フィールドを疾走する紅と漆黒。
紅が従えるは真紅の狂戦士と黒き殲滅の龍。
片や漆黒が従えるのは、己と同様の漆黒の鷹匠と黒翼の龍。
「ふ…シンクロ・トレジャーの効果で1枚ドローする。」
遊星:LP4000 SC3
閃滅龍 スターブレイカー:ATK2500
ジャンク・バーサーカー:ATK2700
「へへ、だが此れでそのカードも3回効果を発動した事により消滅だぜ。」
クロウ:LP4000 SC3
ブラックフェザー・ドラゴン:ATK2800
BFT−漆黒のホーク・ジョー:ATK2600
『此れは凄い!互いにレベル8のシンクロドラゴンを召喚!
モンスターのステータスだけを見ればクロウが絶対有利ですが…如何でしょうリニスさん?』
『そうですね…確かに攻撃力ではクロウさんが勝っていますが、それだけでは決まらないのがデュエルの面白さです。
特に、相手は防御に定評のある遊星さんですから、攻撃力で勝っただけでペースを握れるとは思えません。』
『なるほど、つまりマダマダ高度な戦いが期待できると言う事ですね♪』
実況と解説もテンションMAXレベル。
だが、互いにライフはフル状態でのこのフィールド。
2人の本気のMAXには未だ遠いだろう。
遊戯王×リリカルなのは 絆の決闘者と夜天の主 クロス89
『六課の休日其之参』〜燃える疾走決闘〜
「さてと…並の相手なら、此処で総攻撃かけて制圧するとこなんだが、お前が相手じゃそう単純には行かねぇんだよなぁ?」
「そうか?…ならバトルを行わずにターンを流すか?」
「ハッ!冗談じゃないぜ!
この鉄砲玉のクロウ様が、高が1枚のリバースカードにビビッてられるかよ!
バトルは行うぜ!ブラックフェザー・ドラゴンで、ジャンク・バーサーカーに攻撃!『ノーブル・ストリーム』!!」
クロウもこの状態には頭を悩ませたらしい。
だが、相手が誰であろうとも臆する事無く立ち向かうのがクロウだ。
ソレは遊星も同じだが、『鉄砲玉』を自称するクロウは更にその気が強いのだ。
本よりシンクロメイン攻撃型のこの2人が、攻撃できる状況で攻撃せずにターンを流す等ありえない事だ。
だからこその攻撃!
この攻撃が通れば、僅かだがライフも削れ、アドバンテージも得られるだろう。
「矢張り攻撃してきたか…だが俺の仲間は砕かせないぜクロウ!
トラップ発動『同調障壁−シンクロシールド』!
発動ターンのみ、俺のシンクロモンスターは戦闘では破壊されない!!」
だが、其処は遊星!
罠カードで対応し、ライフを削られながらもモンスターは死守する戦略のようだ。
「戦闘破壊耐性か…だが、ダメージは無効にゃならねぇ!」
「流石にな…!」
遊星:LP4000→3900
「更に、漆黒のホーク・ジョーの攻撃も残ってるぜ!スターブレイカーを切り裂け!『アサルト・クロー』!!」
「くぅぅ…耐えてくれスターブレイカー!」
『グォォッォ…』
遊星:LP3900→3800
数字にしたら僅か200ポイントの微々たるダメージ。
だが、最上級者のデュエルに於いて、この微々たるダメージが結果として勝敗を分けると言うのは良くあることだ。
高が200、されど200、先手でダメージを与えた意味は意外と大きい。
「先手を取られたか、相変わらず鋭い攻めだなクロウ?」
「オメェこそ、ダメージ受けてもモンスターが居なくならないのは流石だぜ遊星。
カードを2枚伏せてターンエンド。」
先手を取ってダメージを与えたのはクロウだが、ソレを即座にひっくり返すのが遊星だ。
この2人のオーラから何かを感じ取ったのだろう、観客も自然と観戦するその目に熱が宿っている。
「俺のターン!」
遊星:SC3→4
クロウ:SC3→4
「スピードスペル『Sp−シンクロ・グリード』を発動。
俺のスピードカウンタがー4つ以上有り、フィールド上にシンクロモンスターが2体以上存在する時に発動。
フィールド上のシンクロモンスター2体に付き、カードを1枚ドローする。
フィールド上のシンクロモンスターは合計4体、よって2枚ドローする!」
此処で更なる手札強化。
受けたダメージに利子をつけて返す心算だろう。
「ふ…引きが良いな。
『ボーナス・シンクロン』は、通常のドロー以外で手札に加わった時に特殊召喚出来る。」
ボーナス・シンクロン:DEF0
「俺のフィールドにチューナーが存在するとき、墓地の『ボルト・ヘッジホッグ』を特殊召喚出来る!」
ボルト・ヘッジホッグ:DEF800
又しても光速展開。
此れで遊星はレベル3と8〜11までのシンクロが可能になった。
当然止まるはずがない。
「レベル2のボルト・ヘッジホッグと、レベル7のジャンク・バーサーカーに、レベル1のボーナス・シンクロンをチューニング!
古の思いが集うとき、その思いは雷光の槍となる。光射す道となれ!シンクロ召喚、導け『雷幻獣−麒麟』!」
『さぁて、切り伏せようかな?』
雷幻獣−麒麟:ATK3200
呼び出したのは雷の幻獣・麒麟………なのだが、何でか今回は人型で登場である。
「今日はそっちなのか?」
『こっちの方が客受け良いでしょう?』
「何のだよコラ…!」
思わずクロウも突っ込んでしまうがそう言う事らしい。
空気を最大限読んだ結果だろう。
「まぁ、麒麟が良いなら構わないがな。」
「オメェも大概だな遊星……ま、デュエルにゃ直接関係ねぇがな。
しっかし攻撃力3200?1ターンでスゲェの呼んだな遊星よ?」
「そう思うか?だが、俺のデッキの真髄はまだまだこんなもんじゃないぞクロウ!
俺はエクストラデッキから、スターダスト・ドラゴンを墓地に送り『Sin スターダスト・ドラゴンZero』を特殊召喚!」
『オォォォォ…!』
Sin スターダスト・ドラゴンZero:ATK2500
「此れは…白と黒の鎧を纏ったスターダストだと!?」
新たに呼び出したのは闇の力を得た星龍。
嘗てパラドックスと紡いだ絆の証の闇星龍だ。
「更に、ライフを600払って『ダイナスト・シンクロン』を特殊召喚!」
ダイナスト・シンクロン:ATK800
遊星:LP3800→3200
ライフを削っての展開。
狙いは…龍の進化だ。
「行くぞクロウ!
レベル8のSin スターダストに、レベル2のダイナスト・シンクロンをチューニング!
光と闇が集うとき、ソレは混沌から進化を導く。光射す道となれ!シンクロ召喚、闇より飛翔せよ『Sin スターダスト・ドラゴン零式』!!」
『カァァアッァアァッァ!!』
Sin スターダスト・ドラゴン零式:ATK2700
進化したのは罪の名を冠する闇の星龍。
白と黒の鎧はシャープに尖鋭化され、更に2枚の鎧の翼が追加されている。
「マジかよ…!!」
「Sin スターダスト零式が存在する限り、俺のドラゴン族シンクロモンスターの攻撃力は300ポイントアップする。」
『ガァァァァァ!!』
閃滅龍 スターブレイカー:ATK2500→2800
『シャァァアァ!!』
Sin スターダスト・ドラゴン零式:ATK2700→3000
一気にクロウの黒翼軍団を超えてきた。
更に此れだけでは済まないのが遊星だ。
「麒麟の効果発動!
手札1枚を墓地に送って相手モンスターを全て破壊する!
俺は手札の『レベル・スティーラー』を墓地に送って効果を発動!撃ち貫け『落雷の裁き』!」
『私の雷で消え去れ…!』
麒麟の効果を発動し、1ターンKillを狙う。
此れが決まればクロウのモンスターは全滅し、総攻撃でTHE ENDだ。
だが、相手はクロウだ。
早々簡単にやらせてくれる筈がない。
「ボルトかよ!!だが、そうはさせないぜ遊星!
トラップ発動『黒翼の防壁』!俺のフィールドに『BF』又は『BFT』が存在するとき、このターン俺のモンスターはカード効果じゃ破壊されねぇ!」
専用トラップで効果破壊を回避。
だが、それでは不完全。
「此れを耐えるとは流石だなクロウ。
だが、俺のフィールドには3体のモンスターが残っている!
効果耐性では俺の仲間達の攻撃には耐えられないぞ!…麒麟でブラック・フェザー・ドラゴンに攻撃!『気刃解放斬り』!」
人型だと技の名前も違うようだ。
兎も角、雷の幻獣の攻撃が黒翼の龍に向かう。
此れが決まり、更に後続2体の攻撃も決まればクロウのライフは風前の灯だろう。
「させるかよ!トラップ発動『同調障壁−シンクロシールド』!
此れで俺のモンスターは戦闘でも破壊されないぜ!!」
「お前もそのカードを…」
クロウも遊星と同様のカードで対抗する。
ダメージは受けるがモンスターは残す心算なのだろう。
「ぐぅ…!」
クロウ:LP4000→3600
「続いてスターブレイカーで漆黒のホーク・ジョーに攻撃!『シューティング・ジェノサイド』!!」
「うあぁぁ…!!」
クロウ:LP3600→3400
「未だだ!Sin スターダスト・ドラゴン零式で、漆黒のホーク・ジョーに攻撃!『シューティング・ダークネス・ソニック』!!」
『キシャァァア!!!』
――ドォォォン!!
「うあぁぁあぁぁ!!!」
クロウ:LP3400→3000
先程のお返しとばかりの遊星の猛攻。
ライフポイントは再び僅差に。
「くぅ…効いたぜ遊星!」
「受けたダメージは返したぞクロウ。
俺はカードを2枚セットし、麒麟のレベルを1つ下げて『レベル・スティーラー』を特殊召喚。」
レベル・スティーラー:DEF0
雷幻獣−麒麟:Lv10→9
「ターンエンド。」
遊星はモンスターを4体展開してのターンエンド。
今度は遊星有利に見えるが其れは否!
此れだけやられてクロウが黙っているはずはない。
「俺のターン!」
遊星:SC4→5
クロウ:SC4→5
「漆黒のホーク・ジョーの効果で『暁のシロッコ』を特殊召喚する!」
BF−暁のシロッコ:ATK2000
「更に、相手フィールドに攻撃力2000以上のモンスターが存在するとき『BF−下弦のサルンガ』を特殊召喚出来る!」
BF−下弦のサルンガ:DEF500
能力に物を言わせてのシンクロ用展開!
狙いはレベル7のシンクロだろう。
「レベル5の暁のシロッコに、レベル2の下弦のサルンガをチューニング!
黒き旋風よ、烈風を伴いて世界を駆け抜けろ!シンクロ召喚、来い『BF−極夜のポーラスター』!」
『ハァァァアァ!』
BF−極夜のポーラスター:ATK2400
「極夜のポーラスターが存在する限り俺のフィールドの闇属性モンスターの攻撃力は500ポイントアップする!」
ブラック・フェザー・ドラゴン:ATK2800→3300
BFT−漆黒のホーク・ジョー:ATK2600→3100
BF−極夜のポーラスター:ATK2400→2900
又しても優位逆転!
この布陣なら、逆に遊星のモンスターを一掃出来るかもしれない。
「行くぜ遊星!ブラックフェザー・ドラゴンで、麒麟に攻撃!!!」
ソレを見逃さず、即刻攻撃!
全てを喰らえば只では済まないが…遊星の口元には笑みが浮かんでいた。
「攻撃してくるか?…当然だが、ソレはさせない!トラップ発動『エンジェル・リフト』!
此れで墓地からレベル2以下のモンスターを蘇生させる!蘇れ『ボーナス・シンクロン』!」
ボーナス・シンクロン:ATK0
永続罠でモンスターを蘇生。
尤も此れだけでは無意味でありボーナスが狙われればそこでゲームエンドだ。
だが、狙いはそうではない。
「更に『緊急同調』!バトルフェイズ中にモンスターをシンクロ召喚できる!
俺は此れでレベル・スティーラーに、ボーナス・シンクロンをチューニング!
集いし願いが新たな速度の地平へ誘う。光射す道となれ、シンクロ召喚、希望の力『フォーミュラ・シンクロン』!」
フォーミュラ・シンクロン:DEF1500
「フォーミュラ・シンクロンの効果で1枚ドロー!」
「シンクロチューナー…まさか!!」
呼び出されたのは進化の鍵となるシンクロチューナー。
ソレを見てクロウは何かに思い当たったようだ。
「遊星、オメェ…!」
「あぁ、進化の道に終りはないからな!行くぞ、クリアマインドォォ!!」
――轟!
クロウの予想通り、進化のためのフィールドが形成される。
そしてソレと同時に遊星は最大加速。
「レベル8シンクロモンスター、閃滅龍 スターブレイカーに、レベル2シンクロチューナー、フォーミュラ・シンクロンをチューニング!
集いし希望の片鱗が、新たな進化の経路を示す。光射す道となれ!アァクセルシンクロォォォォォォォ!!!!」
――バシュン!!
「んな!?」
「消えたぁ!?」
「す、スゲェ!!」
光を超えた者のみが到達できる境地を目の当たりにした観客は全員総立ちだ。
『何と消えた!?解説のリニスさん此れは一体…?』
『遊星さんの最強戦術『アクセルシンクロ』です。
シンクロモンスターにシンクロチューナーを同調する事で可能になるスピードの限界を超えた者だけが辿り着ける境地と聞いています。』
解説実況の2人も興奮気味。
特に初めて此れを見た美由希は尚の事だ。
「す、凄い…此れが本物のデュエリストのデュエル…!」
「そや。…けど、マダマダこんな物では済まん筈や!」
ノーヴェも驚き、はやてはマダマダ先があるという。
ソレに呼応するように仮想デュエルレーンでも動きが!
――バリィィン!!
「殲滅せよ、『獄滅龍 メテオ・ブレイカー』!!」
『グオォォォォォォォォォ…!!!』
光を突き破って遊星と、進化した龍が参上!
ダチ公同士のデュエルは、いよいよ白熱してきた様だ。
「限界なしか?……ったくやってくれるぜ!だがな、負けねぇぜ俺は!!」
「ソレは俺も同じさ。このデュエル、勝利は絶対に渡さない!!」
To Be Continued… 
*登場カード補足
Sp−シンクロ・グリード
スピードスペル
自分のスピードカウンターが4つ以上有り、フィールド上にシンクロモンスターが2体以上存在する場合に発動できる。
フィールド上のシンクロモンスター2体に付き1枚カードをドローする。
同調障壁−シンクロシールド
通常罠
このカードを発動したターン、自分フィールド上のシンクロモンスターは戦闘では破壊されない。
黒翼の防壁
通常罠
自分フィールド上に「BF」または「BFT」と名の付くモンスターが表側表示で存在する場合に発動できる。
エンドフェイズまで自分フィールド上のモンスターはカード効果では破壊されない。