「殲滅せよ『獄滅龍 メテオ・ブレイカー』!」
『グオォォォォ!』
獄滅龍 メテオ・ブレイカー:ATK3500
クロウの攻撃に合わせたカウンターのアクセルシンクロ。
其の進化の一手で力を手にしたのは閃滅龍。
新たな力と姿を得てクロウのモンスターと対峙している。
「此処でアクセルとはやってくれるぜ。けど、俺は負けねぇ!」
「あぁ、全力を出し切ろう!」
互いに一歩も譲らない一騎打ち、天下無双のデュエルだ。
2人とも加速し、其のスピードたるや何と100km以上。
この中でデュエルが出来ているというのは矢張り凄い事だろう。
「八神司令…デュエリストって人間ですよね?」
「やと思う…思いたい…多分無駄な努力や…」
其の光景に観戦中のはやてとノーヴェは微妙に当てられた様だ。
ともあれデュエルは続く。
そう、このデュエルのクライマックスに向かって一直線だ!
遊戯王×リリカルなのは 絆の決闘者と夜天の主 クロス90
『ダチ公デュエル決着!』
『キター!此れがアクセルシンクロ!
光の速さを越えた究極至極の戦術!実に見事!だけど、クロウのモンスターも侮れない連中だ〜〜!』
『ですが遊星さん以上にクロウさんはトリッキーな戦術の使い手ですからね。
遊星さんが呼び出した最強の龍に如何挑むのか、注目ですね。』
美由希とリニスの実況・解説も盛り上げる、盛り上げる。
それに引っ張られるように観客の熱もドンドン上昇中!
此処まで見事な攻防を見せながらその上がある。
今まで知らなかったライディングデュエルの魅力にすっかり魅せられたらしい。
「さぁて、バトル中だが如何したモンか…」
クロウ:LP3000 SC5
ブラックフェザー・ドラゴン:ATK3300
BFT−漆黒のホーク・ジョー:ATK3100
BF−極夜のポーラスター:ATK2900
「メテオ・ブレイカー以外のモンスターなら倒せるかもしれないぞ?」
遊星:LP3200 SC5
極滅龍 メテオ・ブレイカー:ATK3500→3800(Sin スターダスト・ドラゴン零式効果)
Sin スターダスト・ドラゴン零式:ATK3000
雷幻獣−麒麟:ATK3200
其のデュエルを行っている2人も当然気持ちが昂ぶっている。
互いに最上級レベルのモンスターを従え、ライフも僅差。
観客はまた高度な戦術の応酬が来るのかとワクワクしている。
只1人、はやてを除いては。
いや、はやてだってワクワクしていない訳ではない。
他の観客とは別の展開を予想しているだけなのだ。
「このデュエル、もうこれ以上の細かいライフの削り合いは多分無いやろな。」
「え?そう、なんですか?」
「多分やけど――決着が付く時は残りのライフが一撃で消し飛ぶ事になる筈や、3000以上のライフが一発でな。」
「まさか…!」
此れだけのモンスターを従えて、しかもライフが3000以上ある状況。
だが、はやてはこれ以上の削り合いは無く、決着の時にはソレが一撃で吹っ飛ぶ激しい攻防になると言うのだ。
この世界に於いて、誰よりも遊星のデュエルを見てきたはやてだからこそ備わっている観察眼だろう。
「ま、見てれば分るで。」
視線をモニターに戻し、以降口を閉じる。
無意識に遊星を応援してしまっているのは、きっと仕方ない事だろう。
「メテオ・ブレイカー以外ねぇ?確かにそうだが其の攻撃が通るとは思えねぇんだよなぁ?
だが、虎穴に入らずば何とやら!ブラックフェザー・ドラゴンで麒麟への攻撃を続行する!『ノーブル・ストリーム』!!」
遊星の弩級のドラゴンを前にしてもクロウは怯まない。
倒せるモンスターは倒せる内に処理すべく、攻撃を続行。
黒い炎が再び麒麟を襲うが、クロウの予感は矢張りピッタリ当たる。
「メテオ・ブレイカーの効果発動!相手の攻撃宣言時、デッキの一番上のカードを確認しそれがチューナーだった場合其の攻撃を無効にする。」
当然の如く防御効果。
確実ではないが、巧く行けば相手の攻撃を一切遮断する事も出来るかもしれない効果だ。
「デッキの一番上のカードは…チューナーモンスター『ライトニング・シンクロン』!よってブラック・フェザー・ドラゴンの効果は無効!
確認したカードはデッキに戻してシャッフルする。」
「やっぱりかよ…だが、ホーク・ジョーの攻撃は残ってる!
ホーク・ジョーでSin スターダスト零式に攻撃、『アサルト・クロー』!」
先ずは無効に出来たが、クロウの攻撃はまだ残っている。
漆黒の鷹匠の爪が、罪の鎧を纏った星龍を襲うが、再び獄滅龍の効果がソレを迎え撃つ。
「メテオ・ブレイカーの効果発動!……デッキの一番上は、チューナーモンスター『バスター・シンクロン』!」
再度チューナーを引き当て、ホーク・ジョーの攻撃もまた無効にされてしまった。
遊星の防御を突き破るのはクロウと言えど簡単ではないようだ。
「ったくどんな防御力してやがんだオメェは…メインフェイズ2に移行するぜ。
スピードスペル『Sp−リセットハンド』、スピードカウンターが5個以上あるとき、互いに手札を全て捨て新たに5枚の手札を得る。
おし……カードを4枚セットしてターンエンド。」
攻撃は通らなかったが、手札交換のカードで新たに5枚の手札を得て4枚伏せでターンエンド。
明らかに攻撃を誘っているとも取れる布陣だが、最上級デュエリストの戦いにリバースに臆する気持ちはない。
「俺のターン!」
遊星:SC5→6
クロウ:SC5→6
――4枚のリバースカード…一体何を伏せたんだ?俺の攻撃を誘っているようにも見えるが…
ソレにクロウのカードで入れ替えたこの手札、デッキも望んでいるのか、最高にして最強の決着を…
「俺はメテオ・ブレイカーの効果発動!
1ターンに1度、エンドフェイズまで俺のフィールド上のモンスターの攻撃力を1000ポイントアップする!『シューティングパワー』!」
獄滅龍 メテオ・ブレイカー:ATK3800→4800
Sin スターダスト・ドラゴン零式:ATK3000→4000
雷幻獣−麒麟:ATK3200→4200
先ずは大幅パワーアップ。
全ての攻撃が通ればクロウのライフを0に出来る強化だ。
――クロウの事だ、麒麟の破壊効果は読んでいる筈…ならば戦闘とメテオ・ブレイカーの効果で攻める!
「バトル!獄滅龍 メテオ・ブレイカーで、ブラックフェザー・ドラゴンに攻撃『デッド・レイ・インパクト』!!」
そうなれば迷わず攻撃!
例え攻撃を誘っているであろう相手にも退かないのがデュエリストだ。
「やっぱ攻撃してきたか…けどソレは通さねぇ!トラップ発動『ブラック・デルタ・ソリッド』!
俺の場に闇属性のシンクロモンスターが3体存在する時に発動!
このターン俺の闇属性モンスターは戦闘では破壊されず、俺への戦闘ダメージも0になる!」
だが、クロウも当然通さない。
無敵布陣で攻撃を受け流す。
メテオ・ブレイカーの漆黒のブレスも黒い防壁に阻まれてしまった。
「防がれたか…メテオ・ブレイカーは相手モンスターを戦闘で破壊した場合、デッキの一番上のカードを墓地に送り、
ソレがモンスターだった場合、相手フィールド上のモンスターを全て除外する効果が有ったんだが…不発だな。」
「待てコラ、何だ其の反則的効果は!アクセルシンクロじゃなきゃ許されねぇ効果だなったく。」
「お前相手に加減は必要無いからな。
俺はカードを3枚伏せてターンエンド。」
獄滅龍 メテオ・ブレイカー:ATK4800→3800
Sin スターダスト・ドラゴン零式:ATK4000→3000
雷幻獣−麒麟:ATK4200→3200
「俺のターン!」
遊星:SC6→7
クロウ:SC6→7
――あの3枚…良いぜ遊星、決着付けようじゃねぇか!
「手札からスピードスペル『Sp−ブラック・インパクト』発動!
俺のスピードカウンターが6個以上あり、闇属性のシンクロモンスターが存在する場合に発動できる!
このターン、俺の闇属性モンスターの攻撃力は1000ポイントアップし、相手は『攻撃を無効にする効果』を発動できない!」
ブラック・フェザー・ドラゴン:ATK3300→4300
BFT−漆黒のホーク・ジョー:ATK3100→4100
BF−極夜のポーラスター:ATK2900→3900
今度はクロウが大幅強化!
しかもバトルを阻害する効果を封殺しての強化…一気に行くつもりなのだろう。
「更にトラップカード『シンクロン・デストラクター』!
このターン、シンクロモンスターが相手モンスターを戦闘で破壊した場合、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与えるぜ!」
更に直焼きのカード。
クロウは本気でこのターンで決着を付ける心算の様だ。
「全力全開か…受けて立つ!来い、クロウ!!」
「行くぜ遊星!ブラックフェザー・ドラゴンで、獄滅龍 メテオ・ブレイカーに攻撃!『ノーブル・ストリーム』!!」
終幕を告げる一撃!
だが此処からが一流デュエリストの腕の見せ所だ。
「そう簡単にはやらせないぜクロウ!トラップカード『ディフェンス・ドレイン』!
相手モンスター1体の守備力を0にし、其の数値分俺のモンスターの攻撃力を上昇させる!
この効果でブラック・フェザー・ドラゴンの守備力は0になり、其の守備力1600がメテオ・ブレイカーに上乗せされる!」
獄滅龍 メテオ・ブレイカー:ATK3800→5400
ブラックフェザー・ドラゴン:DEF1600→0
先手は遊星。
相手の守備力を吸収するカードで反撃を試みる。
「へ、やっぱ反撃は来るよな?けどソレは読んでたぜ!
トラップ発動『ドラゴン・インパクト』!俺の場のドラゴン1体の攻撃力を倍にする!!」
『グオォォォォ…!』
ブラックフェザー・ドラゴン:ATK4300→8600
が、クロウもソレに負けじと攻撃倍化で対抗!
反撃に出たメテオ・ブレイカーの漆黒のブレスを、ブラックフェザーの黒炎が押し返す。
「ふ、更なる強化は予想の範疇だクロウ!
トラップ発動『ドラゴン・インパクト』!これでメテオ・ブレイカーの攻撃力を倍にする!」
『ガァァァァァ!!』
獄滅龍 メテオ・ブレイカー:ATK5400→10800
対して遊星も攻撃力倍化!
再び漆黒のブレスが優勢となるが…
「そうは行くかよ!トラップ発動『シンクロ・ミラージュ・アタック』!
シンクロモンスター同士がバトルする時、相手モンスターの攻守の値を入れ替える!!」
「なに!?」
獄滅龍 メテオ・ブレイカー:ATK10800/DEF3000→ATK3000/DEF10800
此処で攻守逆転!
一撃必殺を狙ったクロウの切り札が炸裂!
黒き炎がメテオ・ブレイカーを直撃だ!
「やっぱ、オメェは強かったぜ遊星。」
勝利を確信したのだろう、クロウは呟くが……未だだ。
「…やっぱり俺達は似た者同士だなクロウ。」
「!?」
デュエルは終っていない。
ブラックフェザー・ドラゴンの黒炎が放たれた場所にメテオ・ブレイカーの姿はない。
「まさか…!」
「あぁ、俺も発動した!3枚目のカード『シンクロ・ミラージュ・アタック』を!」
「!!」
ブラックフェザー・ドラゴン:ATK8600/DEF0→ATK0/DEF8600
この局面で又しても同じカード!
攻守逆転に加え『ディフェンス・ドレイン』で守備力が0になっていたブラックフェザー・ドラゴンは攻撃力が0だ。
更にそれだけではない、アクセルシンクロを使った事で後方に居る遊星がグングン追い上げてきたのだ。
「な!?引き離せねぇだと!?」
クロウもアクセルを踏み込むが一向に差は広がらず、それどころか縮まってきている。
『遊星…ゲイルの『アレ』をやるんだね?』
麒麟からの問いにも、遊星は笑みを浮かべるだけ。
だが、狙いは間違いないだろう。
「クロウ、この世界の俺の仲間に教わった技を見せてやる!
反撃だメテオ・ブレイカー!『デッド・レイ・インパクト』!!」
『ゴァァァアァァ!!!』
獄滅龍の一撃が放たれると同時に遊星は更に加速。
そしてついにクロウに並び、そのまま追い抜く――と同時にメテオ・ブレイカーの反撃が炸裂!!
「行くぞクロス・フィール!!!」
抜き去る其の瞬間に、攻撃と合わせて強烈な衝撃波が!
以前戦った己の分身ともいえる『ゲイル・ザ・デュエリスト』の最強戦術が炸裂したのだ。
――キュゴォォォ…ドォォォン!!!
「おうわぁぁぁぁぁぁ!!!」
クロウ:LP3000→0
クロウのライフはピッタリ0!
更に…
『け、決着〜〜!!って、シュミレーター通り越してこっちにまで衝撃が来てる!?』
『す、凄まじい威力です…此れが超一流のデュエリストが行うライディングデュエル…!!』
有ろう事かクロスフィールの衝撃は観客が集まっているロビーにまで及んでいた。
超一流のデュエリスト恐るべしである。
「司令、デュエリストって…」
「人間や無いかも知れへん…シュミレーター越えて現実世界に干渉てドンだけやコラ…」
思わずはやても突っ込んでしまう。
それ程凄まじかったのだ遊星とクロウのデュエルは。
「ちぃ…負けちまったか…だが、久々に楽しめたぜ遊星!」
「あぁ、俺も熱くなった。楽しかったぞクロウ!」
シュミレーターから出てきた遊星とクロウも互いの健闘を称えて拳を付き合わせる。
最強のダチ公は此れくらいが丁度良いのだろう。
「遊星!」
「アニキ!」
更にはやてとノーヴェも駆けつける。
2人とも興奮冷めやらんといった感じだ。
「凄いわ〜〜流石遊星!クロウも見事やった!
見てみこの観客…すっかりライディングデュエルの虜になってんで?」
「負けたつってもアニキもスゲェよ!
デュエルがこんなに熱いものだなんてアタシは知らなかった!!」
「そうか?デュエルの面白さが伝わったんなら俺と遊星も全力出した甲斐があるぜ。なぁ?」
「あぁ、此れで皆がライディングデュエルに興味を持ってくれたら嬉しいな。」
見ればフロアの観客も大興奮と言った感じ。
「す、スゲェ…ライディングデュエルってこんなに凄いモンだったのか!?」
「おもしれぇ…おもしれぇぜライディングデュエル!!」
「スピードの中の全開デュエル…燃えるぜ!!」
「荒ぶるぞ、この俺の魂がぁぁぁぁ!!!!」
「「!?」」
「オイ遊星…」
「いや、多分気のせいだと思う…多分な。」
観客の声援に何か混じってたが、ソレは有り得ないので無視した。
まぁ、似たような人間は何処にでも居ると言う事だろう。
ともあれこのイベントライディングデュエルは大成功。
きっと、これからライディングデュエルはミッドチルダでも普及していく事だろう。
「ん〜〜…此れはDホイールの量産とデュエルレーンの設置を本格的に考えた方が良さそうやな♪」
To Be Continued… 
*登場カード補足
Sp−リセットハンド
スピードスペル
自分のスピードカウンターが5個以上あるときに発動できる。
互いのプレイヤーは手札を全て捨て、新たにデッキからカードを5枚ドローする。
Sp−ブラック・インパクト
スピードスペル
自分のスピードカウンターが6個以上あり、自分フィールド上に闇属性のシンクロモンスターが存在する場合に発動できる。
エンドフェイズまで自分フィールド上に表側表示で存在する闇属性モンスターの攻撃力は1000ポイントアップする。
また、このターンのバトルフェイズ中、相手は「攻撃を無効にする」効果を発動できない。
ブラック・デルタ・ソリッド
通常罠
自分フィールド上に闇属性のシンクロモンスターが3体存在する場合に発動できる。
このターン自分フィールド上のモンスターは戦闘では破壊されず、自分が受ける戦闘ダメージは0になる。
ディフェンス・ドレイン
通常罠
フィールド上に表側表示で存在するモンスター2体を選択して発動する。
エンドフェイズ時まで、選択したモンスター1体の守備力を0にし、
その数値分もう1体のモンスターの攻撃力をアップする。
シンクロン・デストラクター
通常罠
発動ターン、自分のシンクロモンスターが相手モンスターを戦闘で破壊し墓地へ送った場合、
相手に破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを与える。
ドラゴン・インパクト
通常罠
自分の場のドラゴン族モンスター1体を選択し、選択したモンスターの攻撃力を倍にする。
エンドフェイズ、このカードの対象になったモンスターを手札に戻す。
シンクロ・ミラージュ・アタック
通常罠
シンクロモンスター同士が戦闘を行う場合に発動できる。
戦闘を行う相手のシンクロモンスターの攻撃力と守備力の数値を入れ替える。