 隊を分散するで!高町一尉は、スバル、ティアナの両名と共にギンガと合流を。
 エリオとキャロはテスタロッサ一尉とシグナム二尉と共に外で戦闘を行っている六課メンバーに合流して戦闘の補助!
 私と遊星は、その他の戦力への対処を担当する!敵さんも本気みたいやから、各員気を引き締めてな!」

「「「「「「「了解!!」」」」」」」

そして即時指示に従って行動を開始。
はやてもステラにタンデム乗車し準備は万端。

「行くぞはやて、確り捕まっていてくれ!」

「了解や!全力で飛ばしてや、遊星!!」

『リミッター解放、全能力フルモードで対処します。
 スピードカウンターを12で固定、加速ブースターMAX、何時でも行けますよマスター。』


「あぁ、行くぞ!!」

ステラも全力で飛び出そうとした瞬間…


――バガァァァン!!


『ガァァァァァァ!!』
メンタルオーバー・デーモン:ATK3300


『シャァァァアッァ!!』
メンタルスフィア・デーモン:ATK2700


『ゴォォォォン…!!』
ハイパーサイコガンナー/バスター:ATK3500



瓦礫を吹き飛ばして現れた3体の上級サイキック族モンスター。

「このモンスター達は!!」

「どうやら俺達を簡単には進ませてはくれないらしいな…出てこいディヴァイン!!」

そしてその操り手は言うまでもない、ディヴァインだ。
又しても遊星の首を狙って現れたのだ。

この狭い通路に立ち塞がれては、Dホイールでの突破は難しい。
すぐさま、ステラをスタンディングモードに変更し、ディヴァインを迎え撃つ態勢を整える。

「言うまでもなくこの姿を曝そう不動雄星!お前は…お前だけは生かしてはおかない!!」

現れたディヴァインの瞳は憎悪の炎に染まりきっている。
自業自得の末の逆恨みもここまで来ると表彰ものだが、出てきたならば無視もできない。

「どうやらやるしかないようだ…頼むぞ『コズミック・ブレイザー・ドラゴン』!」

『クァァァァァァ!!』
コズミック・ブレイザー・ドラゴン:ATK3800



『雷幻獣−麒麟』!!」

私に任せときなよ。
雷幻獣−麒麟:ATK3200


『蒼銀の戦士』!!」

俺の出番か…精々遊星と八神に歯向かったことを後悔するんだな。
蒼銀の戦士:ATK4000


すぐさま自身のデッキの最強クラスのモンスターを呼び出し事に当たる。
そして当然それだけではない。

「お前も力を貸してくれ、『祝福の風リインフォース』!!」

『あぁ、力を貸そう。』
祝福の風リインフォース:DEF100



リインフォースまで召喚。
尤もアインスは現在戦闘中なので、此れは純粋にカードなのだが。

「アインス!!」

「あぁ、俺がシティに戻った時にアインスはカード化したんだ。
 そしてこっちに戻ってきても、そのカードはカードとして俺の下にある!
 行くぞはやて!魔法カード『融合』!はやてとリインフォースを融合する!!」

そしてリインフォースを呼び出した最大の理由ははやての強化。
このリインフォースとはやてを融合すれば、其れははやてとアインスのユニゾンを再現していることに他ならない。

程なくユニゾン状態のはやての御登場である。

「こないな方法でユニゾンするとは予想外やけど…その効果は大きいな!
 おいコラ前髪怪人、覚悟せいや!私等の前に立ちはだかった事を骨の髄にまで後悔させてやんで!!」

「俺とはやての前に敵は無い…覚悟しろディヴァイン!」

「ほざくな…纏めて葬ってやる!!」

こちらでも究極レベルのバトル兼デュエルが勃発したようだ。








――――――








「お前もベルカの騎士だろう?…だとしたら如何してスカリエッティなどに力を貸す!」

「俺には成さねば成らぬ目的がある…その為には奴の手駒となるより他に方法はないのだ!」

上空でのユニゾンアインスとユニゾンゼストの戦闘もまた熾烈を極めていた。
互いに決定打が無い故にほとんど泥仕合状態のエンドレスバウト。

アギトとの相性はそれ程良くないにも拘らず、ユニゾンアインスと互角に渡り合っているゼストの技量は大したものだろう。


「目的?…其れが何かは知らないが、だからと言って奴に加担する必要が本当にあるのか?」

「俺の命は奴に握られている…不本意でも従うより他に道はない!!」

再び交差する手甲と槍。
互いに一歩も退かない、退けない戦い。

「この大馬鹿者が!真に目的をなすなら、騎士の誇りを貫き通して事をなせ!
 ベルカの騎士ならば、例え連中に命を握られていようとも、それに抗う気概を見せてみろ!!」

「其れも正論だろうが…俺の場合はそうも行かんのだ!!」

信念と信念のぶつかり合い。
こちらの決着はまだ付きそうにない。








――――――








同刻、機動六課本部では、ザフィーラが無数のガジェットを相手に無双状態を展開していた。

「ぬおぉぉぉぉ…牙獣走破ぁぁぁ!!」

魔力結合を阻害するAMF搭載のガジェットも、クロスレンジの、其れも直接打撃を得意とするザフィーラには一切無力。
ザフィーラが拳を振るうたび、蹴りを放つたびにガジェットが1体、また1体と確実に粉砕されていく。

六課本部内部で事に当たっているシャマルもまた、シンクロ状態になり事に対処している。

六課の武装隊が出払ったのを狙っての襲撃だったが、其れは思ったよりも効果が上がってないようだ。



但し、襲撃者がガジェットのみであったならば。


「此れは思った以上の戦力だな…特にあの獣人は。
 ならば僕も本気を出そう!現れろ『雲魔物−アイ・オブ・ザ・タイフーン』『雲魔物−ニンバスマン』『雲魔物−ストームドラゴン』!」
雲魔物−アイ・オブ・ザ・タイフーン:ATK3000
雲魔物−ニンバスマン;ATK1000
雲魔物−ストームドラゴン:ATK1000


少し離れた場所で、状況を見守っていたアモンがここで動いた。
戦闘では破壊されない『雲魔物』を展開し、改めて六課に襲撃をかける。

だが、それを見て『はいどうぞ』と行くザフィーラではない。

「あれはデュエルモンスターズの…ならば!シンクロカートリッジ起動!!」


――轟


シンクロカートリッジを起動し、鎧の守護獣へと変化。
『絶対にここは通さない』と言う決意の表れでもある姿だ。

「何人たりともここは通さぬ…守護の務め果たすが私の使命だ!!…縛れ、鋼の軛!!」

放たれた一発!
其れは更なる戦いの合図に他ならない。


六課の長い1日は、まだ終わりそうにはない。



だが、この一日が終わる先に待っているものが、究極の絶望であるとは、この時六課の誰もが予想はしていなかった…
















 To Be Continued… 






 *登場カード補足