「無駄なのに…もういいです!全部消えてしまえ!セイヴァー!!!」

 「消させはしない!迎え撃てSin スターダストZero!『ダークソニック・バーン』!」

 ぶつかり合う赤黒い炎と、闇の衝撃音波。
 シンクロ化したシグナムの力で強化された闇のスターダストはU-D相手でも引けを取らないようだ。

 「遊星に続くんだ!畳掛けるぞ!」

 「おうよ!」

 「任せろ!」


 その攻撃に、クロノ、ヴィータ、シグナムのメインアタッカー組が追撃。

 「おっと…そうはいかないのよ〜…ラピッドファイア!!」

 「空破弾!!」

 「風よ、お願い!」

 「ぬおぉぉぉぉ…デリャァァァァァ!!」

 キリエ、アインハルト、シャマル、ザフィーラも夫々が的確に攻撃している。
 それでも、U-Dはまるで平気な顔。

 このスーパーアーマー状態を解除するのは楽では無さそうだ。












  遊戯王×リリカルなのは  絆の決闘者と夜天の主 クロス66
 『解除せよ超鎧!』











 「凄い気迫…でも其れも意味は無い。…もう、だめなんです…ジャベリン!!」

 「そんな事は無い!頼むぞグランド・ウォリアー!『グラン・アース・カノン』!!」

 再び魄翼から打ち出された魔力弾を、今度は機皇戦士で迎え撃つ。
 流石に攻撃力8800ともなるとその攻撃の威力はU-Dの攻撃であっても貫通出来るようだ。

 尤もU-Dにダメージを与えるには至らないが、だが其れで良い。
 攻撃を掻き消して道が出来れば、攻撃は有効打を与えられる者達が行ってくれる。

 「ブレイズ…カノン!!」

 「うらぁ、ぶっ飛べぇ!!」
 『Raketen.』

 「覇ぁ…切り裂け!!」
 『Schlangebeissen.』


 夫々プログラムカートリッジをロードした一撃で攻撃を加えていく。
 流石に対U-D用プログラムだけあって、只の一撃よりかは効果が有るようだ。

 だが、有効打であっても一撃では砕けてくれない。
 第1チームの力が尽きるのが先か、U-Dのスーパーアーマーが解除されるのが先か…此れは完全な削りあいだろう。

 だからと言って不利かと言われればそんな事は無い。
 戦力は充分揃えて来たのだから不備は無いし、何より遊星が居るのだ。

 遊星を2つのチームに兼任させたのは、単にその戦術がそのままチームの強化に繋がると考えたからなのだ。
 様々なカードの力を得られれば、戦力は更に強化することも出来る。
 デュエリストの可能性を組み込んだチーム兼任だったという訳だ。

 「カードを2枚伏せてターンエンド。」
 ――矢張り相当に堅いな…攻撃プログラムも思った以上の効果が未だ出ていない。
    だが、相手の守りが堅いのならば、此方は其れを上回る攻撃力を叩き出すだけだ!


 今の攻防でU-Dの大体の防御力を推測し、次の一手を考える。
 勿論その間もU-Dの攻撃の手は緩まない。

 「はぁぁぁ!!」

 「な!?ちょっと〜〜!?」

 炎を纏ってキリエに高速突進攻撃!
 余りにも速く、ノーモーションからの一発だった為キリエも反応し切れていない。

 「!!はぁぁ…空破弾!!」

 「スティンガー!!」

 クロノとアインハルトが魔力弾を放つも効果は薄く、突進は止まらない。
 キリエもせめて相討ちにとばかりに武器を構えるが、遊星が居る事を忘れてはいけない。

 「トラップ発動『くず鉄のかかし』!攻撃を無効にする!」

 防御の要である『くず鉄のかかし』を発動してU-Dの攻撃を防ぐ。
 略暴走状態であるU-Dの攻撃を防ぐとは見事である。

 「大丈夫か?」

 「た、助かったわ、ありがと♪」

 助けてくれた遊星に、何時もの調子で返す。
 体勢を立て直してU-Dに向き直る。

 遊星も其れを見て、次の一手に移る。

 「チューナーモンスター『アイシクル・シンクロン』を召喚!」
 アイシクル・シンクロン:ATK1200→2000


 呼び出したのはチューナー。
 新たなシンクロ…この世界だからこそ出来るシンクロ戦術を行う心算だ。

 「クロノ!」

 「僕か……よし、やってくれ遊星!」

 騎士達に続いて進化するのはクロノ。
 攻撃プログラムを持つクロノが強化されれば、シグナム、ヴィータと共にメインアタッカーの攻撃は更に強くなるのだ。

 「クロノにアイシクル・シンクロンをチューニング!
  集いし氷河の輝きが、新たな力を滾らせる。光射す道となれ!シンクロ召喚、折れぬ信念『クロノ・ハーヴェイ』!」

 「此れが僕のシンクロの力か…!」
 クロノ・ハーヴェイ:ATK2600→3400


 シンクロしたクロノは『ハラオウン』から『ハーヴェイ』と名が変わり、髪は黄土色、バリアジャケットは緑、そして瞳は黄色に赤に変化している。
 当然その力は今までよりもずっと強くなっている。

 「見事だ遊星、早速この力を使わせてもらう!
  僕がシンクロ召喚した時、墓地のチューナーを5枚まで選択してデッキに戻してシャッフル。
  その後、戻したチューナーの数よりも1枚少ない枚数のカードをデッキからドローする!」

 「俺は墓地の『ニトロ・シンクロン』『ターボ・シンクロン』『アビス・シンクロン』『ドリル・シンクロン』『アイシクル・シンクロン』をデッキに戻す。
  そしてその数よりも1枚少ない枚数…4枚のカードをローする!」

 「更に、この効果でドローしたカードの中にチューナーが存在する場合、その内1体を特殊召喚出来る。」

 「俺が引いたカードには…2体のチューナー『ギアーズ・シンクロン』と『ダイナスト・シンクロン』がある。
  俺は『ギアーズ・シンクロン』を特殊召喚!」
 ギアーズ・シンクロン:ATK1000→1800


 強力極まりないドロー&展開効果を発揮してくれた。
 特化した能力を持たない代わりに、応用が利く汎用能力が売りのクロノらしい効果だ。


 「更にライフを600ポイント払って『ダイナスト・シンクロン』を特殊召喚!」
 ダイナスト・シンクロン:ATK800→1600
 遊星:LP16000→15400
 機皇戦士グランド・ウォリアー:ATK8800→8500



 そして、展開したチューナーは勿論更なる布石だ。

 「アインハルト!!」

 「今度は私ですか?…はい、お願いします不動博士!」

 今度の対象はアインハルト。
 如何やら遊星は徹底的に強化をする気のようだ。

 「アインハルトにダイナスト・シンクロンをチューニング!
  覇王の誇りが集う時、その誇りは未来を掴む。光射す道となれ!シンクロ召喚、突き進め『覇王 アインハルト』!」

 「覇王の拳…其れが私の誇りです…!」
 覇王 アインハルト:ATK2400→3200


 アインハルトもまた姿が変わっている。
 髪は薄い蒼に、バリアジャケットは緑の部分がシックなダークグレーに変化だ。

 見事に力を増したが其処にU-Dからの砲撃が放たれる。
 戦闘は継続中なのだ。

 だが…

 「はぁぁ…旋衝波!」

 シンクロしたばかりのアインハルトと…

 「烈鋼牙ぁ!!」

 鉄壁防御のザフィーラで其れを打ち返す。
 その反射攻撃は見事命中し、特にアインハルトの一撃は攻撃プログラムが無いにも関わらず結構効いている様だ。

 「此れは…?」

 「今のがシンクロしたお前の力さ。
  覇王 アインハルトが戦闘を行うことで発生する相手への戦闘ダメージは倍になる!」

 「それは…凄まじい力ですね…」

 「あぁ、その調子でドンドン行ってくれ!」

 戦力の底上げは見事に効果を上げている。
 此れだけの戦力を注ぎ込めば、U-Dのスーパーアーマー解除の効率もグッと上がるだろう。

 で、クロノとアインハルトがシンクロしたと成ればキリエとて黙っていない。
 此処まで来たら自分だってパワーアップして戦いたいと思うのは人の常。

 「ねぇ、遊星さん。そのシンクロって、私にもしてもらえるのかしらん?」

 だから遊星に尋ねる。
 無論、遊星は断りはしない。
 断る理由が無い。

 「勿論だ。残る1体のチューナーはお前の為に呼び出したんだからな。」

 「そうこなくっちゃ♪」

 フィールドに残った3体目のチューナーがキリエのものだった。
 他のメンバーはこの間も戦闘を続けている……即刻シンクロが吉だ。

 「行くぞ、キリエ!ギアーズ・シンクロンをチューニング!
  集いし希望の蕾が、此処に新たな未来となる。光射す道となれ!シンクロ召喚、咲き誇れ『時の操手 キリエ』!」

 「うん、綺麗な花を咲かせましょ♪」
 時の操手 キリエ:ATK2500→3300


 進化したキリエの髪は鮮やかさを増し、瞳は金で防具服は菫色。
 その力は『己が起こした事の責任を取る』と言う意思と混ざって凄まじい強さと成っている。

 「さぁってと…それじゃあやりますか!ファイネスト…カノン!!」

 シンクロして速攻の一発!
 皆の一撃に混じって、その一発も確りとU-Dにダメージを与えたようだ。


 だが、だからと言ってU-Dだって黙っていない。
 魄翼からの魔力弾に突進攻撃、果ては砲撃と様々な攻撃を繰り出してくる。

 しかもその何れもが命中=撃墜の威力と来るのだから恐ろしい事この上ない。
 もしもこの場で戦っていたのが、管理局の一般武装隊であったならとっくに瓦解していただろう。

 「君達の運命も此処で終わる……ごめんなさい、さよならなんです…エンシェント…マトリクス!」

 更に、今までの攻撃をも上回る途轍もない密度の魔力弾…否『魔力ミサイル』とでも言うべき一撃まで放ってきた。
 此れは如何にザフィーラやアインハルトでも叩き返すのは無理だろう。

 「ふっふ〜〜ん?残念だけどヤミちゃん、私の力はこう言う時に使えるのよ♪」

 その攻撃の前にキリエが躍り出て、手をかざす。
 瞬間、攻撃は機動を変えU-Dに向かう。

 尤も其れは流石にU-Dも弾き飛ばしてしまうのだが…

 「防がれちゃったか。
  でも、此れが私の力!1ターンに1度相手の攻撃を無効にして、相手モンスター1体を破壊する効果よ!」

 これまた凄い効果だった。
 確かにこの効果ならどんな攻撃でも撃ち返せるだろう。

 遊星が行った連続シンクロは、間違いなく第1チームに有利な流れを引き寄せている。

 この流れに乗らない手は無い。
 其れを加速させるのも遊星の役目だ。

 「一気に行くぞ皆!スピードスペル『Sp−The Battle Of ACE』発動!
  俺のスピードカウンターが7個以上ある時、シンクロモンスターの攻撃力をスピードカウンターの数×200ポイントアップする!
  俺のスピードカウンターは12!よって皆の攻撃力は2400ポイントアップする!!」

 切った札は全体強化のスピードスペル。
 此れによりシンクロ化で強化された第1チームは更に強化!

 「力が漲る…これならば…」
 紅蓮の将・シグナム:ATK3500→5900


 「おう!一撃でぶったたける!!」
 鋼槌の騎士・ヴィータ:ATK3300→5700


 「それじゃあ私とザフィーラは…」
 風の治癒騎士:3100→5500


 「うむ、心得た…」
 鎧の守護獣・ザフィーラ:ATK2800→5200


 「此処で決めよう…」
 クロノ・ハーヴェイ:ATK3400→5800


 「真の覇王流…お見せします…!」
 覇王 アインハルト:ATK3200→5600


 「それじゃあ、もう一花咲かせましょうか♪」
 時の操手 キリエ:ATK3300→5700


 全員がオーバー5000と言う凄まじい布陣の出来上がりだ!



 その力を感じ取ったのか、半ば本能的にU-Dが動くが、其れよりもシャマルとザフィーラの方が早かった。

 「させないわ!」

 「縛れ…鋼の軛!!」

 クラールヴィントのワイヤーバインドと、ザフィーラの鋼の軛でその動きを制する。
 如何にU-Dと言えど、この2人の拘束はそう易々と解けるものでは無い。

 此れは絶好の好機!
 其れを読み取って一気にラッシュを掛ける!

 その先陣を切ったのはアインハルトとキリエ。


 「絶対貴女を助けて帰る!其れが私の最期の責任!スラッシュ・レイブ・インパクト!届いて!!」

 先ずはキリエがヘヴィエッジ状態のザッパーで何度も切りつけ、トドメに巨大な魔力弾を食らわせ吹き飛ばす。

 「救いの手を諦めないで下さい…!楔を断ち切る力を…!覇王!断空拳!!」

 更に其処にアインハルトの覇王流最強の一撃が突き刺さる!
 此れにはU-Dも顔を歪めるが攻撃の手は止まらない!

 「頼むぞ!Sin スターダスト『ダークソニック・バーン』!グランド・ウォリアー『グラン・アース・カノン』!」

 すかさず遊星が2体のモンスターで追撃!


 「デュランダル!」
 『OK Boss.』


 「凍てつけぇ!!」
 『Eternal Coffin.』


 クロノがデュランダルを呼び出し、永久氷河でU-Dの周囲を凍らせ、更に動きを制限する。


 「行くぞ、レヴァンティン!」
 『Bogenform.』


 「やるぞ、アイゼン!!」
 『Gigant.』



 「翔けよ、隼!」
 『Sturmfalken.』


 「轟天、爆!滅!!」
 『Explosion.』
 「エクスプロード…シュラーーーーーク!!」


 猛攻のトリを勤めるは、ヴォルケンリッタートップ2のアタッカーであるシグナムとヴィータ。
 駆け抜ける炎の隼と、一撃必殺完全粉砕のハンマーは容赦なくU-Dを打ち据える。

 この猛攻の前に…


 ――バリィィン!!


 遂にU-Dのスーパーアーマー状態が砕けた。

 だが、それだけでは無い。


 「うぅ…うわぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 「「「「「「「「!!!!」」」」」」」」

 悲鳴とも取れる叫びと共にU-Dの色彩が変化!
 服は赤に変わり、瞳は緑…そして顔には呪詛のような紋様……力が完全解放された状態になったのだ。


 その力たるや今までの比では無い。
 スーパーアーマーを解除したからダメージは通るだろうが第2チームも楽には行かないだろう。


 「う……うわぁ…うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 「あの子…苦しそうです…」

 「矢張り辛いのだろう、自分の意思とは関係無しに破壊を行うのが…」

 苦しみながら力を増すU-Dに一同は何もしてやれない。
 こうなった以上、今度は第2チームの飽和猛攻撃に期待するしかない。



 『クロノ君!此方なのはです!U-Dのスーパーアーマー解除を確認!第2チーム転送完了、後2分で現着します!』

 此処でなのはからの通信。
 U-Dの状態変化を確認し第2チームが出撃!

 U-Dの変化は未だ続いている。
 此処が第1チームの引き際だろう。

 「皆、なのは達が転送を完了した!此れより第1チームはアースラに帰還、以降は状況整理とサポートに徹する!」

 「「「「「「了解!」」」」」」

 遊星以外の全員がその場を離脱して行く。


 「すまない遊星、君には一番大変な役を任せてしまって…」

 「構わないさ、俺は俺のやる事をやるだけだ…後は任せてくれ。」

 「あぁ、頼む!!」

 第2チームでも戦闘&補助を行う遊星に、クロノが全てを任せ離脱。


 間も無く第2チームが現着する。


 戦いは、最終章・最終幕へと移っていった…
















   To Be Continued… 






 *登場カード補足



 クロノ・ハーヴェイ
 レベル8    水属性
 魔法使い族・シンクロ/効果
 「アイシクル・シンクロン」+クロノ・ハラオウン
 このカードのシンクロ召喚に成功した時に発動できる。
 自分の墓地からチューナーモンスターを5体まで選択してデッキに戻してシャッフルする。
 その後デッキに戻したチューナーの数より1枚少ない枚数のカードをデッキからドローする。
 又この効果でドローしたカードの中にチューナーが存在する場合、その中の1体を選択して特殊召喚出来る。
 ATK2600    DEF2300



 覇王 アインハルト
 レベル6    炎属性
 戦士族・シンクロ/効果
 「ダイナスト・シンクロン」+アインハルト・ストラトス
 このカードが戦闘を行うことによって発生する相手への戦闘ダメージは倍になる。
 ATK2400    DEF2400



 時の操手 キリエ
 レベル7    風属性
 戦士族・シンクロ/効果
 「ギアーズ・シンクロン」+キリエ・フローリアン
 このカードの種族は「機械族」としても扱う。
 1ターンに1度、相手モンスターの攻撃を無効にし、相手フィールド上のモンスター1体を破壊出来る。
 ATK2500    DEF2100